学習指導要領

高校生のための学びの基礎診断&認定されたツールについて

毎年10~11月に文部科学省の方から,来年度の高校生のための学びの基礎診断ツールが公表されます。

教育改革では「多面的に評価できるようにすること」がその課題の1つとして挙げられていますが,上記の測定ツールを組み合わせて活用することで,教員側の指導をより適切なものへと改善していけるようになるわけです。

今回の記事では,そもそも学びの基礎診断ツールとは何なのかから始まり,これまでにどのようなツールが認定されたのか,具体例も交えながら詳しくみていくことにしましょう。

 

 

高校生のための学びの基礎診断とは

「高校生のための学びの基礎診断」とは,義務教育において高校生が身に着けるべき基礎学力の習得度合いを測定するために文部科学省に認定された民間試験のことで,高校生の学習意欲を高める目的で利用されます。

とはいえ出てきた結果を受けて,生徒側だけでなく教員や学校,さらに言えば教育委員会側も指導諸々の見直しができるわけで,これも大きな目的だと言えるでしょう。

この基礎診断に認定された民間試験(以下,測定ツールと呼びます)は,文科省のHPにその試験内容が詳細に掲載され、測定できる資質や能力が公の目にさらされます

例えばこれは「文章読解・作成能力検定」の例です↓↓

学びの基礎診断の測定ツール例

各学校はこういった基本情報を判断材料にし,各校の方針に合った測定ツールを複数選択することで,年間指導計画などに反映していくこととなります。

そしてそれらのテスト結果は,学校自体の指導がうまくいっているかの確認や改善に役立てられるというわけですね。

イメージとしては以下のようなものとなります↓↓

測定ツールの選択イメージ

 

測定ツールの難易度は大きく分けて2種類あり,

  1. 高等学校における共通必履修科目重視の「標準タイプ」
  2. 中学までの義務教育内容重視の「基本タイプ」

標準タイプの方が難しい内容になっていますが,同一タイプに属していてもテストごとに測定できる資質能力が異なるのは試験内容を見ていただければすぐにわかります。

なお,これらの測定ツールが対象とする科目は英語・数学・国語(主要3科目)のみですが,今後の状況次第で対象教科は見直される予定とのことです。

「これまでにも受けさせられていた,定期試験以外でやる模試みたいなものでしょ。」

と言われたら確かに似ていますが,科目や測りたい資質能力に合わせてピンポイントで選択でき,PDCAサイクルの構築により役立つものだけが国に認定されているところが大きく異なります。

【PDCAサイクルとは】

Plan→Do→Check→Actionの4ステップを繰り返しながら業務などを継続的に改善していく方法

 

実際の活用イメージを見ていただくと理解しやすいと思いますが,定期試験の合間に各学校ごとに独自に診断ツールを組み合わせて利用していく感じですかね↓↓

なお,全高校で同じ時期に共通の基礎診断ツールを活用することで全国の順位が確認できますし,英語教育をウリにしている学校などでは,英語だけの測定ツールの結果が学外向けのアピールに使えますね。

 

本章の最後に,初年度にめでたく採用された団体についてまとめておきましょう。

  • 日本漢字能力検定協会(国)
  • ベネッセコーポレーション(英・国・数・3教科)
  • 日本数学検定協会(数)
  • 教育測定研究所(英)
  • ケンブリッジ大学英語検定機構(英)
  • Z会ソリューションズ(英)
  • ブリティッシュカウンシル(英)
  • 学研アソシエ(3教科)
  • リクルートマーケティングパートナーズ(3教科)

※詳細は以下の文科省HPからご確認ください。

平成30年度「高校生のための学びの基礎診断」の認定について

 

最後の赤字で示したリクルートの提供する試験は,英検や漢検さらにはベネッセの総合学力テスト(都内でよく目にします)などに比べると,特に新鮮なものに映ります。

次章では,この測定ツールを具体例に挙げて「学びの基礎診断」の特徴についてみていくことにしましょう!

