今回は,ソースネクスト社が開発した自動翻訳機である「ポケトーク(POCKETALK)」についてレビューをしていきたいと思います。
ドラえもんに出てくる翻訳コンニャクとまではいきませんが,AIも搭載し,身の回りの見知らぬ言語を音声やテキストに即座に翻訳してくれる本機の実力はいかほどのものでしょうか。
私は海外旅行に行く予定があったので購入しましたが,英語などの語学学習にも使える機能が満載です。
これまでに発売になっているSとWタイプの比較から英語学習法まで,興味のある方は是非お読みください!
ポケトークの3つの特徴
ポケトークとはAIを利用して自動翻訳を行ってくれるデバイスであり,これまでに「ポケトークW(2018年9月発売)」とその上位版にあたる「ポケトークS(2019年12月発売)」の2モデルがあります。
また2020年の7月には,後者の画面をより大きくし,駆動時間に優れた「ポケトークS Plus」というバージョンも発売されました。
とはいえ,主だった特徴はどの機種にも共通しており,以下の3つの特徴を備えているように思われます。
多言語に対応
ポケトークでは2020年3月時点で75言語の音声を翻訳することが可能です。
現地の言葉を聞かせると,日本語の意味が表示されてきますし,逆に日本語を聞かせて現地の言葉に代え,それを音声で読み上げてくれることも可能です(20言語はテキストのみに翻訳)。
メーカーの公式ページに対応言語についての詳細がありますが,私がパッと思いつくような言語はもちろん,これまでに聞いたことのない言語もかなりの数が対応していました↓↓
参考
世界には6,900ほどの言語が存在すると言われているので,これでもまだほんの一部なのですが,それでも海外に用事があって出向かなければいけない場合などにおいて,言語の壁を乗り越えやすくなったことは事実です。
翻訳性能が進化する
ポケトークでは人工知能(AI)を利用しますが,AIが優れているのはディープラーニングができることです。
AIはネット上に存在する雑誌やニュース記事などを1人でどんどん学習し,時間が経てば経つほどより自然な翻訳が可能になっていきます。
久々に会った友人に使わせてみると,「お,なんだか昔よりも賢くなったな」と感じるようです。
ポケトークに複数の意味にも取れるような日本語を聞かせてみてください。
まだまだ上手く変換できない部分もありますが(例えば「カネ(金;鐘)は銅でできています」など),今後の進化に期待しましょう(もちろん私自身の経験値も増えており,違う言い方をするなどできるようになります)。
「買ったら終わり」のデバイスに慣れていましたが,これからの時代は「買ったら始まり」の精神が主流となってくることでしょう。
Wi-Fiなしでも使える
誤解のないように言っておきますが,ポケトークを使うためにはネット環境が必要です。
真っ先に浮かぶのはWi-Fiですが,それだと自宅やデザリングなどでしか使えません。
ポケトークにはグローバル通信付きモデルというものが存在し,130を超える国や地域で,特別な設定をせずに使えるチップ型のSIMを内蔵しています。
最初の購入時に値段が高くなりますが,その後は追加料金なしで2年間まで使用でき,延長する場合も1年で5,000円,2週間3,000円で可能です。
しかし,以下のCMを観ると「便利な時代になったなぁ」と思います↓↓
ポケトークSとWの違い
上記画像左のSタイプのものの方がハイエンドモデルという位置づけですので,多くのことが基本できます。
両シリーズにおいて翻訳性能は同じですが,以下の機能はポケトークSでしか利用できません↓↓
- カメラで文字を撮影して翻訳できる
- 現地の情報(通貨の換算や時刻表示)が可能
- AIを使った英会話レッスン(英語と中国語)
その他にも,Sの方がカラーバリエーションが多かったり,重量が軽かったり解像度に優れ,画面も大きかったりするので,基本的にはSがおすすめです。
ちなみにSとS Plusの違いは,携帯性の良さを取るか,画面の見やすさとバッテリー持ちのどちらを取るかによります。
なお,ポケトークWにも優れている点は存在し,以下の2点で勝っていることは明らかです↓↓
- バッテリーの持ちが良い
- 値段が10,000円以上安い
上記2点は勝っています。
連続待ち受け時間と翻訳時間の具体的な公表値ですが,S(S Plus)が60時間(72時間)と270分(330分)であるのに対し,Wは240時間と420分です。
とはいえ電波の受信状況や輝度,音量によって結果は変動するとのことなので,詳しい比較は,ソースネクストのHPにてご確認ください↓↓
ポケトークSのレビュー
ここではポケトークSについてレビューしていきましょう!
