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ゆとりと詰め込み教育に左右されない勉強法!工夫が重要

時代は令和になり,新学習指導要領や教育改革関連のニュースが世の中を騒がせていますが,小中高生は必要以上に焦る必要はありません。

というのも,基本方針が詰め込み教育になろうとゆとり教育になろうと,学ぶ側が取るべき勉強法はいつの時代も「同じ」だからです。

当然ながら,これは正しい勉強法を指していすが,誤った勉強法を行っている生徒は少なくありません。

その場合,学校側がアクティブラーニングの形で授業を行い,熱心に問題解決能力などを育もうと試みても,

生徒側の学ぶ方法が間違ったものである限り,授業の効果はこれまでと大して変わらない

と30年前から言われているわけです。

そこで今回は,25年前に発刊された「間違いだらけの学習論(西林勝彦)」という本の中から,令和時代に通じる正しい勉強法について,いくつかの知見を紹介することにしましょう!

教科書は分厚い方が実は覚えやすい

何の考えもなしにただ問題を解き直してもできるようにならない

そんな意見にハッとさせられた方は,当記事の内容が役に立つはずです。

学ぶ量をあえて多くする

「少ない方が多い」という掲示

自分が学生だった時のことを思い出してみると,宿題の量やテスト範囲が少なければ少ないほど喜んでいたものですが,実は少ないからこそ記憶に留めておけなくなってしまうことが知られています。

例えば,こちらは先の本からの引用ですが,

班田収授の法・荘園の成立・三世一身の法・墾田永年私財法を年代順に並べなさい

という問題を解いてみてください。

もしあなたが年号を丸暗記する勉強法を採用しているのであれば,試験が終わって歴史の勉強をしなくなった途端に忘れてしまい,自信を持って正解できないはずです。

逆に,公地公民を「古代の土地制度の規制が徐々に緩くなり,しまいには崩壊して荘園制が成立した過程」であると理解し,その中でこれら3つの出来事を捉えるという正しい勉強法を実践できていた学習者であれば,簡単に,

  1. 班田収授の法
  2. 三世一身の法
  3. 墾田永年私財法
  4. 荘園の成立

と正しく並び替えられるでしょう。

管理人
管理人
口分田を生前は授けても死後は国家が収めるのが「班田収授の法」で,次に開墾した土地の保有を三代にわたって許可する「三世一身の法」が登場しました。そして開墾した田んぼを永久に私有地化できる「墾田永年私財法」を経て,貴族や寺社の私的な領有地である「荘園」が成立したわけです。

正解できる生徒の勉強法は,上の4つを語呂合わせなどで丸暗記する学習法を採用していたわけではありません。

それぞれの出来事の内容について知っているだけでなく,古代の土地制度の衰退から荘園制の成り立ちまでの歴史の流れも学んでいるわけです。

このことは,学ぶ量が多い方が記憶に留めておきやすいことを伝えてくれています。

要点だけ書き並べた1枚のまとめ用紙(テスト前に作りがちなもの)をひたすら覚えこむよりも,分厚いけれどマンガ形式だったり,語り口調の予備校の授業の一場面を切り取ったような形式の書籍を使って背景までを学んだ方が,実はわかりやすくて記憶に残りやすいわけです。

誤解しないでいただきたいのですが,量が少ない方が覚えやすいこともあります。

例えば,「2桁の数字を暗記しろ」という課題に対しては,5個覚える方が20個覚えるよりも簡単なことは明らかです。

電話番号も人が記憶に留めておきやすい量になっています。

管理人
管理人
それ以上になってしまうと,一度聞いても正しく復唱しにくいでしょう。例えば,クレジットカードの番号は電話番号よりも長く,覚えにくいように思います。

ですが,これらの例が先の公地公民の話と違うのは「無意味な情報の羅列」であるところです。

数字の2桁暗記はそれ自体に規則性がなく意味のないものですので,こういったものを覚える際の勉強法は量が少ない方が良いことになります。

なので,数学における定義や英語の決まり表現のようなものは最低限だけを覚えておく方が望ましいわけですが,実際,学校で学ぶ知識のほとんどは意味があるものなので,勉強法を工夫することで忘れにくくする必要が出てくるわけです。

数学の公式も丸暗記してしまえば無意味な情報の羅列に過ぎませんが,公式を証明する練習を通すことで,意味のある事柄に変わります。

 

 

復習するときは工夫を加える

練習の重要性を訴えるイラスト

さて,学校での勉強で一番多く行うことになるのは復習でしょう。

最近では反転学習の授業形態を取ることもあるため,予習が宿題に課されることも増えてきていますが,それでもすべての授業に予習が必須でないことに対して,復習はほぼ毎回行うことになります。

なので,同じ問題を数回解き直しするときの正しい勉強方法を知っておくことは重要で,このときただの繰り返しにしないようにしてください。

頭をしっかりと使って,学ぶ事柄に意味を持たせることができたときに初めて,解き直しが効果を発揮するようになります。

簡単な例を通して,意味を持たせることの重要性について理解を深めましょう。

まず,1度目の学習において「女の人が氷を持っている」ことを理解したとします。

これを2度目に学習する(つまり復習する)際に,「熱を出してしまった子どもの母親が氷を持っている」などと学び直すことができると,「女性」と「氷」の結びつきがより強くなるわけです。

