「ケンブリッジ英検(Cambridge English)」は,2020年度の入試改革で採用される予定であった民間試験の1つです。
現在の状況については以下の記事でご確認ください↓↓
英検やTEAPなど,いくつかメジャーな候補がある中で,本試験はIELTSと並び,英語力を最も高いレベルまで判定することができますが,周りで受けている人は滅多にいないマイナーな試験でもあります。
そもそもの対策の難しさもありますが,おそらくは他の試験で事足りてしまうのが一番の原因でしょう。
とはいえ,今後脚光を浴びることもあるかもしれませんし,ケンブリッジ英検に向けて勉強することは,英語4技能をバランスよく育成することにもつながるわけですから,全く無駄にはなりません。
受けるか受けないかはさておき,大学入試に使える試験である以上,どういったテストなのかくらいは知っておくべきでしょう。
今回の記事では,その試験内容や大学入試との関連性についてまとめましたので,ぜひ参考にしてください!
もくじ
ケンブリッジ英検とは
ケンブリッジ英検は,英国にあるケンブリッジ大学の一部門である「ケンブリッジ大学英語検定機構」が開発し提供するテストです。
受検者は世界130ヶ国で年間550万人ほどとなり,世界的に見れば人気の高い試験の1つだとされています。
そしてこの機構,実はすでに記事にしたIELTSの問題作成も担当しているのはご存知でしたでしょうか↓↓
両者の違いについてですが,ケンブリッジ英検は学生や社会人の英語力を測定しつつ,向上させるための道のりを示すためのものであるのに対し,IELTSは海外に移住したり留学するための英語力を診断するためのものであるという認識です。
とにかく,「ケンブリッジ大学」という世界に名だたる教育機関が組織する試験ですので,試験の質が世界トップレベルであることに疑いはありません。
THEの世界大学ランキングにおいてもトップ10の常連です。
単に日本では人気がなく,実用英語技能検定(いわゆる普通の英検)と混同している人すら見られるのが現状だということに過ぎません。
とはいえ,今後「ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)」という枠組みで小中高生の英語力は測られていくわけですから,その本場ともいえるケンブリッジ英検により注目が集まっていくことになってもおかしくないでしょう↓↓
とりわけ本検定にあるA2レベルを測るための試験(KET)は,日本の高校生の4技能を測るために日本で作られた試験であり,スピーキング能力の測定に関していち早く対応した試験であることは忘れてはいけません。
試験の種類についてもう少し説明を加えますが,このケンブリッジ英検はいくつかの試験からなっており,A1~C2レベルまで8つの試験が用意されている試験です↓↓
これらのうち,どの試験を受けるかについては各自の目的に応じて決めることになりますが,例えば高校3年生でしたらB1のPETが,中学3年生でしたらA2のKETを受けるのがレベルとしては適当です。
日本の英検でいうところの2級が前者で,後者が準2級にあたると言えばわかりやすいでしょうか(後述)。
なお,結果は「Cambridge Englishスケール」という数値(80~230)で表示され,各種試験やCEFR・IELTSとの比較も簡単にできます。
スケールについて詳しく知りたければ,公式ページにアクセスしてください。
大学入試改革に利用する場合
ここでは,ケンブリッジ英検を大学入試に利用する場合に特化して解説していきたいと思いますが,試験の難易度としては,KET・PET・FCEのいずれかを受けることになるでしょう。
CEFRと日本の英検との対応関係ですが,
- KET:A2レベル,準2級
- PET:B1レベル,2級
- FCE:B2レベル,準1級
となっています。
高校3年生だと実力的にはPETが良さそうですが,英語が得意だということを試験でアピールするのであれば,背伸びしてFCE以上を受けることになるでしょう。
実際の例として,早稲田大学の文化構想学部を取り上げてみますが,2020年度の英語4技能テストでは以下のような基準スコアが提示されました↓↓
右から2つ目の列がケンブリッジ英検のスコアですが,利用可能な試験はFCE/CAE/CPEの3種類のみでした。
ここまでのレベルの大学(偏差値65~70)ともなるとPET以下のテストは利用できないので注意が必要です。
ちなみに,FCEの試験で測定できるスケールは,以下の表のように140~190となっており,合格すれば最低160のスケールが保証されます(通常GradeAは出ません)↓↓
実際,早稲田の上記学部では,2019年度の入試において初めてケンブリッジ英検が加わりました。
このような具合ですので,今後は本試験に対応する大学も増えてくることと思われます。
受検会場についても同様で,現在個人で受けようと思うと少ない中から選ばざるを得ませんが,これから増えてくることを期待したいですね↓↓
B2 First(FCE)と対策について
最後に,B2 First(FCE)の試験内容についてまとめておきましょう!
