当記事では「高校3年生が大学入試に挑むまでの年間スケジュール」についてまとめています。
具体的には,総合型・学校推薦型・般選抜の3つの試験に対して,どれくらいの時期から出願や対策を始めればよいのかみていきましょう!
同時に,各種選抜試験の形態についても理解が深められますので,高校1~2年生の方も是非参考にしてください!
大学入試における年間スケジュール
資格・検定や内申点など,調査書の内容を上げるための活動は高校3年生になる前から行うことも十分考えられますが,一般選抜(一般的に想像する普通の入試)の動き出しだけに限れば,夏が終わってからが本番です。
以下に【令和7年度(2024年4月~2025年3月)】の日程を示したので,早速確認してください↓
月 | 出来事 |
6 | 5日:個別学力検査の実施科目や入試方法の発表開始 |
7 | |
8 | |
9 | 1日:総合型選抜の出願受付が解禁 |
10 | |
11 | 1日:総合型選抜の合格発表または学校推薦型選抜の出願の開始 |
12 | 1日:学校推薦型選抜の合格発表解禁 |
1 | 18~19日:共通テスト本試験 25~26日:共通テスト追試験 |
2 | 1日:私立大学個別入試開始 25日頃:国公立大学前期試験 |
3 | 8日頃:公立大学中期試験 12日頃:国公立大学後期試験 25日:入学試験の期限 31日:合格発表の期限 |

想像していた内容と相違なかったでしょうか。
今年度の大きな変化と呼べるものとしては,追試験と本試験の間が1週間に短縮したくらいです。
一応,簡単に触れておきますが,試験科目や入試方法は6月中旬から7月末の間に発表となり,各大学の募集要項は12月15日までに発表されます。
総合型選抜(自らが推薦するもの)や学校推薦型選抜(学校に推薦してもらう)は一般選抜よりも早く行われる場合が多いですが,大学側が学力検査(口頭試問や実技などは除く)を課す場合には,一般選抜と同じ,翌年の2月1日から3月25日の間に行わなければなりません。
学校推薦型で落選となった場合には一般選抜に移行すると思いますが,前者の合否は「共通テストの前日までかつ一般選抜の10日前までには発表すること」が決まっているので,結果を見てからその後どうするかを判断することが可能です。
また,合格後に入学辞退をする場合,年度末(3月31日)までに意思表示をすることで授業料や諸会費が返還されることとされています。
それでは以下で,これら入試方法の日程以外の点について説明を加えていきましょう!
なお,まとめた内容の基となった要項については文科省のHPから閲覧することが可能です。
大学入試の基礎知識
個別学力検査だけで決まると思われがちな一般選抜ですが,国の実施要項によれば,調査書・小論文・エッセイ・面接・集団討論・プレゼンテーション・各種大会での表彰記録や探究活動の成果などから,多面的かつ総合的に評価・判定することとされています。

