「英語を話せるようになりたい」と思う人は少なくないように思われます。
しかし,それと同時に,簡単に英語を話せるようになるとは思っていないでしょう。
得られる満足の大きさとはどれだけの量の努力をこれまでに費やしたによって決まるものですが,英語を自由自在に操るためには多くの不断の努力が必要です。
ここでは,英語を話せる人物の代表的な例として全国通訳案内士を取り上げ,「その口述試験の勉強法」を通して,英語を話せるようになるために必要な能力について考えてみることにしましょう!
英語を話せるとはどのような状態か
「英語を話せる」と言っても,外国に行ったときにレストランで注文できたり簡単な挨拶ができたりするだけで構わなければ,冒頭で述べたほどの大きな努力は要しません。
今の時代,Google翻訳などのスマホアプリの使い方にさえ熟知していれば,日本語で自分の思ったことをスマホで英語に変換してもらって発音までしてもらえますし,逆に,相手が話した英語はスマホの方で日本語に自動翻訳してもらうことが一瞬でできてしまうわけです。
傍から見れば,相手と十分にコミュニケーションを取れている状態に他なりませんから,広義の意味では英語を話せていると見なすことができます。
しかしここでは,そういった文明の利器を一切使わずに外国人と英語で会話することについて考えてみましょう。
その場合,
- 自分が思ったことを英語にできる状態
- 英語で話すための知識がある状態
の2つを目指すことになるはずです。
これらは,いずれか一つが欠けてしまっても英語を話せているとはなりません。
たとえ,目の前の人がひたすらに英語をしゃべり続けていても,その内容が,単に自分の言いたいことを英語に変換しているだけで,相手の質問に答えられていないことがあります。
なので,英語の文法知識や語彙力,発音能力・リスニング力に長けていて,なおかつ,地理や歴史や一般常識のような基礎知識を持ち合わせていることの両方が必要となってくるわけです。
もちろん,自分の回りのことを話題にするだけでも英語のコミュニケーションはできるでしょう。
ですが,英語を使う必要がある場面は相手が外国人であることを意味しますから,比較文化的な視点では,一般的な日本についてよく知っておくことが必要という結論になります。
そして,そのための能力をよく問うことができる試験が全国通訳案内士の口述試験というわけです。
全国通訳案内士の口述試験の内容

試験概要
試験時間:10分
試験官:英語を母語とする人と日本語話者の2人
第1問:3つのキーワードの中から1つを選び,そのテーマについて2分間のプレゼンを行う
第2問:話した内容に関連して質問がある
第3問:試験官が日本語で読み上げる内容を聞き,1分程度の英語に訳す
第4問:ある状況が提示され,そこでどのように英語で対応するかが問われる
机の上にA4用紙とボールペンが置かれており,試験中メモを取ることができます。
なお,第1問の準備時間は30秒で,テーマは地理・歴史・一般常識のようにバランス良く分けられている他,問題セットは何パターンも存在し,他の時間帯に受けた人と問題が被りません。
全国通訳案内士の口述試験に合格するための戦略

前章で紹介した4つの問題のうち,最後の「第4問」はなんとかなります。
アイディア勝負なところがあり,かつ多少のリスニング力や英会話力が必要ですが,知識ゼロの状態でも何かしらを語ることができ,最後に感謝のお言葉を貰えることがほとんどです。
英会話集や口語辞書をわざわざ学んだところで,結果を左右することは少ないでしょう。
「第3問」は試験官との相性(またはその年の方針)が大きく,後で自分がメモしたものを見返しても何のことかわからない回があったかと思えば,ほぼ8割書き取れそうなときもありました(後者の場合,第1問の出来があまりに悪かったために,お情けでゆっくり読んでもらえた可能性は払拭できません)。
残った「第1問」と「第2問」ですが,2025年度に私が受けた時は「天橋立・アイヌ民族・イマーシブ体験」の3つでした。