 

 

スタディサプリ「学びの活用力診断」とは

リクルートが提供する測定ツールは「スタディサプリ学びの活用力診断」と呼ばれ,ICTが注目されるこれからの時代に相応しく,連動するオンライン教材による事後学習が可能なところが特に魅力的です。

挙げられている3つの特徴は、

  1. 知識をどう活用するかに重きを置いた設問
  2. オンライン教育サービスである「スタディサプリ」との連動
  3. PDCAサイクルや学習意欲喚起に役立つ

といったもので,1の「問題の質」に加え,3では学びの基礎診断の目的をしっかりと意識した特徴を有していることがわかります。

もう少ししっかり説明していくと,令和時代の入試で問われる思考力・判断力といった「知識の活用力」を測定できるため,一定期間が経過したタイミングで成績を比較することにより,生徒の能力が段階的に伸びているか確認できます。

また最もユニークな点は,試験範囲とスタディサプリの講座が連動しているので,1人1人に最適な復習教材を提示できるところでしょう。

模試を受けたことのある方ならわかるかと思いますが,苦手ジャンルがグラフで視覚化されても,何の教材を勉強するかなどは,自分でなんとなく探してこなければいけませんでした。

ですが,試験と連動しているパワフルなオンライン教材があるわけですから,「○○という講座の△△という講義を観て学ぶように」といったアドバイスが受けられるのは大変便利に感じるのではないでしょうか。

※試験を受けた生徒は、数ヶ月間はスタディサプリの一部範囲を自由に復習に用いることができます。

ここ数年でスタディサプリはいくつもの学校で急激に使われるようになっており,そこで培ってきたノウハウがあるからこそできる結果なのでしょう。

3つ目にかんしては,偏差値ならぬ『相対評価指標』といったものが算出されるため,全国の診断活用校の結果と照らし合わせながら,どこを優先的に取り組むべきかがわかるというものです。

 

実施内容について補足すると、

【スタンダード】

  • 高1&高2向け、年3回(7・11・1月頃)の実施
  • 基本3教科だが高2の11月と1月は理社が加わり5教科
  • 料金は3教科が3000円、5教科が3300円

【ベーシック】

  • 高1&高2向け、年1回(1月頃)の実施
  • 英数国の3教科で3000円

となっており、診断後に返却されるのは、

  • 結果レポート(教員向け・生徒向け)
  • 教師用指導ガイド
  • 結果の振り返り会を実施
  • 問題解説動画
  • スタディサプリでの学び直し講座
  • 類問演習プリント
  • 相対評価指標

です(理社では提供されないものあるようですが)。

赤字部分は先ほど紹介した,他の測定ツールには真似できないスタディサプリならではの強みであり,「振り返り会」というのは,診断結果を教員と担当者が一緒になって確認し,今後の指導計画や試作案を考える際に生かせます。

スタディサプリについて詳しく知りたい方は,以下のまとめページをご覧ください↓↓

スタディサプリの全知識

 

 

まとめ

以上、2019年度から採用されている「高校生のための学びの基礎診断」についてと、文科省に認定された測定ツールの中から『スタディサプリ学びの活用力診断』を例に,試験内容を解説してきました。

どの測定ツールが自分の学校で用いられるのかはあくまで学校側が決めるものなので,高校生は自分が受けた試験結果を元にしっかりと自分の強みと弱みを認識し,前回よりも良い点を取れた暁には大いに自己肯定感を高めてほしいと思います。

一方の学校側には「学びの基礎診断」で生徒の内情を細かく把握し,PDCAサイクルによる改善により,是非とも適切な指導に生かしていただきたいものです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

  • この記事を書いた人

スタディサイト管理人

都内で塾運営にかかわってから,講師歴も15年以上になりました。小学生から高校生まで,英数を中心に学校の定期テストから大学入試まで幅広く教えています。最近の関心事は「教育改革」で,塾に入ってくる情報に加え,セミナーや書籍,信頼のおける教育機関より得た情報をまとめています。すぐに実践できる勉強法やオンライン教育サービスを利用した学習戦略も意欲的に掲載。ネットを介したやり取りにはなりますが,少しでもみなさまのお役に立てたらと思います。

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