今回は「RISU」という,算数に特化した通信教育を取り上げ,その特徴や使い方についてみていきましょう。
タブレット型の教材なので楽しく学ぶことができ,かつ算数に特化した無学年教材であるためにユニークな問題に触れられるとともに未習範囲の高速学習も可能です。
ここでは,RISUの特徴をまとめるとことから始めて,実際にRISUをどのように使うことができるのか,塾講師目線で考えてみたいと思います。
RISUで学ぶメリット
RISUの生みの親は今木智隆氏で,京都大学大学院を修了後,就業先でユーザーの行動調査やデジタルマーケティングを経験し,2014年のRISU Japan会社の設立へと至りました。
氏の主張は「算数だけは苦手にさせてはいけない」ということであり,論理的思考力から問題解決能力,さらには情報を整理したり相手の質問を的確に捉える力まで育んだりできるのは,RISUで算数を学ぶメリットです。
基本的に子どもは電子機器が大好きですから,RISUのようなタブレット型の教材を使うことで,勉強習慣を身に付ける上で必要とされる「勉強頻度の問題」はいとも簡単に解決されます。
やる気を削ぐことになるバッテリー切れにだけは気を付けるようにして,子どもの目に付くところに置いておけば自然と手に取ってくれるでしょう。
ちなみに,1週間のうち1回2時間の学習よりも20分の学習を5~6日に分けて行う方が成績アップに繋がりやすいのは塾業界での常識です。
なので,パッと開いてちょこちょこ学習できるRISUで勉強回数が自ずと増えることは大きな魅力と言えます。
実際,電源ボタンを押してみると,数秒以内に前回の続きから再開することができました。
しかし,それ以上に注目したいのは学習内容の方です。
そもそも,学校で使う教材やドリルというのは学年別にまとまっているため,算数が苦手になった原因が今の学年よりも前に習った内容に存在する場合はどうすることもできません。
例えば,小学4年生が立体図形でつまづいてしまった際には,小学2年生の平面図形からやり直すのが指導のセオリーとされています。
とはいえ普通に勉強している小学生はそのことには気づけないわけですから,わざわざ昔の教科書を引っ張り出してくることはなく,「頑張って勉強したけれどできるようにはならなかった」という嫌な記憶だけが残ってしまうことになるわけです。
ですが,そんなときRISUで学んでいれば,わからない単元が判明した際,その前提知識となっている単元にまで大きく戻ることができます。
これはRISUの学習カリキュラムが単元ごとに進んでいく形式を採用しているからなのですが,これにより学年による縛りを受けることなく,AIを搭載した個別最適化学習の恩恵を享受できるわけです↓
学年をまたいで学習できることにはもう1つ良い効果があり,大きく戻った分だけ説明がより簡単になってわかりやすくなるため,
「あれ?苦手なところのはずだけど意外とできるかも」
などと,本人が自信を持てることに繋がります。
褒められて嬉しくない児童は少ないですから,苦手分野をきっかけにして自己肯定感を高められてしまうのはRISUで学ぶメリットと言えるでしょう。
学習方法は基本的にスモールステップ(簡単にできるところから少しずつ難しくしていく)方式ですが,ドリルのように同じ問題を大量に解くような詰め込み型になっていません。
数を多くこなす演習に関しては学校の宿題で普段嫌なほどやらされているでしょうから,家庭学習は良質な問題でできるだけ辛い思いをせずに行うべきだと個人的には思っています。
もっとも,出てきた問題にすべて正解できるようにならないと新しい問題は表示されてきませんし,単元ごとにある達成テストで60点以上を取らなければ次の単元に進むことはできません↓
時間制限付きな上,タッチペンを使って計算する必要もありますが,右下のヒントも利用できますし,再挑戦もできるので何も手がでない状態にはなりませんし,もちろん,理解不十分な状態で先に進むこともありません。
なお,RISUでは一度やった問題には自由に戻ることができます。
その他,間違えた問題を中心に動画が適宜配信されてくるため,メリハリが付いた学習が可能であることもここで述べておきましょう。
ところで,デジタルデバイスを利用するメリットはデータ化しやすいところであり,RISUの10億件以上にも及ぶデータも効率的な学習を生み出すために活用されています。
当の本人に対しては,自身の正答率以外に,解くのにどれだけ時間がかかったかだったりいつ勉強したかだったりも記録されることになるため,これらは後述する進度報告における判断材料として使われますし,ズルしてすぐ答えを見てしまうなどの誤った使い方をすればすぐにお知らせが届くわけです。
変な個別指導塾に通うよりも,より厳密に監督してもらえると言っても過言ではありません。
その他,ポイントを集めてもらえる景品は本人の実力に応じたものとなるため,やる気の維持に役立ちます↓
次章からは詳しい使い方についてみていきましょう!
