今回は新学社の「幼児ポピー」の教材を使って,どのような学びが可能になるのかみていきたいと思います。
実際,自分が幼児期にどのような教育を両親から施してもらったかは定かではありませんが,当時使った絵本や映像・音の教材が,最近掃除をする際に出てきて,自分の親も色々と試行錯誤していたことに気づかされました。
集団が単位となる幼稚園での学びは規模が大きくなるだけに,その影響力もそれなりのものになりがちですが,自分の子どもだけを対象とした家庭内教育というのもそれと同じくらい重要でしょう。
さて,身体の成長というのは目で見てはっきりわかるので,その発達を意識しやすいものですが,子どもの頭脳面に関しては,同じくらい早く成長しているにもかかわらず目で捉えづらいため,どの段階で何を学ばせるのか(与えるのか)ということが非常に難しいように感じます。
その点,幼児教育についてよく知っている方々(日本教材文化研究財団など)が関わっているのが幼児ポピーです。
その実力については世に出てから50年以上が経過してもこのように支持されていることからも垣間見ることができますが,自分1人ではきっと気が付けないであろう学びのヒントが得られることを大いに期待しつつ,教材内容についてレビューしていきましょう!
幼児ポピーで学べる資質や能力
幼児ポピーですが,「みる・ふれる,やってみる!」がテーマとなっています。
これだけだとぼんやりしすぎですが,前半は五感を使って体験する重要性を示唆していて,視覚と聴覚,そして触覚を刺激する学びの他,できれば味覚や嗅覚にも気を配りながら子どもを育てていくのが良さそうです。
もっとも,ポピーの教材で体験できるのは主に最初の3つの感覚がメインで,残りの味や匂いについて教えるには自然と触れ合うとか,食事内容を工夫することになるでしょう。
話を戻して,テーマ後半の「やってみる」についてですが,興味や関心を引くものであることが前提で,自分から取り組む意欲や自立心めいたものが育つ姿勢を意味しています。
ポピーの監修者は,紙面上で学んだことと現実と繋げることの重要性も把握しているからこそ,四季と関連した自然や身近なものが学習対象に多く設定されているのでしょう。
加えて,親が子どもと関わる時間も大切だと考えられていて,1日10分を目安に,親と子が一緒になって学べる構成にもなっています。
その結果,そうしたポピーでの学びを通して,「成長とまなびの根っこ」と呼ばれる資質や能力が育まれることになるわけです↓
成長とまなびの根っこの例
健康な心と体,やる気・意欲,表現する力,自分をコントロールする力,もじ・かず・ことば,ちえ・思考力,人と関わる力,社会と関わる力,自然と関わる力
こういった力が自然と身に付くというのも大切で,いちいち,「今この教材を使って,表現する力と人と関わる力を学ばせている」などと考えて行うわけではないわけですから,幼児期に最低限必要とされる能力はポピーでしっかり獲得できると考え,さらなる学びを各家庭が独自かつ積極的に取り入れていくといった使い方が適しているのではないでしょうか。
幼児ポピーの構成について
ここでは,幼児ポピーの構成についてみていきたいと思いますが,他の学年を含めた概要につきましてはポピーの評判についての記事も参考にしてください。
さて,幼児ポピーですが,教材は年齢別に4つのレベルに分けられています↓
学年別の教材内容
ももちゃん(2~3歳児):ももちゃん(35ページ),ミニ絵本,大判シート(偶数月のみ),保護者向け冊子
きいどり(3~4歳児):きいどり(66ページ),特別教材,保護者向け冊子
あかどり(4~5歳児):わぁくん(42ページ),ドリるん(34ページ),英語動画,特別教材,保護者向け冊子
あおどり(5~6歳児):わぁくん(42ページ),ドリるん(34ページ),英語動画,特別教材,保護者向け冊子
赤色で示したものがメインとなる教材で,ももちゃんやきいどりに含まれる内容のうち,「もじ・かず・ことば」に該当する内容だけを,別にドリル形式で学ぶようにした冊子がドリるんだとお考えください。
ゆえに,メイン教材をページ数だけでみれば,35ページ(ももちゃん)→66ページ(きいどり)→76ページ(あか・あおどり)といった具合に,年齢が上がるにつれてボリュームアップしているわけで,例えば4月号のテーマを並べてみると,
- ももちゃん=おはようとおやすみ,運動遊び,トイレ,見つけ遊び,色の区別
- きいどり=春の野原,運動遊び,片付け,ハサミ,「あいうえお」の付く言葉,果物の名前,1~3の数字の読みと数の対応
- あかどり=春の生き物,色々な挨拶,大縄跳びへのステップ,あ行の平仮名,仲間分け1~5の数,挨拶の言葉
- あおどり=動物の成長,鉛筆と箸の持ち方,跳び箱へのステップ,平仮名,仲間分け,挨拶の言葉
のようになっていて,学年が上がるごとにできることが増えていることがわかります。
ちなみに,メイン教材は子どもが好きなシール付きのカラー印刷になっていて,テーマが自然に関するのものではイラストではなく本物の写真が使われているところが個人的に高評価です。
この他,2023年度からは全学年においてデジタル教材と公式アプリが利用可能となりました。
実際の進め方ですが,まずはメイン冊子の裏でお届け内容について確認し,さらにはまなびのトビラにある「答えとてびき」で今月の目標(テーマ設定の意図)を把握するところから始めてください↓
この作業をすることによって,どのように声掛けをするべきかだったり,子どもが興味を持った際にどうやって発展させればよいかのヒントを予め得ることができます。
次章では,ももちゃんの4月号のメイン教材を実際にみながら,より詳しく内容をレビューしていきましょう!
