今回は「学研プライムゼミ」の評判について取り上げ,塾講師から見て良いなと思えるところや利用上の注意点をまとめてみることにしました。
加えて,どのような講座が存在するかであったり,かかる料金の目安,はたまた実際に使ってみると一体どのような感じになるかという軽い体験談的なものだったりにも言及しています。
特に,偏差値が高い大学への進学を希望している高校生(または保護者)の方は,是非お読みください。
学研プライムゼミとは
みなさんがこれまでに使ってきた参考書の中で最も多かったのは,学研(Gakken)が出版したものだったかもしれません。
実際,学習参考書の小中学生部門において,同社が業界シェアNo.1に輝いたことは過去に何度もあり,「ひとつひとつわかりやすく。」シリーズはその好例です(参考)。
そしてそんな教材作成に長けている学研が,高校生~既卒生向けに提供しているオンライン教育サービスというのが,今回紹介する学研プライムゼミになります↓
歴史を遡れば,2013年頃に存在していた「学研Web講座」がこの前身に当たるように思われますが,いずれにしても昔から学研は映像講座を配信しており,2020年頃に急増したオンライン化の波に乗じてパッと出たようなサービスではないということです。
なお,今回紹介するものは広義では「学研のプライム講座」となり,姉妹サービスとして,英検ゼミや英語総合ゼミ,推薦・総合型選抜ゼミ,医学部ゼミ,小論文個別指導講座が他に知られています↓
これらの講座に共通する特徴は「映像」を基本に据えた構成であるところで,その多くは自宅にいながら気軽に受講できてしまうものです(一部,添削サービスが付属している講座もあります)。
ちなみに,これら講座を利用するだけであれば,入会金を支払う必要もなければ通塾する必要もありません(学習塾と併用する場合は除く)。
なお,そこそこの値段がする有料サービスなだけに,その内容は普通予備校に通わなければ学べないものがほとんどとなり,テキストは講師オリジナルで市販品とは一線を画する良質なものが自宅へと届きます。
私と同じ年代の方であれば,20年ほど前にあったサテライン授業に匹敵するものが自宅で学べてしまうようになったとお考えください。
ともかく,貴重な知識を得られることになるので,難関大を志望する受験生は特に本サービスを利用することで恩恵を受けやすいように思われます。

しかし,志望校のレベルが例えばGMARCH以下であるならば,まずは基礎~標準レベルの問題をとにかく完璧にすることが急務となるわけで,それならば他社から出ているより安価なサービス(例:スタディサプリ)でも十分に対応できてしまうでしょう。
もちろん,共通テストで9割以上取りたい方であったり,補強したい分野が明確である方,さらには合否を分ける問題を一つでも多く正解したい浪人生の方や「マドンナ古文の著者の授業を受けてみたい!」などの個人的な理由がある方には,学研プライムゼミの受講をおすすめします。
私は普段,個人塾で大学受験生も教えているのですが,次章において,そんな私の目に映る学研プライムゼミの強みについて分析してみることにしましょう!
