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中学・高校教師の英語力はどのくらい?現状と理想について

中学卒業時に英検3級,高校卒業時には英検準2級を取得するのが,日本の英語教育における1つの目安となっていますが,それはあくまで学生側の話です。

それでは一体,中学や高校の教員の英語力の現実と理想はどれほどのものなのでしょうか。

「権利を主張するなら義務を果たせ」と社会では言われたりもしますが,実際生徒に対し「もっと英語を勉強しろ」という資格がある教師がほとんどなのでしょうか。

今回の記事では,現時点で最新の調査結果をみながら,中学や高校の英語教師の英語力の現状と理想について(どのくらいの点数を取っていたら,英語力の証明になると言えるのかについて)考えてみたいと思います。

 

 

英語教員の英語力の現実と理想について

stevepb / Pixabay

中学や高校の教員を対象とした英語力の調査は毎年実施されていて,文部科学省による「英語教育実施状況調査」と呼ばれる調査がそれにあたります。

調査の文面によれば『各都道府県・市区町村教育委員会及びすべての公立小学校・中学校・義務教育学校・高等学校・中等教育学校が対象』となっており,平成30年度の調査で実際に対象となった学校は以下の通り↓↓

  • 小学校:19336校
  • 中学校:9374校
  • 高等学校:3354校

この調査により,すべての教員の英語力が計測されたということとみなしますが,早速その結果を見てみると,英語担当教員のうちCEFR B2レベル以上(これは英検だと準1級,TOEICだと730点以上に相当します)を取得している教員の割合は,

  • 中学校:36.2%
  • 高校:68.2%

となり,この結果が現実となります。

ちなみに英語教員に求められている目標数値は,

  • 中学:50%
  • 高校:75%

であり,これが理想です。

この数値が多いか少ないかはさておき,一つの基準として覚えておきたいですね。

まだどちらも理想には達していませんが,この数年で少しずつ教員の英語力(というか証明できる資格を実際に取得した方の割合)は上昇してきており,中学教員のうち現在は2.8人に1人がB2レベル,また高校の教員については1.5人に1人がB2レベルにまで迫ってきています↓↓

英語教員の学力推移

ところで,「B2レベルに達していない教員」というのは最大で英検2級レベル程度の英語力しか証明できていないことを意味するわけで,それはもはや教える生徒と同じレベルかそれ以下ということになります。

これだけ自身の英語力を証明するよう迫られている状況下で,いまだB2レベルを達成できていない教員が一定数存在する点は覚えておきましょう。

さらに言えば,目標を達成したとしても,4人に1人はできない教員ですからね(かつてのセンター試験だと160点くらいしか取れないと思います)。

さすがにそういう教員を最高学年の担当にすることはないのでしょうが,例え1年生を任されていたとしても,生徒側としてはそういう先生に習いたくないですね。

なお,中学教員の方はさらに意識が低いようで,5年もかけて8.3%しか上昇していません。

こちらは理想にはまだまだ遠いですね。

 

 

生徒の英語力の現実と理想

weisanjiang / Pixabay

ついでに,中学生と高校生の英語力についてもデータがありましたので見てみましょう!

  • 中学3年生のうちCEFR A1レベル以上を取得した生徒は42.6%
  • 高校3年生のうちCEFR A2レベル以上を取得した生徒は40.2%

ここで『教育振興基本計画』という,いわゆる国の定めた目標値を見てみると,

中学卒業時にA1(英検3級)以上,高校ではA2(英検準2級)以上を達成した生徒が50%

ということです。

こちらもこの数年で上昇してきているのは良い傾向ですね!

