大学受験で難しいのは,参考書を買うことではありません。
今の自分に必要な教材を選び,どの順番で,どの時期までに仕上げるかを決めることです。
当サイトが提唱する「学習OS」では,メイン教材,補助教材,特化型教材を組み合わせ,自分で学び方を更新していくことを重視しています。
その中でも,大学受験における「補助教材・特化型教材の選び方」と,「学習計画をどう実行・修正していくか」を考えるうえで参考になるのが,KADOKAWAの「プランブロック式 ゼロから理系難関大学に合格できる戦略的学習計画法」です。
本書は理系難関大を目指す受験生向けに書かれていますが,教材を段階的に積み上げる考え方,セルフテストによる到達度確認,定期的な計画修正は,文系受験や資格試験にも応用できます。
この記事では,指導歴20年の視点から,本書の特徴と,学習OSに取り入れたいポイントを整理します。
当記事は著者・草下氏から執筆依頼を受けて制作しました。報酬や書籍提供は受けておらず,内容の選定と評価は当サイトが独立して行っています。書籍内の画像は著者の許可を得て掲載しています。
学習OSにおける本書の位置づけ
「プランブロック式 ゼロから理系難関大学に合格できる戦略的学習計画法」(以下「プランブロック式」)は,学習OSにおける「開始ルーティン」や「メンテナンス」を補強する書籍です↓
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本書がメインに扱うのは,開始ルーティンの中でも「適切な教材」と「学習計画」の部分ですが,勉強のスイッチの入れ方や環境づくりまで幅広くカバーされています。
スタディサプリをメイン教材としてインプットを進めつつ,本書で市販の参考書・問題集(補助教材)や過去問(特化型教材)を積み上げる手順を学びましょう。
さらに,生成AIをデバッグの補助エンジンとして組み合わせることで,大学受験を自律的に進める学習システムを組み立てやすくなります↓
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プランブロック式戦略的学習計画法の概要

基本データ
書名:プランブロック式 ゼロから理系難関大学に合格できる戦略的学習計画法
著・イラスト:草下靖也
監修:山本咲希
出版:KADOKAWA
発売日:2022年3月18日
ページ数:352ページ
ISBN:9784046053701
定価:1,650円(本体1,500円+税)
本書では,塾の指導現場で蓄積されてきたような,体系的な学習計画法と日々の勉強法を学べます。
「勉強法」と一口に言っても,細かくは「長期的な計画(戦略)」と「日々の学習法(戦術)」に分けることが可能です。
前者では大学受験本番までのロードマップの立て方を学び,後者では実績ある塾で実際に指導されている「点数を取るための知見」を得られます。
本書は全部で6つの章から構成されますが,戦略部分は主に「1・3・4・5章」,戦術は「2・3・5・6章」において語られており,どちらの面からも非常に充実した構成です↓

各章の内容を簡単にまとめておきましょう。
筆者が注目した各章の読みどころ
第1章:プランブロックについての理解が深まる
第2章:予習・復習・演習・セルフテスト・過去問や模試の使い方がわかる
第3章:科目別のプランブロックを学べ,教材リストも載っている
第4章:毎日の時間割と年間計画の作り方を学べる
第5章:学習法を修正し改善する方法を学べる
第6章:塾でしか語られない学びのコツを学べる
分量的に最も多くなっている第3章(163ページ)はもちろん素晴らしいのですが,指導歴20年の視点で見ると第6章(51ページ)は特に貴重な内容です。
ところで,私の周りを見渡してみると,高い塾に行くことなく独学で難関大学に合格した人が一定数存在しています。
彼らは本書で語られているレベルとまではいかなくても,自分なりの効率的な勉強法を独自に編み出している人がほとんどです。
その方法は,長い時間をかけた試行錯誤によって作られたものですが,本書の指示に沿って進めることで,独学で成果を出す人の考え方や学習手順を再現しやすくなります。
このときのポイントは以下の2つです。
- 自分の今の時期と実力に合わせて,適切な難易度の教材を選ぶこと
- 無駄を省き,学習の効率を意識すること
情報戦とも言われる現代の受験において,本書を読めば「知らなかったせいで遠回りしてしまう」リスクを回避しやすくなります。
プランブロック式の6つのルール
受験までの戦略を立てる上で非常に頼りになるのが「プランブロック」という考え方です。
英語の例を下に示しますが,見た目は積み木で作ったピラミッドのような形をしていて,6つのルールが設定されています↓

