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いまどきの高校生の進路と勉強時間の目安

今回は,いまどきの高校生にまつわる勉強事情から「進路や毎日の勉強時間の目安」について,最新の調査結果をみていきたいと思います。

いわゆる「普通」の高校生が,どのような悩みを抱えながら学校生活を送っているのかを確認し,肝心な自分自身の生活を見直すためのヒントにしていただけたら幸いです。

21世紀出世児縦断調査について

第16回21世紀出生児縦断調査の表紙

今回の記事ですが,文部科学省と厚生労働省が協力して行った「21世紀出生児縦断調査」の調査結果の一部をまとめたものとなり,当記事のデータや引用は下記ページで公表されているものを参考にしています↓

調査の概要は以下の通りです↓

  • 調査目的:学校教育から就業に至るまでの約10年間,毎年調査し,教育に関する国の諸施策を検討・立案するための基礎資料を得る
  • 対象:2001年生まれの子ども
  • 参考にした調査:第16~18回(2017~2019年実施分)

各回の調査内容は多少異なりますが,現在の状況や悩みについて聞かれるもので,教育に関する質問が多めとなります。

次章以降では,上記調査の結果から「高校生の勉強事情」に関する内容を抜き出してまとめていくことにしましょう!

 

 

いまどきの高校生が考える良い高校とは

いまどきの高校生が進学する高校を選んだ理由

まず最初に,進学先の高校に対する満足度を分析することで,いまどきの高校生にとって「良い高校」とはいかなるものかを学んでみることにします。

そもそも彼らは一体,どのような基準で高校を選んだのでしょうか。

男女合わせたときのベスト3は以下のようになっています↓

  • 自宅から通いやすい
  • 学校の雰囲気が良い
  • 高校受験で合格する可能性が高い

男子はこれに部活動が加わり,女子は大学への進学率を考慮するとの結果です。

まとめると,いまどきの高校生が学校に期待していることは,「総合的に良い高校であること」であり,通学に時間を取られることなく楽しく学校生活を送りたいというのが本音でしょう。

なお,合格判定を重視し,敢えて冒険をせずに無難な高校に進学しようとするところに,ややいまどきな感じを受けます。

現代は学校外で簡単に学べてしまう時代であり,参考書や問題集が充実していることはもちろん,インターネットやスマホアプリを活用すれば,独学であっても高いレベルの教育が受けられてしまうわけです。

となると,高校のカリキュラムに頼って学力を伸ばしてもらう必要性は薄まるわけで,より自由な時間が生まれやすく居心地の良い高校を選択しようとするのは,大変理に適っているように見受けられます。

私の塾に来る生徒をみていると,最近は私立高校を敬遠して学費が安い公立高校を志望する生徒が増えており,彼らは実力よりもやや下の学校に納得して入る傾向が強いように感じました。

ところで,実際に入学してみて,それでもなお「良い学校だなぁ」と感じ続けるためには,以下の条件が満たされている必要があるそうです↓

  • 学習内容が就きたい仕事に関係している
  • 学校の雰囲気が良い
  • 授業内容が魅力的である

これら3つは男女ともに上位に来ています。

確かに学校に過剰な期待はしなくても,自分の将来に役に立たないことをしたいとは思わないわけで,入学前に抱いていたイメージが崩れないことは重要でしょう。

次章以降は,進路についてだったり,学校で一番多くの時間を費やすことになる授業内容だったりをみていくことにします。

 

 

いまどきの高校生の進路について

いまどきの女子高生の悩みや不安を示したグラフ

いまどきの高校生が抱える悩みのトップは「進路」と「学校や塾の成績」に関することの2つです。

管理人
管理人
深掘りはしませんが,中学生以降,自分の容姿に関する悩みが増加する傾向にあり,女子だとさらに友達関係がそれに加わります。

まずは進路についてみていきましょう!

就きたい職業が1年生の段階ですでに決まっている高校生は「男子35.4%・女子48.5%」ということで,男子では3人に1人,女子は2人に1人が将来どんな仕事に就きたいのかをすでに決めていて,先ほど,女子は大学進学も視野に入れて高校を選ぶ人が多いと述べたばかりです。

高3生ともなると「男子55.7%・女子67.3%」のように意識が高まるデータも得られたので,年々なんとなく将来像が描けるように育っていくことがわかります。

希望する職業で最も人気なのは,男女ともに「専門職・技術職」ということでした。

1つの分野を極めると希少価値が増し,オンリーワンの人材として重宝されるので,キャリアは安定しやすく将来性があります。

なお,大学や専門学校に進学するかどうかについては,多くの高校生がすでに高1の段階で決めていて,この割合は3年生になっても大きく変わることがなく,結果として以下のようになりました↓

  • 男子:51.1%が大卒から,18.1%が高卒から就職を希望
  • 女子:53.9%が大卒から,11.4%が高卒から就職を希望

具体的な就職先は決められずとも,方向性さえ定めておいて,後は大学に入ってから決めるという態度でいることが見えてきます。

これは何も特殊な考え方ではなく,東大でも2年生まではリベラルアーツ教育で,特に進学先を狭めません。

なお,女子で特に多かった希望先は専門学校(18.4%)と短大または高専(6.9%)でした。

進学は入学時こそ男子は理系,女子は文系の傾向が多少みられましたが,高3になってからの調査ではベスト5は以下のようになり,総じて文系人気の高さがうかがえます↓

  • 男子:社会科学,工学,人文科学,保健,教育
  • 女子:社会科学,保健,人文科学,教育,国際関係

進学を希望する理由としては「勉強してみたい分野が見つかった」や「職業に必要な資格を取りたい」が上位に来ていました。

管理人
管理人
学びたいから(知りたいから)がかろうじて1位をキープしていましたが,これこそ大学で行う学問の本質です。資格を取るなどの専門性の向上が目的であれば,大学ではなく専門学校で学べばよいと個人的には思います。

