勉強法

詰め込みだろうとゆとり教育であろうと勉強法はいつの時代も同じです!

令和時代になり,新学習指導要領や各種教育改革関連のニュースで騒がしくなってきても,小中高生は焦る必要はありません。

というのも,取るべき勉強法はいつの時代であっても同じだからです。

それどころか,「学習形態がアクティブラーニングに変わろうと,もしくは問題解決能力を育む題材をどれだけ授業で取り上げようとも,生徒側の学習方法がこれまでと同じであれば,授業効果は全く変わらない」という意見が,2,30年も昔からすでに提言されています。

今回は,25年前に発刊された『間違いだらけの学習論(西林勝彦)』という本の中から,2020年以降の教育改革において忘れてはいけないことがらについて,いくつかまとめてみたいと思います。

「教科書は分厚い方が実は覚えやすい」

「繰り返し学習すれば覚えられるというわけでもない」

といった意見にハッとさせられた方は,是非原著の方を読み進めていただくのもおすすめです。

 

 

学ぶ量を少なくするのは優れた勉強法ではない

kaboompics / Pixabay

自分が学生だった時代を振り返ってみると,「宿題の量やテスト範囲が少なければ少ないほど喜ぶのが当然」だと思っていましたが,逆に少ないからこそ覚えにくく,応用がきかなくなってしまうことが多々あります。

例えば,こちらは先の本からの引用ですが,

『班田収授の法・荘園の成立・三世一身の法・墾田永年私財法を歴史順に並べなさい』

という問題を解く際,ただ名前と年号だけ丸暗記するような勉強法を採用していた学生であれば,受験勉強が終わって歴史の勉強をしなくなるとすぐに忘れてできなくなってしまうことが知られています(みなさんはできますか?是非ここで答えの方,考えてみてください)。

 

逆に,『公地公民』という「古代の土地制度の規制が徐々に緩くなって,しまいには崩壊して荘園制が成立した過程」の中で,これらの出来事をとらえる勉強法をしてきた学習者であれば,簡単に

  1. 班田収授の法
  2. 三世一身の法
  3. 墾田永年私財法
  4. 荘園の成立

と正しく並べ替えられることでしょう。

補足

口分田を生前は授けるが,死後は国家が収めるのが「班田収授の法」。開墾した土地は三代にわたって保有を許可するのが「三世一身の法」。そして開墾した田んぼを永久に私有地化できる「墾田永年私財法」を経て,貴族や寺社の私的な領有地の「荘園が成立」しました。

このとき正解できた学生は,ただただこの4つを語呂合わせなどで丸暗記する学習法を採用したのではなく,それぞれの出来事の内容に加え,古代土地制度の衰退から荘園制の成り立ちという歴史の流れまでを学習しているわけで,この場合,学習量が多い方が学びやすくなっていると言えるでしょう。

要点だけ書き並べた薄いまとめ用紙(テスト前に作るようなまとめプリント)をひたすら覚えこむよりも,「すごい分厚いけれどマンガ形式であったり,語り口調の予備校の授業の一場面を切り取ったような形式の書籍で背景まで学ぶ勉強法」の方が,わかりやすく記憶にも残りやすい場合があるのです。

もちろん,量が少ない方が覚えやすいこともあり,例えば2桁の数字を暗記するようなときは5個覚える方が20個覚えるより楽だったりします。

ですが,この例が先の口分田の話と違うところは,「覚えるべき事柄に意味があるものか,それとも無意味な情報の羅列なのか」ということです。

数字の2桁暗記は,それ自体に規則性もなく意味のないものですので,こういったものを覚える際の学習法は量を少なくする方がよいことになります。

ですが,実際学校で学ぶ知識のほとんどは意味があるものなので,学び方を工夫することで忘れにくくなることも忘れないでおきたいですね。

まとめると,

効率的な勉強≠最小限の知識を簡潔に学ぶ

となります。

 

 

繰り返し解き直す勉強法では工夫が必要

johnhain / Pixabay

次に考えてみたいのは,同じ問題を数回解き直しする勉強法を採用するときの注意点についてですが,このときただの繰り返しにしないことが重要です。

頭をしっかり使って,学んだ事柄にさらに意味を加えることができて初めて,解き直しというのは効果を発揮するようになります。

例えば1度目の学習で,『女の人が氷を持っている』としか学ばなかった子が,2度目の学習で『熱を出した子どもの母親が氷を持っている』と学び直すことができると,より『女性』と『氷』の結びつきが強くなったことがわかるでしょうか。

黄色部分が繰り返しの時に学び直した事柄で,『女性と氷』に新しい意味(熱が出ている子ども)が加わっています。

逆に,何度繰り返しても頭を使わず,ただ『女性と氷』を丸暗記するような勉強法では覚えていられる期間も短く,復習の効果は薄くなってしまうのです。

というわけで,復習して理解を深めるという学習法を採用するときは,

学習者がこれまでに気づけなかった知識を付け加えて理解できるよう,周りの大人が意図的に働きかけたり教材の解説を工夫する

ことが大切になってきます。

 