ももちゃんのレビュー
ももちゃんは初回申し込みのときに指人形が付いてくるのですが,そのくらいキャラクターの推しが強めです。
表紙にあるピンク色をしたのがももちゃんで,他にオードリーとミニドリーという計3人で幼児ポピーの世界を案内してくれます。
そんな愛らしいキャラクターを相手に感情を大いに込めながら,たくさんお話ししていきましょう↓
手で文字をなぞるという行為は,大人においても脳を活性化させるために採用されていて,左手で文をなぞりながら読むと右脳が活性化されてひらめきやすくなるとも聞きます。
ネットでももちゃんたちの音声も聞けるのですが,想像していた以上に声優さんたちが上手で,感情移入がしやすいです。
なるほど,「○○さん,おはよう」などと,頭部に物の名前を含めて話せば語彙の数が自然と増えていくでしょうし,自分がももちゃんになりきってごっこ遊びをすれば想像力も高められるでしょう。
子どもに挨拶されて幸せな気持ちにならない大人はいないと思うので,幼い頃から挨拶を習慣化させておくことは多くの人にとってプラスになることです。
幼児ポピーはカラフルなレイアウトなのでどのページも楽しいですし,今の時代では珍しくなった簡単な工作やシール貼りもあります↓
このページで色の区別ができるようになったら,早速,好きな色のクレヨンでお絵かきに挑戦させてみても良いでしょう。
その他,どこかで歌のコーナーが設けられているので,音声を聴いては子どもと触れ合うようにします↓
4月号は遊び歌ということで,数字の4とお尻が語呂合わせになっていて,ついでに1~3の数字も学べるという構成です。
間の取り方を工夫して期待感を持たせるという技が勉強になりました。
他の教材例として,2~3歳は言葉をどんどん習得する時期と言うことで,このようなカードが毎回9枚ずつ追加されていきます↓
「ちょう」は「たんぽぽ」,「だんごむし」は「いし」,「ことり」は「そら」などと相性の良い生息域をセットに分類させてみても良いですし,早春に河原にでも出かけてみれば,すぐにでもカードに写っているモンキチョウとセイヨウタンポポを見つけられるでしょう。
ルリビタキに美しさに興味を惹かれれば,YouTubeですぐに鳴き声を確認したり,同じようにきれいな野鳥について探したりもできますし,オカダンゴムシが好きな子どもを連れて,イベントに参加したりもできるはずです↓
ポピー自体の学習は,変な話,数日で終えてしまうこともあるでしょう。
ですが,最初のところでも述べた通り,ポピーでの学びはあくまできっかけにすぎず,そこから子どもの興味を無限大に広げてやることhは延々と可能なはずです。
そういった意味で,幅広いジャンルに目を通しやすい本教材は貴重であると思います。
この他にも,家庭内の教育に使えるヒントは「ほほえみお母さん&お父さん」と呼ばれる保護者向け小冊子からも得られるので,是非参考にしてみてください↓
同じようなポピー読者からのお便りやイラストコーナーもあります。
若い頃は,こうした試みを軽視しがちだった私ですが,歳を経てみて「こうした機会も大切にしていかないとな」などと思うようになりました。
まとめ
以上,幼児ポピーの教材をレビューしてきましたが,いかがだったでしょうか。
対象が幼稚園児ということで,私が普段,小学生以上に塾で教えているときとはまた別のアプローチが必要なので,読んでいて大変新鮮でした。
確かに,保護者側で興味を持たせる工夫が必要になりますが,親自身も勉強になることが多いですし,毎月1500円程度の料金で自分の子どもの学びのきっかけ作りができるというのであれば,十分検討する余地はあるように感じます。
親と子どもの両方が楽しいと思える教材であるかどうか,是非試しに使ってみてください↓
最後までお読みいただきありがとうございました。