プランブロックの6つのルール
1.同じ段に位置する課題は「同じ時期」に並行して行う
2.習得できたかどうかは「セルフテスト」の結果で客観的に判断する
3.期間はあくまで目安であり,「できるようになること」を最優先する
4.1~3ヶ月ごとに終わったブロックを総復習する
5.★が書かれたブロックを完璧に終えない限りは,絶対に上に進まない
6.同じ段の課題が一部早く終わった際は,別の科目の進め方を工夫する
先の画像を見ると,「初級単語・文法・構文」のブロックは同じ最下段(土台)に置かれているのがわかります。
これら3つの要素は同時進行でバランス良く学んでいく,というのが1つ目のルールです。
ルール2つ目にある「セルフテスト」というのは,本書において次のように定義されています。
「セルフテスト」とは、制限時間を設けた演習のこと。テストしたい内容に合わせて「暗記チェックテスト」と「演習テスト」の2つのテストを使い分けよう!
要するに,わかったつもりになっていないかを確認するために,重要事項を暗記できているかチェックし,確認テストを自ら作成して解いてみるわけです。
限られた時間の中で一定の得点率を超えていれば,「合格」として次の段階へ進んで構わないという仕組みです。
この一番下の土台部分に費やせる目安期間は3~6ヶ月とされていますが,プランブロックの最も重要な基礎であるため,理解不十分なまま焦って上に進んではいけません。
大きな家を建てようと思ったら,まずは土台を広く深く固める必要があります。
まさにその教えをシステム化したものだと思ってください。
復習についてはルール4で語られていますが,こちらもまた,ただテキストを終わらせるスピードよりも「確実に解けるようになること(定着)」を何より重視していることが伝わってきます。
「プランブロック式」が興味深いのは,大学合格という頂上にたどり着くための一本道(直線)ではなく,土台から着実に積み上げる「山全体(面)」をどう作っていくかを視覚化している点です。
これにより,一つの科目に偏らずに複数の書籍を併用することや,定期的な復習の重要性を自然と強く意識するようになります。
また,それぞれのブロックに対して「どの参考書や問題集を使うか」は,同じ目標が達成できるレベルのものであれば基本的に何を使っても良いため,「絶対にこの参考書を使わなければならない」という強要がありません。
決められた手順を与えられるだけでは,教材や試験が変わったときに,自分で次の行動を判断しにくくなることがあります。
自ら考えて学ぶ「自律的な学習態度」を身につけられる点は,本書の大きな特徴です。
学習OSと組み合わせたい3つのポイント
教材を段階ごとに選ぶ
「プランブロック式」の第3章を読めば,自分の今の学習段階でどのような参考書を選ぶのが最適かがわかります。
本書では教材を「教科書レベル,入試基礎~標準,入試応用レベル」の3つに分けていて,自身の学力に応じてどのような教材を選べばよいかを学べるわけです。
特定の段階1つとってみても,複数の教材について,講師目線から特徴や代替候補が紹介されています。
選択肢が複数示されているため,自分の学力や相性に合う1冊を選びやすく,選んだ後も迷わず学習を続けられるでしょう。
例えば,以下の画像は英語の「中級単語」のプランブロックのページになりますが,王道を行く「速読英単語 必修編」を始め,全国の高校生が使っている「英単語ターゲット1900」や「システム英単語」,「DUO 3.0」,さらには難関大受験生御用達の「鉄壁」までもがしっかりとリストアップされています↓

