今回は,スタディサプリENGLISHのTOEIC対策コースに実装されている「アダプティブ講座」を取り上げ,特徴や基本的な使い方,そして利用していて気が付いた注意点について述べていこうと思います。
ウリはAIを取り入れた演習ができるところですが,一般的な人がTOEIC勉強をしていて復習を行うことはあまりなく,単語以外だと,せいぜい間違った問題を解き直すくらいでしょう。
その点,このアダプティブ講座を使えば,実力アップに役立つとされる問題のみを出題し続けてもらえるので,効率良く学習を進められますし,独学では決してできないことです。
それでは早速,その特徴からみていきましょう!
スタディサプリのアダプティブ講座の特徴

スタディサプリENGLISHのTOEIC対策コースにアダプティブ講座が登場したのは2022年6月13日のことです。
対象者はTOEIC600点以上のスコア保持者で,パーフェクト講義を終えた人が使うのが望ましいということで,初級者向けに文法や単語,発音を教える基礎講座とは真逆の講座となります。
実際,概要のところには「中・上級者向け」と明記されていました。
スタディサプリのパーフェクト講義はTOEICの全パートに対する解き方を学ぶ講座ですから,その修了者は問題形式を理解できた状態なので,自分の実力がフルで発揮されたときの結果が重要になってくるのでしょう。
実際,アダプティブ講座ではAI演習が可能で,これは何かと言えば,学習者の実力(ランク)別に,問題を自動で選んでもらえる機能です。
ランクは全部で15段階にまで細分化されていて,一番下はEから始まり,一番上がSSになります。
スタディサプリ側は,学習者が間違いやすい問題をデータ解析によって把握しているので,学習者のランクに適した問題だけを出題することが可能になるわけです。
ある程度問題を解かないことには,正確な実力把握ができないため,直近数十問の正答率が一定レベルを超えたときにようやくランクが上がり,問題の難易度も新しいものに変わる仕様となっています。
ところで,英語でadaptiveといえば「適応;変化」という意味であり,このように,自分の実力よりも少し上のレベルの問題を解き続けることで効率良く実力アップができるというわけです。
このようなことは個別指導の塾では当然のように行われていて,ベテラン講師は経験から判断して生徒に解かせる問題を選ぶわけですが,スタディサプリの場合,これまでの利用者の出来をビッグデータとして保管しているために客観的な出題ができます。
これまで学校から法人まで幅広くサービスを提供してきた経験がここに生かされているわけです。
なお,アダプティブ講座の問題は20冊ある実戦問題集(NEXTも含む)の中から選ばれているので,完全に初見の問題ではないのですが,学習者がまだ解いたことがない問題の中からできるだけ出題されます。
たとえパーソナルコーチの利用者であっても,実戦問題集を10冊も消化することはないでしょうから,アダプティブ講座ではほぼ初見の問題を使って練習ができると言っても過言ではなく,そもそも模試を復習することはポピュラーな復習方法の1つであるとすでに述べました。
アダプティブ講座にあるAI演習の使い方

アダプティブ講座の使い方ですが,初期状態では「AI演習」しか選択することができません。
TOEICでお馴染みの7つあるパートの中から,自分が解きたいものを選びましょう!
最初は上の画像のようにまだランク付けがなされていない状態なので,出題される問題の難易度はお試し用のものとなり,簡単すぎたり難しすぎたりするものも見られますが,1セットも解くと,出題される問題の粒がある程度揃ってきます。
私が使ってみた体感上,7割くらい正解できるとC,8割くらい合っていればB,全問正解できるとAランクからのスタートとなり,その次の問題セットで8割以上取れれば1つランクが上がる感じです↓

ランクについての補足ですが,プラスやマイナスもあることで15段階にも細かく分けることが可能となっています。
1回の問題セットに含まれる問題数と,最大で解くことができる問題数の対応は以下の通りです↓
| 問題セット | 最大(理論値) | |
| Part1 | 6問 | 120問 |
| Part2 | 10問 | 500問 |
| Part3 | 2題 | 260題 |
| Part4 | 2題 | 200題 |
| Part5 | 10問 | 600問 |
| Part6 | 2題 | 80題 |
| Part7 | 2題 | 300題 |
上の表で「題」と記載したものは大問数を表し,1題に複数問が含まれていることにご注意ください。
例えば,Part3のところをみると「2題」から成っていますが,1題につき3問が含まれるので,1回のトレーニングで解くことになる問題数は「6問」ということになります。
その他,「最大(理論値)」と書いたところは実戦問題集に含まれる全問題数を意味しており,例えばPart1を20回以上学習すれば必ずダブりが生じることになるわけです。
とはいえ,これまでに何度か述べたように,ダブりが生じたところで特に問題はありません。
それよりも,アダプティブ講座だけで数千問の問題を解けることに驚きましょう。
先ほど紹介した実戦問題集という学習コンテンツを使った場合との違いですが,問題が個別最適化されている点と問題演習に特化している点です。
スタディサプリENGLISHの実戦問題集のトレーニング内容はで述べたように,実戦問題集では解いた問題に対してシャドーイングやディクテーションといったトレーニングが続きますが,アダプティブ講座のAI演習に復習用のコンテンツは含まれません。
解答と解説はありますが,それに目を通したらすぐに次の問題に移ります↓