下線を引いた部分が学習者の工夫となり,女性と氷の間に新しい情報(熱が出ている子ども)が加わっています。

前章の内容から,これが余計な情報のはずはないわけで,なぜ女性が氷を持っているかの理由付けをが行ったわけです。

もしも上の問題を,頭を使わずにただ「女性と氷」を丸暗記するだけの勉強法では,覚えていられる期間が短くなり,復習の効果が薄くなってしまいます。

管理人
管理人
いわゆる「記憶術」もこれに似た工夫を行っているわけで,英語のリスニングにおいて,聞いたそばからイメージに変換していくことも同様です。

というわけで,復習して理解を深める際には,自分がこれまでに気づかなかった事柄を付け加えて,学習内容に意味を持たせることが重要で,そのやり方を教えるために,学習の初期段階においては周りの大人が積極的に働きかけていく必要があります。

なお,知識量が増えていくことについて補足すると,たくさん覚えたからといって,それが新しい知識の吸収を妨げることはありません

むしろ,現実は真逆であることの方が多く,例えば英単語の学習においては覚えれば覚えるほどに「意味付けによる繋がり」が見えやすくなってくるため,頭に詰め込める単語量がどんどん増えていくことが知られています。

この場合,「意味付け」の部分にあたるのは接頭語や接尾語(unableやunfortunateから,unが付くと否定の意味になることを理解する)や品詞の目印(lyが付くと副詞,-tionとなっていれば名詞だとわかる)などです。

管理人
管理人
より正確に言えば,知識というのはその性質により,単なる知識(個別的知識)か応用のきく知識(法則的知識や接続用知識)に大別され,上の例では「単語自体」は前者,「意味付けにあたる知識」は後者に当たります。

 

 

まとめ

間違いだらけの学習法の表紙

といったわけで,知識を学ぶときはなるべく意味付けを行い,機械的な丸暗記にならないように工夫することが大切で,復習する際は,その問題で核となるような部分に気づいて工夫を施すようにしましょう。

このような勉強法は,誰かに教えて貰えればすぐに実践できるようになりますが,指摘されなければずっと知らずに大人になってしまうかもしれません。

そうならないように,いつの時代でも大人ができることと言えば,子どもの目には見えていないことを気づかせる手助けとなり,例えば子どもが学校のワークを復習するときに,思考停止した状態で解いていないかをしっかり確認するようにしてください。

ここで語った内容は,教育改革によって新しい勉強法が注目される中で,その陰に埋もれがちなものです。

令和時代だからといって,別段新しい勉強法を採用する必要はありません

と私が冒頭で述べたのは,そういう理由があってのことでした。

未来の勉強法が従来のそれと別物であるかのように教育改革を捉えてしまうと,今回述べたような地味な勉強法はますます見えにくくなってしまうでしょう。

学校での指導方法が変わっても,家での勉強法に変化はありません。

それに気づかないままでいると,どんなに優れた教育改革も,ゆとり教育などと同様,まったく意味がなかったとされてしまう恐れがあります。

令和時代は

教科書を読んで知識を詰め込むのではなく,体験型学習でもって楽しく学びましょう

といった誤った知識を吹聴する「自称知識人」も増えることでしょう。

ですが,そんなときにこそ,

私たちはこれまでにかなりの回数,夜に浮かぶ月を見てきたにもかかわらず,「東の空から満月が出てくるのは,必ず夕方である」という命題が正しいか間違っているのかについて,100%自信をもって答えられる人は少ない

という事実を思い出すようにしてください。

この答えは「正しい」ですが,ここから学べることは,目に入っていても注意しなければ見えないことがあるということで,これまで幾度となく体験しているはずのこと(毎晩見ている月)であっても,本質は見えていなかった(覚えていなかった)ということです。

ずっと昔から,数学の問題を解くこと自体が問題解決能力の育成に有効なアクティブラーニングでしたし,国語の読解問題を通して論理的な思考を習得することも十分に可能でした。

ところで,学校の授業ではやることが多く,確保できる時間に限りがあることには注意が必要です。

集団授業という形態はそもそも成績が上位の人,つまりは要点だけ説明して,各自がその内容を上手に補完しては忘れにくい形で覚えられる生徒にだけ効果を発揮するものですので,いったん落ちこぼれてしまった人を決して待ってはくれません。

個別最適化学習が利用できても,できる人とできない人の差は広がる一方です。

結果として,勉強で遅れを取ってしまった子がいざ一念発起して学校の授業をまじめに受けたところでさっぱりわからず,「自分は頭が悪いんだ」とか「どうせ頑張っても無駄なんだ」と自己肯定感が失われてしまうことになります。

私も塾でそういった子にたくさん出くわしてきました。

しかし,そういった子であっても,わからないところを(応用のきく知識を)適材適所で教えてあげれば,すぐにできるようになるという事実をどうか忘れないでください。

そういった働きかけについては,本来ならば,個別指導の塾で1対1でしっかりと教えてもらうのが良いのですが,現代ではスタディサプリのようなオンライン教育サービスも出てきており,高いコスパは教育格差の対抗策として有力です。

学校で学んだ内容を別の先生を通して学び直せば,必然的に学ぶ量が多くなりますし,講義内では復習の方法についても言及されます。

いずれにしても,当記事や間違いだらけの学習論に書かれている内容を思い出しては勉強していってください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

  • この記事を書いた人
学校の教室

スタディサイトの管理人

通信教育の添削や採点業務に加え,塾や家庭教師を含めた指導歴は20年以上になります。東大で修士号を取得したのはずっと昔のことですが,教授から数年に一度の秀才と評してもらったことは今でも心の支えです。小学生から高校生にまで通じる勉強法を考案しつつ,気に入っているスタディサプリのユーザー歴は7年を超えました。オンラインでのやり取りにはなりますが,少しでもみなさまのお役に立てれば幸いです。

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