保留していたもう1つの悩みである「成績」に関しては,次章で勉強時間を中心にみていくことにしましょう。

 

 

いまどきの高校生の勉強時間の目安は

いまどきの高校生の授業内容に関するアンケート結果

高校生活の満足度を大きく左右するのが学校での授業内容です。

上の図は16歳の高校生(16回調査)が中学1年生だったとき(13回調査)からの,学校の授業に対する満足度の移り変わりを比較できるようにしたものですが,結果をみると,以下の項目すべてにおいて,高校入学後が一番満足度の点で低くなってしまっていました

  • ためになると思える授業がたくさんある
  • 楽しいと思える授業がたくさんある
  • 学校の勉強は将来役に立つと思う
  • 授業の内容をよく理解できている

これについて理解するには,勉強は基本的に積み重ねであることを思い出す必要があります。

一旦落ちこぼれてしまうと集団授業では個別フォローができません。

今は個別最適化学習が行われていますが,出来ない人は同じ内容を学ぶのにより時間がかかることになるので,上位陣との差は拡大するばかりです。

以下の記事では,英語という教科を材料に考えてみましたが,高校内容は中学の時よりもさらに習得が困難になるところが問題でした↓

そうなると,現状を打破するためには学校以外の勉強が必要になるわけですが,現実は中学1年生のときよりも勉強しなくなってしまうようです(左に行くほど勉強時間が少ないです)↓

中学から高校にかけての勉強時間の変化を示したグラフ

高校1年生の勉強時間のトップ3をまとめると,

  • 平日:1時間未満(29.3%)>2時間未満(27.7%)>0分(25.4%)
  • 休日:0分(26.3%)>1時間未満(23.1%)>2時間未満(21.4%)

となっています。

平日は宿題が出るので,勉強時間が0分の生徒は少ないですが,勉強に最も多くの時間を割けるであろう休日に1分も勉強できないようでは,学力の伸びは期待できません。

高校受験で燃え尽きてしまった生徒もいるのでしょうが,部活動や遊び(友達とのコミュニケーションも含む)をさせてほしいというのが本音でしょう。

無理やり塾に通うことも考えられますが,時間が合わなかったり,疲れと眠気で勉強どころじゃなかったりする生徒も多いはずです。

これは周りの大人というか,今の社会がそうさせているのかもしれません。

休日は休むためにあるという考え方が主流になっています。

管理人
管理人
とはいえ,もしも学ぶのが楽しい教科があれば,勉強が「積極的休養(精神的な休養)」のようになるため,必ずしも勉強が苦行であるとは限りません。

しかし,大学受験を意識する高校3年生ともなると,休日の勉強時間は顕著に増え,3時間勉強する生徒の割合が36.4%(過去最大)になりました。

大学進学を希望する人の26.7%は,6時間以上勉強しています。

その一方で,進路がそれ以外の人は「勉強時間が0分」という回答がこれまた最大の30.3%となっており,どうやら二極化するようです。

 

 

まとめ

高校生の男女の写真

以上,最近の高校生の勉強事情について,文科省と厚生省が共同で行ってきた調査結果をみてきました。

今回の記事内容をまとめると,いまどきの高校生は,オープンキャンパスで雰囲気が良かったり,自分の成績や内申点,または家庭の経済事情を考慮した上で,受かりやすく通いやすい学校を選ぶ傾向にあります

実際に入学してからは,就きたい仕事に授業内容が関連しているか,授業内容が魅力的である高校の方が,生徒の満足度を高められるようです。

複雑化する高校の授業についていくためには日々の学習が大切ですが,学習へのモチベーションは下がってしまうのが現状で,勉強時間が0分だったり,中1のときよりも少なかったりする高校生が多かったのは残念でした(これに関しては教師側の問題もあるので生徒だけの責任ではありませんが)。

とはいえ,勉強時間としては,平日に1時間でも勉強すれば上位半分に入るわけで,もし仮に2時間でも勉強できればその割合は20%です。

休日においても,2時間以上勉強すれば上位3割に入れることから,当記事をお読みの方で勉強時間が少ないことに心当たりがある方は

  • 平日は1時間
  • 休日は2時間

をひとまず目指して頑張っていただけたらと思います。

もちろん,大学受験生となれば嫌でも勉強するようになりますが,休日になると結構な数が6時間以上勉強することになるので,いざ高3から受験勉強を開始してもライバルと勉強時間で差をつけることは難しくなるわけです。

ならば,高校1年生の時から少しずつでも勉強しておくべきで,習慣として身に付けてしまえば猛勉強も苦ではなくなりますし,学校の授業に遅れずについていけると「授業がわかって楽しい!」と感じられる可能性が高まります。

高校生活は将来を決め得るものになりがちで,自分が好きな分野があればそれに時間を注ぐようにし,特に進路がはっきりしていない人ほど普段から勉強しておくことで,高3になったときの選択肢が広がるでしょう。

是非とも,自分の色々な可能性を広げるように行動してください!

最後までお読みいただきありがとうございました。

  • この記事を書いた人
学校の教室

スタディサイトの管理人

通信教育の添削や採点業務に加え,塾や家庭教師を含めた指導歴は20年以上になります。東大で修士号を取得したのはずっと昔のことですが,教授から数年に一度の秀才と評してもらったことは今でも心の支えです。小学生から高校生にまで通じる勉強法を考案しつつ,気に入っているスタディサプリのユーザー歴は7年を超えました。オンラインでのやり取りにはなりますが,少しでもみなさまのお役に立てれば幸いです。

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