なお,知識量が増えていくことについてですが,たくさん覚えたからといって新しい知識の吸収が邪魔されることはめったにありません

むしろ現実は逆のことが多く,これは英単語などで顕著ですが,単語を覚えれば覚えるほど,上記で説明した『意味付けによる繋がり』のようなものが見えやすくなるため,詰め込める単語量がむしろ逆に増えていくことが起こり得るわけです。

この場合,『意味付け』部分にあたるのは,接頭語や接尾語(unableやunfortunateから,unが付くと否定の意味になること)であったり,品詞の目印(lyが付くと副詞,-tionとなれば名詞)のようなものになります。

※より正確に言えば,知識というのはその性質により,単なる知識(個別的知識)か応用のきく知識(法則的知識・接続用知識)かに分かれ,上の例の場合,「単語自体」は前者を,「意味付けにあたる知識」は後者をそれぞれ指しています(詳しくは「間違いだらけの学習論(西林克彦著)を参照してください」)。

 

 

まとめ

間違いだらけの学習論のレビュー

といったわけで,知識を学ぶときはなるべく意味付けして機械的な丸暗記にならないように工夫することが大切で,繰り返し解く際は,その問題で核となるような部分に気づくようでなければ,何度解きなおしても真の意味でできるようにはならないことがわかっていただけたかと思います。

そんな時に周りの大人ができることは,子どもにはみえていない知識を気づかせる手助けしたり,例えば学校のワークを復習する際は,子どもの思考が停止した状態で解いていないかをしっかり確認する必要があるということでした。

なお,こういったことは教育改革が叫ばれるたびに言われ続けてきたことであり,令和時代を迎えても同じように言われ続けるでしょう。

それほどまでに,こういった基本原則は新しい勉強法の陰に埋もれがちなことなのです。

2020年を迎えたからといって,別段新しい勉強法を採用する必要があるわけではありません。

と最初に言ったのはそういう理由があってのことでした。

逆に,今後の勉強法がこれまでと180度変わってしまうかのように教育改革を捉えてしまうと,これまでですら無視されてきた効率的な学習法がますます見えにくくなってしまう恐れがあります。

ただ学ぶ方法だけ変わったとしても,学習者側の勉強法についてもしっかり目を向けなければ,今回のものもこれまでと同じように「教育改革は悪だ」という結論に終わってしまうかもしれませんね。

 

今後は

「教科書を読んで知識を詰め込むのではなく,体験型学習でもって楽しく学びましょう!」

などと,一見もっともらしいことを教育の場で耳にする機会も増えることでしょう。

ですがそんなときこそ,

「私たちはこれまでにかなりの回数,夜に浮かぶ月を見てきたにもかかわらず,東の空から満月が出てくるのは,必ず夕方である」という命題が正しいか間違っているのかについて,100%自信をもって答えられる人は少ない」

ということについて考えてほしいと思います。

上記問いの答えは「正しい」ですが,ここから学べることは,目に入っていても注意しなければ見えないことが多々あるということであり,これまで幾度となく体験しているはずのことであっても,自分には見えていなかったということです。

教育改革をしなくても,数学の問題を解くこと自体が問題解決能力の育成に有効なアクティブラーニングだと言えるはずですし,国語の読解問題を通して論理的な思考の習得だってこれまでの学習法で十分に可能だったわけですからね。

 

最後になりましたが,もう一つだけ。

学校の授業ではやることが多く,確保できる時間に限りがありますし,集団授業の形態というのはそもそも,成績が上位の人または教師の要点だけ押さえた説明をしっかり理解できる生徒にだけ効果があるものですので,いったん落ちこぼれてしまった人を決して待っていてはくれません。

その結果,ちょっと勉強で遅れを取ってしまった子が,いざ一念発起して学校の授業をまじめに受けたとしても意味がさっぱりわからないことになり,「自分は頭が悪いんだ」とか「どうせ頑張っても無駄なんだ」と自尊心が傷つけられてしまう生徒が生まれてしまうことになります。

私も塾でそういった子にたくさん出くわしてきました。

しかしそういった子であっても,わからないところを(応用のきく知識を)適材適所で教えてあげれば,すぐにできるようになるという事実をどうか忘れないでくださいね。

 

そういった働きかけについては,本来ならば,個別指導の塾で1対1でしっかりと教えてもらうのがよいのでしょうが,現代では『スタディサプリ』のようなオンライン教育サービスも出てきており,値段に対する情報量が多く教育格差が出にくいと評判です。

実際の中学や高校において,授業と併用している学校も多いと聞いています。

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最後までお読みいただきありがとうございました!

  • この記事を書いた人

スタディサイト管理人

都内の塾運営にかかわってから,講師歴も15年以上になりました。小学生から高校生まで学校の定期テストから大学入試まで幅広く教えています。最近の関心事は「教育改革」で,塾に入ってくる情報に加え,セミナーや書籍,信頼のおける教育機関より得た情報をWebにまとめてみました。ネットを介したやり取りにはなりますが,少しでもみなさまのお役に立てたらと思います。
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