今回は「全国通訳案内士試験に合格するための方法」について考えてみたいと思います。
2018年からは業務独占規制が撤廃され,資格の価値がずいぶんと下げられてしまった通訳案内士ですが,試験の内容は相変わらずの印象で,「確実に合格するのはほぼ不可能」と言っても過言ではありません。
それは,近くにいる資格所有者を探して過去5年分の一般常識問題を抜き打ちで解いてもらえばすぐにわかるでしょう。
一方で,試験会場では多くの年配の方々がいることが確認できていることから,いつからでも目指せる夢のある資格となっています。
試験は最低でも6時間くらいは拘束され,体に堪えるものです。
それでも熱心に受けに来ているわけですから,全国通訳案内士の資格にそれだけの魅力があることの表れでしょう。
加えて,試験対策で学ぶ英語・地理・歴史・一般常識(通訳案内の実務含む)は興味を抱きやすい分野で,かつ大の大人が貴重な時間を割くべき価値が十分にあるものだと考えます。
というわけで,情熱以外に幸運も必要になる全国通訳案内士試験なだけに,合格までは数年かかると考えて,気長に合格可能性を高める勉強法を採用して挑むのが良さそうです。
全国通訳案内士試験の難易度について
全国通訳案内士試験はJNTO(日本政府観光局)が年にたった1度だけ実施するもので,合格すると「全国通訳案内士」を名乗れるようになります↓
試験科目は以下の5つですが,iの口述試験が2次試験として後日行われることを覚えておきましょう↓
- 外国語
- 日本地理
- 日本歴史
- 一般常識
- 通訳案内の実務
今回の記事を書くにあたって私も実際に受けていますが,本人の生き方が試験結果に大きく影響する「一般常識」などという科目があるのが厄介で,免除になる術もありません。
ivには「これを完璧にやれば余裕で合格点が取れる!」的な手段が存在しないため,確実に合格できる方法はなさそうです。
もちろん,対策することが有益であることは確かですが,それらから得た知識を完璧にしたところで合格点に達しないことは往々にしてあるわけで,次点で地理,さらには歴史も年度によっては難易度が上がるために,全教科において合格点を余裕で取れることはまず期待できないでしょう。
試験内容に納得できるのは大学受験までであり,社会人になってからは理不尽なものが多くなるのは世の常ですが,本試験の案内内容を真に受けると本番で大変痛い目に遭うというのが私の第一印象でした。
特に不満だったのは一般常識の試験で,施行要領には以下のような記載がありました↓
例えば,試験実施年度の前年度に発行された「観光白書」のうち,外国人観光旅客の誘客に効果的な主要施策及び旅行者の安全・安心確保に必要となる知識,並びに新聞の1面などで大きく取り上げられた時事問題等を問うものとする(参考)
過去問を解いている分には何とかいけそうな感じもありましたが,市販本は過去問を解けるようにしているだけの構成なので,合格点が取れるようになるのは必然であることを知っておくべきでした。
そして私が見た現実は,本年度の観光白書までを緻密に読み込んでおく必要があり,Yahoo!ニュースを毎日読む程度では合格点が取れない内容だったわけです。
確かに上の文章では「例えば」や「等」などと保険が掛けられた書き方がされていますし,社会人向けのテストなので文句は言いませんが,余裕で合格を目指すにはその他科目以上に大量の時間を費やさなければなりません。
2023年の問題では「LGBTの各国の取り組み」や「有楽町線や南北線の延伸」,2024年は「1月に月面着陸に成功した無人探査機の名前」が出題されましたが,当時を振り返ってみてこれらのニュースを実際に目にして興味を持って調べたことがありましたでしょうか。
地理においても,「上総大地」や「下総台地」,「おかげ横丁」や「おはらい町通り」の違いを認識できるようになっておくことが必要で,たとえ予備校に通ったとしても,選択肢を見てどこのことか全て分かる状態にしてやっと合格点が取れる内容です。
もっとも,地理や歴史については救済措置があり,前者は旅行業務取扱管理者を,後者は歴史検定2級以上を取得すれば良いので助かります。
英語に関しても英検1級やTOEIC900点以上などがありますが,本番はそれほど難しくないのでこれは後述するメリットとデメリットを知った上で判断してみてください。
全国通訳案内士に合格するための勉強計画
イベント | 目安時期 |
官報公示 | 4月~5月 |
施行要領公開 | 5月~6月 |
願書受付 | 6月~7月 |
筆記試験 | 8月 |
筆記試験合格発表 | 9月 |
口述試験 | 12月 |
最終合格発表 | 2月 |
前章の内容を踏まえ,全国通訳案内士に合格する勉強計画を考えてみましょう!
