今回ですが,「英検1級に受かる方法」について考えてみたいと思います。
TOEICと異なり,1回合格してしまうと,資格を提出する際に「また受け直せ」と言われない英検です。
最初は不思議でしたが,英検1級に合格できる人というのは大きな壁を超えるだけの能力があり,それは未来永劫,称賛されるべきであると社会全体が認めているからでしょう。
もちろん,それだけ簡単には受からせてはもらえないテストではありますが,英検1級の勉強をしている間にも自分の英語力は伸び続けていくので,努力は無駄にならないという意味で,生涯目標の1つに設定して取り組むことも十分に考えられます。
日本の英語教育が実際どうであるかはともかく,曲がりなりにも英語を頑張って学んできたことの証明として,是非目指してみましょう!
壁を越えて,ようやくそういった口出しが許されるように思うのです。
英検1級合格に求められる語彙力
英検1級ですが,これ以上の目標が存在しないということもあり,英語4技能のすべてにおいて高いパフォーマンスを示すことが求められます。
英検は,上の級になるほど1つ下の級とのギャップが大きくなることがよく知られていて,1級と準1級との差は実に大きいです。
最上位の級が別格なのは,漢検だろうと数検だろうとなんでもそうでしょう。
合格するために習得しておくことが期待される単語数を調べてみても,
- 英検1級は10000~15000語
- 英検準1級は6000~8000語
が目安となっていて,両者の間には約2倍の違いがあります。
語彙数に関して,参考にできるデータをさらに提示してみると,
- 高校を卒業するまでに学ぶ語彙数=4000~5000語
- TOEICで必要な語彙数=スコア×10語(例えば800点なら8000語)
が知られており,もし周りに高校3年生で準1級に合格できた人がいるのであれば,学校の勉強の他に大学受験勉強の成果が加わって,なんとか8000語くらいにまで到達できたと考えることができるわけです。
なお,受験業界で昔から語彙レベルが高くて有名な一橋大学の英語ですが,すべての語彙を理解するには10000語くらいを習得していないといけません。
もちろん,そこまでの状態に至らなくても合格点は取れますが,一橋大学を目標に頑張っていると語彙力が異様に高まるのはそういう理由からです。
TOEICで満点近く取れる人が同じくらいの語彙力になるわけで,どれだけ英検1級の語彙レベルが高いかがわかっていただけたのではないでしょうか。

とはいえ,語彙力だけが高くても不十分で,ある程度の文法・読解・英作能力が身に付いている他,社会問題に対して意見できる「教養」も必要です。
つまり,日常生活では目にしないような単語の意味を知っていることに加えて,社会に対する問題意識も持ち合わせて普段生活していることが重要で,家事や勉強に忙殺されているか,世の中を相手に議論する生活から遠ざかっている人にとっては基本的に不利な位置からのスタートとなります。
記憶力の高さに物を言わせて英検の1次試験を見事突破した高校生が2次試験で不合格になってしまう確率が高いのは,そうした事情が存在しているからです(英作文では文法力や論理性なども考慮されるため,なんとか突破できても,口述試験では教養の高さを示さなければなりません)。
英検の公式サイトにいってみると,出題の目安は以下のように説明されていました↓
大学上級程度で,広く社会生活で求められる英語を十分理解し,また使用することができるか審査する。2次試験では2分間のスピーチとその内容への質問がなされるが,合格の鍵は英語の知識のみでなく,相手に伝える発信力と対応力である。世界で活躍できる人材の英語力を証明する(参考①,参考②)。
大学に入ると世界の経済状況に関して議論したり,社会学や人文学などの専門書を英語で読む機会があったりしますが,引用文献として使用する英語記事にも,英検1級に使われる文章レベルに近いものが確認できます。
余談ですが,私が大学に通っていたとき,英語のバイリンガルだった友人が英検1級の単語帳を眺めながら,
こんな単語,普通に生活していたらほとんど目にしないよ
と言ったことをよく覚えていますが,大学での英語教育プログラムを免除された人が驚くレベルです。
棕梠,耽溺,韃靼,帷幄。
唐突で申し訳ありませんが,上に示した漢字はすべて漢検1級に出てくる単語になります。