学研プライムゼミの強み
塾講師の視点で眺めると,プライムゼミの強みは「質」と「効率」の両面によく表れているように見受けられます。
1つ目の「質」についてですが,講師陣は難関大指導に定評のある有名どころの講師を軒並み揃えており,特に英語の竹岡広信と古文の萩野文子については,これまでにTVなどで目にした方も多いのではないでしょうか。
竹岡先生は「ドラゴン桜」というマンガに登場する英語教師のモデルになった先生でもありますし,萩野先生は「マドンナ古文」でかつて一世を風靡した古文講師です。
もちろんそのお二方以外にも,日本史でしたら野島博之や石川晶康,漢文の宮下典男など,書籍が受験生から好評を得ていたり,これまで予備校で大きな実績を挙げたりした実力派講師の名前が数多く見受けられます。
個人的な思い出として,代ゼミが全盛期だった頃,宮下先生の漢文講座ですら超満員になっていた時代が懐かしいです(漢文はマイナーな科目なので,そもそも大教室が埋まること自体が少ないのです)。
続けてもう一つの強みは使用する教材にあります。
学研プライムゼミの講座用に作成されたオリジナルテキストは,問題のセレクトからレイアウトにいたるまで各講師が綿密に考え抜いたものが採用されており,内容は最高峰のものであることに疑いはなく,教室外においそれと持ち出せるものではありません。
受講すると後から冊子の形で自宅に郵送されてきますが,最近は書籍を読むにしてもデジタルが主流となっている時代です。
新聞や雑誌も多くがデジタル版に移行しています。
しかし,こと勉強に限っては製本された形でテキストを所有することこそが圧倒的に重要です。
紙のノートもそうですが,アナログ的なアプローチには代えがたい魅力があり,効果としては授業の理解度を高めてくれることはもちろん,見直すときは時間の短縮になりますし,1冊通してやり遂げた日には達成感からやる気を大きく高められるでしょう。
私が教えている塾での話ですが,テキストを大量かつ簡単にコピーすることができるので,最初のうちは製本したものを生徒に買わせることなく安価に済ませていたものです。
もちろん生徒のことを思ってのことでしたが,コピーで配布したものを生徒が管理しきれなかったり(すぐに無くす),不思議と見返すことが少ない(それくらいの価値しかない)ことに気が付いてからは,他社の参考書を使う場合であっても必ず買わせるようになりました。

その点,本サービスでは元から製本されているわけですから,私的には好印象です。
短期間で集中的に学力を上げたい場合(講習期間に参加するなど)には,テキストにしっかり書き込んで1冊仕上げることが特に有効とされますが,学研プライムゼミは「90分×5回」が基本の形となっており,それを1単位(ユニットと呼ばれます)として完結します。
自分の弱点をあらかじめ把握しておく必要はありますが,自分に必要な分野だけを選んで受講することができるところは強みでしょう。
さらにはオンラインの強みを生かし,1.5倍や2倍の速度でもって講義を速習できます。
最初は「早い」と感じるかもしれませんが,慣れると等倍では遅くて聞けない身体になってしまうもので,これはYouTubeで解説動画(画面に文字が表示されては作成者がそれをただ読み上げるだけのもの)においても経験されているのではないでしょうか。
良質な講義を「11月から12月にかけては共通テスト対策講座を,それ以降の時期は私大・国公立2次の対策を行う」などと,必要な分だけ適切なタイミングで受講できる点は非常に効率的です。
受講前の注意点
とはいえ,学研プライムゼミの受講にあたってはいくつかの注意点も存在します。
1つ目の注意点ですが,予備校に通学する形式の講座よりは若干安いものの,参考書を自分で買ってやるよりは割高というところです(受講料金について詳しくは後述します)。
次に,先ほど「難関大を志望し,取りたい講座が明確な方におすすめできる」と述べましたが,ひとまず他の教材で基礎学力を身に付けてから手を出すべきです。
講座の性質上,科目や分野を絞ってのピンポイント的な解説が多くなることが予想されるため,自分の実力を客観的に分析し,いつどの講座を取るべきかについての明確な答えを用意できる生徒でない限りは上手に使いこなせないでしょう。
難しすぎる内容に出会ったときにはメールで質問できると聞いたのでそこで解決できればよいのでしょうが,やはり,自分で考え抜いて理解できる頭がないと難関講座にはついていけません。