口述試験も見据えた英語学習と時事ニュースのチェックは毎日のように行う必要がありますが,それ以外の地理や歴史,そして観光白書や旅行業法や通訳案内士法の読み込みは詰め込み学習が基本となるため,早めの段階で一度通読した後は試験直前で一気に記憶を呼び起こす勉強法を採用します。
また,一度の受験で合格にならないことを考えると,より合格可能性を高める立ち振る舞いが必要となり,そのためには免除申請に使える他の試験の採用や包括的な知識を増やすことも積極的に採用すべきでしょう。
これらは普段の勉強に刺激を与え,長く勉強し続けるのに必要なことです。
以上をまとめると,全国通訳案内士の合格のための勉強計画は以下のようになります↓
通訳ガイド攻略プラン
8月:全国通訳案内士試験を受ける
9月:国内旅行業務取扱管理者試験を受ける
10月:総合旅行業務取扱管理者試験を受ける
11月:歴史能力検定日本史2級を受ける
翌年6月:実用英語技能検定1級または準1級を受ける
翌年8月:全国通訳案内士試験を受ける
これで合格にならない場合は同じ行動を繰り返すことになりますが,どれも毎年内容が更新されますしすべて全国通訳案内士の合格可能性を高めてくれるものです。
合格できたものがあれば免除申請に使えますし,短いスパンで異なる試験に挑むことはマンネリ化を防止してくれます。
なお,青字にしたものは必須とは考えませんが,決して無駄にはならない資格・検定試験のため,是非検討してください。
次章では,これら試験の概要についてまとめましょう!
全国通訳案内士試験では免除科目を生かそう
通訳案内士試験の最終関門となる口述テストではあらゆる知識が問われるため,その年にまったく地理や歴史の勉強をしないようなことがあってはなりませんが,免除科目を作ることで得ができることは確かです。
今思いつくだけでも,外部試験を受けることには以下のような利点と欠点があります↓
- メリット:不合格になる可能性がなくなる。テストを受ける時間や体力のロスがなくなる。試験慣れの経験が積める。
- デメリット:外国語の試験に役立つ知識が得られにくくなる。体力や時間,そして金銭的な消費をする必要性が生じる。
受ける科目が減るからといって全国通訳案内士の受験料が安くなることはありませんが,例えば英語の試験を受けずに済む場合,最低でも2時間45分を節約することができます。
それに前章で述べたように,勉強のマンネリ化を打破することにも繋がりますし,他の資格取得のために時間を割いて免除申請を狙ったところで,本試験の結果に響くことはありません。
私の体感として,最低限の英語力があることは前提で,筆記試験は200時間から勝負できるようになり,500時間かけられれば上々です。
現在,筆記試験の免除申請に使える外部試験とその科目については以下の通りとなっています↓
旅行業務取扱主任者(2005年から旅行業務取扱管理者となる)やセンター試験(共通テストは対象外)なども挙げられていますが,今では受けることができないテストです。
なお,TOEICに限っては全国通訳案内士試験を受ける前年の4月以降の結果しか使えないこと,そして英検1級を免除申請に利用する場合は,1次試験の願書を出す時までに結果が判明していなければならないため,先の勉強計画では間に合わないことにも注意してください。
次章からは,地理・歴史・一般常識・通訳案内の実務・英語の勉強方法について個別にみていきますが,外部試験の勉強も組み込んだ内容になっています。
繰り返しになりますが,出来る限り外部試験に合格することを目指すようにしてください。
地理の勉強では白地図を使おう
