英語の勉強というと,単語帳や問題集,参考書を思い浮かべる方が多いかもしれません。
もちろん,基礎を固めるうえでそうした教材は重要です。
しかし,英語を長く続けるためには,「好きだから観たい」「聞き取れるようになりたい」と思える素材に出会うことも大きな原動力になります。
そこで役立つのがYouTubeです。
小学生向けの英語アニメから,中高生・大人が楽しめるゲーム実況やVlogまで,YouTube上には英語に触れられる動画が数多くあります。
ただし,ただ眺めているだけでは学習効果は限定的です。
動画の選び方,背景知識の入れ方,覚えた表現の残し方を工夫することで,リスニングやスピーキングの練習素材に変えやすくなります。
当記事では,YouTubeを使って英語を勉強する方法を,小学生向けと中高生・大人向けに分けて紹介します。
YouTubeを用いて英語を勉強する目的
英語4技能の中で,YouTubeを使って伸ばしやすいのはリスニング力とスピーキング力です。
もっとも,このとき同時に語彙力も伸びるので,残りの2技能にも多少なりとも良い影響を及ぼすでしょう。
なお,このときの教材となるYouTube動画は,自分が好きなもの,楽しめるものであることが絶対条件です。
動画配信者に対して好意を持っているとか,または扱われている内容が自分の興味を引くものであれば,学びたい気持ちを高いレベルで持ち続けることができます。
タイトルに「英語リスニング用教材」と書かれていなくても,予備校の講義のような形態を取っていなくても全く構わないわけです。
その理由は,できるだけ自然に英語へ触れたいからです。
もちろん,好きな配信者が英語のスピーキング教材を作っている場合などはその限りではありません。
YouTubeの英語学習で大切な3つのポイント
ここではYouTubeで英語を学ぶときの基本的なポイントについて解説しますが,主に以下の3つです↓
- 興味のある英語動画を選ぶ
- 背景知識を増やしてから観る
- 覚えた表現を残す
興味のある英語動画を選ぶ
1つ目のポイントですが,これはすでに先述した通り,教材に使ってみたいと思うYouTube動画を探すようにしましょう。
英語のネイティブが話していて興味を引くものであれば十分ですが,その他,以下の点についても考慮してみてください↓
- 配信者に魅力があるか
- セリフの量が十分か
- 字幕がONにできるか
動画を決めるにあたっては,当然ながら一度試しに観てみます。
気に入った配信者やチャンネルを1つ見つけられると,同じジャンルの動画を続けて観やすくなり,その後の素材選びも楽になるはずです。
「この人の英語を聞き取れるようになりたい」と思える相手を見つけることが,継続の大きな助けになります。
次にセリフ量ですが,基本的には長い動画をおすすめするものの,その反面,長尺の動画に配信者が丁寧な字幕を付けるのはより困難になるわけです。
なので,代わりに自動生成された字幕を使うことが多くなります。
幸いなことに,英語の自動生成字幕は日本語よりも制度が高く,補助としては十分役立つでしょう。
短い動画を深く学ぶか,長い動画を使って広く触れるかは,目的によって使い分けが重要です。
リスニングやスピーキングを重視する場合,一字一句正確な字幕がある動画よりも,生の英語を大量に浴びられる動画をおすすめします。
背景知識を増やしてから観る
観たい動画が決まったら,次はその動画と似た内容で「日本語で」語られるもの(上で選んだ動画とは別の配信者によるもの)も用意してください。
日本語の別動画を通して背景知識を増やしておくことで,英語でYouTubeを観た際にも
このような内容のことを言っているはず。
と想像しやすくなります。
想像する訓練と言いますか,わからない単語が出てきて後で調べるときにおいても,まずは「このような意味だろう」と推測してから正解を確認する方が英語力をアップさせやすいものです。
似た内容の日本語動画がYouTube上に見当たらないというのであれば,内容的に関連した本を読んでみたり,インターネットで関連資料を調べるだけでも構いません。
例えば,ロンドンの観光地を現地の人が案内する動画を観る場合は,日本語の観光ガイドを予め読んでおきます。
なお,後で紹介するセサミストリートなどの子ども向けアニメを使うのであれば,映像だけで状況が推測できるため,わざわざ日本語の解説動画を探す必要はないでしょう。
YouTubeでは,自動生成された英文を一覧できる「Language Reactor」のような拡張機能も利用できます↓

この他,体験型のもの(例えばプラモデル紹介やゲーム動画)であれば,自分で遊んでみるのも良いでしょう。
覚えた表現を残す
新年になると,決まってとある洋画を字幕なしで観ることにしている私ですが,毎年の感想メモ(英語の聞き取り具合を記録している)を見比べることで,年々できるようになっていく様子がすぐに確認できます。
また,英語のスピーキング勉強をするにあたっては,一番最初に解いたときの拙い解答例を録音して残しておき,試験の前日に聞き直してみて
よくもまあ,こんなにひどい状態からここまで成長できたな。
などと,自分を鼓舞するために一役買わせているわけです。
人によっては勉強的な要素を感じてしまうかもしれませんが,後で自分が英語を話すときに「メモしておけばよかったな」などと後悔することが多いので,簡単なところだとメモ帳やLINE英語翻訳などを使って,気になった表現を残しておきましょう↓

次章からは実際の動画を使って,具体的なやり方を解説しますが,「小学生向け」と「中高生~大人向け」の2つに分けて紹介します。
基本的には,本章で触れたポイントさえ押さえていればどのような動画や方法で行っても構わないということを忘れないようにしてください。
小学生におすすめのYouTube英語学習
セサミストリートなど短い公式動画を使う
もし対象が小学生のお子さんの場合,この後紹介するゲーム実況よりも安心して見せられ,かつ質の高い英語に触れられる「セサミストリート公式チャンネル」などの動画が非常におすすめです↓
