頭が良い中高生は「読む」力が高い件について

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最近はコンビニやスーパーも無人化に近づきつつあり,将来ロボットが人間の仕事を取っていく時代の到来をより一層意識するようになりました。

そのような社会で,各自が能力を発揮して,必要とされる人間になるためには,ロボットが苦手とするコミュニケーション能力や理解力を兼ね備えている必要があります。

そして,そういった能力の根本にあるのが,「読む」力(基礎読解力)だというのが今回の記事のテーマです。

 

 

読む力とは

MabelAmber / Pixabay

ここでいう「読む」力というのは,国語における読解力のような,難解な問題を解ける能力を指すというよりも,『文字を読んで,"普通"にそれを理解する能力』を示すと考えてください。

自分がこの能力について注目するようになったのは,高校時代の恩師と飲んだときに,とある有名ジャーナリストの記事を紹介されたことがきっかけです。

その記事は,

ツイッターやブログなどで批判されたときに,まったく自分が意図していないふうに相手に受け取られてしまっていて,とんちんかんな返答が返ってくることが多い

といった嘆きから始まります。

そして,彼女がそのと理由として考えたのが,「読む」力の不足している人が多いのではないかという疑念でした。

 

例えば,自分の勤めている会社について考えてみてください。

議論になったとき,相手方にまったく争点が理解されておらず,不毛な言い争いになってうんざりした経験はありませんか。

それはまさに,相手の理解力が不足しているがために,必要な情報を理解できていないことの典型です。

 

これが中学生や高校生の場合だと,

誰もが理解できるという前提で書かれている教科書の内容が,読んでも理解できない

ということになります。

以前は私も,「全部教科書に書いてあるんだから,自分一人で勉強できるよね」といった感じで生徒と接することが多かったのですが,「読む」力の存在を知ってからというもの,まずは生徒の読解力をチェックすることを義務付けるようになりました。

 

例えば,中高生に以下の問題を解かせてみてください。

中学生はこちら↓↓

この問題の正答率ですが,全国の中学生のうち62%が正解できた問題です。

係り受けを問う問題ですが,正解は②ですね。

 

高校生はこちら↓↓

こちらの問題は,高校生の正答率が平均で65%の問題です。

なお,中学生がこの問題を解くと38%しかできなかったということで,しかも中学1年生においては,カンで選んだ場合と正答率が変わらないという悲惨な結果を生んだそう。

正解は①ですが,どうだったでしょうか。

 

大学では,何かの資料を読んで理解することや,論理的にものを考えられる能力を,学生が当然備えていることが授業を受ける前提になっています。

そのため「読む」力がない生徒が,大学に入ってきても,それこそ4年間ずっと何も得ることができずに,ただ時間だけが過ぎてしまうことになると,恩師(現在は大学教員)は嘆いておられました。

教員側もそれを承知のうえで,「気の毒だなぁ」と思いながら授業をしているというのですから,双方にメリットがありませんし,もちろんこんなことが社会のためになるはずもありません

「大学で学ぶことがなかった」などと話す社会人は,おそらくそこらのマニュアルすらまともに読むことができないのではないでしょうか。

 

 

ロボットが大学受験したときの偏差値

GDJ / Pixabay

さて,現代では将棋の世界はもちろん,最近は囲碁の世界においても,AIにヒトが敵わなくなってきています。

そんな中で,最先端技術を駆使したロボットに大学入試問題を解かせると,MARCHと呼ばれる大学には80%の確率(つまりA判定)で合格できるそうです。

ですが,そのロボットの最終目標である東京大学には決して合格できない。

それは,ロボットに「読む」力が不足しているからに他なりません。

 

毎年,東大に何十人も合格者を出す名門中学の生徒は,中学入学時にすでに普通の高校に通う生徒の3年生よりも高い「読む」力を保有しています。

個別指導の塾で教えていると,中学生と高校生が同じ参考書を使っているのを見ることがありますが,そういうとき特に上記の事実を突きつけられますね。

 

選択式の問題だとホッとして,記述式の問題を見たとたんにできなくなる中高生は,答えを選んだ根拠も「なんとなく」で答えていることが多く,実際に深くものを考えられてはいません。

このような態度でずっと学生時代を過ごしてしまっては,今後の社会で直面するであろう,より難しい問題を自力で解き明かすことができないので,余計に苦労してしまうでしょう。

 

 

受験勉強を始める前に身に付ける能力

darkmoon1968 / Pixabay

以上のことから,受験勉強を始める子には,教科書を読ませたり,受験に必要な教材を買い与えたりする前に,まずは「読む」力が備わっているかどうかを確認しなければなりません。

教育改革や入試改革においても,教わった内容を生徒が理解できるのが前提で,授業は進行していきます。

プログラミングや英語早期教育以前に,教師が話す内容や教科書に書かれた内容が正しく理解できなければ,それこそ先に話した大学生と同じ道を辿ってしまいますね。

また,論理力のない生徒たちがどれほどアクティブに議論を重ねたところで,一番最初に挙げた,『争点のわからない会社の同僚』しかクラスにいなければ,話し合いの結末は言わずもがなでしょう。

さらに,テストで問題文を読めなければ,そもそも何を答えてよいのかわからないですし,基礎的な読解力は人生を左右するといっても過言ではありません。

 

実際,どのように「読む」力の能力を高められるかについてですが,実はまだわかっていないようです。

ですが,「自分の子どもや生徒が,そもそも問題の意味がわかっていないのではないか」と疑うことができれば,これまで気づかなかった弱点が見えてくるかもしれません。

きちんと教科書が読めるために,周りの親や教師は何をしてやれるのか,教える側の意識を変えることも大切なのではないでしょうか。

 

最後に,「読む」力が高いか低いかの明暗を分けるとされる問題を解かせてみてください。

この正答率は中学生で12%,高校生でも28%と極めて低い問題です。

答えは②ですが,私の塾に通学していて,偏差値50以上の学校に在籍,そしておそらくMARCHには最低でも届くであろう生徒たちは,中学生であっても,完璧に正解することができました。

 

こういった問題が解けるような読解力があって,知識を増やしていくからこそ,頭が良い生徒が生まれます。

そんな「読む」力を備えた子(『地頭が良い』と同義かもしれませんね)であれば,いざ受験勉強を始めれば,偏差値が30台からでも一流大学に合格できるでしょう。

 

今回の記事を書く上で,以下の書籍も参考にさせていただきました。

筆者は,「読解力は何歳になっても向上する」という,希望の持てる仮説で,章の終わりを綴っています。

他にも筆者の主張に共感するところが多かったので,興味を持たれた方は是非読んでみてはいかがでしょう↓↓

最後まで記事をお読みいただけたことに感謝いたします。

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