今回は小・中学生向けの語学教材として有名な「基礎英語」を取り上げ,その内容についてレビューするとともに,学習するメリットや注意点について深堀りしていきます。
私自身,中学生のときに聴いていましたし,塾講師時代も生徒に推奨していた定番の教材です。
まずは,2026年度の基礎英語の全体像から確認していきましょう!
2026年度の基礎英語講座
1926年から続く長い歴史を持つ基礎英語ですが,戦後,中学校の英語教育の補助を目的に再出発し,その後いくつかのリニューアルを経て,現在は小学生から大人まで使える現代的な英語教材へと進化を遂げました。
私が中学生だった頃は,学校から「毎日聴くように」と指示され,定期テストにも番組内容が組み込まれていました。
当時は放送時間に合わせて早起きし,眠い目をこすりながら聴いていたのは良い思い出です。
当時もカセットテープやCDを利用することはできましたが,現在は「らじる★らじる」や「NHKゴガク」での見逃し配信が充実しています。
部活や習い事で忙しい今の子どもたちでも,自分のペースで学習できる環境が整っています。
2026年度(2026年3月30日放送開始)のラインナップは以下の3講座です↓
| 講座名 | 対象 | CEFR目安 |
| 小学生の基礎英語 | 英語の入り口 | A0(基礎の基礎) |
| 基礎英語 レベル1 | 中1~中2の土台 | A1 |
| 基礎英語 レベル2 | 中2~中3レベル | A1~A2 |
「小学生の基礎英語」は,新学習指導要領に対応したカリキュラムが特徴です。
一方の「基礎英語 レベル1・2」は国際基準のCEFRを採用し,より実践的な習熟度を意識した構成になっています↓
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参考までに,社会人向けの「英会話タイムトライアル」がA2,「ラジオ英会話」はB1,「ラジオビジネス英語」はB2~C1に設定されています。
今回紹介する講座は,あくまで「英語の土台作り」に特化しているのが特徴です。
次章から,実際のレッスン内容をみていきますが,テキストの構成は年度や号数によって変更される場合があるため,詳細は書店などで実物を確認してください。
小学生の基礎英語

「小学生の基礎英語」が想定するA0レベルは,英検5級以下,TOEIC120点未満に相当します。
アルファベットや英語の音に慣れたい,簡単な挨拶に挑戦してみたいという層に最適です。
年間約144回のレッスンは「話す」ことに適した英語表現が豊富に盛り込まれ,月曜日と水曜日にはチャンク(いくつかの英語からなる英語のフレーズのこと)を学びますが,例えば以下のレッスンでは,4コママンガ(左下)の中にチャンクが出てきています↓

※画像は以前のものですが構成自体に大差ありません
単純な挨拶ではありますが,文末に相手の名前を付け加えているところが1つポイントで,それがマンガのオチにも繋がっているあたりは流石のNHKラジオです。
英語圏では相手の名前を呼ぶことによって親しみが生じるとされ,単に「Good morning.」としか言えない人とは結構な差が生じることになるでしょう。
この後,本文の理解度を問う問題や声出し練習,そしてまとめの時間もあり,忘れにくさや飽きにくさについても配慮されています。
ちなみにオチは公式HPの方から随時募集しており,視聴者参加型の試みは毎年好評です。
金曜日には英語の疑問や悩みに答える電話相談が行われたり,発音やクイズがあったりと,楽しく英語と触れ合えます。
毎週3回(月水金)の10分番組で,講師は居村啓子氏(拓殖大学教授),パートナーがカイル・カード氏と花音氏,そしてMCにサンシャイン池崎氏を迎え,2026年4月号では以下のような表現を学ぶことが可能です↓
登場する主な英語表現
Do you like egg on rice? /I like chocolate-chip melon bread. /It's rainy today. /I'm tired. /My name is Sugoi Yabame. /How do you spell "Yabame"? /Let's go to the planetarium room. /Have a nice trip.
基礎英語 レベル1・レベル2
基礎英語はレベル1とレベル2に分かれていて,2年間かけて中学英語をマスターすることができます。
担当講師はレベル1が中島真紀子氏(筑波大学附属中学校教諭),レベル2が工藤洋路氏(東京外国語大学大学院総合国際学研究科教授)となっていて,パートナーは前者がChris Nelson氏,後者がNari氏になります。
放送は全220回で,土日を除いた毎週5回,15分の長さの番組です。
各月ごとに学ぶ文法項目が設定されているのが特徴で,例えば以下に示したのは2026年度のレベル1のものになりますが,4月号では「be動詞,一般動詞,whatなどの疑問文,指示代名詞,助動詞can」を学びます↓

