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数学検定とその受検目的について

今回は,日本数学検定協会が実施する「数学検定」について,その概要と受検する目的を中心にまとめていこうと思います。

数学はSociety5.0の時代において,よりその重要性を増し,たとえ文系の大学に進もうと考えていても,最低限の教養として備えておくべきものであり,実際,考え方の幅を広げてますし,就職試験においても出題が予想されるわけです。

中高生であれば,その結果は各種入試に利用できるだけでなく,弱点分野の把握であったり,純粋に数学を勉強するモチベーションアップに役立てたりもできるので,ぜひ挑戦してみましょう!

数検の級と合格率について

数検の級一覧

数学検定は1~5級までがありますが,その下には「算数検定」と呼ばれる6~11級がある他,幼児を対象とした「かず・かたち検定」もあります。

なお,準が付くのは準1級と準2級のみで,各級が出題範囲とする学年の目安は以下の通りです↓

数学検定 算数検定
1級 大学 6級 小6
準1級 高3 7級 小5
2級 高2 8級 小4
準2級 高1 9級 小3
3級 中3 10級 小2
4級 中2 11級 小1
5級 中1 かず・かたち検定 幼児

ただし,目安となる学年はあくまで「そこまでに習った全範囲から出題する」的な意味なので,例えば3級の出題内容を詳しくみると,

  • 中学3年レベル30%
  • 中学2年レベル30%
  • 中学1年レベル30%
  • 特有問題10%

といった具合に,純粋に中学3年レベルの問題以外も出題されています

かといって,中学2年までの内容しか学んでいない人が上の3級を受けて合格できるかというと,1次検定の合格点が70%以上なので,おそらく可能性は低いでしょう。

なお,数学検定は1次と2次があり,前者は計算技能検定,後者は数理技能検定ということで,出題意図が異なります。

簡単に言えば,1次で計算力,2次で論理力を測定されることになるわけです。

特に後者は,問題の多くが,最近世間を賑わせている記述式の問題であるところも,数検の魅力につながっているように思います(ゆえに,テスト中に机上に置けるものについてもやや異なり,2次検定では電卓や定規コンパスの使用が認められています)。

先に合格基準について少し触れましたが,数学検定においては1次で70%以上,2次では60%以上が目安となっていて,最近の合格率は以下の通りでした↓

数学検定の合格率(2020年度)

  • 1級は12.1%
  • 準1級は22.5%
  • 2級は34.5%
  • 準2級は44.5%
  • 3級は66.6%
  • 4級は73.4%
  • 5級は77.1%

年度によって多少の違いはありますが,合格率が10%以上変わるようなことはないので,問題は良質なものであると判断できます。

検定日については,提携会場も含めると,ほぼ毎月どこかでやっている程度の開催頻度です。

ただし,1級やかず・かたち検定が提携会場では受検できなかったり,検定料にも違いがあったりするので,詳細は数検のHPで確認してください↓

 

数検の受検目的について

頭の良い生徒

数検を受検する目的は,入学試験に利用する他,弱点範囲を把握するためだったり,やる気アップに使ったりもします。

ここで1つずつ詳しくみていきましょう。

入試に利用する

数検は多くの高等専門学校や高等学校,中学校,そして大学や短大,専門学校で入試優遇制度の対象になっています。

高校入試において中学生が加点を望む場合は,数検3級以上が評価の対象となる学校が多く,理想は準2級です。

というのも,いわゆる中高一貫校の場合,公立中学より数学の進度が早く,中3で高1の内容に入っているところは多いので,やはり周りのライバルに差をつけるためには,高1内容(数学IA)が50%程度出題される準2級に合格しておきたいところでしょう。

下の写真は都内の一部高等学校入試における数検活用の例ですが,内申に加点される学校が多いので,確かな差となって表れます↓

高校入試と数検利用の関係

評定2を3に上げるならまだしも,評定が4の教科を5に上げることは本当に難しいので,難しい高校を受ける学生ほどその恩恵は大きくなりますし,数学IAまで学んでおくことは私立の問題を解く際に役立つことが多いです。