日本語を母語とする我々がこれらに抱く感想と,ネイティブから見た英検1級の単語に対するそれはきっと同じ類のものでしょう。
英検1級の問題構成
英検1級のテストにおいて語彙力が特に問われることになるのは「大問1」ですが,その他の問題構成はどのようになっているのでしょうか。
各テストで問われる能力について,以下にまとめたので確認してください↓
- 筆記試験=語彙力,読解力,作文力
- リスニングテスト=聴解力
- スピーキングテスト=会話力
英検ではこれらのうち上2つが1次試験として行われ,会話力のみが2次の面接試験で問われることになります。
逆に言えば,英語4技能のうち,スピーキング以外の3つの能力は1次試験ですべて測られることになるわけです。
次に,1次試験を構成する「筆記試験」について,さらに詳しくみてみましょう↓
筆記試験の構成(100分)
- 大問1(語彙問題)=22問(最後の4問は熟語)
- 大問2(読解問題①)=6問(2つのパッセージがあり,問題数は各3問)
- 大問3(読解問題②)=7問(2つのパッセージがあるが,後半のみ4問)
- 大問4(英作文)=2問(1つ目は要約問題,2つ目は英作文)
英検の得点ですが,各技能ごとに850点満点となるように計算されるので,筆記試験の場合,リーディング力に関わる上3つを合わせて850点,そして英作文は大問4のみで850点満点の計1700点となります。
同日に続けて行われるリスニングテストも同じく850点満点ですが,問題形式の違いに注目して4つのパートに分けることが可能です↓
リスニングテストの構成(約37分)
- パート1(会話)=10問(1つの会話につき1問)
- パート2(長めの文章①)=10問(1つの文章につき2問)
- パート3(長めの文章②)=5問(1つの文章につき1問)
- パート4(インタビュー)=2問(1つのインタビューのみ)
英語4技能が1日で受けられるS-CBTという形式の英検もありますが,対応しているのは準1級までです。
ゆえに,1次試験の合格者だけが後日(約1ヶ月後に)行われる2次試験に進むことができます。

本番の流れは以下の通りです↓
スピーキングテスト(10分)
- 自由会話
- スピーチ
- 質疑応答
先のルールに則り,2次試験も850点満点ですが,1次試験の出来に関係なくこのスコアのみで2次試験の結果が,つまりは英検1級の合否が決まってしまうことになります。
1次の合格発表を受けてから対策するほど悠長にしてはいられないと思うかもしれませんが,1次試験の勉強だけでいっぱいいっぱいかもしれませんし,1次試験から2次試験までの間で何とかなるようなものでもありません。
普段から英語を話している人が,口述試験に合わせて調整に使う期間がこの時期なので,会話の練習が足りていない方は1次試験のずっと前から何らかの対策をしておく必要があります。
もっとも,1次試験に受かると最大1年間は2次試験のみを受け直すことが許されるので(一次試験免除制度),1年強の準備期間でスピーキング試験に合格すればOKです。

次章からは,各技能別に勉強法をみていきますが,手元に過去問を用意しておくと理解しやすいので,まだ受けたことがないような方は公式サイトで問題をダウンロードし,予め解いておいてください↓
英検1級リーディングの特徴
大問1の指示文
To complete each item, choose the best word or phrase from among the four choices. Then, on your answer sheet, find the number of the question and mark your answer.
上が実際に書かれている指示文ですが,日本語だと簡単に思える内容であっても英語になっていると複雑に感じられるものです。
ここでは順番通り,リーディングの勉強法から始めましょう!
筆記試験の大問1
英検1級の難しさを実感するには,専用の単語帳を読んでみるか,筆記試験の大問1を解いてみるに限ります。
例えば,
- Did the chair person say why he was resigning?
- No, he refused to( )the reason.