日本地理について
- 外国人観光旅客が多く訪れている又は外国人観光旅客の評価が高い観光資源に関連する地理を範囲とする
- 内容は地図や写真を使った問題も含まれる
- 本試験は30分で30問程度の多肢選択式
- 合格ラインは7割
全国通訳案内士試験の攻略法
通訳案内士の地理対策ですが,都道府県の位置や県庁所在地,主要な川や山脈,さらには平野名や県ごとの特徴など,小中学校で習う知識が入っていなければなりません。
もちろん,いきなり全国通訳案内士用の参考書で勉強を始めることも可能ですが,基礎知識があるのとないのとでは理解力に大きな差が出ます。
私は小学・中学内容をスタディサプリを使って短期間で学びましたが,有名な川や半島は正解にはならずとも,文中だったり誤答の選択肢に用意されることも少なくありません↓
むしろ,特産品の情報はスタサプからしか得られなかったすらとまで思います。
とはいえ,小中学校の知識だけでは案内士試験に太刀打ちできないことも忘れてはいけません。
続けて,都道府県ごとの主な観光資源について学んでいきましょう!
このとき学んだものは,どんどん白地図に書き込んでいくことをおすすめします↓
学んで書き込みが増えるほどに完璧な参考書へと近づいていくわけですが,この時の記入は文ではなく,あくまで単語にするところがポイントです。
例えば磊々峡であるなら,覗橋が書き込む候補になりますが,後でそれらの単語を見たときにつながりが説明できるかで理解度を確認できます。
白地図のサイズはできるだけ大きいものを使い,細めのシャープペンを使うと書き込みやすいでしょう。
もちろん,他人が読める必要はないですが,雑に書くと自分が後から読んだときにわからないことがありました(それもまた勉強になるので良いのかもしれませんが)。
また,読み方については必ず確認してルビを振っておきましょう。
読み方を調べる際は「固有名詞+読み方」で検索する以外に,公式サイトのURLに注目すると楽です↓
固有名詞を覚えられないのは当然のことなので,問題を解いて間違えたり初めてその名を耳にした観光資源はインターネットで検索してみては関連知識まで調べてください。
「三大○○」が紹介されるたび,似たような名前のものを聞くたび,復習していて疑問が生じるたびに面倒くさがらずにその都度調べることが重要です。
特に後になって復習していると,似たような地名が頻繁に頭に浮かんでくるように思いますが,時間が差し迫っているときであっても必ず調べましょう。
例えば大塚国際美術館を学んでいる最中に大原美術館が浮かんでくれば,相互のページに追記しておきます。
ところで,このように学んでいくと県を渡って広がる山地や地域など,他県との繋がりを意識することが減ってしまうため,特に最初のうちは白地図の他に全国地図を1枚用意しておき,全国的にどの位置の話をしているのかを強く意識するように工夫することが重要です。
実際,複数の都道府県にまたがる出題は本番でも結構見られます(2024年の解答番号9の問題など)。
画像で印象付けるのも有効で,例えば「浮御堂」と「堅田の落雁」の繋がりが最初わからなかった私ですが,調べることで浮いているイメージを掴むことができました。
白地図に書き込む勉強法を採用すると,Google mapの使用頻度は極めて高くなるでしょう。
私はパソコンでの学習をおすすめします。
ここまでで50時間くらい学習することになり,合格最低点くらいの実力は付くと思いますが,目をつむって自分の書いた白地図が浮かぶ状態になればOKです。
が,それだとギリギリの点数になってしまうので,さらにプラス10点を目指しましょう!