RISUを早速始めてみよう
電子機器を使うので難しいかと思っていましたが,RISUの使い方は実際簡単でした。
勉強に必要なのはタブレットのみで,充電に必要なケーブルや取扱説明書は,初回に送られてくる箱の中にすべて入っています。
本体も,上部に充電用のmicroUSBプラグをつなぐ箇所,音量の大小を調節するボタン,そして電源ボタンがあり,下には内蔵スピーカーが見えているだけのわかりやすい仕様です。
子どもはタッチペンやらタブレットに興味を示すもので,隙あらばカメラや関係のない機能を使って遊び始めてしまうこともあるため,RISUに余計な機能が付いていないところもポイントでしょう。
自宅にあるWi-Fiを使って無事にネット接続できました。
実力テストを解かせてみた
簡単なガイダンスで基本操作を学んだあと,早速実力テストを受けることになります。
これは飛ばすことが出来ない上,かかる時間も30~60分に及ぶ大掛かりなものですが,学年別ではなくあくまで実力に合わせて進むRISUなだけに,スタート地点を決定する実力テストは重要です。
逆にこれさえ乗り切れば,後は自分のペース(例えば1回5分など)で学んでいけるので頑張らせましょう!
問題内容ですが,それこそ「バナナは左から何番目にあるでしょう」的なものから,「45dLのミルクをその0.4だけ飲みました。残ったミルクは何dLになりましたか」まで,広範囲を総ざらいできるものになっていました(とはいえ,全部できて「まったく学ぶところがありません」ともなりません)。
算数が苦手な子であれば,自分の現学年よりも判定が下に出ることもありますが,むしろそれが自然であり,できないからこそ学ぶので恥ずべきことではありません↓
なお,解けるレベルにあると判断されたステージについては,実際の勉強マップで「テストでクリアずみ!」の文字が表示され,自分に必要なところから開始することができました。
声かけをしてみた
自分が努力したことを周りに知ってもらえて,それを褒めてもらえることは子どもにとっては大切なことです。
RISUで普段取り組む「ステージ」は1つあたり全部で25題(75~100問)から構成され,そのうちの1題を解くのに最低でも2~5分はかかるため,やり遂げるのに1~2時間を費やすことになります。
先述の通り,単調な詰め込み型の学習とはならないものの,それでも同じ単元を形を変えて何問か解くことにはなるので,やる本人からすれば中々に大変です。
幼い頃の経験は後の人生に大きく影響を及ぼすもので,勉強面での頑張りも当然ながら労われなければならず,これについては身近にいる大人が積極的に褒めるようにしてください。
ちなみに,子どもの学習進度については,登録したメールアドレスに逐一届けてもらえました↓
これ以外にRISUのチューターからもお祝いの動画が届きますが,このような小まめな声かけがあるからこそ,教育というのは真の意味で効果を発揮することになることを再認識できた次第です。
オンライン教育を利用するときには,特にこのことをしっかりと胸に刻んでおく必要があるように思います。
なお,逆に子どもが勉強をしないときにはどうしたらよいでしょうか。
その場合に「RISUをしなさい!」と声かけするのはNGで,「RISUを手伝おうか?」と申し出るようにしてください。
このように子どもに寄り添う姿勢を見せることが重要で,タブレットを開きさえすればある程度の時間はやってくれますので,まずは日常のどこかで触らせる時間を設けるところから始めましょう。
マイページを確認してみた
学習状況ですが,親が子どもに直接尋ねる以外に確認することができました。
その際に用いるのが「マイページ」で,契約情報などの設定が確認できるだけでなく,子どもの学習ペースや進捗状況について客観的に判断することも可能です。