最後のものは一般常識から出題されたテーマで,今調べると,昨年マーケティング業界で流行った用語のようですが,前年度も「2024年問題」だったので,とかく初めて耳にするものが多い印象です。
テーマについて,後述している「〇選」タイプのメイン問題集を用いたと仮定して,どれだけ的中していたのかを調べてみると以下の通りでした↓
| 600選 | 300選 | 305選 | 377選 | |
| 横浜赤レンガ倉庫 | × | △ | × | × |
| 寿司の食べ方 | 〇 | △ | 〇 | 〇 |
| 2024年問題 | × | × | × | × |
| 天橋立 | 〇 | △ | × | × |
| アイヌ文化 | × | 〇 | × | × |
| イマーシブ体験 | × | × | × | × |
※上の3つは2024年度,下の3つは2025年度の出題。△は一部に言及している(例えば,「横浜」について書かれていれば,横浜赤レンガ倉庫のところで何かしら言える)ことを示す。また,600選の問題集は発売が2025年で2024年度の出題例も踏まえて参考書が書かれていたので,その部分は省きました。
収録語が倍になれば的中率も倍になるのは当然ですが,となるとハロー通訳アカデミーの300選は検討していますが,そちらは英文量が少なく,例えばアイヌ文化について話してみると30秒以内に読み終えられてしまいます。
また,△を付けたところで,天橋立の説明がない代わりに日本三景の説明をしても満点を取れる回答にはならないでしょう。
逆に,扱う語数が多くなると確実に覚えられづらくなるのでどっちもどっちですが,これらについては後ほど考えることにします。
ちなみに,歴史も地理も1次試験は免除申請をしていてしばらくそれらを勉強していない状態だと,参考書でそれらの用語に触れることがない限りは絶対絶命のピンチに陥ってしまうことに注意してください。
なお,全国通訳案内士試験の一次試験も含めた攻略法については,通訳案内士試験に合格する勉強法!気長に正答率を上げ続けようで扱っています。
英語を話すために必要な勉強法の具体例
思ったことを英語にできるようになるには
言いたいことをすぐに英語に直せるようになることが必要です。
それにはまずは語彙力で,cloth headbandやdo one's best,それにfestivalやsports dayが頭に浮かぶ状態にならなければなりません。
その次に,これらを英文として成立させるための文法力,さらには完成形を正しく相手に伝える発音や抑揚も重要です(後者の練習は英検やTOEFlなどの勉強を通して身に付けられることも多いです)。
時間をかけずに答えられるようになるために,何とかできるようになった状態から,タイム短縮を目指すことまでしなければならないことを忘れないでください。
相手の質問に対して話す内容がある状態になるには
例えば,侘びや寂び,人形浄瑠璃や落語について日本語で説明してくれないかと聞かれて,数分間話すことはできるでしょうか。
外国人は日本人なら当然こういった内容について何かしらの答えが聞けることを期待しているわけですが,周りを見る限り,できないことの方が多いように感じます。
純粋に英語が話せない人もいますが,それ以上に,話すべき内容がない人も多いわけです。
そうならないためには,日本地理・日本史・一般常識の3項目において,ある程度の知識を付けておかなければなりません。
どの程度まで必要かの線引きが難しく,大いに越したことはありませんが,ここではとりあえず義務教育で学ぶ内容程度としておきましょう。
なので,具体的な勉強法は
- 中学教科書の日本地理の部分に精通する
- 中学教科書の日本歴史の部分に精通する
- 近年の時事問題に詳しくなる
こととなり,これはまさに全国通訳案内士試験の1次試験で問われる内容とそっくりです。
つまり,これらの勉強法が上手くいったかどうかは1次試験の合否結果で判断できることになります。
英語を話せるようになるために使える参考書
ここでは英語を話せるようになるために使う参考書(問題集も含む)についてみていきましょう!