という,AさんとBさんのやり取りがあったとして,カッコ内に入る単語を選ぶことになるわけですが,1級を受ける人であれば,上の対話の意味がわからないことはないでしょう。
なんなら,why以下が過去進行形になっている理由についても文法的に説明ができるはずで,選択肢に目を向けずとも,カッコの中に「言う」系の単語が入ることぐらいはすぐにわかるわけです。
しかし,そのときの選択肢が「shun・elude・condone・divulge」になっているところが,英検1級が難しいとされる由縁で,giveやsayはもちろん,mentionのような動詞も選択肢として登場してくることはありません。
選択肢に挙げられている4つの単語の意味はすべておわかりでしたでしょうか。
せめて3つはわからないと勘で答えることになってしまいますが,全部の問題を2択にまで絞れてようやく正答率50%ですから,これだと十分とは言えないように思います。
いずれにせよ,これが英検1級の単語レベルです。
準1級レベルからのスタートだと,勉強を開始した時から5000語を新しく覚えないといけないことになるだけでなく,このレベルの単語をずっと相手にしてやっていかなければなりません。
ほぼすべてが知らない単語になるのが普通ですので,単語帳の出来が悲惨なものになることを覚悟しておきましょう。

以下に示したのは,準1級にようやく合格できた生徒が1級の単語帳をやっていたときの様子ですが,先ほどの問題の答えであるdivulgeがしっかりと登場してきています(下から2つ目)↓
りなみに,このようにいきなりバツを付けてしまうと見た目にも精神的にも良くありません。
なので,ほとんどわからないような場合は,ある程度理解が進むまでは何もチェックしないように指導しています(間違えた単語にすぐアクセスできることが大切なので,全部にバツを付けてしまうと目立たせることができなくなってしまいます)。
大問1の勉強をしていく上で,単語と熟語の勉強ができる教材を最低でも1つは使うようにしてください。
どんな単語帳でもすべてを網羅しているものはありませんし,回によって的中率は変わりますが,1冊を完全に覚えきれば2000語程度は語彙力を増やすことができるはずです。
単語に関してはここまでやったら完璧とはならないのが歯がゆいところですが,単語帳の他に,英検の教材で勉強していれば知らない単語に出会うこともあるでしょう。
それらをそのたびに書き留めていけば3000語くらいにはなるので,そこまで達したらひとまずは良しとしましょう。
なお,教材の選び方としては「難しいものを選ぶ」で構いません。
英検1級の過去問を見て,選択肢になっている単語ができるだけ多く含まれているものを買うのが良いのではないでしょうか。
たとえ20年前の古い単語帳であっても,英検1級を目標としたものであれば十分に用をなしてくれます。
筆記試験の大問2と大問3
大問2の指示文
Read each passage and choose the best word or phrase from among the four choices for each blank. Then, on your answer sheet, find the number of the question and mark your answer.
※大問3は下線部がanswer from among the four choices for each questionとなっているだけなので省略します。
筆記試験の大問2と大問3はどちらも読解問題で,前者は語句を空所に補充する(とはいえ,多くの選択肢は5語以上から成る)もの,後者は内容一致問題になっているなどの違いはあるものの,正しく文章が読めていれば特に問題なく正解できる問題です。
大問1と比べると,使われている語句のレベルは明らかに下がります。
読む量ですが,大問2は400語くらい,大問3に入ると500~800語に増えますが,結局のところ計2000語ちょっとを40分弱で読むペースです(時間については後述)。
問題を解くにあたっては,余計な文がほとんど存在しないために全文読むことを余儀なくされますが,質問文の先読みだったりスキミングのようなテクニックだったりは役立ちます。
これらは試験会場でいきなりできるようなものではありませんので,練習のときから多くの問題相手に,実際行うことになる手順を確認し,後は時間内でどこまでの作業が可能になるかについて,タイマー片手に調べておくようにしましょう。
私の場合,全部読んでから初めて問題を見るようにすると再度読み直す羽目になるので,問題の先読みは必須だと思いましたし,スキミングをするだけの時間のゆとりはあることがわかりました。
一方で,正誤問題を解く際には答えを決めてから選択肢を見るようにしています。
こればかりは学習者本人の得手不得手が影響してきますので,他でもない自分なりのルールを決めておくことが重要です。
問題を解き終わったら復習時に精読を行い,問題の答えに至るまでの思考のプロセスをしっかり確認し,仕上げにわからなかった単語のチェックと音読練習を行うようにしてください。
英検1級ライティングの特徴
大問4の要約問題の指示文
- Read the article below and summarize it in your own words as far as possible in English.
- Suggested length: 90-110 words
- Write your summary in the space provided on Side A of your answer sheet. Any writing outside the space will not be graded.
300語くらいの文章を要約する問題です。
英語は各段落に1つ言いたいことがあるので,基本的にはそれを漏れなく書き出し,順番通りに繋げれば出来上がります。
段落は3つあるので,1段落につき30語書いたあたりで,そろそろだと思うのが良いでしょう。
もっとも,多少オーバーしたところで減点とはなりませんので,それよりも時間を優先してください。
練習時に,
- 各段落を終えたごとに書くようにする(最速だが要旨を見誤る可能性あり)
- 最後まで読んでから書き出すか(時間はかかるが文の流れを確実に終える)
のどちらにするかを決めておきましょう。

それより,英文を書き終えた後で文法ミスやスペルミスがないか調べるための時間を残すことの方が点数的には重要です。
大問4の英作文の指示文
- Write an essay on the given TOPIC.