前章で語ったオンラインの「自分のペースで好きに受講できる」という強みも,これをうまく生かせなければ結果としてプラスになりません。
復習するのも予習するのもあくまで自己判断ですから,強い意志が必要です。
ところで最近では,市進予備校のように個別指導と学研プライムゼミを併用するところも出てきているので,このような形式で採用するのであれば,難しい判断を塾に任せられて心配せずに済むでしょう↓
3つ目の注意点は技術的なところで,パソコンやスマホの種類によっては受講条件が限られてしまうことがあります。
オンライン授業を行うのは大いに結構ですが,受講する側は利用できない可能性を考慮しておきましょう↓
学研プライムゼミの推奨環境
PC:Windows10以降またはMac10.10以降
スマホやタブレット:Android5.0以降またはiOS10以降
ブラウザ:Google ChromeまたはSafariの最新版
もっとも,実際のところは自分で使ってみないとわかりませんので,次章に記載した方法で試してみることをおすすめします。
無料登録のすすめ
学研プライムゼミの強みと注意点を理解した上で会員登録するようにしますが,そのメリットとして,全講座において1講義90分が丸々視聴できることとオリジナルテキストの内容が特別にPDF形式でダウンロードできてしまう2つが大きいでしょう。
普通「サンプル動画」と言えば,動作確認用のまさに「お試し」といったしょぼいものになることが多い傾向にありますが,学研プライムゼミは無料登録することで各講座1つの授業を最後までしっかりと受けられるのでおすすめです。
また,無料会員になると「各種特典映像」というものも利用でき,講座の受け方から学習計画の立て方まで,授業内容以外に勉強法まで学ぶことができます。

講座詳細について疑問点が浮かんだ場合はメールで問い合わせることができるようなので,早速使ってみてください(もちろん,そのまま退会してしまっても構いません)。
詳細については後で体験談をまとめていますが,使ってみた感想は以下のようになります↓
管理人のおすすめ
たった1つの授業にもかかわず役立つシーンが多そうなのは「共通テスト対策英語錬成ユニット1・はじめてのスピーキングユニット1・基礎強化古文ゼミ<前期>」です。また,会員特典の「学習ガイド」にある「受講講座の決め方」や「学習計画の立て方」という動画は一見の価値があります。
プライムゼミの料金について
学研プライムゼミを無料体験してみて気に入った講座があれば,いよいよ実際に購入して学んでいくことになりますが,ここでは料金についてまとめましょう。
プライムゼミでは基本,「ユニット」と呼ばれる1つの講座ごとに購入していきます。
なお,1ユニットあたりの料金は古文や小論文を除き,
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- 45分×5回で9350円
- 60分×5回で11880円(テキストなしは11330円)
- 90分×4回で13970円
- 90分×5回で17050円(添削ありは20350円)
のいずれかに設定されている場合がほとんどです。
なお,萩野先生の古文講座は料金体系が以下のように独特となっています↓
- 6600円:90分×5回
- 17050円:90分×5~6回
- 33000円:90分×10回
ただし,全ての講座を受講する場合,以下のモデルが示すようにかなりの額が必要なことに注意してください↓
とはいえ,ある程度まとまった数の講座をまとめて受講したい場合は「セット講座」として申し込めるので,単品ですべて購入した場合よりも1割程度安くすることができます。
例えば,上記画像の青い線で示したものからセンター対策を除いた講座は通常151250円しますが,セットにすると136125円で受講可能です。
また,指定講座を月額一定料金で見放題にできる「ゼミホーダイ」という形態も登場してきており,基本的な講座に限られますが,お得に受講することができます↓
- 高1~2生対象:英語・数学・現代文(8800円)
- 高3生以上対象:英語・数学・現代文・物理・化学・生物・日本史・世界史・地理(13200円)
総評としては,学研プライムゼミの料金は高すぎるということはありませんが,十分な量を受講すれば予備校に1年通ったときと同額くらいにはなってしまうことになります。
学研プライムゼミの体験談
それでは学研プライムゼミを実際に体験してみましょう!
