「ケンブリッジ英検(Cambridge English)」は,英検やTEAPなどの有名な民間試験の中で,本試験はIELTSと並び,受験者の英語力を最高レベルまで判定することができるものですが,周りに受けている人が滅多にいないマイナーな試験でもあります。
そもそもの対策の難しさもありますが,他の試験で事足りてしまうのが一番の原因でしょう。
とはいえ,本試験が今後脚光を浴びることもありえますし,ケンブリッジ英検に向けて勉強することは,英語4技能をバランス良く育成することにも繋がるわけですから,全く無駄にはなりません。
受けるか受けないかはさておき,大学入試に使える試験である以上,どういったテストなのかくらいは知っておくべきでしょう。
今回の記事では,その試験内容や大学入試との関係についてまとめてみましたので,是非参考にしてください!
ケンブリッジ英検とは
ケンブリッジ英検は,英国にあるケンブリッジ大学の一部門である「ケンブリッジ大学英語検定機構」が開発し,提供しているテストです。
受検者は世界130ヶ国で年間250万人ほどであり,世界的に見れば人気の高い試験の1つだと言われています。
ところで,この機構,実はすでに記事にしたIELTSの問題作成も担当しているのはご存知でしょうか↓
両者の違いについてですが,ケンブリッジ英検は学生や社会人の英語力を測定しつつ,能力を向上させるための道のりを示すものであるのに対し,IELTSは海外に移住したり留学するために必要な英語力を診断することを目的としたテストです。
加えて,「ケンブリッジ大学」という世界に名だたる教育機関が組織する試験ですので,問題の質が世界トップレベルであることに疑いはありません。
しかし,日本では人気がなく,実用英語技能検定(いわゆる普通の英検)と混同している人すら見られるのが現状です。
とはいえ,今後「ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)」という枠組みで小中高生の英語力は測られることになるわけですから,その本場と思われるケンブリッジ英検により注目が集まっていくことになってもおかしくないでしょう↓
とりわけ,本検定にあるA2レベルを測るための試験(KET)は,日本の高校生の4技能を測るために日本で作られた試験であり,スピーキング能力の測定に関して,いち早く対応した試験であることは忘れてはいけません。
試験の種類についてもう少し説明を加えると,このケンブリッジ英検は複数の試験からなっており,A1~C2レベルまで8つの試験が用意されています↓
これらのうちどの試験を受けるかについては各自の目的に応じて決めるべきですが,例えば高校3年生でしたらB1のPETが,中学3年生でしたらA2のKETを受けるのが,レベル的には適当です。
日本の英検でいうところの2級は前者,後者が準2級にあたると言えばわかりやすいでしょうか。
なお,結果は「Cambridge Englishスケール」という数値(80~230)で表示され,CEFRやIELTSとの比較も簡単にできます。
スケールについて詳しく知りたければ,公式ページにアクセスしてください。
なお,更新時において受験できる会場を調べると,北海道や東京,長野,愛知,広島,福岡など,全国で14ヶ所が確認できました。
ケンブリッジ検定を大学入試に利用する
ここでは,ケンブリッジ英検を大学入試に利用する場合について解説していきたいと思いますが,試験の難易度的に,KET・PET・FCEのいずれかを受けることになるでしょう。
CEFRと日本の英検との対応関係ですが,
- KET=A2レベル・準2級
- PET=B1レベル・2級
- FCE=B2レベル・準1級
となっています。
先述の通り,標準的な高校3年生であればPETが良さそうですが,英語が得意だということをアピールするのであれば,背伸びして「FCE以上」を受けることになるでしょう。
実際の例として,早稲田大学の文化構想学部を取り上げてみますが,2020年度の英語4技能テストでは以下のような基準スコアが提示されました↓
右から2つ目の列がケンブリッジ英検のスコアですが,利用可能な試験はFCE/CAE/CPEの3種類のみでした。
ここまでのレベルの大学(偏差値65~70)ともなるとPET以下のテストは利用できないので注意が必要です。
ちなみに,FCEの試験で測定できるスケールは,以下の表のように140~190となっており,合格すれば最低160のスケールが保証されます↓
通常GradeAは出ませんので,B2レベルの証明に使われることがほとんどです。
ところで,早稲田の上記学部では,2019年度の入試において初めてケンブリッジ英検が加わりました。
このような具合ですので,今後は本試験に対応する大学がますます多くなってくるでしょう。
受検会場についても同様で,2020年には8会場だったものが2022年は14会場に増えています。
B2 First(FCE)と対策について
最後に,B2 First(FCE)の試験内容について,簡単にまとめておきましょう!
