数学ノートは,板書や答えを保存するだけの場所ではありません。
途中式を見やすく残し,間違えた原因を特定し,次に同じ種類の問題が出たときに正解するための道具です。
定期テストや模試で点数が伸びなかった場合,直前の勉強量だけでなく,普段の演習で誤答の原因を分析・記録していなかったことが影響している場合もあります。
そこで当記事では,実際のノート画像を使いながら,主に次のような方法を紹介します。
- 途中式と余白の使い方
- 丸付け後の誤答分析
- 図形の描き方
- 授業の例題と類題の関連付け
- 情報カードによる弱点復習
- 正確さを保ちながら解答時間を短縮する方法
どの方法も,ノートをきれいに見せることではなく,解き直しやすくすることを目的としています。
取り入れやすいものから,普段の学習に加えてみてください。
はじめに
当記事は,スタディサイトが提唱する「学習OS」の基本ルールを数学に当てはめた,ノート作成の実践マニュアルです。
数学全体の勉強法や教材の進め方を先に確認したい方は,以下の記事をお読みください↓
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日常使いできる数学ノートの書き方
ここで,ノートを取る目的を2つ確認しておきます。
- 途中式と考え方を残し,復習しやすくする
- 間違えた原因を見つけ,次のミスを防ぐ
授業内容をノートに書き留めておくのは,復習をしやすくするためです。
また,試験で筋道の通った答案を作れるようにするには,普段のノートでも,計算式を見やすく書くなどの工夫が必要です。
以下で,いくつかの勉強ノートを具体的に見ながら,どのように各目的を達成していくのか確認してみましょう。
余白を空ける
余白を取ることは,あらゆる教科のノートに共通する基本です。
数学では,計算式や問題番号を縦に揃えるだけでも,自然に余白が生まれます。
普段からノートを縦線で区切るなどの決まった方法がなければ,まずは式を縦に揃えることから始めてみてください。
何も意識しないでいると,以下のようなノートを書いてしまうでしょう↓

問題集を解かせると答えだけを書く生徒も過去にいましたが,「ノートがもったいない」「写す時間が無駄」などと考えて,上のように詰めて書くようです。
ですが,これでは見直しや書き込みをするためのスペースがありません。
それに対して,同じ問題を,縦にイコールを揃えて改行して書いてみるとどうなるでしょうか↓

数学ではイコールを縦に揃えて改行するだけで,右側に自然と見直しや書き込み用のスペース(余白)が生まれるレイアウトになります。
もっとも,上のノートはまだ計算を終えたばかりの状態であり,先に示した「詰め込みすぎて余白のないノート」であっても,さほど問題があるようには感じられないかもしれません。
しかし,この後に丸付けを行う際,設けた余白の効果が表れてくることになります。
式変形の流れがわかるように書く
数学ノートでは,答えだけでなく,どのような手順でその答えに至ったのかがわかるように途中式を残します。
基本は,1行につき1つの式変形です。
複数の計算を1行に詰め込むと,間違えた箇所を見つけにくくなるほか,等号で結ばれた左右が本当に等しいのかもわかりにくくなります。
例えば,方程式であれば,
(x-2)(x-3)=0
よって,x=2,3
のように,式変形と結論を分けて書きます。
証明問題や記述問題では,「仮定」「使った定理」「示したいこと」の対応も意識してください。
途中式は採点者に見せるためだけでなく,自分の論理が途中で飛んでいないかを確認するために書くものです。
丸付けを行い余白に書き込む
それでは,実際に丸付けをしてみましょう。
問題を解いたら,時間を空けずにすぐ行うことが重要です。
そして,このときに間違えてしまった問題があれば,その原因を自分なりに分析して,自分の言葉で余白に書き込むようにしてください。
解説をそのまま書き写すのではなく,「なぜ間違えたのか」「次は何を確認するのか」を自分の言葉で残すことで,復習時に同じ失敗を見つけやすくなります。
「注意する箇所が多くて面倒だった」と感じた場合も,そこで終わらず,「符号を変える箇所に印を付ける」など,次回の行動まで書いておきましょう。
なお,原因が計算ミスである場合はすぐにその場で解き直し,自力で正解できることを確認し,先生に指摘された部分があればそれも書き込んでおきましょう。
その場では単なる感想に見える言葉でも,後から読み返すことで,自分がつまずきやすい条件や考え方に気づくことがあります。
以下の例では,やり直しは赤ペンで書き込み,青ペンで丸付けと先生のコメントを書き込んでいます。
自身の気づきは緑色になっている他,先生のコメントは四角で囲んで目立たせています↓

