今回ですが「個別指導塾の持つ強み」についてまとめてみたいと思います。
この業界に長年身を置いている私だけに色々な工夫でもって生徒に接してきたつもりですが,指導の質がより高まったと感じる一方,肝心なところは今も昔も変わりません。
それは教育方針だったり心構えだったりするわけですが,これから当記事で詳しく述べていくことにしましょう。
子どもを集団塾に通わせるのか個別指導を選ぶか決めかねている保護者の方はもちろん,これから個別指導塾で教えてみようと考えている方,はたまた家庭教師の質を評価する場合や,自分の子どもを教える際の参考にしていただければ幸いです。
個別指導塾の教え方は柔軟である
広義の「個別指導」は「生徒一人ひとりに併せた学習計画を立てる」ことを意味しますが,ここでは実際の授業の進め方に絞って説明しようと思います。
個別指導塾と聞けば,一般的に「親身」とか「丁寧」といった印象を持たれている方が多いのではないでしょうか。
それは確かに当たっていて,難しいことをどれだけ簡単に思わせられるかを意識しながら進めることを心掛けています。
あくまで生徒の性格によりますが,
- 生徒の趣味嗜好を反映した例を挙げる
- 図表などのビジュアル要素も多用する
- 授業はメリハリを付けて行う
- 難しい言葉を使わず説明する
- 適切な時期に理解度をチェックする
ことが基本方針です。
生徒の様子を注意深く伺いながら,あらゆる質問に対して納得のいく回答を提示できることを意識しています。
生徒が難しいと思っていることは大半が思い込みなので,それを正してやることが個別指導塾の講師の大きな役割です。
とはいえ,教科書通りの説明をするようではダメで,学校の先生とは違うアプローチでもって解決に導くことになります。
その1つがわかりやすい言葉でもって説明することで,そのためには,生徒自身についてよく知り,彼らの環境に合わせた具体例を提示することが重要です。
部活動や趣味など,一見勉強とは関係なさそうなことであっても大切な情報源になります。
なお,親身で丁寧だからといって,ゆっくりマイペースに進めていくとも限らないわけです。
私の塾ではスピード感のある授業を心掛けています。
例えば,学校だと1学期かけて教えるような内容であっても,1~2回の講義で教え終わることも少なくありません。
もちろん,理解しやすい内容に限って教えたり,プリントなどを予め準備したりと,陰で時間短縮を図っているわけですが,学校が一通り教える間に塾では同じところを3周くらいするイメージです。
勉強が好きでない生徒の方が多いですから,理屈はともかく問題を解けるようにしてやることの方が大切だと思っています。
このとき意識している点は以下の2つです↓
- 簡単に勉強できてしまうことを教える
- 生徒は説明を聞くよりも手を動かすことが多くなる
講義で話した内容は聞き逃したり,本質を理解していなかったりすることも少なくないので,大切なことは何度も繰り返し言うことになります。
とはいえ,それはまた後になってからの話で,特に試験範囲を予習させる段階においては,どれだけ短い説明でもって生徒が問題を解けるようになるかが重要です。
そういう意味では成績が悪い子を相手にする方が難しく,逆に講師の腕の見せ所になるわけですが,その場合は答えを丸暗記させることもありますし,場合によっては語呂合わせのような邪道な方法であっても積極的に採用するようにしています。
「何だかわからないけど正解できる」ことから始めて,最終的に「こういうことなのかな」と理解できるようになれば十分です。
そのような教え方であっても,テストで良い点が取れると生徒は嬉しくなってやる気を出してくれますし,塾での態度はずっと熱心になってくれます。
個別指導塾ではノート作りを学べる
といったわけで,個別指導塾では驚くべきスピードで試験範囲を終了することになりますが,学んだことを忘れにくくすることや,自分一人で勉強するときの手助けをすることも個別指導塾の存在意義です。
このとき,ノートの書き方指導は欠かせません。
個別指導の授業はある意味ライブパフォーマンスのようなものですから,冷静になってみると論理が通っていないことを言ったとしても,生徒がわかった気になればそれで良しなところがあります。
とはいえ,自宅に帰って宿題をやってみてわからないようでは生徒は途端に不安な気持ちに陥ってしまうでしょう。
なので,授業で学んだことをすぐに思い出せるノートを作れるように指導することが重要です。
問題を解かせた後の丸付け時における書き込みを工夫させる他,マインドマップを使うことで,授業開始時においてはやる範囲を明確化でき,現在地を確認できるので安心できますし,授業最後のまとめ時間に再度使うこともできます。
実際,授業終わりに今日やったことのまとめを行うことはとても大切で,数分のことにはなりますが,それなしに終わることは許されません。
これは「ショートレビュー」と呼ばれるものです↓
ショートレビューの方法と効果
授業内容を10分程度の時間をかけて思い出すことで,理解を深めることができます。
具体的には,何を学んでどの問題を間違えたのかを考えさせますが,これは机に向かわずともできる方法なので,電車内やベッド上で行うことも可能です。
塾で学んだことに限らず,独学した内容に関しても行うことを習慣づけましょう。
慣れてくると1日に数回ショートレビューをすることもあり,その学習効果は高いです。