ここでは受講するまでの具体的な手順について解説したいと思います。
おさらいになりますが,手順としては,
- 無料登録して使ってみる
- 気に入ったら講座を購入する
- 受講開始
の3段階を踏むことになりますが,これから実際の様子について詳しくみていきましょう。
まずは公式サイトから会員登録ページに進みます。
登録自体はプライム講座上にて行われる仕様です。
メールアドレスを入力し送信すると,4桁のワンタイムパスワード(2週間有効)が入ったメールが届きますので,そちらと,加えてログインIDやパスワード含む個人情報を入力しましょう。
なお,迷惑メールに振り分けられる場合もあるそうなので,見つからない場合はそちらのフォルダーを探してください。
会員登録が済むと,自分のメールアドレスにプライム講座マイページのURLが記載されたメールが届きますので,ログインして中身を確認してみましょう。
例えば「学習ガイド」の中には受講講座を決めるのに役立つ特典映像が多く含まれています。
映像内には以下のような,入試の配点に応じた取り方に対する指南もありますし,
学習相談や講座内容に関する質問をメールですることも可能です。
興味のある講座のサンプル動画は,検索欄を使って行うと見つけやすいかと思いますが,講師名を入力してみるのも良い方法でしょう↓
どのユニットがサンプルになっているかは講座によって異なるものの,最大90分ほどの授業とテキスト内容がじっくり確認できるのは大変親切であると感じました。
これだけの量を視聴できれば,授業や講師の雰囲気はある程度把握できるものです↓
実際の生徒を前に授業している講座があることからもわかりますが,講義内容は予備校の授業まさにそのものでした。
気に入る講座が見つかった場合,続けて購入することになりますが,学研の「プライム講座オンラインショップ」に移動したら新規会員登録をしましょう。
カートに受講したい講座ユニットを入れて決済へと進みます。
支払い方法はクレジットカード決済かコンビニ決済の前払いが利用でき,教材は3営業日以内に発送されてきますが,講座自体に視聴可能期間が設定されていることに注意してください↓
- ほとんどの講座は90日間
- 一部の高1・高2・古文講座は45日間
- セット講座は180~360日間
- ゼミホーダイは毎月1日に更新
※詳細は各講座ごとに要確認です。
購入を済ませたら,後は受講するだけです。
焦らず1つ1つしっかりと仕上げていきましょう!
私がおすすめする講座の取り方は,
- 入試での配点が高い科目
- 苦手な科目または分野
に絞ることで,動画を観た翌日は復習にあてたり,日曜には次の週の予習をしたりと,自学自習の時間もスケジュールに含めておくことが重要です。
資料請求について
学研のプライムゼミでは資料請求をすることが可能です。
もっともこの内容は無料会員に登録した後の「受講者ガイド(最新年度版)」で確認できる内容と大差ないので必須ではありません。
プライム講座の場合ですと上記2冊が届きましたが,白い方の「講座一覧」には,以下のように講座詳細についての記載がありました↓
しかし,先のデジタルとアナログの話ではないですが,こういう冊子をいざ手にしてみると予備校に通っていた時代の講習期間が思い出されます。
眺めているだけでも「やらなきゃ!」という気持ちが沸々と湧き上がってくるのは,いったいどういった現象なのでしょう,不思議です。
まとめ
以上,学研プライムゼミより,評判に繋がる「質」と「効率」という2つの強みの他,受講上の注意点や講座と料金,さらには実際に受講するまでの具体的な手順を主に解説してきました。
無料会員になって実際に使ってみた方は,最初のときとはまた別の感情が湧き出てくる結果になったのではないでしょうか。
難関大に合格するためには,周りの受験生ができる問題を落とさないことはもちろん,合否を分ける問題(より高い知的レベルを要する問題)をどれだけ正解できるかが鍵になってきます。
試験会場で知恵を絞って答えにたどり着けることも普通にありますが,日頃から物を考える姿勢を学んでおくことも大切で,有名中高一貫校に通う子が受験に強いのは,周りの仲間も教える教師も総じて知的レベルが高いという集まりの中にいるからです。
普通に会話しているだけでも,それが論理的な思考トレーニングへと繋がります。
逆に,普通の高校に通う生徒であれば,意識的にそういう場を探し求めなければいけません。
そういった意味では,予備校の授業に触れること自体が受験の役に立つと言うこともできるでしょう。
スタディサイトにお越しいただいたみなさんが,恩師と呼べる先生に出会えることを願っております。
最後までお読みいただき,ありがとうございました!