問題と書き込みを行った部分の対応関係が明らかで,すぐ右を見ればわかりますが,余白を取っていなければこのような書き込み自体,行うことはできなかったでしょう。
丸やバツを付けるだけで終えると,同じミスを防ぐための情報がノートに残りません。
一番最後の問題では,筆算が右側に整然と書かれていますが,簡単な計算問題1つ取ってみても,ノートの書き方次第でこれだけの差が生まれます。
単元マップにまとめる
数学の教科書の1つの単元または1章分が終わったら,マインドマップやスパイダー図を使って,それまでに学んだ技法や知識を整理しておきましょう↓
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これは,いずれ来る定期テストの前に総復習する際に役立ちます。
最初は配置に悩むかもしれませんが,何度か作るうちに,情報を分類して整理しやすくなるはずです。
完成形が大きな樹木になるように書いておき,最後に赤やピンクのペンを使ってチェックすることで,仕上がりがまるで満開の桜のように見えて楽しく勉強できるでしょう↓

単元と進捗状況を一覧できるようにしておくと,試験直前でも優先して復習する範囲を決めやすくなります。
間違えた跡を消さずに残す
数学ノートでは,間違えた式を消しゴムできれいに消してしまわず,どこで考え方がずれたのかを残しておきます。
間違えた部分には二重線を引き,その横や余白に正しい式を書きましょう。
消してしまうと,後から見返した際に,
- どの数字を読み違えたのか
- どの式変形で符号を誤ったのか
- どこまで自力で考えられたのか
がわからなくなります。
当サイトでは,誤答の跡を残しやすい方法としてボールペンを使うことがありますが,シャープペンシルでも,間違いを消さずに二重線で訂正すれば同じ目的を達成できます。
大切なのは筆記具の種類ではなく,自分の思考過程と間違いを後から確認できる状態にすることです。
図形問題では,問題の前提となる図をペンで描き,試行錯誤する補助線を鉛筆で重ねる方法もあります。
図は大きく,条件を誤解しないように描く
図形問題では,芸術作品のように美しい図を描く必要はありません。
大切なのは,条件を書き込みやすい大きさで,問題文にない性質を思い込まないように描くことです。
フリーハンドの円が完全な形でなくても,問題を解く上では支障ありません。
ただし,小さすぎる図や極端にゆがんだ図では,角度,長さ,補助線などを書き込みにくくなるため,なるべく大きく描きましょう。
定規を使わなくても必要な図を描けるよう,普段からフリーハンドに慣れておいてください。
さて,数学において学習効果を高める図を描くときのコツは「特別な形に見えない図を描く」ことです。
問題文で二等辺三角形と指定されていないのに,左右対称の図を描くと,「この2辺は等しい」と無意識に思い込む可能性があります。
あえて特別な形に見えない図を描くことは,図の見た目に引きずられず,問題文で与えられた条件に基づいて考えるためのミス防止策です。
それ以外に,ノートの罫線を利用すると,辺の平行関係やおおよその長さの比を意識しながら図を描きやすくなります。
正四面体や立方体を上手に描くことがすごく難しいことを体験しておきましょう。
早速行ってみて欲しいのですが,正四面体ABCDの辺CDの中点をE,頂点Aから底面BCDに下ろした垂線の足をFとし,線分AEと高さAFを書き加えた図を描いてみてください。
以下の画像①に解答例を示しましたが,最初はさまざまな点が重なってしまってうまく書けないはずです↓