発展学習としては複数の候補が考えられますが,「地図帳を読む・旅動画を観る・旅行雑誌を購読する」のいずれかがおすすめです。
白地図ではない市販の地図帳(例:旅に出たくなる地図)を別に買って眺めるようにすれば,隣の県との繋がりも見えやすくなりますし,たとえアイドルの旅動画(例:日向坂ちゃんねる)であっても,観ていて助けられることは少なくないでしょう。
究極はじゃらんやるるぶのような旅行雑誌を全国分揃えることで,例えば,るるぶ25年版の北海道を読んでおくと24年度の地理の大問1はすべて正解できました。
旅行業務取扱管理者の攻略法
旅行業務取扱管理者のテストは試験範囲が明確なので,それ用の問題集を一通りやれば合格できます。
具体的には解説書と過去問を用意しますが,ユーキャンの本だと観光資源だけを別に学べる参考書も売っていて,その日本エリアのものは通訳案内士試験対策にも使えるのでおすすめです(都合が良いことに2年間有効です)↓
国内と総合の2つの版があり,前者の方が量的に少ないので明らかに合格は容易ですが,総合はその分重宝されるわけで,海外の観光資源について学んでおけば実際の通訳案内業務にも役立つでしょう。
国内と総合とで重複する部分は多いので,1ヶ月で海外旅行業務対策するのは十分可能ですし,英語の試験(簡単)も入ってくるのでむしろ有利です。
なお,旅行業務取扱管理者の勉強は本試験の地理の免除に使えますが,役立つ範囲は地理だけとは限りません。
旅行業法や団券などの扱いは通訳案内士試験の実務科目で問われるものと同一内容ですし,観光資源の勉強で連続テレビ小説の話や世界遺産などについて学んでおくと,ひょっとしたら一般常識にも出題されることも無きにしも非ずです。
歴史の勉強は中学内容をベースに
日本歴史について
- 日本の観光地等に関連する日本歴史についての主要な事柄(日本と世界との関わりを含む)のうち,外国人観光旅客の関心の強いものについての基礎的な知識を問うものとする
- 内容は地図や写真を使った問題も含まれる
- 30分で30問程度の多肢選択式
- 合格ラインは7割
通訳案内士試験の攻略法
通訳案内士試験の日本歴史ですが,前提知識のない方がいきなり高校の教科書から始めると失敗します。
高校で日本史を選択していたなどの理由がなければ,予備校で配られる教材はもちろん,通訳案内士用の市販本も難しいでしょう。
そのため,まずは簡単なものから徐々にレベルを上げていく勉強法を採用して,徐々に難しい教材で学び直すようにしては肉付けしていくようにしてください。
私自身は理系だったので最初は小学校の歴史教科書から学びましたが,これは地理の時と同様,スタディサプリを使い,スピード重視で歴史の流れを押さえていきます。
次に中学歴史の勉強です。
これは結構な回数を読み直すことになるので,1冊買ってしまって構いません↓
自由社の教科書であればAmazonでも買えますが,各自の信条などあるでしょうから,お好きな出版社のものを購入してください。
読み終えたら,通訳案内士用の何らかの問題集を買って繰り返しやってみましょう!
