英語を書いているときに,「これって正しい英語なの?」とか「実際に英語圏で使われてる?」と疑問に思うことって結構ありますよね。
今回はそんなときに簡単にチェックができる,英辞郎とコーパス(COCA)という2つのサイトの使い方について紹介してみたいと思います。
前者は簡単に単語の意味も調べられますし,後者は英作文の採点者でもよく使うものですので,是非使い方を身に付け,これからの英語学習に役立てていきましょう!
英語を書く際に出くわす問題
英語を書くとき特に出くわす疑問は,
この日本語,英語でなんて言うのだろう
といった単語レベルの簡単なものから,
和英辞書を使って日本語を英語に直訳したけれど,正しい英語になっているのだろうか
といった解決が難しいものまで多くあります。
そんなとき,紙の辞書を本棚から引っ張り出してきていちいちめくるのも面倒くさいですし,そもそも出先では辞書を持ち歩きませんし,後者に至っては,英語のネイティブが周りにいればいいですが,そうでない環境にいる人にとっては厄介です。
にもかかわらず,これからは英語も4技能が問われる時代。
記述式問題は増加し,英語で話す機会も増えるでしょう。
そんなわけで,今回は英語を書いたり言おうとして悩んだときに,パッと簡単に調べられて便利な,
英辞郎とコーパス
という2つのオンラインサービスについて紹介したいと思います。
存在すら知らなかった方も多いでしょうが,両者とも仕事として英語を使っている方の間でも使われている本格派のサービスなので,今後長い付き合いになるかもしれないことを考えると,早めに使っておいて間違いありません!
英辞郎とは
それでは早速「英辞郎」について説明していきましょう!
「英辞郎 on the WEB」というのが正式な名称で,アルクのウェブサイトから利用することができます↓↓
公式サイト
本格的な英語学習をされている方には有料版のProが圧倒的におすすめですが,お金に余裕がない学生であればログイン不要の無料版でよいでしょう(Pro Liteは中途半端な機能かつログインが必要で気楽に使えないのですすめません)。
有料版のProについての詳しいレビューは以下の記事に譲るとして,ここでは無料版に限って説明していきます。
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英辞郎(無料版)の利用方法は簡単で,ページ上部にある検索窓(四角い枠内)に言葉を入れるだけ。
例えば,英語でどう言うか知りたい日本語を打ち込めば,それに対応する英語の候補が複数表示されますし,逆に日本語を入れれば,対応する英語が出てきます。
上記画像は such as について調べたものですが,意味以外にもいくつかコロケーション(連語)が表示されてきているのがわかります。
こういった連語を読むことで,実際の英文中での使い方のヒントめいたものを学ぶことができるので,英辞郎はおすすめです。
such as =「例えば~など」と丸暗記するのではなく,alcohol such as beer といったフレーズがあることから,
「総称名詞+such as 具体例のように英語で書けそうだ」
と,勘が鋭い人ならわかるのではないでしょうか。
他にも例文をみていけば,for example と違い,such as の後にカンマは不要で名詞が来ることにも気付けるかもしれません。
また,単語によっては,意味以外に品詞や発音記号の読み方,さらには難易度(レベル)も表示されてきます↓↓
ここで言う「単語レベル」と言うのは,アルク独自の重要単語リスト(標準語彙水準SVL12000)を1000語ずつの12段階に分けたものです(※詳細)↓↓
今後英作文では,CEFRを基準にした単語の難易度も評価に入る可能性があるので,ただ単に,
It became a good day.
と書く代わりに,
It became a memorable day.
と書いた方が,英作文では良い点が付くと言えるでしょう。
例えば,上の memorable はCEFRだとB1レベルの単語ですが,これは英辞郎だと『レベル8』に相当する単語です。
もちろん実際のCEFRと完璧に対応しているわけではなく,名詞の lid(ふた)はCEFRではB2レベルにもかかわらず,英辞郎だとレベル3に分類されてきます。
とはいえ,英辞郎を使って難度の高いとされる単語に日ごろから慣れておけば,大学入試で上手く使えるときも増えるでしょう。
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コーパスとは
次に紹介するのは「コーパス」と呼ばれる英文のデータベースについてです。
※なお,先述した英辞郎の有料版であれば,コーパスに似た検索機能が搭載されているので,すべて1つのサービス内で完結できます(機能的には整列と頻度集計が相当します)↓↓
この中には,いわゆる英語圏の新聞・雑誌・テレビなどで使われている英文が集められているので,実際に使われている「生きた」英語を調べることができます。
先ほどの例で言えば,such as と for example のどちらが英語圏で多く使われているのかわかったり,memorable の後ろによく来る名詞がどんな単語なのかまで調べてしまうことが可能になってしまうわけです。
これは辞書では到底できないことですよね。
先の「英辞郎」と比べると使い方はより難しくなりますし出番も少なくなるでしょうが,ここで知り得た情報は他のどんな文法書よりも現実というものを表していますし,英作文の採点者をはじめ,プロフェッショナルな方にももちろん使われているものなので,是非ここで使い方を学んでおきましょう!