子ども向けの教育番組と侮るなかれ,使われている英語はネイティブの子どもたちが日常的に耳にする自然なもので,発音も非常にクリアに作られています。
エルモやクッキーモンスターといった愛らしいキャラクターたちが,数分間の短い動画の中で,日常の挨拶や感情表現,アルファベットなどを楽しく教えてくれます。
小学生の英語学習において,このチャンネルを利用するメリットは以下の通りです↓
- 1本の動画が数分と短く,集中力が続きやすい
- 映像の動きと英語がリンクしており,意味を推測しやすい
- 暴力的な表現がなく,親が安心して見せられる
なお,小学生の英語学習では,動画だけで完結させるよりも,家庭での声かけや教材選び,学校英語とのつなげ方まで含めて考えることが大切です。
詳しくは小学生の英語教育で大切なことで解説しています。
親が一緒に観ると効果が上がる
親が隣で一緒に観ながら,「エルモは今,何て言ってたのかな?」と日本語で状況を補ってあげる(先述のポイント2)と,より理解が深まります。
また,気に入った動画のキャッチーなセリフや歌を真似して一緒に声に出してみる(ポイント3)のにも最適です。
実際,日本で英語を得意にした人の中にも
幼少期に英語のアニメばかり観ていた。
と言う方は少なくありません。
中高生・大人におすすめのYouTube英語学習
中高生以上であれば,英語圏のゲーム実況やVlog,雑談配信,購入品紹介なども良い教材になります。
特にゲーム実況は,画面の状況と英語が結び付きやすく,驚き・怖さ・喜び・失敗などの感情表現も自然に出てきます。
そのため,教科書や問題集では出会いにくい口語表現を学びやすいのが特徴です。
ここでは,先に紹介した「3つのポイント」に沿って,ゲーム実況を使った学習を次の3ステップで進めていきます↓
- ステップ1:興味のある英語動画を選ぶ
- ステップ2:日本語の動画で背景知識を入れる
- ステップ3:英語動画を観ながら表現を拾う
もちろん,必ずこの順番で行う必要はありません。
すでに内容を知っている作品であれば,いきなり英語動画から観ても構いませんし,ネタバレを避けたい場合は,先に英語動画を楽しんでから日本語動画で確認する方が自然です。
大切なのは,1回観て終わりにするのではなく,背景知識を増やしたり,表現をメモしたりしながら,同じ動画を少し違った角度から見直すことです。
ステップ1:興味のある英語動画を選ぶ
まずは,自分が教材として使ってみたい英語動画を選びます。
今回は,ゲーム実況の例として「Shadows of Rose」を取り上げ,英語圏のVTuberである「がうる・ぐら」の動画を選びました。
英語圏の配信者らしいテンポの良い話し方に加え,驚いたときの反応,怖がる場面での言い回し,視聴者とのやり取りなど,生きた口語表現が多く出てくるのが魅力です。
自分が「この人の実況なら面白そう」「このゲームなら飽きずに観られそう」と思える配信者の動画を選ぶことが,長続きする一番のコツです。
ステップ2:日本語の動画で背景知識を入れる
英語の実況動画を観る前に,同じ作品を扱った日本語の実況動画で内容を確認しておくと,理解しやすくなります。
ゲーム実況を英語学習に使う場合,この「先に内容を知っておく」作業はかなり重要です。
あらかじめ展開を理解していれば,英語を一語一句聞き取れなくても,
今はこの場面について話しているはず
と推測しやすくなります。
ステップ3:英語の動画を観ながら表現を拾う
背景知識が入ったら,いよいよ自分が選んだ英語版の実況動画を観ていきます。
ゲーム実況では画面上の出来事と発話が結び付きやすいため,知らない単語が出てきても意味を推測しやすいです。
例えば,敵が出てきた場面,アイテムを拾った場面,謎解きをしている場面などでは,配信者の声の調子や画面の動きから内容をかなり補えます。
このような動画は,最初からすべて聞き取ろうとすると大変です。
まずは,
- 聞き取れた単語を拾う
- 何について話しているかを大まかに考える
- 気になった部分だけ字幕で確認する
くらいの使い方で十分です。
1回目は内容を楽しみ,2回目は字幕を使いながら表現を拾い,3回目は気に入った場面だけを声に出して真似する,という流れにすると学習素材に変えやすくなります。
そして,動画をただ観ただけで終わらせないことが,YouTube英語学習を成功させるコツです。
気になった単語や表現を書き残しておくと,後で自分が英語を話すときの材料になります。
今回の動画からも,俗語や話し言葉を含めて,次のような単語を拾うことができました↓
今回の動画から学べた単語例
coffin, weird, blob, smudge, poke, forehead, eyeball, mortal, unto, evoke, yield, duplicate, flaw, vessel, warrant, graciously, dispossess, intruder, realm, husk, disgusting, freaky, glowing, werewolf, mold, sideboard, sappy, stumble, creepy, charcuterie, crucify, harsh, messed up, bully, tummy, shears, mannequin, hanky, fetus, caveman, leap of faith, inventory, dude, tetanus, immersion, respawn, compensator, condescending, peekaboo, lumpy, gross, spawn, crouch, carcass, icky, figment, darn, peculiar, abide
ゲーム実況は話し言葉が中心なので,すべてをきれいな英文として暗唱する必要はありません。
ただし,短いフレーズや場面と結び付いた表現は覚えやすいです。
例えば,今回の動画では次のような表現が耳に残りました↓
We should craft something. Oh, this is where we fought the vampire lady!