ここまでやると,通訳案内士の過去問がある程度(最低でも5割くらいは)解けるようになっているはずですが,どちらをやるにしても,間違えたものはネットで検索するか学んだことをどこかに書き残しておくと忘れにくくなります。
高校で使うような日本史図録も用意し,文化ごとの建造物くらいは写真で確認しておくと効果的かもしれませんが,Wikipediaを使う際には,読んでもわからないことばかりでさらに深みにはまることもあるので,何か1つでも新しくわかったことがあればそれ以上深追いしないようにしましょう。
問題がある程度解けるようになったら,再度中学の教科書を読み直してください。
すると,最初に読んだときよりもずっと理解が深まっていることに気が付くはずです。
この時点で試験に合格できる力は付いたと言っても構いませんが,「余裕で」合格するためには以下の発展学習をやる必要があります↓
- 歴史マンガを購入して読む
- 高校の日本史を学ぶ
私のおすすめは前者で,子ども向けだと感じる方がいらっしゃるかもしれませんが,今の歴史マンガは注釈が充実しており,それだけで大学入試にも対応できると宣伝されているくらいです↓
むしろ,中学までの歴史の知識が入っていない低学年の子どもが読んだところで,そこまでの効果は期待できないと言えるかもしれません。
大人が読んでいて1つ惜しいと感じるところは,近代の内容に近づけば近づくほど,出版社によって創作されたストーリーが自分の信じる歴史観とぶつかってくるところでしょうか↓
それでも,全体としてみれば有用であることは確かです。
上に挙げた2つ目の高校の日本史については,次で紹介する歴史検定を攻略する際にも使うことができます。
歴史検定2級の攻略法
通訳案内士の歴史が免除になるのは2級以上です。
運営元によると,2級は高校で学ぶ程度で,比較的高度な歴史知識が要求されることになるので,高校の教科書を使って学んでいくことになります。
中学のものと異なり,高校の教科書は入手しやすいですし,各種参考書も充実しているわけで,大学受験で使われる参考書(1問1答など)も1冊別に購入して何度か解いたら,あとは歴史能力検定の過去問をやって合格点が取れていれば大丈夫です。
過去問は毎年新しいものが発売されますし,1冊に3級以下の問題も載っているので,ステップアップ目的で使うこともできます。
ちなみに,2級の合格率は37.7%で,30歳以上の受験者が50%以上を占めているとのことです。
合格最低点は60%ということでそれほど高くはありません。
一部記述問題が出題される点にも注意しておきましょう。
一般常識の勉強は難しい
一般常識について
- 現代の日本の産業・経済・政治及び文化についての主要な事柄(日本と世界との関りを含む)のうち,外国人観光旅客の関心の強いものについての基礎的な知識を問うものとする
- 内容は観光白書や新聞(一般紙)に掲載された時事問題をベースに出題する
- 20分で20問程度の多肢選択式
- 合格ラインは6割
通訳案内士試験で最大の壁となりやすい一般常識ですが,これだけやればOKという参考書が出ていないところが厄介です。
さらに悪いことには,免除申請ができるような試験が存在しないために本試験で合格しなければなりません。
ここ1~2年の知識が出される他,未来の内容も出てきますし,たまに50年前の話題が出題されることもあるので,これらを網羅することはクイズ王でもなければ不可能です。
出題内容に沿った試験が他に存在しないわけですから,公民や倫理を勉強したところでダメですし,かつてセンター試験の現代社会で高得点を取ると免除になりましたが,今は当時とは出題内容が大幅に異なるので,現代社会の勉強をしてみたところで合格点は取れません。
就活生向けの一般常識問題集も対策にならないのは同じ理由からです。
私は初年度,就活で使うような時事問題集を買って読みましたが,そこからは全く出題がされず,そこに費やした十時間以上が無に帰しました。
なので,一般常識の学習の基本は観光白書に設定すべきなのですが,最新のものは6月頃にならないと利用できない(出ない)ことに注意しましょう。
とはいえ,近年2年分の観光白書を5回読んだ状態で試験に挑んだところで,合格点には届きません。
なので,白書以外からの問題が勘で当たる確率を高める必要があります。