基本的には全国通訳案内士試験の勉強に使う教材と同じですが,初期に使うものは他の英語の面接試験(英検やTOEFLやTOEICなど)にも有効です。
導入時期によって3つに分けて考えてみます。
初期に使う参考書
初期に使う参考書ですが,基礎能力を高めるためのものが該当し,具体的にはリスニングに関わる能力のアップや基本的な文法を用いて英文を組み立てる練習をしますが,単語はメインとする参考書で学べるのでここでは省略します。
リスニングは折角なので日本事情や時事問題について学べる参考書がベターで,第4問目を目標とするものです↓
NHKラジオ番組の中には無料で聴ける番組もありますし,ナチュラルスピードで学ぶのに抵抗がないものを教材に選ぶのが一番で,1回あたりの時間が数分であっても,長く毎日聞くことを意識してください。
英検1級の勉強を並行して行う人はそちらのリスニング対策で代えられますし,日本をテーマにしたゲームを英語で実況する方のYouTube動画を観ても良いでしょう。
なお,個人的にずっと重要なのは中学英語の習熟度の方で,
- 彼が泳いで渡ったその川はとても深いので,子どもたちはそこで泳がないように言われていた
という英文をすぐに英語に直せないようでは,この後,
- 平家一族が船で渡った壇ノ浦の海峡は,とても潮流が速く危険なので,漁師の子どもたちはそこで遊ばないように言い聞かされていた
を習ったところで,本番でスラスラと述べることはできないか,言い終わるのに時間がかかりすぎてしまうでしょう。
そこで,瞬間英作文の使用をおすすめします。
使う順番ですが,
- どんどん話すための瞬間英作文トレーニング
- スラスラ話すための瞬間英作文シャッフル
- バンバン話すための瞬間英作文「基本動詞」トレーニング
の順に学んでください↓
ただし,これらの参考書を使用するだけでは,本番で合格点を取れないでしょう。
基礎的な実力がある状態で,次のメイン参考書の内容を身に付けることが必須です。
メインとする参考書
メインには,日本に関連する用語に関して英語で説明が書かれている参考書を用います。
「日本に関連する基本ワード○選」などというタイトルを冠した本がそうですが,これらのほとんどは過去に出題されたものを収録されただけに過ぎず,万全ではないことに注意してください。
例えば,「アイヌ民族」について書かれているものはほとんど見つかりませんでした(過去には1959年や1982年などに出てはいますが,1次試験に出ていたものだったりもします)し,数百個も学んで1つ的中すれば御の字です。
ということは,丸暗記して上手くいくようなことは稀となり,そもそも,知らないテーマが出たらできない人が合格してガイドになってしまう事態は業界的に避けたいものでしょう。
もし仮に「日本関連ワード10000選」などというタイトルの本が出てそれをすべて覚えられれば万全となりますが,そのレベルに至るまでに十分合格できてしまいますし,そこら辺の辞書を使って学ぶ気にはならないのと同じことです。
ここで使う参考書は,語彙力の増強と,どのような流れで話をしていけばよいかのヒントを得るための材料にすぎません。
もちろん,暗記したものが的中すればとても有利に試験を進められますし,別のテーマのところで覚えたフレーズを転用することもできるので,努力は無駄になりづらいです。
なので,おすすめは自分の思想に近いものを使うことで,著者についてあまり知らないとか,戦争についてどのような書き方をしているかなどを判断基準にしてみてください↓
なお,これらの参考書で学んでいて,気になったことがあればすべて生成AIに尋ねて解決するようにしてください↓

場合によっては,先の瞬間英作文を使う際にも生成AIが活躍します(She did not know whose the dictionary on the table was.の文が文法的に上手く説明できない人などは,どうして正しい文であるかを質問してみてください)。
仕上げに使う参考書
口述試験で問われるテーマですが,最近の一般常識はこれまでに見ない出題であることはもちろん,他の地理や歴史のものも的中しないことが多いです。
例えば,生成AIに過去のテーマをすべて入力し,古い問題の中から適当に選ばせるか,これまでに出ていないもので近いものを選ばせた方がマシな結果になるでしょう。
対策方法も,これまでは参考書が必須級だったところが,今ではAIに聞けば立派な回答を作ってくれます。
例えば,先のアイヌ問題について尋ねるとこのような結果になりました↓

私がこの仕上げ作業の重要性に気付くようになったのはつい最近のことで,メインとする参考書の方もまだ十分に仕上がっていないために,具体的に何ができるかはまだ定まっていませんが,
- 長い日本語を基に英語にする作業を行う(例えば,リスニングで使った日本事情2020を日本語だけ見て英語にできるように練習する)
- 一次試験の英語以外の分野の参考書を英語に直す練習をする(それにより,オール日本語のユーキャンの通訳案内士の本が英語対策に使える)
ことが有効であるように感じています。
特に後者のような指摘をこれまでにしている人はいないように思う(当記事は2025年12月15日に公開しています)ので,私が是非実践して大成させたいです↓
この方法の良いところは,免除科目が多い場合でも語学中に基礎知識の確認までできてしまうところと言えます。
語る内容があって,後はどのような言い方をするかさえ学べれば何も言えないことにはなりませんし,本番での的中を祈らずに済むのは全国通訳案内士の理想的な態度に他なりません。
まとめ

以上,全国通訳案内士試験の口述試験のための勉強法を通して,英語を話せるようになることについて考えてきました。
日本のことについて,地理や歴史,そして最近の流行りや時事問題を通して英語で話せるようになるためにはどのようなことが必要かわかっていただけたのではないでしょうか。
私は受験者の中では英語が話せないグループに分類されるので,基本的には失敗談が中心ですが,
自分はこれだけ英語ができます,凄いでしょう?