I looked at chat at the perfect time, sorry ma'am!
こうした表現は,単語帳で覚えるよりも,実際の場面と一緒に記憶に残りやすいです。
また,ゲームとは直接関係のない視聴者コメントへの返答や雑談部分からも,日常会話で使われる表現を学べます。
スラングやくだけた表現が多い動画を見る場合は,必要に応じて英語圏のスラング解説も確認しておくと理解しやすくなります↓
大切なのは,動画を「聞き流すもの」で終わらせず,自分の中に残る形に変えることです。
単語を10個だけメモする,気に入った一言を真似して録音する,次に似たゲームをするときに同じ表現を使ってみるなど,小さなアウトプットにつなげていきましょう。
YouTube英語学習の注意点
字幕を信じすぎない
YouTubeには自動生成された字幕機能があり大変便利ですが,これらは完璧ではありません。
特にゲーム実況のようなくだけた会話,スラング,キャラクターの固有名詞,あるいは配信者が早口で話したり言い淀んだりした部分では,誤変換が頻発します。
字幕はあくまで補助的なものと割り切り,「一字一句正確に訳さなければならない」という思い込みは捨てましょう。
時にはあえて字幕をオフにして,映像の状況や配信者のリアクションから「今どんなことを言っているのか」を推測する姿勢が,実戦的なリスニング力を育ててくれます。
小学生は視聴時間と内容に注意する
YouTubeには無数の動画がある分,意図せず過激な言葉遣いや暴力的な表現を含む動画(または広告)に触れてしまうリスクがあります。
小学生のお子さんが視聴する場合は,子ども向けの「YouTube Kids」アプリを利用したり,親が事前に選んだ公式チャンネルの動画だけを見せたりといった管理が必要です。
また,画面を長時間見続けると目が疲れやすくなり,集中も続きにくくなります。
「1日15分まで」「動画を3本見たら終わり」とルールを決め,親の目の届くリビングなどで一緒に楽しむことを心がけてください。
試験対策だけで完結させない
職業柄,「こういったYouTube動画を理解できるようになりたいのですが」と相談されることも多いです。
そのときに,中学英語や参考書の重要性だけを伝えて終わりにするのは,少しもったいないと感じています。
もちろん,基礎となる文法や語彙は大切です。
しかし,「この動画を英語で楽しめるようになりたい」と思えているなら,その気持ち自体がすでに立派な学習の入口になります。
YouTubeで使われる生の英語の多くは,日本の試験問題には出てきません。
それでも,こうした英語の学びが決して無駄になるとは思えません。
いわゆる「普通の」受験勉強をしているだけだと軽く見てしまうところにこそ,英語上達のヒントが隠れていることもあるからです。
「Why do they suck in their souls?」などという英文に出会うことは,今回のバイオハザードの動画を観ない限りはなかったでしょう。
テストの点数には直結しなくても,こうした刺激的な「生きた英語」に触れて夢中になる経験は,英語に対する情熱や,好きなものを深く追いかける探究心につながります。
その気持ちは,長い目で見れば,英語学習を続ける大きな原動力になるはずです。
まとめ
YouTubeを使った英語学習では,何よりも「観たい」と思える動画を選ぶことが大切です。
小学生であれば,セサミストリートのような短くて安心できる公式動画から始めると取り組みやすくなります。
中高生や大人であれば,ゲーム実況,Vlog,購入品紹介,雑談配信など,自分の興味に合う動画を選ぶと継続しやすいです。
ただし,動画を眺めるだけで英語力が伸びるわけではありません。
背景知識を入れてから観る,字幕に頼りすぎない,覚えたい表現をメモする,実際に声に出して真似する,といった工夫を加えることで,学習効果は大きく変わります。
英語学習は,参考書だけで完結するものではありません。
「この動画を英語で楽しめるようになりたい」と思えたなら,それは十分に立派な学習の入口です。
好きなものをうまく使いながら,自分だけの英語習慣を作ってみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