この他,生徒に問題を解かせた後に出来をチェックして,どんなことを考えながら解くべきだったかを記入するように促します。
足りなかった知識や理解に限らず,初めてその問題を解いたときの感想でも構いません。
いずれにせよ,授業後,生徒が同じ問題を解く際には記憶を頼りにするもので,その役目を負うのは脳よりもノートだったりするわけですから,そのために工夫を施しておくわけです。
詳しいノート術の一部は,私が塾で指導しているノートの書き方の記事にまとめたので参考にしてください。
個別指導塾の講師は宿題の出し方が上手い
塾に通うのは週1~2回の生徒が大半ですから,通常,塾がない日の方が多いわけです。
実際,今日の塾の時間の大半を人生相談に費やすことになっても,そこでやる気を高めてくれて,残りの6日間で大いに勉強してくれるようになればそれが正解だったりします。
なので,塾の時間は生徒が宿題をしてくれるように促すために存在しているともみなすことができ,だからこそ,宿題の出し方が重要になってくるわけです。
内容に関しては様々な意見がありますが,基本的な方針としては,
- 復習になることを意識する
- 適量であること
を重視しています。
授業で手早く教えきったことであっても適切な量の宿題なしでは忘れてしまいますし,もし仮に出した宿題をやってこないようなことがあれば,それは生徒とのコミュニケーションが上手くいっていない確かな証拠と言えるでしょう。
逆に優秀な講師とは生徒ができる最大量の宿題を出すことができる人物となり,当然,担当の生徒はそれをしっかりとやってきます。
成功の鍵を握るのは生徒と講師の信頼関係で,真の意味での信頼が芽生えるためには経験上2年くらいかかるものですが,次回の授業開始時に行う小テストで合格点が取れることが確認できて初めて,個別指導の授業は予定通り進むことになるわけです。
特に長期休暇中は多くの宿題を出すように意識しています。
個別の相談相手が得られることは重要
個別指導塾の講師と生徒の距離間ですが,集団塾のそれと比べてずっと近いものとなります。
そのため,親や普段通っている学校の先生,はたまた同年代の友達には相談できないようなことを聞かされることが多くなりがちです。
もちろん,生徒の性格に応じてどの程度まで聞き出すかは講師側で判断しますが,自分の気持ちを伝える相手がいることは生徒にとって重要なことで,無理にそうする必要はありませんが,
- 身近な人が言わないことを指摘する
- 聞かされた内容は気に掛けるようにする
と上手くいくことが多いように感じています。
無論,生徒と話をし過ぎて肝心のことが教えられなくならなったり,しゃべりすぎてイメージダウンに繋がったり,周りの講師の生徒に悪影響を与えたりすることもあるため,相手をよく観察して距離感を調節するようにしてください。
合格後に手紙をもらうことも多いですが,どれも前向きな言葉で溢れていて,日本の将来は明るいように感じました。
併せて,次章で語る内容も重要です。
個別指導塾の講師は意識が高い
前章で述べたように,生徒と1対1で向き合うことが多く,時には深刻な家庭環境まで聞かされることになる個別指導塾の講師だけに意識が高い人が多いです。
例えば指導上で気が付いたことや反省したことなどはメモに残すようにして,改善に生かそうとする講師は多く,適当に時間を過ごしては給料を貰えれば良いなどと考えている人は私の周りにはほとんどいません。
人生の成長過程においてとても多くのことを吸収する小中高生を相手にしているわけですから,講師が与える影響は大きいです。
保護者との面談があれば聞かされることになると思いますが,生徒は家に帰ると決まって塾の話をするもので,講師そっくりのしゃべり方になってしまう生徒も少なくなく,人生観にも大きく影響を及ぼします。
生徒の長い人生において10年にも満たない付き合いではありますが,大人になってからの10年とはまた違うものです。
講師自身も生徒から生き方を学ばさせられることも多く,自分より優れた生徒の才能を発見することも少なくありません。
このように,お互いに刺激しあいながら成長できるのも個別指導塾の強みと言えるでしょう。
まとめ
以上,個別指導塾における強みを中心にまとめてきました。
特に重要に思う点としては,
- 理解する以外に速習目的の指導もある
- 学んだ内容を忘れないノート作りが学べる
- 宿題の出し方が考え抜かれている
- 信頼できる話し相手ができる
- 講師は高い意識でもって接している
ことが挙げられ,これは集団の塾や独学では得られない個別指導ならではの強みです。
家庭教師ほどではないにせよ,各家庭と綿密に連携を取ることが必要になるため,講師は生徒や保護者からの信頼を勝ち取るべく,生徒の成績上昇や意識向上,はたまた楽しい授業が提供できるように日々考えながら改善を重ねています。
確かに,学力が高くてもコミュニケーション能力が取れない講師がいたり,犯罪に手を染める一部講師がニュースになったりしますが,基本的に生徒はそうした異様な雰囲気をすぐに感じ取るものですし,そのような講師は大した実績を残せないものです。
なので,個別指導塾を選ぶ際は「この先生に習いたい」と思えるかどうかを筆頭に,あとは半年以内に成績が上昇するかどうかで判断してみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。