- Give THREE reasons to support your answer.
- Structure: introduction, main body, and conclusion
- Suggested length: 200-240 words
- Write your essay in the space provided on Side B of your answer sheet. Any writing out side the space will not be graded.
後半にあたる自由英作文の方は,最低でも200語は書かなければならなさそうですが,ここまでに時間をそれなりに消費してきていますから,その語数に満たないこともしばしばです。
それでも,字数以外は指示通りに書くことができれば最低ラインはクリアできます。
指示については問題文に長々と書かれていますが毎回変わりありません。
なので,普段通りに書くようにしましょう↓
- テーマを守る
- 根拠を3つ提示する
- 構成は序論・本文・結論の3部構成
- 200~240語が望まれる
語数が足りない点についてはやむを得ないことで,変に冗長に書いて水増ししたところで採点官には伝わるため,むしろ不利です。
お洒落な物言いはできなくて構わないので,時間をやや早めに切り上げては時制のミスだったりスペルミスだったりがないことを確認します。
これらがあると高確率で減点対象となるので気を付けてください。
評価対象になるとされる要素をまとめておくと,以下の4つです↓
- 流暢さ
- 内容
- 語彙力
- 文法
なお,英検1級を受けるような方であれば,アイディアが浮かびさえすれば,下手な答案を作成することはないでしょう。
そういった意味で,書く練習を重ねることはあっても,わざわざ他人に採点してもらうまでのことは必須ではありませんが,私は過去に自分の英作文を採点してもらったことがあります。
英検1級対策を仕事にしているネイティブでしたが,以下に,その際の採点方法と貰ったバッドコメントをまとめておくので,これらもまた対策に役立ててみてください↓
採点項目 | 得点(計14点) |
3つの根拠 | 3点 |
3つの構成 | 3点 |
流暢さ | 2点 |
内容 | 2点 |
文法 | 2点 |
語彙 | 2点 |
減点されたときのコメント
- Message stated, but not clearly explained.
- More substance needed.
- Higher level vocab needed.
- Points stated, but often get repetitive.
- Awkward use of grammar and vocabulary in places.
- Fatal errors in the conclusion.
- Please use paragraphs to help structure.
- Spend more time to write a full, complete paper.
加点方式ではなく,減点がある時は1ヶ所につき1点を引くようにしますが,各項目がマイナスにならないようにします(最低0点)。

英検1級リスニングの特徴
リスニングの指示文
There are four parts to this listening test.
Part 1. Dialogues: 1 question each
Part 2. Passages: 2 questions each
Part 3. Real-Life: 1 question each
Part 4. Interview: 2 questions
英検1級のリスニングについては,まずはその特有の形式に慣れるところから始めましょう。
パート1
例えば,パート1では9問目と10問目が長いことに加え,10問目は例外的に3人の会話であることは毎回決まっています。
解いているうちに,10秒という解答時間を肌で感じ取ることができたり,質問のタイプがいくつかに分かれていたりすることがわかってくるはずです。
通常であれば,過去問を解いた後は本文しか聴き直さないように思いますが,最初のうちは質問文についても聴き直すようにしましょう。
そうすることにより,文頭に注意することの重要性や,implyが登場したときの推測問題の難しさに気付きやすいように感じています。
パート2
パート2は多くの方が難しいと感じるはずのもので,何らかのトピックについて一方的に説明が行われますが,ジャンルが様々なので,馴染みがあるものとそうでないものとの間で正答率に大きく差がついてしまうでしょう。
私は医療や自然科学の問題は得意ですが,歴史的な内容や政治の話を苦手としています。
ですが,そのことに気が付けたおかげで,苦手そうな話題の場合であっても「要点だけはなんとか聞き取ろう!」と気持ちを切り替えることで対応することができました。