例えば50点中20点が白書で正解できるとして,残り30点を25%の正答率で解けば期待値は7.5点です。
しかし,知識を増やして50%の正答率にまで高められれば15点が期待できます。
このような合格を目指すしかないというのが現在までの当サイトの結論です。
理想は新聞を購読して読むことでしょう。
ですが,昨今は夕刊の配達を止める地域も出ていますし,私はYahoo!ニュースのトップページに出てきたもので試験範囲に含まれるものはある程度深くまで学んでおくだけにしました。
後になって,通訳ガイドのためのスクールの1つがYouTubeで攻略方法などを公開してくれていることに気が付きました。
動画では数十ページにもわたる資料を無料で公開しているあたり,「時代が変わったなぁ」と思わざるを得ませんが,ここに書かれていることだけを学んで試験に挑んでみても合格点に届かないあたりに通訳案内士試験の闇を感じます。
参考書もそうですが,大胆にも予想問題を公開しているところがどれだけ当たっているのかを調べてみてください。
白書以外の内容を的中できているところなど万に一つでしょう(なんと無責任なことでしょう)。
とはいえ,40年以上も第一線で通訳案内士試験の授業を行ってきた方の分析結果がこういった具合であるわけですから,これから受けるような方がそれ以下の分析力しか持っていないことは明白です。
社会人向けの試験の予備校がしていることは結局のところ,過去に出題された内容を基にどのような問題が出るかを予想し,同じタイプの問題を出たときにどう解けばよいかをまとめてくれているだけにすぎません。
ゆえに,そうした過去問の分析結果を公開してくれているのであれば喜んで利用させてもらいつつ,プラスアルファで自分なりに学ぶことを忘れない姿勢が重要です。
あくまで他人の分析は他人のものであって,自分の受験での勝利は自分の力で掴み取ることを忘れないでください。
以上のことから,通訳案内士対策と銘打った一般常識関連の教材は,過去のデータから予想されるあらゆるタイプのデータを掲載しただけとなり,量が膨大となるために時間はかかるが結局テストにはほとんど出題されないという結末を迎えがちです。
ゆえに,当サイトの結論は以下のようにしておきます↓
- 最近の観光白書2年分を5回以上通読する
- 覚えるべき数字は試験前に確認しておく
- 理想は新聞の定期購読をすること
- ガイドに出そうなネットニュースに注意する
- 気になった内容はより詳細まで調べる
ニュースですが,あまりに直前に発表されたものは試験問題に反映されません(問題がすでに作られてしまっているため)。
そのため,前々から時間をかけて情報収集しておくべきで,これもまた,通訳ガイド試験は2年越しで攻略すべきと言うことの根拠となっています。
通訳案内の実務の勉強は簡単
通訳案内の実務について
- 通訳案内の現場において求められる基礎的な知識を問うものとする
- 内容は観光庁研修のテキストを試験範囲とする
- 20分で20問程度の多肢選択式
- 合格ラインは6割
通訳案内の実務ですが,打って変わってこちらの対策は簡単です。
全国通訳案内士試験のガイドラインに書かれているように,観光庁研修のテキストが試験範囲のメインとなっていることは確かで,数年前に発売された参考書であっても現在のものと内容がほとんど変わりなく,最新データに目を光らせる必要もないのは助かります。
一度読み終えてしまえば数時間で記憶を呼び覚ますことができるようになるので,早めに1度通読しておき,後は記憶が薄れ出すタイミング(1ヶ月おきが多い)で読み直すようにすれば問題ありません。
時間がない方は,市販の参考書が上手くまとめられているのでおすすめで,それだと通読するのに数時間もかからず1時間で読み終えられてしまうものもあります。
ただし,その場合は余裕を持って合格点とはならないので,過去問を解いて間違えたところの関連知識くらいは,観光庁のテキストでピンポイントで学んでおくようにしましょう。
英語の勉強は過去問を解くだけで十分
外国語について
- 1次試験は読解問題(40点),和訳問題(20点),英訳問題(20点),あるテーマや用語を英語で説明する問題(20点)からなる
- 2次試験は口述問題で,3つのテーマから1つを選びプレゼンし質問に答える,試験委員が読み上げる内容を英訳し質問に答える
