学習指導要領

プログラミング教育必修化の狙いとは?

2020年度から小学校においてプログラミング教育が必修化されます。

とはいえ,高度なプログラムを組む(パソコンで難しい英数字を打ち込む)ような内容ではなく,予めほとんど出来上がっている簡単な命令を並べる(右に〇歩動いて左に〇度曲がるといった)ことをそのように呼んでいるだけのことにすぎませんので,必要以上に身構えないことが大切です。

今回は,どのような経緯で小学校にプログラミング教育が導入されることになったのか,また,授業を通してどのような能力の育成が期待され,小学生の親の立場としては一体どのような対策ができるのか考えてみましょう。

 

 

プログラミング必修化の理由

FirmBee / Pixabay

まず最初に,どうして小学校の段階からプログラミング教育が必修化になったのか考えてみましょう。

Society5.0に代表される今後の社会では,コンピュータを上手に利用することはますます必須のスキルとなり,その教育は早くからする方がよいわけです。

もっとも諸外国においてはすでに初等教育からのプログラミングが取り入れられており,今回の動きが特殊なわけではありません。

もっと言えば国内においても中学高校ではすでに必修となっていますので,これまで中高で教えていたものを小学生の段階で教え,今後につながる教育を早期に施そうという,英語のときと大体同じ流れだと考えましょう。

そうすることで,中高での授業内容も,これまで以上に充実したものにできるというわけです。

 

新学習指導要領においては『言語能力』というのが「学習の基盤となる資質・能力」の1つとみなされており,当サイトにおいても,読む力の重要性についての記事などで書いてきましたが,それ以外に『情報活用能力』というのも必須能力の1つとして考えられるようになりました。

そして,この情報活用能力の育成に有効なのが,プログラミング教育だというわけです。

さて,この情報活用能力には以下の3つの能力が含まれます。

  1. 思考力・判断力・表現力
  2. 知識や技能
  3. 学びに向かう力・人間性

1に挙げた3つの力はまとめて『プログラミング的思考』と呼ばれ,要は「自分がやりたいことを実現するには,どういった動きを組み合わせればよいのか」について論理的に考えていく能力のことです。

例えば「ロボットが歩く」という単純な動きを考えてみても,それを命令するとなれば,

片足を上げる→その足を前に踏み出す→重心を前にずらす→残った方の足を上げる→・・・

などと小さな動きの連続に分けて,それらをすべて指令という形でプログラミングしなければ,ロボットは歩くことができません。

もちろん,どういった動きをどういった順序で行えばよいのかも考える必要がありますし,前提として自分がロボットに何をさせたいかという意図を明確にすることも必要です。

より具体的かつ効率的な動作を考え,実際に試行して判明した失敗点をもとに改良を加えていくというのは,あらゆる人間活動に役立つ大切な能力でしょう↓↓

プログラミング的思考とは

 

次に,上の2と3で挙げた能力については,

「コンピューターを身近に感じ,問題解決には一連の手順が必要であることを知り,培った能力をよりよい人生や社会のために役立ててもらう」

ことを目標としています。

あくまで,中学・高校でのプログラミング教育を円滑に進めるための準備段階だということですので,ささいな気づきであっても十分目標の1つになりえるわけですね↓↓

 

さて,こういったプログラミング教育で扱うものとしては身近なテーマが望ましく,国語や算数,総合学習で扱う単元のものであれば各教科の理解も深まって一石二鳥ですよね。

例えばモーターを取り上げて,その仕組みについてプログラミング教育を行えば,それは理科の学習にも兼ねますし,三角形や六角形をプログラミングを利用して書く目的であれば,それは算数の授業の一環になるでしょう↓↓

正三角形だからといって何が何でも60度と考えていると,補角(この場合120度)の存在に気づけません。

このように,プログラミング教育を通して既存教科をより深く学ぶことになるのも必修化の目的です(教育課程外の学習であっても児童の興味・関心を惹起するので望ましいとされています)。

 

 

必修化するにあたっての注意点

kabaldesch0 / Pixabay

さて,プログラミング教育必修化を成功させるには,しっかりとした環境が整備されることが必要です。

それはずばり,

  1. もの
  2. こと

の3つ。

まず1つ目の「人」についてですが,現在の教師たちは,プログラミング教育を受けた経験がない方も多く,どのように学生に教えたらいいのかわからないということです。

そのため先導してプログラミングを教えられる,ICTに明るい教員を育てたり,知識を増やすために教師の勉強会が催されたり,またはプロの支援員を別に確保するといったなどの対策が取られることには注意しましょう。

もしも自分を指導する教師の能力に疑問を持つようであれば(子供は正直です),自分たちで別にプログラミング教育を施す必要があります。

 