音声が流れた後に解く問題数も2つになりますので,最初の問題に間違えたショックを後ろの問題へと引き継ぐことがないよう,心理的な余裕を持つことが重要になってきます。
パート3
パート3は実際に自分が何らかの説明を受けるような場面が想定されていて,次に何をすればよいかが問われることが多いです。
具体例として,カード会社に電話して,新規発行ならA,使用額の確認はB,それ以外はCを押すといった場面を想定してみてください。
できるだけその状況を自分の身に降りかかっていることのように想像できると,このパートが得意になるはずです。
日本語に訳していては話に付いていけませんので,やはり場面をイメージするに限ります。
パート4
パート4は長めの文章を聴きますが,ニュース番組で専門家を呼んではインタビューをしているのを傍から聴いているような状況です。
もちろん,聞き取り能力が高いことが前提ですが,質問文が読み上げられる前に選択肢を読んでおくことは大切で,最初は解答時間の短さに驚くでしょう(これまでのパートと変わらず10秒です)。
こうした難しさを実感できたら,後は数をこなすしかありません。
問題に慣れるという意味で,1度学習した原稿の意味をわかった上で音読するようにすると,パートごとの特徴に慣れやすいように感じました。
英検1級スピーキングの特徴
5つのトピックから1つを選び,1分間で準備をしますが,このとき自分が対策した経験があるものを選ぶことが大切です。
的中なんてめったに起こらないと思われるかもしれませんが,話すテーマが最初から1つに決まっている場合と比べて,当たる確率は5倍になります。
例えば,筆記試験の大問4の英作文について,何の準備もなしに話すように言われた場合と比較してみてください。
それに,たとえ準備したものの中にトピックが見つからなくても,理由を2つ言えそうなものを選べばよいので,どこかしらの内容は被ってくるはずです。
とはいえ,2分間というスピーチ時間は中々に長いため,1次試験が終わってから2次試験までの間は,なんらかの教材を使ってそれだけの時間を英語で話す練習を重ねましょう。
このとき,トピックを選べないようにしておくと,より厳しい条件にした加圧トレーニングのようになるため,本番が少し楽に感じるはずです。
1次試験の対策をしていない時間であっても,日本語で言おうと思った内容を英語にして言ってみる練習をすると,間接的に2次試験の対策を兼ねたものになるでしょう。
2次試験で自分が話すことになる内容は,1次試験で流れる英文と似たアカデミックな英語になりますが,それでも普段話すような内容は例の紹介などで十分に役立ってくれます。
その際は生成AIを大いに活用してください↓
本番ではメモを取れないことを念頭において練習しましょう。
こちらも英検の公式サイトから「バーチャル二次試験」を使って,試験の流れを確認できるので,一度見ておくと本番の流れがわかりやすいように思います。
英検1級の勉強法
ここまでは勉強法をメインにまとめてきましたが,本章ではどのような戦略で合格を引き寄せれば良いかについて考えてみましょう!
出来については満点に近くなればなるほど良いに決まっていますが,6~7割できて平均くらい,8~9割取れると上位に入ることができます。
とはいえ,大人は特に学生時代と異なり,英検の勉強だけをしているわけにもいかないでしょう。
日常生活を送る中で,色々とやらなくてはいけないことが出てくるものです。
ならば,最も手っ取り早い合格への近道を行くべきであり,最優先にすべきは弱点部分の克服となります。
基本方針としては,まずは4技能すべてにおいて平均点を目指し,その上で,得点力が期待できるものに絞って伸ばしていく戦略を採用するのがおすすめです。
筆記試験
まずは時間配分をどうするかですが,リスニングやスピーキング試験については時間配分は決まっているので変えようがないものの,筆記試験については自分の好きなように時間を使うことができます。
とはいえ,意味を知らない単語を前にしてどれだけ時間をかけてみたところで正答率に変わりはありませんので,時間をかけるべきところに時間を残そうとする心がけが大切です。
目安時間としては以下の配分が王道ですが,当日の問題の難易度によっても多少の差は出るものなので,練習の時にかかりすぎている分野があれば解き方を見直すくらいに考えていてください↓
問題番号 | 時間の目安 | 得点の目安 |
筆記大問1 | 10分 | 12-13/25 |
筆記大問2 | 15分 | 3-4/6 |
筆記大問3 | 30分 | 7-8/10 |
筆記大問4 | 40分 | 7-8/14 |
5分残るようにしていますので,余った時間は大問4の見直しや,自信がなくて飛ばした読解問題を解き直すのに使ってください。
上の得点の目安の見方ですが,例えば大問1のところは22問中12~13問くらいは正解したいという意味で,もちろん語彙力が豊富な方であれば20点くらい取ることも可能でしょうし,年度によって難易度は変わるので,あくまで平均的にはこのくらいだという話です。