生徒の英語力の推移

ちなみにさらに上のB1レベル(英検2級)は運営元によれば「高校卒業程度のレベル」と公表されているにもかかわらず,取得できた生徒の割合は実際のところ15%程度だと予想されます。

先の調査における高校生のデータでB1取得者の割合が見つからないあたり,都合良く隠されてしまっている感があるのですが,高校生は今後ますます英語力を上げていく必要があると考えておきましょう。

 

 

国際社会で活躍する人材育成のために

そんな現状の中で,外国語指導助手(ALT)を活用する学校が増えてきています↓↓

やはり日本人の英語教員だけではどうにもならないということなのでしょう。

特に最近では静岡県の教育委員会が,2019年度の公立の高校教員採用試験において,

「英語のネイティブスピーカーを採用する」

と発表したのがニュースになりました。

同時に知らされた情報によれば,採用試験における英語の専門試験において,高校英語教員が,

  • 英検1級・TOEIC950点以上持っていた場合は免除
  • 準1級・TOEIC800点以上は5点加算される

とのことです。

英語教員が特別視されるためには,やはりこのレベルの英語力を備えておく必要がありますね。

 

 

教育機関における英語力の現状まとめ

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『英語はみんなが得意になりたいけれど,できるようになった大人は少ない』という事実は,実際ある程度長く人生を生きてみれば「しょうがないか」と納得がいくようにもなります。

大学に行っても国内で普通に生活していれば英語を使う機会はほぼないですし,社会に出てみてもネイティブスピーカーと英語で話す機会なんて普通はありませんから。

「高3のときの英語力が,ある意味,人生で最高に英語ができる瞬間だった」と笑いながら話している声を聞きますが,大学に入った学生の様子を見ていると冗談でなく本当なんだなと思うようになりました。

とはいえ,そのレベルであっても多くの大学や社会が求める英語力に達していないことは知っておくべきです。

「高いレベルを求めすぎだ」と思うところもありますが,実際にそのレベルに達している生徒も増えており,そういう子は比較的良い大学や就職先にありついているのも,ある程度確かなことのように感じています。

現に中学生で英検2級以上を取得する子もちらほら出てきており(最近は準1級も出ました),長期休暇は海外に短期留学などして過ごさせる家庭も私立の生徒を中心に多く見られ,英語力の格差はますます広がっているようです。

さて,本記事の目的であった「中学や高校の先生の英語力」についてですが,実際に高校では,管理職の教員(ボス)に対して,所属する教員(手下)が資格検定試験を受けるよう働きかけるよう指導したり,研修講座を実施してできない教員に英語の授業特訓を行ったり,検定料を助成するなどしてB2レベルに達する教員を増やしています。

ですがそれでも,5年も経ってB2に達した教員が1.5割増えただけというのは,まだまだ本気度が足りないような気がします。

自分が高校生だったときのことを思い返してみれば,英検2級を受けさせられる裏で,教わる教師が英検3級しか持っていないことを不思議と生徒はみんな知っていて,「なんか理不尽じゃないか」と疑問に思ったものです(そして中高生の直感はおおむね的を得ています)。

やはり,教える側にも説得力を持つ英語力の証明は必要なのではないでしょうか。

 

最後に本記事の要点をまとめると,

  • 高校の教員は3人中1人,中学では実に5人に3人がA2レベル以下
  • 英語教員はB2レベルの英語力は取得すべき
  • 中学生はA1,高校生はA2に達して平均レベル
  • 世の中の半数は優良企業でないのだから,社会に出るならB1以上を目指す

のように結論づけられました(英検だとA1は英検3級,A2は準2級,B1は2級,B2は準1級相当)。

 

今回の記事を読んで,自身の英語力に危機感を覚えた方は,是非とも普段から実力アップに励んでいただけたらと思います。

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  • この記事を書いた人

スタディサイト管理人

都内で塾運営にかかわってから,講師歴も15年以上になりました。小学生から高校生まで,英数を中心に学校の定期テストから大学入試まで幅広く教えています。最近の関心事は「教育改革」で,塾に入ってくる情報に加え,セミナーや書籍,信頼のおける教育機関より得た情報をまとめています。すぐに実践できる勉強法やオンライン教育サービスを利用した学習戦略も意欲的に掲載。ネットを介したやり取りにはなりますが,少しでもみなさまのお役に立てたらと思います。

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