2つ目の「もの」レベルでの注意点としては,ICT環境が充実しているかどうかです。

教育現場でのICT環境の現状

電子黒板や無線LANが校内で使えるように予算を計上することはもちろん,せめて授業中はタブレットを1人1台使えるように整備するのも,今後当然のこととしなければなりません。

 

最後は「こと」についてです。

プログラミング教育を実践して初めて,反省点や良かった点がみえてくることも多いかと思いますが,そういった実施例のデータを学内はもちろん,学校間においても共有する必要があります。

現在,小学校を中心としたプログラミング教育ポータルというHPで,そういった事例に関する情報を共有しているので,興味がある方はアクセスして,小学校でどのような授業が行われることになるのか具体的に確認してみてください。

 

 

家庭でできるプログラミング教育

khamkhor / Pixabay

先ほど,教師のプログラミングに関する知識を増やす対策が行われていると言いましたが,

「さぁ,まずは教師の我々がプログラミングを体験してみましょう!」

「どうです?思ったより難しくないでしょう」

的なレベルです。

そこでプログラミングの奥深さに気づき「自分の授業でこのようにやったらうまくいきそうだ」と妙案が浮かぶような教師であれば,生徒たちは実りある経験を積めることとなりましょう。

しかしそうならない先生もいるはずですし,独自性の強いアイディアを実際の授業で実践するというのはただでさえ失敗のリスクと隣り合わせになるわけですから,そうおいそれと実行できるものでもありません

そうなると,上手くいくことが予めわかっているものを慎重にただ遂行していくだけの授業になりかねません。

しかし子どもは誰しも飽きっぽいですからね!

すぐに限界はきてしまいます。

加えて,子どもは意外なほどに教師のことをよく観察していますから,教師が楽しんでプログラミング授業を行えなければ,子どもの「楽しい!面白い!できた!」という感情や「もっと学びたい」という意欲を引き出すなんて土台無理な話でしょう。

教員自体が楽しいと思える領域に落とし込んでプログラミング教育が実践されているかどうかをしっかり確認することが必要です↓↓

 

さらに,プログラミング教育が始まったばかりの段階であれば,少なからず現場は混乱することになります。

そういった背景をふまえると,保護者目線でも「自分の子どもが満足に論理的な思考力を身に付けられそうにない」と判断できるような場合は,どこかプログラミング教育を学べるサービスを利用することが必要です。

多くはありませんが,以下のような教室も登場してきました↓↓

ヒューマンアカデミーこどもプログラミング教室

 

また,プログラミングに限らず,英語の必修化などによる影響で,従来の勉強においてはスケジュール的に可能だった知識の獲得が時間的に厳しくなっている現状を踏まえると,2020年の教育改革では各自が家で勉強する時間がより増えることが予想されます。

そのためには,これまで敬遠していた方も多かった通信教育なども積極的に利用し,どんな時間帯であっても,またはスキマ時間があればちょこちょこと勉強時間を生み出しながら効率良く学習していく工夫が必要になってくることでしょう。

プログラミングと言えばこの一冊↓↓

Rubyの冒険

 

通信教育でレゴを用いたものも,Z会から新しく開講しています↓↓

Z会プログラミング講座

 

 

まとめ

everton_ribas / Pixabay

近い将来,AIに職業を奪われてしまう時代は確実に訪れるでしょうが,そんな時代だからこそ逆に,人にしかできないことが,より重要視されるようになってくるはずです。

そんな時代で生き残るためには,コンピューターの仕組みを知り,AIは何が得意で何が得意でないのかを理解していることが必要で,「社会が今,何を必要としているのか」という『気づき』を可能にするプログラミング教育がその重要性を増しています

そもそもあらゆるコンピューターの行動は,どこかの誰か(人間)がプログラミングして制御しているわけですから,AIを利用できるところは積極的に利用し,創造性が必要な部分だけを人間が行っていく態度でいることが必要です。

もちろんこんなことを小学生は考えて生活するわけではないのですが,今後の社会を担う子供たちを導いてやるために教育が担っている責任は大きいと思います。

未来を見通せる我々大人たちが子どものために何ができるか考えるためにも,教育改革の進歩状況には今後も注意していきましょう!

※最新の情報については文部科学省のHPを参考にしてください。

  • この記事を書いた人

スタディサイト管理人

都内で塾運営にかかわってから,講師歴も15年以上になりました。小学生から高校生まで,英数を中心に学校の定期テストから大学入試まで幅広く教えています。最近の関心事は「教育改革」で,塾に入ってくる情報に加え,セミナーや書籍,信頼のおける教育機関より得た情報をまとめています。すぐに実践できる勉強法やオンライン教育サービスを利用した学習戦略も意欲的に掲載。ネットを介したやり取りにはなりますが,少しでもみなさまのお役に立てたらと思います。

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