セルフテストで到達度を見る
教材紹介のところを中心にセルフテストの作り方が具体的に書かれているため,自分で到達度をチェックするのが容易です↓

本書を参考に出題範囲・問題数・合格基準を整理して生成AIに伝えれば,セルフテストのたたき台を作ってもらえます。
「具体的にどのように使うか」についても丁寧な記述を確認でき,1日の学習ペースや著者の塾で実際に行われている暗記のコツやテクニックまでが惜しみなく公開されています。
復習と計画修正を前提にする
本書は復習重視の構成です。
問題を解かずに,頭の中で学んだことや間違えた問題を思い出す「ショートレビュー」を1日に数回行うほか,週末には2時間以上をかけたウィークリーレビュー,テスト後には解き直し・原因分析・関連教材の復習を行うことが推奨されています。
こうした復習量を知ることで,学習OSにおけるメンテナンスの重要性を具体的に理解できるはずです。
第4章では,日々の時間割と年間計画の作り方が扱われています。
定期的なメンテナンスで予定と実際の進み具合を確認し,遅れや無理が見つかった場合は,原因を分析して教材・時間配分・学習順序を修正します。
この一連の流れは,学習OSにおける「デバッグ」に当たります。
プランブロック式が向いている人・向かない人
ここまで本書の特徴と,学習OSに取り入れたい要素を見てきました。
ここでは,実践しやすい人と,負担を感じやすい人の違いを整理します。
計画を継続して実行できる人向き
本書は,一般的な高校生からすると明らかにレベルが高い「難関大学」に入るための,妥協のない学習法を伝授するためのものです。
東大や国公立大学の医学部合格すら狙える本格的な内容なだけに,著者の意図を正しく読み取る読解力や,それを毎日の生活で実際に実行できる行動力が必要になります。
例えば冬の直前期になれば,本番と全く同じ時間割・同じ環境下で過去問を解くことが求められます。
精神的にも体力的にも疲労困憊するのは承知の上で,本番の試験スケジュール通りに全教科分の過去問を解き切る練習を積み重ねる必要があるわけです。
こうした負荷の高い練習を事前に経験しておくことで,本番の長い試験時間にも対応しやすくなります。
考えてみれば,大学入学共通テスト一つをとってみても,理系2日目なら数学・理科に加えて2025年に加わった「情報I」まで,丸一日がかりの連続稼働を強いられるわけです。
試験会場での拘束時間は丸1日に及び,終了のチャイムが鳴るまでひたすら見直しを続けるためには,日頃からかなりの忍耐力と精神力を鍛えておく必要があるでしょう。
本書はそのための良いきっかけになります。
質問できる環境や「第三者のサポート」を確保できる人向き
本書の学習法は基本的に独学で進められるように書かれていますが,参考書や問題集をただ買って一人で黙々とやるだけでは不十分な場面も出てきます。
記述問題(英作文や数学の証明など)の添削や採点については,信頼できる第三者に客観的な指摘をもらうことが必要です。
本書においても以下のような記述を確認できます↓

現役生なら,まずは学校の先生に相談できます。
身近に頼れる人がいない場合は,オンライン添削サービスなどを利用し,生成AIは論点整理や答案の予備チェックに使うとよいでしょう。
特に英作文や数学の証明では,AIの評価を鵜呑みにせず,可能な範囲で先生や専門家の添削と組み合わせてください。
本書から得られる,計画作りから自分の頭で考えながら主体的に勉強していく経験は,大学入学後も必ず役に立ちます。
モチベーションを保つ工夫を楽しめる人向き
長い受験期間中,学習意欲を高いレベルで保ち続けるためには,「先週できなかった問題が今日は解けた!」というような自分の成長を感じられる小さな成功体験が日々必要です。
そのためにも,定期的に外部の模試を受けて自分の現在地を確認したり,学校の定期テストでクラスのトップを狙ってみたりと目標を細かく設定しましょう。
本書の別冊には「書き込みゴールマップ」が付属していますが,それを積極的に活用し,シールを貼ったり色を塗ったりして,過酷な受験勉強の中に楽しむための工夫ができる人に本書は向いています↓