ゆえに,「学校の勉強は適当でいいや」などと蔑ろにせず,貴重な協働活動の場と見なして振る舞ったり,人間観察の場だと思ってできるだけ真剣かつ積極的に取り組むようにしてください。
実際,学力は複数の要素から構成されるというのが共通認識です↓
学力を構成する3要素
知識・技能=受験勉強で得られる純粋な知識
思考力・判断力・表現力=課題発見や解決能力に加え,成果を発表する力
主体的かつ他者と協働する態度=小学校のお受験でも問われる初期能力
そのため,高校を卒業するギリギリになってようやく詰め込み勉強を開始したところで,せいぜい伸ばせるのは1つ目の知識・技能だけだったりします。
そもそも,提出を求められる調査書には高校1年生の段階から記載欄が設けられているわけで,最高学年になってから頑張ったところで,失った時間を取り戻すことはできません↓
逆に,高1生が調査書の項目を早めに分析して,ボランティアや留学経験,または特定の分野において秀でた能力があることを示すように振る舞うことができれば,大学入試で有利に働くでしょう。
数ある資格・検定の中でも,実用英語技能検定(英検)やTOEFLの他,国際科学オリンピック(理数系能力の証明)や国際バカロレア(主体的に学び考える力の証明になる)は,大学入学者選抜実施要領内において名指しされています。
小論や面接,討論,実技の試験では,採点官の間で評価や判定がぶれたりしないよう,マニュアルを整備することになっているため,上記資格・検定のような客観的な判断材料を持っていることは確かな強みです。
ところで,最近は入学定員に注目が集まっており,その数を著しく超えて入学させないことが徹底されるようになった結果,合格者の人数が以前よりもずっと少なくなっています。
MARCHや日東駒専といった名のある大学の偏差値を以前のものと比較すると,急激に上がっていて驚かされることも多いです。
ところで,志望する大学の募集要項に書かれているアドミッションポリシーをよく読んでおくことで,高校を卒業するまでの間に何をどの程度学んでおけばよいのかだったり,どのような基準方法でもって評価・判定されるのかがわかります。
例えば以下は慶應義塾大学文学部のものですが,読むことで目標がより明確になったように感じられるはずです↓
受験するまでに時間的な余裕があり,志望校がすでに決まっている方や面接試験に臨む方は絶対に目を通しておきましょう!
総合型選抜について
「総合型選抜」とは,詳細な書類審査と丁寧な面接を組み合わせて,志願者の能力・適性や学習意欲や目的意識を総合的に評価・判定する選抜方法です。
誰でも出願できる公募制なので,学校ではなく本人自らが記載する活動報告書や希望理由書,学習計画書などが積極的に活用されることになります。
「詳細な審査を行う」と宣言されているだけあって,活動報告書だけとってみても以下のような内容を十分に記載できる欄が設けられているわけです↓
- 学内での活動内容(総合的な学習の時間や部活動,生徒活動などで取り組んだ課題研究)
- 学外の活動内容(ボランティアや大会・コンクール,留学・海外経験など)
- 課題研究などに関する活動(課題テーマを選んだ理由や概要・成果)
- 資格検定などに関する活動
高度な専門知識が必要になる職業分野に関わる大学は意欲や適性を特に重視する傾向にありますが,一般的に提出することになる活動報告書は以下のような形式になっています↓
上のような用紙を埋められる生き方をしていると,入社試験の際にも大いに役立つため,始めもしないうちから敬遠して,「自分には関係ないことだ」などと無視することのないようにしてください。
なお,大学側は本人からの報告を基に判断せず,あくまで客観的に本人の実力を測らなければならないため,別で何らかの試験(面接や小論文)を課したり,共通テストの成績を提出させたりします。
例えば,千葉大学の教育学部では共通テストがほぼ全てのコースで必須とされていました↓

以下の記事で述べたように,いまや私立大学の半数以上が総合型選抜や学校推薦型選抜を採用しているため,先述した入社試験のことも踏まえて,積極的に利用するようにしてください↓
学校推薦型選抜について
学校推薦型選抜はその名の通り,自分が通う高校の学校長の推薦に基づいて,調査書を主な資料とする選抜方法です。
大学がこの制度を利用して募集をかける場合,「人員は定員の5割を超えない範囲まで」とされてはいるものの,結構な人数が合格しているように感じられるのですが,総合型選抜のときと同様,実力を証明する資格・検定試験の成績やテストが課されることになります。
ただし,評定で決まる学習成績概評の高さが大きく物を言うところは昔と変わっていません↓
基本的には,この評価が高い生徒ほど良い大学を選ぶことができます。
とはいえ,現実は同級生との高度な情報戦が繰り広げられることも少なくなく,夏休みの前後で相手が話している内容が異なる(「私はこの大学は受けないよ」という発言が覆される)など,人間の嫌な面を目にする場面に出くわすことがあるかもしれません。
特に私立の中高一貫校で多いのですが,私の生徒で実際にあった話をすると,2人の生徒が同じ評定になったときに,学校側はどちらか1人を選ばなければならないわけです。
その際の判断基準はブラックボックスとなっていて,私の生徒は選出されなかったわけですが,生徒会長も務めていたし資格もいくつか保有していたにもかかわらずの落選だったので,個人的には一般選抜の方で受かりそうな生徒をあえて落としている気がしてモヤモヤしました。

