中学・高校教師の英語力はどのくらい?現状と理想について

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中学卒業時に英検3級,高校卒業時には英検準2級(できれば2級)を取得するのが,日本の英語教育における1つの目安となっていますが,それはあくまで学生側においてです。

それでは一体,中学や高校の教員の英語力はどれほどのものなのでしょうか。

権利を主張するなら義務を果たせと,社会では言われたりもしますが,実際生徒に対し,「もっと英語を勉強しろ」という資格がある教師がほとんどなのでしょうか。

今回の記事では,現時点で最新の調査結果(平成28年度版)をみながら,中学や高校の英語教師の英語力の現状と理想について(どのくらいの点数を取っていたら,英語力の証明になると言えるのかについて)考えてみたいと思います。

英語教員の英語力の現実と理想について

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中学や高校の教員を対象とした英語力の調査は毎年実施されていて,「英語教育実施状況調査」と呼ばれる調査がそれにあたります。

調査の説明によれば『各都道府県・市区町村教育委員会及びすべての公立小学校・中学校・義務教育学校・高等学校・中等教育学校が対象』となっています。

平成28年度の調査で実際に対象となった学校は,

  • 小学校:19679校
  • 中学校:9460校
  • 高等学校:3390校

となっています。

まぁ,とにかくすべての教員の英語力は計測されたということになるわけですが,早速その結果を見てみると,英語担当教員のうち,CEFR B2レベル以上(これが国の定める基準で,英検だと準1級,TOEICだと730点程度以上です)を取得している教員の割合は,

・中学校:32.0%

・高校:62.2%

という結果となり,これが現実だということになります。

ここで,実際の英語教員に求められる目標数値はというと,

・中学校:50%

・高校:75%

であり,これが理想です。

 

まとめてみると,これはつまり,中学の教員のうち,現在は3人に1人がB2レベルで,最終目標は2人に1人がそうなってほしいということを意味しています。

また,高校の教員については,現状3人に2人程度がB2レベルで,最終目標は4人中3人がそのレベルに達することが理想だという意味です。

これが多いか少ないかはさておき,一つの基準として覚えておきたいですね。

 

確かに,この4年間で,B2レベルの教員の割合は増えてきてはいます。

 

以下がその高校教員の英語力の進歩状況のグラフとなりますが,右にちょこっと書かれている文言によれば,非常勤講師や臨時職員は含まれていないことには注意が必要です↓↓

 

しかし,これをひねくれた目線で見てみれば,B2レベルに達していない教員というのは,最大で英検2級レベル程度の英語力しかないことを意味し,それはもはや教える生徒と同じか,それ以下の場合もありうるということで,さらに言えば,これだけ英検などを受けるよう迫られている中でさえB2レベルを達成できていないということは,よほど英語ができないことになります。

さすがにそういう教員は高3の担当ではなく,高1などを任されるのでしょうが,やはり生徒側としては,そういう先生に習いたいとは思わないでしょう。

なお,中学でも同じようなグラフがありましたが,高校の半分程度の上昇(27.7→32.0%)が見られたにすぎませんでした。

 

 

生徒の英語力の現実と理想

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ついでに,中学生と高校生の英語力についてもデータがありましたので見てみましょう。

・中学3年生のうち英検3級以上を取得している生徒の割合は36.1%

・高校3年生のうち英検準2級以上を取得している生徒の割合は36.4%

ここで『教育振興基本計画』という,いわゆる国の定めた目標を見てみると,

高等学校卒業段階で英検準2級程度以上を達成した高校生の割合が50%になるのを目標とする

とのことでした。

 

英検では2級が高校卒業程度のレベルと書かれていますが,取得できる生徒の割合は,実際のところ15%弱だと予想されます。

なんだか2級のデータが出ていないあたり,作為的な感じを受けますが,少なくともここで1つ言えることは,それだけ英語ができるようにならない高校生が多いということだと思います。

 

 

国際社会で活躍する人材育成のために

そんな現状の中で,外国語指導助手(ALT)を活用する学校が増えてきています↓↓

やはり,日本人の英語教員だけではどうにもならないということなのでしょう。

また,特に最近では,静岡県の教育委員会が,2019年度の公立の高校教員採用試験において,

「英語のネイティブスピーカーを採用する」

と発表したのがニュースになりました。

 

同時に知らされた情報によれば,採用試験における英語の専門試験において,高校英語教員が,英検1級・TOEIC950点以上持っていた場合は免除となり,準1級・TOEIC800点以上は5点加算されるとのことです。

特別視されるのは,このレベルの英語教員だということですね。

 

 

教育機関における英語力の現状まとめ

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『英語はみんなが得意になりたいけれど,できるようになった大人が少ない』という事実は,実際,ある程度長く人生を生きてみれば「しょうがないか」と納得がいくようにもなります。

大学だって普通に生活していれば,英語を使う機会はほぼないですし,社会に出てみても,ネイティブスピーカーと英語で話す機会なんて普通はありませんから。

また,高校3年生のときの英語力がある意味,その人の中で最高に英語ができる瞬間だとも聞きますが,そのレベルは,多くの大学や社会が求める英語力に達していないのが現状です。

「高いレベルを求めすぎだ」と思うところもありますが,実際にそのレベルに達することができる学生もいるのは事実で,そういう人だけが良い大学や就職先を見つけていくのも,ある程度確からしいことのように感じています。

現に中学生で英検2級以上を取ったり,海外に短期留学などして過ごさせる家庭も周り,特に私立に通う生徒に多く見られます。

 

さて,中学や高校の先生の英語力についてですが,上で少し厳しいことを書いてしまったようにも思えますが,英検やTOEICなどを受けたことはないけれど,すごく英語のできる先生はたくさんいることを知らないわけではありません。

ですが,英語の実力があるのであれば,ただ受験会場に行って試験を受ければいいだけの話で,それにかかる時間はせいぜい2日程度です。

実際に高校では,管理職の教員(ボス)に対して,所属する教員(手下)が資格検定試験を受けるよう働きかけるよう指導したり,研修講座を実施してできない教員に英語の授業特訓を行ったり,検定料を助成するなどして,10%以上の教員がB2レベルに達したと書いてありました。

ですが,それでも,4年間も経ってB2に達した教員が1割増えただけというのは,まだまだ本気度が足りないような気がします。

さらに,自分が高校生だったときのことを思い返してみれば,英検2級を受けさせられる裏で,教わる教師が英検3級しか持っていないことを不思議と生徒はみんな知っていて,「なんか理不尽じゃないか」と疑問に思ったものです。

やっぱり,教える側にも説得力を持つ英語力の証明は必要なのではないかなと思います。

 

最後に本記事の要点をまとめると,

日本では,黙っていては英語はできるようにならない。

けれども,英語を教える教師には,せめてB2の英語力があることを証明していただきたい。

また,学生においては『英語ができる=勉強ができる』という図式が大学や企業側で出来上がってしまっている以上,2級を目指して頑張ることしか,理不尽な世の中に立ち向かう術はない。

と結論づけられることになります。

最後までお読みいただいた方,どうもありがとうございました。

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