なお,8月は夏休みということで,例外的にそれまでの月の復習号となるのが恒例で,この時期だけ聞く生徒も少なくありません。
月曜日から木曜日にかけてスキットを用いて英語で表現できることを増やしていきますが,学べる内容には発音や表現も含まれ,文章の種類は日記だったり雑誌の記事だったりと多岐にわたります↓

※以前の内容ですが現行のものと構成に大差ありません。
ただし,金曜日だけは別扱いで,その週のストーリーや重要表現を復習する回です。
特に話す力を高められます。
本講座のレベルはA1~A2の間に収まるものの,具体例を交えて言うと,英検の5級~準2級,TOEICだと120点~500点程度と広範囲に及ぶため,レベル1と2を合わせて2年間やり通すことができればかなりの実力アップを見込むことができます。
学ぶ文法項目を挙げると以下の通りです↓
基礎英語レベル1・2で学べる文法
レベル1:be動詞,一般動詞,助動詞,過去形,疑問文,命令文,三単現のs,人称代名詞,未来表現,不定詞,現在進行形,過去進行形,There is/areの文,前置詞,接続詞,SVC/SVOO/SVOCの基本形,感嘆文,後置修飾など
レベル2:レベル1の復習と応用,可算名詞,不可算名詞,比較,現在完了,受動態,間接疑問文,分詞,関係代名詞,無生物主語,仮定法など
テキスト代と音声教材の料金
基礎英語を受講するにあたって必要となる料金は,
- テキスト代
のみとなります。
テキスト無しでも学べないわけではありませんが,復習のことを考えるとテキストは必須と言えるでしょう。
1回聴いたら終わりではありませんし,スペルの確認だったり,番組中に「テキストのどこどこを見て」という指示や書き込む作業だったりもあります。
それを踏まえて基礎英語の利用料金をまとめますと,カラー印刷が多い「小学生の基礎英語」こそ820円しますが,「基礎英語 レベル1・2」は710円で,1年間継続したときの料金は8520円~9840円ほどです(電子書籍だともう少し安くなりますが,おすすめしません)。
毎月5時間聴いたと仮定すると年間60時間のコンテンツとなり,コスパは悪くないです。
なお,後者は音声だけを別に購入することもでき,毎月770円となっています。
1年だと9000円強です。
基礎英語で学ぶメリットとデメリット

ここで,基礎英語を使って学ぶメリットとデメリットについて整理しておきましょう!
先述した通り,安く学べるところが大きな魅力です。
音声はラジオで毎回聞くとして,最低限テキストは購入する必要があるものの,逆に言えばそれだけしかかからないわけで,平均すると1回あたりのレッスン料は数十円となります。
そして,教材の質は間違いなく,現状の日本での最高峰です。
スマホでストリーミング放送を聴けて時間や場所の制約を受けないところも魅力ではありますが,あくまで1週間分しか残らないので,先に紹介した特殊なソフトを使うなどしない限りは,一定期間経過後は聴けなくなってしまうことに注意してください。
また,NHKのラジオ英語は形としてほぼ完成してしまっている節があり,安心して聴くことができる反面,真新しさには欠けます。
簡単に言ってしまえば,英語とその解説を聴き,最後に声に出しては英文を読み,英作文を行って終わるというのがお決まりのパターンであり,形式的には学校の授業に近いでしょう。
総合力が高まることは確実ですが,生徒の立場からすると「普段の授業とあまり変わらない」という感想を抱くかもしれません。
さらには,学校で確認テストが行われるなどがない限り,自分の取り組みの姿勢までは評価してもらえないところが難点で,どこまでしっかり取り組めるかは本人の頑張りにかかってきます。
そして何より,短期間で集中的に学びたい方にとってみれば,2年間も悠長に聞いていられないというところが本音でしょう。
このような場合,次に紹介する「ポケット語学」の方が,無制限にトレーニングが行えてしまう分,優れているように思われます。
短期集中なら「ポケット語学」が有力

