入試改革

大学入試改革と推薦・AO入試の今後

大学入試改革というと、やはり大学入学共通テストが目立ちますが、各大学の個別入試も改革されることを忘れてはいけません(いわゆる『個別入学者選抜改革』と呼ばれるものです)。

今回の記事では、現在すでに私立大入学者の約半数が利用している推薦入試とAO入試が、今後どのように変わっていくのかについてまとめてみたいと思います。

現状の入学者選抜状況と課題点

12019 / Pixabay

今年もセンター試験が無事に終わりましたが、2020年度からは記述式問題が導入され、判断力・思考力・表現力を問う『共通テスト』に生まれ変わります。

『共通』という文字に表れている通り、このテストにおいては全受験生が同じ能力について、つまりどんな大学も高いレベルを受験生に求める能力について問われることになりますが、それ以外で各大学が評価したい力については、個別入試の方で評価されるわけです。

ちなみに各大学が入学試験で採用している方式は主に3つあります↓↓

  1. 一般入試
  2. 推薦入試
  3. AO入試(アドミッションオフィス入試)

 

今回はその2つ目と3つ目の入学選抜方式について特に詳しくみていくことになりますが、平成29年度のデータによれば、推薦入試を利用して入学した学生は、国立大学で12.2%、公立大学で24.4%、私立大学で40.5%にも及び、AO入試の場合は国立で3.3%、公立2.4%、私立10.7%を占めています。

私立においては実に半数以上が推薦入試で入って来ているのが現状です(なお、国公立でも最終的には推薦入試が全入学者の30%になるように指導されています)。

 

それだけ受験で大きなウエイトを占めるようになった推薦入試ですが、現状以下のような問題点が挙げられています↓↓

  • 入試で極端な能力しか問われず、一部受験生が楽に入れる
  • 推薦で決まった生徒が早期に勉強の情熱を失い悪影響を与える

確かに、英語が異様にできたり、いわゆる一芸を持っている人が有利であったり、合格の発表時期が早く、一般受験の生徒が勉強している横で推薦合格組は遊んだり免許を取ったりしている状況は、20年近く前の入試でもありました。

もちろん誰もがそうではないですし、多くの学校はそうならないような工夫をしているのでしょうが、今回の大学入試改革では、これらの点も含めて見直すことにしたようです。

次章で、どのような変更がなされるのかまとめてみましょう。

 

 

推薦入試の見直し

共通テストであろうと個別入試であろうと、推薦であろうと一般入試であろうと、大学入試は各大学が「本校に望ましい能力を高いレベルで保有する受験生を高く評価する」というアドミッションポリシーを明確に掲げ、入試で評価する能力が、各大学進学後に学習内容を学ぶ上で大いに役立つものである必要があります。

ようは受験生は入学問題を解くために頑張るわけですから、その頑張った内容が大学に入ってからも役立つものでなければ、「どうして不要な知識を学ぶのだろうか?」、と学習意欲が低下してしまうのは明らかです。

加えて、合格発表が早すぎると、そこから大学入学までのブランク期間が生まれてしまい、これも良いことではありません。

そこで、『平成33年度大学入学者選抜実施要項の見直しに係る予告(+その改正)』というものが文部科学省の方から公表され、今後の変更点が示されました。

 

名称の変更

入試区分については、特性をより明確にするため、先に示した3つの試験は以下のように名称が変更されています↓↓

  1. 一般選抜(現:一般入試)
  2. 総合型選抜(現:AO入試)
  3. 学校推薦型選抜(現:推薦入試)

「入試」という語句は「選抜」に変わり、より具体的な名称になっているのがわかります(以下は2と3の入試区分についてまとめます)。

 

内容面の改善

出題科目が1~2科目に限定されていたり、4技能を総合的に評価されていないことが問題だと先に書きました。

そこで、現在実施要項に書かれている『知識・技能の修得状況に過度に重点をおいた選抜とせず(AO入試)』・『原則として学力検査を免除し(推薦入試)』という記載を削除し、

『調査書などの出願書類だけでなく、各大学が実施する評価方法など、または「大学入学共通テスト」のうち、少なくともいずれか一つの活用を必須化する』と明確化されています。

なお、下線を引いた評価方法の例としては、小論文・プレゼンテーション・口頭試問・実技・資格検定試験の成績などが挙げられています。

 

実施面での改善

発表時期が早すぎると生徒自身のモチベーションに悪影響を与えるので、教育課程に基づく学習を終える時期にできるだけ近い時期に、出願・合格発表が行われることが適当である。

総合型選抜(AO入試)の場合ですが、

  • 出願時期は9月以降(現在:8月)
  • 合格発表時期は11月以降(現在42%が10月以前に発表)

のように改善され、学校推薦型選抜(推薦入試)においては、

  • 出願時期は11月以降(現在も同じ)
  • 合格発表時期は12月以降(現在42%が11月に発表している)

と改善されます。

その他、入学前教育については、現行以上に積極的かつ適切な指導をする旨であったり、調査書や提出書類の改善についても記載がありますので、気になる方は、是非一度目を通してみてください↓↓

平成33年度大学入学者選抜実施要項の見直しに係る予告の改正について

 

 

まとめ

以上、推薦入試やAO入試は、今後、学校推薦型選抜と総合型選抜に名称が変わり、それに伴って評価される内容や実施時期や合格発表日時も改善されることがわかっていただけたかと思います。

国公立で3割、私立では5割以上の入学者数を選抜する推薦型の試験ですが、そこで選抜された受験生が各大学が希望する価値を持つ人材であり続けるように、入り口となる評価内容を改善するだけでなく、高大接続という俯瞰的な視点からも捉え直すことで、受験生自体も安心して普段の勉強に取り組めることになるというのは大変期待できる改革です。

一般選抜では一般選抜の、そして推薦型選抜では推薦独自の魅力を持った人材が判別されるよう、新しい選抜制度が近い未来に完成することを楽しみに、これからの数年間を見守っていきましょう!

  • この記事を書いた人

スタディサイト管理人

都内で塾運営にかかわってから,講師歴も15年以上になりました。小学生から高校生まで,英数を中心に学校の定期テストから大学入試まで幅広く教えています。最近の関心事は「教育改革」で,塾に入ってくる情報に加え,セミナーや書籍,信頼のおける教育機関より得た情報をまとめています。すぐに実践できる勉強法やオンライン教育サービスを利用した学習戦略も意欲的に掲載。ネットを介したやり取りにはなりますが,少しでもみなさまのお役に立てたらと思います。

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