学校推薦型は一般選抜よりも早く合格が決まることになるため,合格者のその後の高校生活は,大学入学に向けた学習計画や実際の取り組み状況を高校を通じて大学に報告することに費やされることになります。
とはいえ,もう合格が決まっていますから当人たちはのんきなもので,この記事を今読まれている方は,一般選抜に向かって努力しているクラスメイトの横で,旅行や免許合宿のパンフレットを広げて騒ぐことのないようにしてください。
逆に,残念ながら不合格になってしまった場合は,投げやりな気分になることなく,一般選抜の突破に向けて全力を注ぐようにしましょう。

一般選抜について
一般選抜と言っても,合否を決めるための試験には2種類があります。
具体的には共通テストと個別学力検査になりますが,両者が分けられているということは,同じ内容が問われることは基本ないわけです。
特に前者においては,どの大学を受けようとも誰もが同じ問題を解くことになるわけですから,どの科目をどのような配点で成績に反映するかという点(いわゆる「評価方法」と「重みづけ」)に,各大学の特色が表れてくることになります。
共通テストに関しては以下の記事を参照してください↓
一方,後者の個別調査に関しては,今や大変多くの選抜方式が乱立し,どの方式を選択するかによって結果が大きく変わってしまうことになるため,自分の強みが生かされて弱みが表に出てこない方式を選んで受けるようにしましょう。

なお,以下は過去に行われた明治大学の選抜方式の一部ですが,同じ学部であってもどの科目を使うかであったり,併願を踏まえた戦略を練ったりする必要がありました↓
また,千葉大のように,一定の点数以上を取ればそれ以上の点差は不問とする「足切り形式」の入試方法も増えてきました。
コロナ禍のときを振り返ってみると,一般選抜に必要な科目数や出題範囲を減らすなどの工夫がみられましたが,特に印象的だったのは,個別学力検査を実施せず,共通テストの試験と推薦書だけをもとに一般選抜を行った横国大のようなケースがあったことでしょう↓
再びコロナのような大惨事に見舞われる可能性については考えたくもないですが,これからの時代は,たとえ私大が本命であっても共通テストの受験が必須のように思われます。
共通テストでしか使わない科目を勉強することは,決して時間の無駄ではありません。
純粋に合格のチャンスが増えると,前向きに捉えるようにしてください。
なお,各大学は個別学力検査の問題や解答を公表し,成績や入試データの開示も可能な限り行わなければなりません。
そこで得られる情報を分析して,自分の将来のかじ取りができる能力というのが,ある意味,令和時代の受験生に最も求められる能力なのだと思っています。
さいごに
以上,大学入試のスケジュールと各選抜試験についてまとめてきました。
スケジュールは毎年夏前に発表され,大きな変更はありません。
また,専門学科・総合学科卒業生選抜や帰国生徒選抜に社会人選抜など,今回紹介しなかった方式も存在する現代の大学入試だけに,最初から一般選抜だけに絞ることなく,普段から学校の勉強をしっかり行い,総合型選抜や学校推薦型選抜も視野に入れるようにしてください。
一般選抜の形式自体も一昔前と比べ,圧倒的に多種多様化しました。
自分の実力について客観的に判断することは難しいですが,どのテストをどの方式で受けるのが最善であるかを一番真剣に考えられるのは外ならぬ自分自身です。
後になって,「あのときの自分の行動は間違っていたな」と思うかもしれませんが,当時の自分は当時の自分ができる最善の判断をしたと信じて疑わないようにしてください(未来の自分の判断は,あくまで過去の自分の行動(成長)を踏まえて行っているものなのでフェアではありません)。
自己分析の正確性と長期計画を立てて実行できるタイムマネジメント能力が求められるのが,令和時代の大学入試です。
今できる最善を考えながら,是非頑張ってください。
陰ながら応援しています。