的な成功談からはあまり得るものがありません。
もちろん,凄いな,こうなりたいななどと憧れるものの,彼らの言う方法論を実践してみたところで,自分がそうなることはないわけです。
とはいえ,全国通訳案内士試験は語学系で唯一の国家試験だけあって,その合格者像はまさに英語を話せる人物の理想そのもので,多くが目指したくなるものだと思っています。
当記事で述べた「英語を話すためには,そもそも話す内容がなければならない」という指摘は多くの方の盲点になりやすく,英語以外の部分,例えば,日本の観光スポットや日本文化について日本語で理解しておくことの重要さを忘れないようにしてください。
あくまで,英語は道具に過ぎません。
もっとも,その道具の使い方すら習得するのが難しいわけで,私自身,今だ全国通訳案内士試験の口述試験に挑戦中の身であり,これまでに2024年度と2025年度の全2回の受験経験があります。
もちろん,合格するまで毎年受験し続ける気でいますが,それがもしかすると20年後(20回後)になってしまうかもしれません。
その場合,「日本で一番全国通訳案内士の口述試験に失敗し続けている人」の称号が得られるはずで,そうなっても面白いでしょうが,自分のライフ・ワーク・バランスを大切に,今後も頑張っていきたいと思います。
こんな自分を正当化するわけではありませんが,先述したように成功するよりも失敗によって得られる知見の方が多いものなので,不合格の回数を重ねるたび,当記事の内容はどんどん良くなっていくはずです(当記事は今後も適宜更新する予定です)。
私はあらゆるライブ行動が苦手で,スピーキングよりもライティングの方がずっと取り組みやすいですし,楽器をアドリブで演奏するよりもDTMで作曲する方が,集団授業よりも記事を書く方がずっと簡単に感じます。
英語を話すことが生きる上での仕事で必須とあらば頑張るかもしれませんが,現状,他の3技能に劣りますし,誰かにやらされているわけでもないため,毎回,全国通訳案内士の口述試験の前には
受かる可能性もないし,何時間もかけて会場に向かってたった10分の辱めを受けることになるから,今日は受けに行くのをやめようかなぁ…
と毎回のように思うほどです。
ただ,そういった避けたいことや苦手なことに取り組むことは自分を成長させる上で必要だと思ってもいて,試験を受け終わった後は毎回何かしらの学びがあって有意義な時間になったと感じます。
これまでの失敗談の中には,口述試験の本番で半分以上の回答時間を沈黙で過ごしたことも含まれ,面接官が「あ,気の毒な受験者だ,どう接しよう」と固まっていることがひしひしと伝わってきても同じ感想です。
口述試験のための勉強をするだけでも英語を話せるようになりますが,最終的には是非,全国通訳案内士の試験自体も受けてみてください。
今回の記事内容が,少しでもみなさんのお役に立てれば幸いです!
最後までお読みいただきありがとうございました。