別冊には,手書きで塗りつぶしていく書き込み用のプランブロックや,時間割,年間計画表も収録されていました。
デジタルデバイスやアプリでの管理が主流の時代において,自分の手で塗りつぶして達成感を味わうというアナログならではの温かみは,受験生の心を支える大切なアイテムになります。
セルフチェックを客観的に行いにくい人は工夫が必要
一方で,以下のようなタイプの方には,本書のシステムが逆にストレスになってしまう可能性があります。
- 到達基準を緩めてしまいやすい人:「だいたい合っているから次へ進もう」と判断すると,基礎が曖昧なまま上のブロックへ進むことになります。
- 教材を頻繁に替えてしまう人:ブロックの到達基準を満たす前に新しい教材へ移ると,学習内容が定着しにくくなります。
独学で進める上で避けられないことですが,頻繁に行うことになるセルフテストは自分で作成する必要があります↓

作り方は本書で言及されていますし,生成AIに補助してもらうこともできます。
とはいえ,復習すべき内容を選び出すのも,AIへ指示を出すのも自分です。
しかもタイマーで時間を測り,厳密に解き直さなければなりません。
セルフテストの省略が続くと,定着していない知識を抱えたまま次の段階へ進みやすくなります。
不正解だった問題については,「なぜ間違えたのか」を分析し,解き直しや関連事項の復習まで行う必要があります。
一人で継続するのが難しい場合は,学校の先生,家族,学習サービスなど,定期的に進捗を確認してくれる人や仕組みを取り入れましょう。
スタディサプリや生成AIと組み合わせる方法
本書は独学の支えになる1冊ですが,すべてを一人で完璧に管理するのは並大抵のことではありません。
だからこそ,「ツールの掛け算」が重要になってきます。
「プランブロック式」に従って学習計画を立てる場合でも,すべてを市販教材だけで進める必要はありません。
理解に時間がかかる単元は,学校の授業,スタディサプリなどの映像授業,講義型参考書をメイン教材として使い,まず全体像をつかみます。
そのうえで,本書で紹介されている市販の参考書・問題集を補助教材,過去問を特化型教材として使い,演習量を確保しましょう。
さらに,わからなかった問題やセルフテストで間違えた問題について,解答・解説を生成AIに示し,「どこで考え方がずれたのか」を説明してもらえば,自分がどこでつまずいたのかを整理し,次の復習内容を決める助けになります。
まとめ:プランブロック式は学習OSを大学受験に応用するヒントになる
「プランブロック式」は,理系難関大を目指す受験生に向けて,教材選び,学習順序,セルフテスト,復習,計画修正の考え方を体系的に整理した1冊です。
特に優れているのは,特定の参考書を一律に勧めるのではなく,現在の学力と時期に合わせて教材を段階的に積み上げる考え方を示している点です。
当サイトの学習OSでいえば,本書は「開始ルーティン」に含まれる教材選びと学習計画,「メンテナンス」に含まれる復習と計画修正を補強する地図になります。
学校の授業や映像授業などのメイン教材で全体像をつかみ,参考書・問題集で演習し,過去問で志望校への適応力を確認する。セルフテストで到達度を測り,必要に応じて計画を修正する。
この流れを自分で回せるようになれば,塾に通っているかどうかにかかわらず,大学受験を主体的に進めやすくなります。
難関大を目指す受験生だけでなく,高校1・2年生の段階で大学受験の全体像を確認しておきたい人にも参考になる1冊です↓
著者の指導方針や活動について確認したい方は,以下も参考にしてください。
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