今回は,高校生段階の調査データをもとに,「進路や毎日の勉強時間の目安」について整理していきます。
なお,この記事で扱うのは「21世紀出生児縦断調査」のうち,高校生段階にあたる第16〜18回調査の結果です。
同調査自体は現在も継続されていますが,対象者は2001年生まれの同一集団であるため,最新回ではすでに高校生ではありません。
いわゆる「普通」の高校生が,どのような悩みを抱えながら学校生活を送っているのかを確認し,肝心な自分自身の生活を見直すためのヒントにしていただけたら幸いです。
高校生の勉強時間を考えるための調査データ

今回の記事ですが,文部科学省と厚生労働省が協力して行った「21世紀出生児縦断調査」の調査結果の一部をまとめたものとなり,当記事のデータや引用は該当ページで公表されているものを参考にしています。
調査の概要は以下の通りです↓

- 調査目的:学校教育から就業に至るまでの約10年間,毎年調査し,教育に関する国の諸施策を検討・立案するための基礎資料を得る
- 対象:2001年生まれの子ども
- 参考にした調査:第16~18回(2017~2019年実施分)
- 対象時期:第16回が16歳(高校1年生相当),第17回が17歳(高校2年生相当),第18回が18歳(高校3年生相当)
各回の調査内容は多少異なりますが,現在の状況や悩みについて聞かれるもので,教育に関する質問が多めとなっています。
次章以降では,上記調査の結果から「高校生の勉強事情」に関する内容を抜き出してまとめていくことにしましょう。
高校生の平日の勉強時間の目安
高校生になると,学習内容が中学時代よりも難しくなり,授業の進度も早くなります。
そのため,毎日の勉強時間の確保が重要になりますが,実際の高校生はどれくらい勉強しているのでしょうか。
調査結果から高校1年生の平日の勉強時間をまとめると,以下のようになります↓
- 1位:1時間未満(29.3%)
- 2位:2時間未満(27.7%)
- 3位:0分(25.4%)
平日は学校から宿題が出ることも多いため,勉強時間が0分という生徒の割合は一番ではありません。
しかし,全体を見ると半数以上の生徒が平日に1時間も勉強していない(0分〜1時間未満)ことがわかります。
高校生の休日の勉強時間の目安
続いて,学校の授業がなく,まとまった時間を確保しやすい「休日」の勉強時間を見てみましょう。
同じく高校1年生の休日の勉強時間のトップ3は以下の通りです↓
- 1位:0分(26.3%)
- 2位:1時間未満(23.1%)
- 3位:2時間未満(21.4%)
休日は,「1分も勉強しない(0分)」と答えた生徒が最も多い結果になりました。
平日に比べて時間があるにもかかわらず,約半数の生徒が休日に1時間も机に向かっていないことになります。
高校受験で燃え尽きてしまった生徒もいるのでしょうが,部活動や遊び(友達とのコミュニケーションも含む)に時間を使いたい,休日は休むためにあるというのが本音でしょう。
今の社会全体でもそういった考え方が主流になりつつありますが,休日だからといって学習習慣を完全に途切れさせてしまうようでは,学力の伸びは期待できません。
高1・高2・高3で勉強時間はどう変わるのか

上のグラフは中学1年生から高校1年生にかけての勉強時間の変化を示したものですが,実は中学1年生のときよりも高校1年生の方が勉強時間が少なくなっている(グラフの左に偏っている)ことがわかります。
高2段階の調査を見ても,この傾向はすぐには改善されません。
第17回調査では,休日に2時間以上勉強する生徒の割合が31.3%となり,中3段階を除けばそれまでで最も高くなりました。
その一方で,休日にまったく勉強しない生徒も29.9%に増えており,こちらもそれまでで最も高い割合です。
つまり,高2になると少しずつ受験や進路を意識して勉強時間を増やす生徒が出てくる一方で,まったく勉強しない生徒も増えており,学習習慣の差が広がり始める時期だと考えられます。
しかし,学年が上がり,大学受験を意識する高校3年生ともなると状況は一変します。
休日の勉強時間は顕著に増え,「3時間勉強する」と答えた生徒の割合が36.4%(過去最大)に跳ね上がります。
学年が上がるにつれて焦りや目標が生まれ,学習に向かう姿勢が強くなるのでしょう。
進路希望によって勉強時間は大きく変わる