つまり,アダプティブ講座は,1回数分で終えられるTOEIC模試のようなものであり,この特徴を生かして,スピーディーに自分の弱点を把握したり実力をチェックしたりする目的で使うようにしましょう。
アダプティブ講座にある苦手な問題形式の使い方

誤解してほしくないのですが,アダプティブ講座ではただ問題を解いて解答・解説を読んだら終わりではありません。
しばらく問題を解き続けていると,上の画像左下に表示されているように「あなたが苦手な問題形式」というメニューが表示されてきます。
よくみると,パーフェクト講義で学んだパターンのいずれかであることがわかるのですが,ここで再度,「簡単な練習問題・解説動画・問題演習」の3つを通して,苦手を克服することが可能です↓

ちなみに,このときの動画は新しいものが収録し直されているので,関先生ファンにとっては嬉しい時間になりますが,間違えた問題を基に出題内容が選ばれているとあって,できるようにするだけで確実に実力をアップさせることができます。
もしも,苦手な問題形式が表示されてきた場合には,欠かさずやるようにしましょう。
アダプティブ講座を使う際の注意点
パート別対策にピッタリで,弱点克服もできるアダプティブ講座ですから,ずっとやり続けられるところが大変に魅力的です。
とはいえ,いくつかの注意点があるので,最後に述べておきましょう!
例えば,先ほど少し触れたPart1ですが,全部で20回も学習してしまえば,実戦問題集に含まれるPart1の問題を全て解き切ってしまうことになるわけで,Part3の130回分やPart7の150回分と比べると,Part1やPart2の分量は物足りないと言わざるを得ません。
折角オンラインの教材なのですから,数百以上(場合によっては数千問)あってほしいというのが個人的な要望です。
初期の頃は実戦問題集の数が増え続けていましたが,最近では更新が見られません(徒に数を増やす必要はなく,必要なものが出揃ったと言えるかもしれません)。
また,仮に実戦問題集のテキストを購入し,模試形式でやろうと思っていた場合に,すでにこのアダプティブ講座からかなりの量を解いてしまえば,無傷の(未使用の問題だけで構成される)模試が残らないことになり,これは明らかなデメリットと言えます。
その場合,模試は公式TOEIC問題集を別に購入するなどと,各自で工夫するようにしてください(アダプティブ講座は模試ではないので,2時間ぶっ通しでの練習は別に行う必要があります)。
また,実戦問題集と異なりトレーニングメニューが存在しないので,学習が雑になりやすいです。
例えば,リスニングセクションで答えがわかった時点で選択肢を選んでしまうと,残りの選択肢の音声を聴くことはありません(解答・解説画面で聞き直しをしない場合に限ります)。
なので,しっかり学習するためには,ちゃんと最後まで選択肢を聴くようにしましょう。
また,アダプティブ講座の問題が,実戦問題集のどの巻の問題から選ばれてきているのかがわからないため,実戦問題集に戻ってそこだけを別にトレーニングするといった使い方ができません。
復習トレーニング機能に追加することもできないため,後で聴き取れなかった問題だけをリスニングしたいような方は,個別に録音しておくなどの対応が必要になります。
まとめ

以上,スタディサプリENGLISHから,アダプティブ講座の特徴と使い方を中心にまとめてきました。
学習コンテンツが充実しているTOEIC対策コースですが,これまで同じパートの問題だけを続けてたくさん解くことがしにくかっただけに,アダプティブ講座の登場によって,スタディサプリがますます完璧な教材に近づいたように思います。
最後のところで注意点をいくつか挙げましたが,実戦問題集やパーフェクト講義との棲み分けを考慮すると,いくつか制限があってしかるべきで,適材適所で使い分ければ良いだけの話です。
問題数についてはもっと充実してほしいと思いましたが,そこまでしなくても,多くの方は目標としているスコアに到達してしまうでしょう。
是非,アダプティブ講座を使って対策してみてください。
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最後までお読みいただきありがとうございました。