続いて,ノートの罫線を利用して正確な比を記載したのが上の②です。
なお,上の③と④は同じ立方体を描いた図ですが,アルファベットを書く位置が異なっているために,中の四面体DLMNの様子が大きく変わってしまっています。
図を書いていて,なんだかイメージしにくい立体になってしまった際は,ラベリングを変えてみるとうまくいくかもしれません。
定期テストや模試に役立つ数学ノートの書き方
ここからは,普段の演習記録を,定期テストや模試の得点につなげる方法を紹介します。
試験前にすべてをやり直そうとすると時間が足りません。
普段のうちに注意点,類題,苦手問題を整理し,必要な箇所だけをすぐ復習できる状態にしておきましょう。
模試や入試で確実に得点を積み重ねるためには,単なる計算用紙としてノートを使い捨てるのではなく,長期的に見直せる資産にすることが重要です。
注意書きをしてから始める
これは最も簡単な方法で,ノートの欄外部分に注意点を書き込んでから始めるというものです。
多くの指示を書き込んでしまうと意識が分散してしまうことに繋がるので,あえて1つに絞って書くことがコツで,なるべく具体的な指示にして書くようにしましょう。
例えば,「ケアレスミスに気を付ける」などとぼんやりとした内容にせず,「マイナスが出てきたときは符号ミスに気を付ける」と書いてみたり「答えが出たら検算する」などと書いたりします。
なお,この方法は実際の試験中も有効で,試験開始後,問題用紙の余白に注意点を1つだけ書いてから開始してください。
これが,自分への「ミス防止の注意喚起(アラート)」になります。
線で区分けして計算する
次に紹介するのは,主に模試の問題用紙に対する書き方ですが,普段であればわざわざノートに線を引いて分割してまで余白を取ることはしません。
というのも,線で区切ると各問題に使える面積が固定され,自由に使える余白が減ってしまうからです(日常用のノートのところで余白について述べた際も,縦に揃えて書くだけに留め,線までは引いていませんでした)。
ところが,テストにおいては別で,線をあえて引いて明確に区分けすることで,どこに自分の計算式があるのかが明確になり,違う問題の数字の見間違いを防止できます。
計算を始める前に,先ほど述べた「注意書き」の方法も取り入れると,問題用紙は最終的に以下のようなレイアウトになります↓

赤矢印が注意点で,黄色の矢印が区分けした線になりますが,このような書き方を,模試でいきなり実践しようと思ってもうまくできません。
前に受けた模試の問題用紙などを使って,あらかじめ本番をシミュレーションしながら練習してみましょう。
授業ノートに類題を関連付ける
対面・オンラインを問わず,授業を受けたら,その内容を覚えているうちに,ワークや問題集にある類題の番号をノートへ記録します。
注意点として,ノートに写し取った解き方をただ眺めているだけでは大した復習になりません。
先ほど紹介したマインドマップもそうですが,特別な準備をしておくのが得策です。
具体的には,授業でやった問題(例題)と似た問題(類題)を,ワークや別の問題集から探して解くようにしてください。
そのときのついでに,それらの類題を関連付けておく(例題の横に,教材名・ページ・問題番号を書いておく)ことで,定期テスト前に不安がある部分だけを素早く解き直すことが可能になるわけです。
授業で教わってから長い時間が経過してしまうと,一体どの部分を参照すればよいのかがわからなくなってしまいます。
ただでさえ,定期テストの前はやることが多く時間が不足しがちなので,あらかじめやるべき問題を書いておくことで,試験直前期の時短に繋がるわけです(黄色矢印で示したところです)↓