セット内容は以下の通りです↓↓
- 本体
- スタートガイド
- 取扱説明書
- USB充電器+ケーブル
- その他(保証書・ユーザー登録カードなど)
名刺サイズのボディーは,思った以上に小さくて持ちやすく感じます。
使い始めるまでの手順は簡単な5ステップ。
- 電源を入れる
- 表示言語を決める
- 接続できていることを確認する
- Wi-Fiを設定する
- 翻訳開始
充電はほぼ満タンな状態で届きました。
いきなり使えるのが嬉しいですね。
表示言語は使用者が慣れている言語を入力します(ここでは日本語)。
画面をタップしていくだけなので,操作は簡単です。
Wi-Fiに接続することが可能というより,こちらの方が電波は安定するので,試し操作や自宅で語学学習する場合は是非利用しましょう。
購入から2年間というグローバル通信のSIMの利用期限が切れて,そのまま契約の延長をしなくても,Wi-Fiを使えば追加料金なしで使い続けられます。
さぁ,いよいよメインの翻訳機能を試してみましょう!
ポケトークのホーム画面も兼ねています↓↓
下の丸いボタンを長押しすると入力待機状態になるので,押した状態のまま「Wi-Fiありますか」と試しに喋ってみました。
すると声が正しく認識され,それが英語の文へと自動翻訳され,次のように発音付きで返ってくるわけです↓↓
ポケトークS、学生の子は電子辞書よりもらったら嬉しいかなぁと買ってみました。韓国旅行に持っていってくれるみたいで何より✨ pic.twitter.com/O98EuW1aQT
— スタディサイト (@studysite_info) December 29, 2019
真ん中に見えている青い矢印をタップすれば「日本語⇔外国語」の翻訳の向きを変えられますし,表示されている言語をタップすることで,他の外国語に変えられます↓↓
続けて,実は1番使いたかったカメラ翻訳機能のレビューに移りましょう!
ホーム画面左上にある四角いマークを押し,続けて「カメラ翻訳」を選びます。
今回はポケトークの購入時に付いてきた,以下のような注意書きを翻訳してみることにしましょうか↓↓
ポケトークSでは本体の裏にカメラが付いているので,注意書きに向けて写真を撮ると,自動でそれを読み込んで翻訳してきてくれます。
ピントが合いにくい場合は,カメラとテキストの間に一度手を入れるようにすると,手をどけた際にピントが合いやすいのではないでしょうか。
上段は英語,下段は中国語になっていますが,カメラ翻訳では自動で言語が抽出される設定に基本なっているので,注意書きが2ヶ国語で書かれていても問題なく翻訳できました↓↓
撮った範囲すべての訳が日本語で表示されています。
画面では一部小さくしか写っていませんが,それぞれの訳をタップすれば,全文を確認することが可能です。
もちろん,ポケトークの翻訳対象に長文も入っています。
このような英語の長文であっても,,,
撮影した範囲全部を訳出してきてくれるのが便利ですね(文は長かったですが時間にして10秒以内)↓↓
もちろん不自然な日本語も中には見受けられますが,サポート装置としてみれば上出来です。
少なくとも内容はなんとなくでも理解できますので,早さと精度のバランスが重要だと思います。
最後に設定を確認しておきましょう。
明るさは低くするほど電池が長持ちするので,なるべく低めに設定しておきたいところです。
スマホもそうですが,液晶がとにかくバッテリーを食います。
とはいえ1日使って充電できるので,新型でも短いとは感じません(充電プラグはC型です)。
文字の大きさは見やすい方がよいので,なるべく大きくしておきましょう。
5段階から大きさを選べます。
ただし,文字を大きくするほど一度に確認できる文字数が減ったり,誤操作にもつながりやすくなるといったデメリットもあるのでほどほどで。
なお,上記画像は最小のサイズでしたが,最大にするとこのような表示になります↓↓
ショートカットという項目では,音声翻訳以外のよく使う機能をホーム画面に追加できます(私はカメラ翻訳を多用するので追加しています)。