さて,次に大学入試においてですが,こちらも今後ますます利用できる学校が増えていくように思われます。

高校入試と比べると,受験生の学力はより多様になるため,評価対象となる級の幅も広がるのですが,数学IIBまで学んだ学生は2級,数学3まで学んだのであれば準1級に合格しているのが目安です。

とはいえ,内申に加点されるというよりかは,総合型選抜の自己アピールの資料として参考にしてもらえる程度のものなので,どちらかというと後述する弱点把握の目的で勉強していて合格する方が自然な動機だと思います。

大学入試と数検利用の例

弱点分野を把握する

数検を受検する目的として,弱点分野を把握するというのは非常に理に適ったものです。

問題は良質で,計算や作図,統計や証明といった実用的な技能だけでなく,論理構成力を記述式によって測ることができるもので,実際,準2級と3級は文部科学省の「高校生のための学びの基礎診断事業」にも認められました↓

高校生のための学びの基礎診断とは
高校生のための学びの基礎診断と認定ツールの紹介

2018年度から,文部科学省において「高校生のための学びの基礎診断」がスタートしました。 中を覗いてみると,高校生の基礎学力を測定するための一定の基準をクリアした民間試験がずらりと並んでいます。 教育改革においては「生徒 ...

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その他,2級以上に合格したとなれば,高等学校卒業程度認定試験(かつての大検)の数学が免除になるなど,数学力を保証するものとして世間には認知されています。

なお,数検を受検すると,個別成績票というものを受け取ることになるのですが,ここには各項目における得意・不得意がコメントとともに記述されているのが特徴です↓

数検の個別成績票の例

特に全体の正答率が高くて自分が間違えてしまったもの(赤色で塗られた単元)については,学校で配られる問題集なども併用して,別個に学び直しておきましょう。

都内の私立中学・高等学校において数検を生徒に課すところが近年ちらほら見られるようになりましたが,有名どころの英検に関しては当たり前のように実力診断として利用しているところが多いわけですから,数検にももっと注目が集まると良いなと思っています。

やる気アップに役立てる

数検は細かく級が分かれているので,どのレベルからでも始められて,各自が自分の実力にあった目標を設定できるのが強みです。

費やした努力は「合格証」という形になって,しっかり報われるので,やればできるんだという達成感は自己肯定感のアップにつながり,後の人生にまで良い影響を与えることになると言っても過言ではありません。

数検のHPでは合格者の体験談も読むことができるのですが,合格できて嬉しかったというコメントと問題を解く中で数学の楽しさに気が付いたというコメントの2つは,多くの受検者の間で共通しています。

学生に限らず,大人になってから数学をやり直す方の間でも数検は人気のようで,何歳になっても挑戦しようとする姿勢は美しいものです。

私の家でも,祖父が晩年になってユークリッド原論を読み始めていましたが,純粋に興味本位で学ぶだけでなく,数検合格をモチベーションに学ぶのも面白いのではないでしょうか。

 

まとめ

算数を楽しんでいる小学生

以上,数検の出題範囲や合格率から始まり,受検する目的について,入試に利用する他,弱点の発見であったり,やる気アップに役立てることまでまとめてきました。

数検は合格することで入試優遇措置などで恩恵を受けられる他,数学ができるようになることで,数字を介した物の分析ができるようになります

数学を通して論理力が磨かれたり,業務処理のスピードが上がるからか,就職試験で有名なSPIにおいては,数検の準2級の問題と74%が共通だということです。

なお,もし勉強法に悩むようでしたら,小学生は,以前記事にしたRISUを利用することで先取り学習が可能になりますし,中学生以降はスタディサプリのようなオンライン教育を使うことで,比較的簡単に先取り学習が可能になります。

ぜひ以下の記事も参考に,数検の勉強を始めてみてください!

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最後までお読みいただいた方,大変ありがとうございました。

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スタディサイトの管理人

通信教育の添削や採点業務に加え,塾や家庭教師を含めた指導歴は20年以上になります。東大で修士号を取得したのははるか昔のことですが,教授から「ここ数年で一番の秀才」と評されたことは今でも私の心の支えです。小学生から高校生にまで通ずる勉強法を考案しつつ,気に入って使っているスタディサプリのユーザー歴は6年を超えました。オンラインでのやり取りにはなりますが,少しでもみなさまのお役に立てれば幸いです!

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