なお,この方法は学校の定期テストに限らず,模試のために問題集を解く際にも応用できるので,普段から類題を関連付ける癖をつけておきましょう。
情報カードを作る
情報カードとはB6サイズ程度の厚めの紙で作られたカードのことで,一昔前には「京大式カード」などと呼ばれていました。
数学に限らず多くの教科で活用できるので私は多用していますが,数学の場合,できなかった問題をコピーして表面に貼り,裏面に解き方を書いておくのがよいでしょう。
以下は裏面の様子で,見えていませんがオモテ面には問題が貼ってあります↓

このときも,どこから取ってきた問題なのか,出典を記録しておくことが重要です(上だと「中3教科書223ページ」というところです)。
ただし,同じような類題をカード化して枚数を増やすのは得策ではありません。
被りがないよう,その単元の典型的な問題を厳選して作るのがコツです。
上の情報カードを生徒に作ってもらったときの余談ですが,ボールペンで書いていたおかげで,漢字の勉強にもなりました。
できあがるのは自分の苦手だけを集めたカードばかりですので,これらを普段から作ってストックしておくと,定期テストや模試を受ける前に,試験範囲の情報カードをシャッフルしてランダムに解くことにより,苦手な問題に絞って効率よく総復習できます。
試験前には情報カードを確認し,「まだ自信を持って解けない」と感じた問題だけ,実際に手を動かして解きましょう。
すべてを解き直す必要がないため,試験直前の時間を有効に使えます。
作成した情報カードは,パンチで穴を開けるなどしてまとめておきましょう↓

正確さを保ちながら解答時間を短縮する
計算や典型問題を一通り学び終えたら,時間を測って解く練習も取り入れます。
ただし,最初から極端に短い制限時間を設定すると,途中式が雑になり,かえって計算ミスが増えることがあります。
まずは通常通りに解き,かかった時間と正答率を記録してください。
学校で配られるドリルであれば制限時間が書いてあるものも少なくないので,それを利用しても構いません↓

その後,次の順番で目標時間を短くします。
- 最初にかかった時間を基準として記録する
- 間違えた原因や時間がかかった箇所を分析する
- 次は基準時間の90%程度を1つの目安にする
- 正確に解けたら,80%程度を目安にさらに短縮する
- 正答率が下がった場合は,制限時間を元に戻す
速さよりも,正確さを維持したまま時間を縮めることが重要です。
頭の中で確実に処理できる単純な計算まで,すべて途中式として書く必要はありません。
一方,符号,場合分け,分数計算など,ミスが起きやすい部分は省略せずに残します。
同じ問題を何度も解くと答え自体を覚えてしまうため,2~3回取り組んだ後は,同じ単元の類題を使って本当に速くなったかを確認しましょう。
まとめ
数学ノートで大切なのは,答えをきれいに並べることではなく,途中式と間違えた原因を後から確認できる状態にすることです。
今回紹介した方法をまとめると,次のようになります。
- 式や問題番号を縦に揃え,書き込み用の余白を残す
- 丸付けは時間を空けずに行い,誤答原因と次回の対策を書く
- 間違えた式を消さず,思考過程を残す
- 図は大きく描き,問題文にない性質を思い込まない
- 授業の例題と問題集の類題を関連付ける
- 典型問題や苦手問題を情報カードに整理する
- 正確さを保ちながら,少しずつ解答時間を短縮する
すべてを一度に始める必要はありません。
まずは,途中式を縦に揃えること,問題と問題の間を1行空けること,間違えた原因を余白に一言書くことから始めてみてください。
数学ノートは,できなかった問題を隠す場所ではなく,できるようになるまでの過程を残す場所です。
普段の演習記録が整っていれば,定期テストや模試の前には,苦手な問題だけを効率よく解き直せるようになります。
今回紹介した方法の中から,自分の学習状況に合うものを選び,毎日の数学学習に取り入れてみてください。