リーディング&文法・語彙
読解と文法語彙の試験時間は1時間15分で,7つのパートからなります。
- 空所補充問題8問
- 穴埋め問題8問
- 空所補充8問(語幹を変化させる)
- 空所補充6問(同じ意味に書き換える)
- 読解問題6問(4択問題)
- 読解問題6問(文を元の位置に戻す)
- 多重マッチング問題10問
文法力や語彙力に加え,論理構成や要旨の把握が必要です。
ライティング
ライティングは1時間20分かかり,2つのパートがあります。
- 与えられたアイデアと自分のアイデアを用いてエッセイを書く
- 記事・手紙・書評・物語などから1つ選び書く
どちらも140~190語で,採点はおおむね通常の英作文で行われる方法で行わるようです↓↓
リスニング
リスニングは40分程度で,4パートから構成されます。
- 会話文8題
- モノローグを聞き10文を完成させる
- 5つのモノローグを聞き,正しい内容を選ぶ(5題)
- インタビューや会話を聞き,正しい内容を選ぶ(7題)
実生活で使える「英語を聞く力」が幅広く問われます。
スピーキング
スピーキングは全14分。
受検者が2名ずつペアになって受ける対面式のテストです。
全4パートあり,発音や文法・語彙以外に,自分の意見をまとめたり,議論にうまく参加できているかなどが問われます。
- 自己紹介など
- 2枚の写真について1分間説明し,内容について答える
- もう1人の受検者とディスカッションする
- 上記に関連したトピックについて再度2人で議論する
以上について深く理解するためにも実際の問題を解いてみるのが一番ですが,例えば公式サイトではサンプル問題が利用できます↓↓
FCEの対策本は日本語で販売されているものはなく(PETなどは複数ありますが),洋書のペーパーバックを利用するのが普通です↓↓
上記はAmazonの例です。
まとめ
以上,「ケンブリッジ英検」についての基礎知識と入試改革における利用例,そして試験の中からFCEをピックアップして,その試験内容について簡単にまとめてみました。
「Cambridge Englishスケール」という名の点数やCEFRとの関係性,入試利用に関する理解が少しでも深まったようでしたら幸いです。
他の英語資格検定試験に比べると,日本では現状なかなか受けにくい理由が多いですが,その状況は今後改善されることと思われますので,頭の中にこのケンブリッジ英検も一つ留めておいてほしいと思います。
最初に言いましたが,問題自体は良質なものであり,試験に向けて勉強することは学習者の4技能を総合的に伸ばすことに役立つテストですから。
それでは最後に,現状のみなさんの学力がどの程度のものなのか測ってみましょう!
中高生対象のレベルチェックテスト
上記25問のうち何問正解できたかで,現在の実力で受けられそうな試験が判定されます↓↓
例えば,上のように21問正解できた場合は,
先ほどのFCEが,実力的にピッタリということになります。
選択問題だけで,読んで答えるだけの簡単なものですがなかなかに精度は高いですよ!
以上,最後までお読みいただきありがとうございました。