なお今回は,コーパスの1つである
Corpus of Contemporary American English(COCA)
を例にみていくことにします。
早速,以下のサイトにアクセスしてくださいね↓↓
公式サイト
コーパスの使い方
上段のタブですが,使うのはSEARCH(検索語を入力する)・FREQUENCY(調べた語の使用頻度をみる)・CONTEXT(実際に使われる英文を確認する)の3つが多いですかね。
あとは左下にある青文字で示された『モード』の中で,List と Collocates の2つをよく使います。
今回は2つの調べ方を通して,使い方について確認していきましょう!
検索語の品詞を指定して調べる方法
それでは such を調べてみますが,品詞を指定する場合はウインドウの右にある [pos] という部分をクリックし,出てきた品詞リストから別途指定します。
使われている頭文字は,noun(名詞),verb(動詞),adj(形容詞),adverb(副詞),art(冠詞),det(決定詞),pron(代名詞),prep(前置詞),conj(接続詞),neg(否定形),poss(所有格)です。
今回は代名詞の such を調べてみたいので,pron.ALL を選択して,Find matching strings を押します。
すると,タブが Frequency に切り替わり,以下のようなページが出てきました↓↓
FREQが2となっていますが,数字が多いほどよく使われていることになるので,極めて少ないですね。
逆に形容詞の such で調べると,FREQは60000以上です。
青文字になっているSUCHをクリックしましょう。
すると今度はCONTEXTタブが開き,実際に使われている英文をチェックできます。
この結果の見方ですが,2017と書いてある列は『年代』を,その右にあるACAD(学術論文)は『ジャンル』を示しており,他にFIC(本),SPOK(話し言葉),NEWS(ニュース),MAG(雑誌)があります。
実際に使用された英文が右に出ていますが,緑色で検索語がハイライトされていますね。
検索語の前後にくる単語を品詞指定して検索する方法
それではもう一つの使い方を紹介しましょう。
今度は『memorable の直後に来やすい名詞』について調べてみましょうか。
SEARCHタブで,Collocatesを選択します。
memorable とword/phrase の横に入力し,下のCollocatesという文字の右側にある[pos]をチェックし,noun.ALLを選択します(すると左に_nn*が入りますが,これが名詞のコマンドですので無視してください)。
memorable の直後という指示は,下にある数字で,右にある1のみ選択すればOKです。
最後に,Find collocatesをクリックします。
するとこのように頻度順に名詞が出てきますが,memorable moments が一番多いことがわかりました。
MOMENTSの青文字をクリックすれば,実際の英文が確認できます。
FOXやCBSなどといったテレビ番組からの英文も見受けられました。
このコーパスも基本的に登録なしで使えますが,登録することで検索できる回数が10から50に増えます。
まとめ
以上,英語4技能が問われる時代の勉強などに役立つ英辞郎とコーパスについて,その使い方を解説してきました。
前者は簡単に日本語⇔英語を調べられますし,後者も慣れれば,使用頻度や実際の生きた英文を簡単にチェックできます。
少し前のことになりますが,私が大学に入学した時,初めて教えてもらったのが「英辞郎」で,
「こんなに簡単に単語を調べられるのか」
と驚いたものでしたが,同時に,
「中学や高校でどうして誰も英辞郎について教えてくれなかったのだろう」
と疑問にも思ったものです。
先述した通り,単にこういったサイトの存在を知っているか知らないかだけで毎日の過ごし方が大きく変わってきますし知識量にも差がついてくるわけですから,今回のような内容を是非多くの方に知ってもらって,個人,ひいては日本人全体の英語力に磨きがかかることを祈って結びの言葉といたします。
最後までお読みいただきありがとうございました。