NHKは「ポケット語学」と呼ばれるアプリも開発しています。
小学生向けの講座はないものの,2022年度からそのラインナップに「中学生の基礎英語」が追加されたのは大きなニュースでした。
オンライン教材のメリットの1つは速く学べるところですから,扱う範囲の広い基礎英語は適しています。
以下に2026年4月2日時点の収録内容をまとめましたが,レッスンは随時追加される傾向にあることに注意してください↓
ポケット語学の中学生の基礎英語
レベル1:講師はすべて本多敏幸氏。中学範囲の前半部分を扱います。シーズン1(2021年度)41週,シーズン2(2022年度)44週,シーズン3(2023年度)44週,シーズン4(2024年度)40週を収録しています。
レベル2:講師はシーズン1(2021年度)を高田智子氏,シーズン2(2022年度)を中野達也氏,シーズン3と4(2023と2024年度)を松元茂氏がそれぞれ担当しています。中2後半の内容から中学を卒業するまでの英語表現を扱い,レッスンの週はシーズン1から順に,41,44,44,40週です。
さすがに現在放送中のものまでは収録されていませんが,最も古いシーズン1のものでも5年前の内容で,現在の学習指導要領に対応しています。
ポケット語学のおかげで基礎英語を短期集中で学習できるようになったということはつまり,長期休暇を使って一気に中学英語を学び直せることが可能になったということです。
中3生や高校生の方は,ポケット語学を使えば一気に中学英語を完成させることができるでしょう。
内容的にラジオ番組とまったく同一というわけではありませんが,アプリで簡単に学べるため,音声を再生したり問題を解いたりすることが容易です↓

通学中に音読練習はできないように思われるかもしれませんが,マスクをした状態で声を出さずに口を動かすだけでも効果がありますし,最近も帰宅時間に道で英語を呟きながら歩くビジネスマンを見かけたものです。
「出先でできることは自宅では行わない」というのが勉強の基本ですので,家の中ではディクテーションしたり自分が音読したものを録音してはお手本と聞き比べたりしましょう!
利用料金はWebサイトからの申し込みは月額899~1078円です(アプリ課金の場合,1084円~1300円と割高です)。
評判については姉妹サイトの方で紹介しています↓
基礎英語が向く人・向かない人
以上,NHKの基礎英語のレッスン内容を中心に,料金やメリット,最後にポケット語学についても紹介してきましたがいかがだったでしょうか。
基礎英語のラインナップとしては小学生や中学生が使える講座が全部で3つ存在し,それぞれに異なるCEFRレベルが設定されていて,新学習指導要領に沿った内容を学ぶことができます。
長い歴史のある基礎英語ですが,時代の変化にも敏感で,英語4技能を明確に意識した現代的な学習コンテンツに仕上がっているように感じました。
魅力の中では教材の質とコスパの良さが目立ちますが,周りを見渡してみると意外と続かない子が少なくないため,長期間継続できるかどうかは学習者のやる気次第です。
とはいえ,テキストは月ごとに購入できるわけですから,まずは様子見で1ヶ月やってみて,もしもスケジュールに余裕がないようであれば,長期休暇にポケット語学や夏の復習号を利用してまとめて聴いてみるのが良いように思います。
それがきっかけとなり,平日に毎日聞く習慣が身に付けば最高ですし,たとえ続かなかったとしても大した痛手にはならないでしょう。
中学英語をマスターすれば,英会話のほとんどが不自由なくできるようになるので,特に「基礎英語 レベル1・2」を頑張るメリットは大きいように思われます。
最後までお読みいただいた方,誠にありがとうございました。