- 1次試験は90分で,2次試験は10分
- 合格ラインは7割
通訳案内士の1次試験の英語について勉強することは,2次試験の役に立つことはもちろん,日本の地理や歴史の知識も深まるのでまったく無駄はありません。
おまけに試験時間にも余裕があり,場慣れにも役立つので積極的に免除を狙う必要はないでしょう。
とはいえ,英文法が苦手な方や大学受験英語の知識(特にパラグラフリーディング)が抜けている人は難しさを感じるかもしれません。
構成は以下の通りで20年くらい前の問題と比べるとずっと簡単になっています↓
筆記試験の構成
大問1:読解問題。単語や文法力,論理力や内容理解などが総合的に問われる。40点満点。目標点は8割で35分以内に解くこと。
大問2:和訳問題。正しく和訳されているものを選ぶが,見比べて訳し抜けや文構造が違うものを消していく。20点満点。1問ミスまでに抑え,目安時間は20分。
大問3:英訳問題。会話における日本語を正しく英訳したものを選ぶ。文法知識の他,違う意味の単語を使っていないかで見分ける。20点満点。1問ミスまでに抑え,15分が目安。
大問4:用語説明。日本語の用語を英語で正しく説明したものを選ぶ。知識がないと解けない。20点満点。1問ミスまでに抑え,15分が目安。
TOEICや大学受験英語と比べて,出てくる英単語が難しいのは確かですが,特に大問の1ではヒントが必ずと言ってよいほど文中に存在しているので,意味を推測するのは簡単です。
むしろ難しいのは大問の4つ目で,一般常識や地理歴史の知識がないとどれだけ英語力があっても正解できないことを覚えておきましょう。
一応上で目安の時間を示しましたが,外国語の免除申請ができる人であれば大問1を25分,大問2~4までをそれぞれ10分以内に終えられるため,全体を2周することも容易です。
時間に余裕があるのは重要で,実力通りの結果になりますし,試験会場の雰囲気に慣れることにも役立ちます。
唯一途中退出が許される外国語の試験ですが,時間内に退出する人は皆無でした。
それだけみなさん本気になっているのでしょう。
私自身TOEICは900点以上ありますが,ガイドの過去問を5年分解いてみてもすべてが80点以上でした。
ゆえに考えられる対策は現実力次第で大きく変わります。
とりあえず過去問を1つ解いてみた結果で決めてください↓
- 時間内に終わり合格点が取れる→過去問または模試を1冊やれば十分。
- 合格点が取れない→高校英語からやり直す。
文構造を把握したり,英文法の知識が問われるあたり,大学受験のための英語が役立ちます。
これはTOEICでは求められる知識ではないので,これまたスタサプの講座などで学び直してください↓
問題集を購入する時は紙のものを買うようにしてください。
英文に意味や文構造など書き込んで音読するからこそ英語の実力は高まりますが,電子書籍だとそういう使い方ができないからです。
外国語に関しては口述試験の方が重要ですので,1次試験の英語は余裕の人も日本について英語で説明できるようにたえず勉強しておきましょう。
折角,筆記試験に通っても口述試験で不合格になってしまえばまたやり直しになってしまいます。
メインとして使う参考書は2次試験に使えるものであればなんでも構いませんが,自分の言葉で説明すること,そして,それ以前に説明できる内容が自分の中に知識としてあることが重要です。
評価項目は以下の通りですが,最初の2つが重要であることに疑いはありません↓
- プレゼンテーション
- コミュニケーション
- 文法及び語彙
- 発音及び発声
- ホスピタリティ
合格基準が7割と言われたところでわかりませんし,こちらとしては全力で受け答えをするだけです。
出題内容は2つで,プレゼンテーションで答えやすい問題を選べるのは受験者側に有利となっています↓
口述試験の構成
通訳案内の現場で必要となる知識などに関する外国語訳及び全国通訳案内士として求められる対応に関する質疑:まずは日本語を外国語に訳し,関連する質問に答える。メモを取って良い。
プレゼンテーション問題:提示される3つのテーマから1つを選んで説明する。その後試験委員と質疑応答を行う。
模範解答を丸暗記する以外に,5分程度で自分の言葉で説明する練習を積んでおきましょう!