ただし,高3になってからの勉強時間の増加は全員に当てはまるわけではありません。
進路希望によって,勉強時間には大きな差が見られます。
例えば,大学進学を希望する高校3年生の場合,休日に「6時間以上勉強する」という生徒が26.7%を占めます。
その一方で,進学以外の進路を希望する生徒の休日の勉強時間は「0分」という回答が最も多く,30.3%に達しました。
いまどきの高校生が抱える悩みのトップは「進路」と「学校や塾の成績」に関することです。
調査では,男子は3人に1人,女子は2人に1人が高1の段階で,すでに将来どんな仕事に就きたいのかを決めているというデータもあります。
高2段階の調査では,大学卒業後に働くことを考えている生徒が男女とも最も多くなっています。
また,就きたい職業が決まっている生徒の割合も高2段階で増えており,男子45.7%,女子56.7%に達していました。
高1のうちはまだ漠然としていた進路意識も,高2になると少しずつ具体化していきます。
進路が見え始めると,「なぜ勉強するのか」という理由も見つけやすくなるため,勉強時間を増やすきっかけにもなります。
また,進学を希望する理由を見ると,「勉強してみたい分野が見つかった」「職業に必要な資格を取りたい」「進学するのは当然だと思っている」といった回答が多くなっています。
つまり,高校生が勉強時間を増やせるかどうかは,単に「勉強しなさい」と言われるかどうかではなく,「何のために勉強するのか」が自分の中で見えているかにも左右されます。
大学受験が近づく高3になってから勉強時間が増えるのは,受験日が迫るからだけではありません。
進学先や将来の職業が少しずつ具体的になり,勉強する理由がはっきりしてくることも大きいでしょう。
高校生が勉強時間を増やすための工夫
これまで見てきたデータから,高1・高2の段階では学習習慣に差が出やすく,高3になってから進路を意識して勉強時間を増やす高校生の姿が浮かび上がってきました。
ここからは,日々の勉強時間を少しでも増やし,無理なく学力を伸ばすための具体的な工夫についてお伝えします。
まずは平日1時間・休日2時間を目標にする
データを見ると,高1の段階で「平日に1時間」でも勉強すれば,実は全体の上位半分に入ることができます。
もし仮に「2時間」勉強できれば,上位約20%の層に入ることが可能です。
休日においても,「2時間以上」勉強すれば上位3割に入れます。
勉強時間が足りていないと自覚している方は,まずは
- 平日は1時間
- 休日は2時間
をひとまずの目標にして机に向かってみましょう。
学校の授業についていけない場合は復習を優先する

高校生活の満足度を大きく左右するのが「学校での授業内容」ですが,上のグラフが示す通り「ためになる」「楽しい」「よく理解できている」といった満足度は,中学時代と比べて高校入学後が一番低くなってしまっています。
勉強は基本的に積み重ねです。
一度授業についていけなくなると,集団授業の中で個別に戻ってもらうことは難しく,上位層との差も開きやすくなります。
授業についていけないと感じたら,あれこれ新しい参考書に手を出すのではなく,「今日学校で習ったことの復習」を最優先にしてください。
特に英語は,高校に入ってから苦手意識を持ちやすい教科です。
文法がわからない,単語が覚えられない,英文読解ができないという悩みは,学年が上がるほど大きくなりやすくなります。
長文問題を無理に解く前に,その日に習った文法と単語の復習を優先しましょう。
通学時間や寝る前の15分を英単語に充てるだけでも,学習習慣を作るきっかけになります。
高校英語の復習方法については,スタディサプリの高校英語は高1・高2講座からでも詳しく紹介しています。
他教科も含め,わからないところをその日のうちに潰すことが,結果的に一番の時短になります。
その際,当サイトのノート術や復習法の記事が参考になるはずです。
部活が忙しい場合は短時間学習を固定する
部活で疲れて眠いから勉強どころじゃない。
という悩みを抱える高校生は非常に多いです。
無理に夜遅くまで起きて勉強しようとしても,集中できず逆効果になってしまいます。
時間が合わない塾に無理に通うよりも,「短時間学習を毎日のルーティンに固定する」のがおすすめです↓
- 朝起きてからの15分で英単語を見る
- 通学の電車内でその日の授業のノートを見返す
- 夕食前の30分だけは必ず机に向かう
このように「いつ・どこで・何をするか」をあらかじめ決めておき,習慣化してしまいましょう。
なお,高2段階の調査では,休日のスマートフォン等の使用時間が「3時間以上4時間未満」の生徒が最も多くなっています。
また,スマートフォン等を6時間以上使っている生徒では,休日にまったく勉強しない割合が高くなっていました。
もちろん,スマホそのものが悪いわけではありません。
通学中に英単語を確認したり,授業ノートを見返したり,オンライン教材を使ったりすることもできます。
大切なのは,スマホを「勉強に使う時間」と「娯楽に使う時間」に分けることです。
部活で忙しい高校生ほど,スマホをだらだら眺める時間を15分だけ削り,その時間を英単語や授業の復習に回すだけでも,学習習慣を作りやすくなります。
短時間でも集中して取り組みたい場合は,タイマーを使った学習法を試してみてください。
おわりに
以上,高校生段階の調査データをもとに,勉強時間や進路意識について見てきました。
大学受験生となれば勉強時間は増えやすくなりますが,いざ高3になってから多くの受験生が本格的に勉強し始める中で,そこから勉強時間だけでライバルと差をつけるのは至難の業です。
ならば,高校1年生の時から少しずつでも勉強習慣を身に付けておくべきでしょう。
習慣化してしまえば猛勉強も苦ではなくなりますし,学校の授業に遅れずについていけると「授業がわかって楽しい!」と感じられる可能性が高まります。
高校生活は将来を決め得るものになりがちで,自分が好きな分野があればそれに時間を注ぐようにし,特に進路がはっきりしていない人ほど普段から勉強しておくことで,高3になったときの選択肢が広がるはずです。
ぜひとも,自分の色々な可能性を広げるように行動してください。
最後までお読みいただきありがとうございました。