リーディング&文法・語彙
読解と文法語彙の試験時間は1時間15分で,7つのパートからなります。
- 空所補充問題8問
- 穴埋め問題8問
- 空所補充8問(語幹を変化させる)
- 空所補充6問(同じ意味に書き換える)
- 読解問題6問(4択問題)
- 読解問題6問(文を元の位置に戻す)
- 多重マッチング問題10問
文法力や語彙力に加え,論理構成や要旨の把握が必要です。
ライティング
ライティングは1時間20分かかり,2つのパートがあります。
- 与えられたアイデアと自分のアイデアを用いてエッセイを書く
- 記事・手紙・書評・物語などから1つ選び書く
どちらも140~190語で書きますが,採点はおおむね通常のライティングで行われる方法に従うので,英作文の得点を上げるためのポイントを参考にしてください。
リスニング
リスニングは40分程度で,4パートから構成されます↓
- 会話文8題
- モノローグを聞き10文を完成させる
- 5つのモノローグを聞き,正しい内容を選ぶ(5題)
- インタビューや会話を聞き,正しい内容を選ぶ(7題)
実生活で使える「英語を聞く力」が幅広く問われるので,特別な訓練が必要になるわけではありません。
実力通りの結果となるはずです。
スピーキング
スピーキングの時間は全14分となります。
形式は,受検者が2名ずつペアになって受ける対面式なので,やや特殊です。
全4パートあり,発音や文法・語彙以外に,自分の意見をまとめたり,議論にうまく参加できているかなどが問われます↓
- 自己紹介など
- 2枚の写真について1分間説明し,内容について答える
- もう1人の受検者とディスカッションする
- 上記に関連したトピックについて再度2人で議論する
以上について深く理解するためにも実際の問題を解いてみるのが一番ですが,例えば公式サイトではサンプル問題が利用できます↓
FCEの対策本は日本語で販売されているものはなく(PETなどは複数ありますが),洋書のペーパーバックを利用するのが普通です。
まとめ
以上,ケンブリッジ英検についての基礎知識と入試改革における利用例,そして試験の中からFCEをピックアップして,その試験内容について簡単にまとめてみました。
「Cambridge Englishスケール」という名の点数やCEFRとの関係性,入試利用に関する理解が少しでも深まったようでしたら幸いです。
他の英語資格検定試験に比べると,日本では現状なかなか受けにくい試験ですが,その状況は今後改善されていくことと思われますので,選択肢の1つとしてケンブリッジ英検も頭の中に入れておくことをおすすめします。
最初に言いましたが,問題自体は良質なものであり,試験に向けて勉強することは学習者の4技能を総合的に伸ばすことに役立つテストです。
最後になりましたが,現状のみなさんの学力がどの程度のものなのか測ることができます↓
中高生対象のレベルチェックテスト
この結果により,ケンブリッジ英検のどのレベルが適切かわかるので,是非やってみてください。
25問中21問正解できた場合であれば,先ほどのFCEが実力的にピッタリということになります↓
すべて選択問題で,読んで答えるだけの簡単なものですがなかなかに精度は高いです。
以上,最後までお読みいただきありがとうございました。