勉強期間における注意点
ここでは全国通訳案内士試験の勉強中に気を付けたい事柄に関してまとめておくことにします。
試験前
まず1つ目ですが,先に示した勉強計画では複数の資格・検定試験を受けることになるので,願書受付が想像以上に早く締め切ってしまうことに注意してください。
私自身,国内旅行業務取扱管理者試験の申し込み期限が過ぎていることに気付かず,総合の方だけを受ける羽目になってしまいました。
全国通訳案内士試験が開催されるのは,お盆休み明けの暑くて台風が来るような時期で,帰郷も絡むと意外と忙しくなる時期ですが,勉強はポモドーロテクニックを用いて短時間の集中を回数こなすなどして乗り切りましょう。
勉強中はわからないことだらけでうんざりすることも少ないないように思われます。
ですが,わからないということはそれを学べば確実に賢くなれることをも意味していますから,その事実を純粋に喜ぶようにしてください。
また,試験の受験表ですが,スマホで表示する以外に印刷もできるので両方用意しておきましょう。
私は筆記試験の当日,スマホを家に忘れてしまったのですが,あらかじめ印刷しておいたおかげで取りに戻らずに済みました。
本人確認書類を忘れた場合も,「後日アップロードすれば良い」との話なので,遅刻するくらいならこちらも取りに戻らず試験会場に向かってしまいましょう。
試験日
試験中は誰かのスマホの通知音が鳴ったり,大声でため息をつくような人がいたりと,教室によっては気が散りやすい環境になりますが,自分の力でどうにもならないものは諦めて頑張るようにしてください。
後者の方は試験官の方に再三注意されてはいましたが,退出を促されることはありませんでした。
外国であればこんなことは許されないでしょう。
ペットボトルは外の紙をはがした状態であれば,中身を問わずに机上に置くことが許されましたが,水筒を置いていた方は注意されていましたし,タオルや時計を個別にチェックされている人もいました。
本番中に知らない用語に出会った際は,それもまた1つの情報になります。
これまでの多く勉強してきたこそ,質問内容がこれまた自分の知らないことであればそれが答えになる可能性は高いわけです。
なんとなくで答えがちなものが誤答に用意されていることが多いように思うので,確信が持てない場合は特に注意してください。
「この答えなら自分は納得できる」と思えるかどうかが唯一の判断基準です 。
なお,マークについては問題番号と解答番号が異なることが,後半になるほど多くなっていくことにも気を付けましょう。
特に時間ギリギリになって重複してマークしていることに気が付くとパニックになってしまうはずです。
試験ごとの間の時間の過ごし方ですが,免除科目がある時間帯にも会場内に座るスペースが用意されていた他,外国語の後の昼ご飯の時間には教室内での飲食が可能でした。
まとめ
以上,通訳案内士の受かり方についてまとめてきましたがいかがだったでしょうか。
試験後に帰宅してみると足の痛みがひどいなどの結構なダメージを受けていることがわかったので,免除申請は重要だなと思いましたし,大変なテストであることは確かです。
1次試験は時間切れの心配はないので実力通りの結果になりやすいとは言えますが,そもそもの時間が短い一般常識や通訳案内の実務は見直しの時間まで十分に取ることはできないので,上の注意点を念頭に置いてあらかじめシミュレーションしておきましょう。
読み間違いや読み抜けがあると正解を導くための重要なヒントを見落とすことに繋がりかねないため,変に焦らず,時間をほどよく使って解くことを心掛けてください。
勉強法のところでは色々多くのことを要求しましたが,全国通訳案内士になったときのことを考えると,地理・歴史・常識・実務のすべてでできるだけ多くの知識を持っておくに越したことはありません。
外国語の運用能力ももちろんですが,すべてが高いレベルにあればあるほど優秀なガイドができるはずです。
問題内容についてはなんとも言えませんが,こうなっている以上,それを今更簡単に変えて,誰もが受かるテストにしてほしくはないですし,受からないことには全国通訳案内士とは名乗れないわけですから,何としても合格しなければなりません。
そのとき,今回述べたような攻略・勉強法が役に立ったら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。