スリープも「なし」にして忘れてしまうとすぐに電源はなくなってしまいますので,最大でも10分,普通であれば1分にしておきましょう。
また,今回は軽く紹介するにとどめますが,単位変換機能(貨幣・長さ・重さなど)もあるため,例えば貨幣の相場から,現地の商品が日本円で何円に相当するのか計算することもできます↓↓
ポケトークSを使用した英語学習法
通常の音声翻訳やカメラ翻訳でも十分学習できますが,国際語である英語(他に中国語)については,さらに充実したレッスンを行うことができます。
AIによる会話レッスン
1つ目の学習法ですが,ポケトークSにある「会話レッスン」を利用するのが簡単な方法です。
というのも相手の質問に多少のバリエーションがある上,こちらの答えをAIが分析してその次の返答を変えてくるといった,先の読めない会話レッスンが楽しめます。
とはいえ,相手の質問を理解し,単語を正しくさえ言えれば基本的には正解になるので,自分の発音がAI相手に通じるかどうか試してみてください。
正しく言いたいことが表示され,会話が先に進むと嬉しくなりますよ!
ちなみにレッスンは6つのシーンで行われ,全部で36ものレッスンが受講可能です↓↓
相手の質問内容は英文で確認できる他,日本語も表示されるので,「大体この場面ではこういった質問がされるのか」と先に体験しておくだけでも気が楽になるはずです。
理想としては,誰か英語のできる人に横で見ていてもらえるとアドバイスがもらえて良いでしょう。
POCKETALK Link
こちらはスマホやPCでの使用になりますが,これまで翻訳した表現を題材に,辞書機能・リスニング・発音判定の3つの側面から学習することが可能です(下部に3つのボタンがその順で見えています)。
辞書機能では単語の意味を辞書で表示できる機能で,上記画像で見えている「詳細」をクリックすることで例文やよく使う表現が学べるところが便利です↓↓
発音はまぁ普通に聞くだけですが,一番右のマイクボタンを押すことで,発音判定機能が使えます(パソコンでやる場合は外部マイクが必要ですが,スマホの場合はそのまましゃべればOKです)。
正しく発音できなかった単語はオレンジ色で表示されてきますので,集中的に練習を積みましょう!
このPOCKET Linkは英語以外に,スペイン語,フランス語,イタリア語,ドイツ語,オランダ語,トルコ語,ロシア語,ヘブライ語,ポーランド語,ベトナム語のいずれかで普段翻訳することが多い方であれば同じように利用できます。
まとめ
以上,ソースネクスト社のポケトークSのレビューを特徴や勉強法についても紹介してきました。
本機は実用性に優れるため,すでに多くの企業で導入実績があります。
テレビでも特集されているのを目にすることがあり,この前は浅草の人力車を引いている友人が外国人相手にポケトークを用いて会話を成立させていましたし,おもてなしの手段の1つとしても活躍することでしょう。
とはいえ,出てきた答えを盲目的に信じてしまうのは危険です。
先に述べたように「鐘」を「金」と誤訳してしまっている場合もありますから。
特に長文になって文の構造が複雑になってくればくるほど,AIが誤訳する可能性も増えていきます。
同じ道具を使えど,使い手によって賢くも愚かにも使えるのと同じように,AI時代においては学習者の資質能力も問われてくるということをまさに実感しました。
普段から自分の英語力を高めつつ,こういった翻訳機を補助的に使うことで,相乗的にコミュニケーション能力が高まっていくのではないでしょうか。
あともう少し精度が高まれば文句なしですが,今後時間が経つことでより完全体に近づいていくことを期待したいですね。
このポケトークですが,ソースネクストのHPで購入すると,特別仕様(カラーやキャラ物)のものを手に入れることができます。
スマホケースばりに,液晶保護フィルムや保護ケースも購入できますし,色々なお店を眺めてゆっくり決めてみてください(翻訳こんにゃくのケースも販売されるということで,メーカーもひみつ道具の1つを完成させてしまったという自覚があるのでしょう。)。
興味がある方は覗いてみてください↓↓