目安時間についても,これより早く解けるに越したことはありません。
とはいえ,特に読解問題は時間をかけるほど正解率は高まる傾向にあるので,雑になってしまえば元も子もないので注意してください。
おすすめ教材
英検1級単語・熟語問題,Pass単熟語,英検1級リーディング問題,英検1級ライティング問題,英検1級英作文問題完全制覇,1次試験対策講座など
リスニングテスト
英検1級のリスニングですが,基礎的な聞き取り能力に差がある場合が多いので,例えばTOEICのリスニングセクションで余裕で495点満点を叩き出せるような方は,さほど熱を入れて取り組む必要はありません。
逆に,自信がない方であれば,毎日リスニングして聞き取り能力を上げる必要があるでしょう。
このときの教材としては,英検1級対策本の他,過去問のリスニング問題が使えます。
もはや学習方法についても自分なりの方法が確立しているように思われるので,シャドーイングでもディクテーションでもロールプレイでも構わないので,問題を解く際は理解重視,復習の際は細かいところも聞き取るように分けて行ってください。
なお,リスニングが得意な方であっても,新しく学んだ単語に関しては音を聴いてから意味がわかる(イメージが頭に浮かぶ)までに時間がかかると思うので,単語帳に付属している音源を聴くことも重要です。
おすすめ教材
英検1級リスニング対策,英検1級の過去問,英語ニュースなど
どのくらい得点できればよいかについてですが,実際の採点はパート3と4だけは1問2倍で計算されるなどするでしょうが,練習の時は問題数で数えるようにして,問題との相性によって多少の波はあっても,以下くらいの正解数を目指しましょう↓
パート番号 | 得点の目安 |
パート1 | 7-8/10 |
パート2 | 6-7/10 |
パート3 | 3-4/5 |
パート4 | 1-2/2 |
大体6~7割取れると良好です。
スピーキングテスト
英作文が上手く書ける人であればスピーキングも簡単にできるかと言えば,そうはなりません。
時間をかけずに返答できる「瞬発力」が問われるのがスピーキングです。
加えて,日本語で聞かれたとしても答えにくい質問もあるわけなので,問題の数をこなしながら自分なりの型を身に付けることも重要になってきます。
私は1つの質問に対して2つの根拠を考え,それらを詳しく説明し,話しているうちに新しく浮かんだ根拠があれば最後のまとめの前くらいにちょっと付け足す形で考えていますが,急いで早口になるよりかは,やや遅めでも感情を込めながら一定のペースで話し続ける方が評価されるのは確かです。
声の高い方は低くしゃべると良いと言われるのも,相手に落ち着きを示せるからでしょう。
いずれにせよ,準備すればするほど本番の的中率や落ち着きは変わってくるものです。
質問に対しては自分1人ではどうしようもありませんが,1つのトピックに対して話すことは1人でも十分にできます。
不安な気持ちを逆に利用して,時間を測って毎日取り組む活力へと変えてしまいましょう!
おすすめ教材
オンライン英会話,日米口語辞典,2次試験対策コースなど
まとめ
私が英検1級を初めて受けたのは20年前のことですが,問題の難易度はさておき,当時とほぼ問題の構成は変わっていません。
これだけ最初から完成してしまっているテストというのはあまり数がなく,驚くべきことです。
ちなみに,使われている語彙レベルにも大きな変化はないため,当時の勉強法は今でも十分に通用します(むしろ,20年前よりも問題文の指示は細かくなっているので,方針もその分,立てやすくなったように感じています)。
とはいえ,英検1級は難しい試験です。
それに向けた勉強をしなければ受からないのは絶対で,しかもその学習分野は一部に偏ることなく,語彙力のアップを始め,リーディングやリスニングにライティングやスピーキングの勉強すべてにおいて,効果の高い(大きな努力を要する)勉強法を実践していかなければなりません。
もっとも,英検1級を取ったからといって,それはスタートラインでしかないことも多く,語学の道は追求すれば果てしないと感じることになるわけですが,ネガティブな気持ちになる要素は一切ありません。
というのも,冒頭で述べたように,英検1級の勉強を通して自分の英語運用能力が伸びることは誰の目にも明らかだからです。
英検1級を受ける方の中で,英語が嫌いという人は少ないでしょう(勉強すること自体は嫌いかもしれませんが)。
ゆえに,時間をかけて学ぶほどに自分の語彙力が増えて,聴ける英語の数が増えていくという体験ができるわけですから,英検1級は私たちにとっては格好の目標です。
試験は受けずに教材だけ購入して,「なんだか英語力が衰えてきたな」と感じたときのリハビリにも使えますので,長い年数をかけて楽しみながら学んでいくというのも十分にあり得る選択でしょう。
当記事の内容がみなさまのお役に立てることを願って,締めの言葉とさせていただきます。
ありがとうございました。