毎日の学習記録では直近の「7・15・30日」における勉強頻度や平均的な勉強時間を知ることができた他,進捗状況では「○年生のどんな問題にまで挑戦してきたか」が詳しく表示されてきました↓
コラムでは他のユーザーの実践事例について知ることもでき,声かけや使わせ方の参考にななるはずです。
RISUで子どもの算数の苦手意識をなくそう
小学生を教育する上で最も大切なのは,苦手意識を持たせないことです。
算数の好き嫌いは小学3年生頃に芽生えてしまうとよく言われているので,その時期の前後は特に注意してください。
なお,塾で教えていて強く感じるのですが,正しい順番で教えていって理解できない小学生はまずいません。
もちろん,テストまでの残り日数と抜け落ちた知識の量によっては,当日までに間に合わずいまいちな成績を取ってしまうことも無きにしも非ずですが,時間に制約を設けなければ義務教育レベルの内容は誰にでも理解できます。
それが,学校の授業を聞いていなかったり,または適切なタイミングで復習しないままにしておいたりで,少しずつ後れを取ってしまうことになるわけです。
なのでここでは,算数が苦手な小学生ほどRISUで先の範囲にまで学び進めてしまうことをおすすめします。
できない子にまさかの予習を勧める形になりますが,むしろそれが正解です。
小学校の早い段階で,6年間を通して習う範囲をひととおり学んでしまうとどうなるでしょうか。
しばらく経って「忘れてしまったから」という理由から前を復習することはあっても,それがちょうど今学校で習っている範囲に重なるくらいには進んでいる状態です。
わからなくなったときに全く知らない内容であれば怖くなってしまいますが,すでに知っているものを忘れているだけの状態であれば,「どこかで見たはずの問題だけど,どうやってやるんだっけ」などと投げ出さずに食らいついていけます。
いわゆる「強くてニューゲーム」ではないですが,巷ではチートなどと揶揄されて然るべき学習戦略であっても,これからの時代は大いにありです。
なお,算数が苦手になっている子には親が積極的に干渉するのが良く,例えば最近やったところの解説部分を説明してもらったり,問題を何問か選んで解いて見せてもらったりしてください。
以下は小3の図形問題から解説部分を抜粋したものですが,
この内容をふまえて,先生役の子どもに生徒役である親が次のように質問してみましょう↓
- 直径と半径の違いを教えてください
- 他に重要なポイントはありますか
- 三角形には3つのタイプがあるのですか
上はステージ40のものでしたが,ステージ(単元)の数については各学年15個ほどなので,極端な話,全部で90回ちょっとの説明タイムを設けるだけで小学範囲はすべて終了できます。
そこまで完璧にやる必要もないかもしれませんが,ここで伝えたいのは,できるだけ親がわが子の勉強に関わるようにすると,結果もそれだけ変わってくるということです。
勉強時間に関しては「20分集中」を合言葉に頑張ってもらいましょう。
長すぎても逆効果ですので,最長でも学校の授業時間までにしておくべきです。
先に紹介したマイページから「RISU時間」なるものを設定することができるので,週に2回決まった時間に勉強させることができれば無事にRISUを習慣化できます↓
日によって変えるのでなく,決まった時間に勉強するのがコツです。
子どもが学習をしているかどうかは毎日の学習記録欄から確認できますので,さぼりが続けばすぐにわかります↓
ちょうど今解いている問題の出来栄えも確認できるので,正答率がいまいちであれば「一緒にやってみよう」と声かけしてみましょう。
RISUで算数を得意にする使い方
RISUを使えば使うほど,算数ができるようになります。
是非好きなだけ使わせて,褒めてはやる気を伸ばすようにしてください。
また,最初は闇雲にどんどん進めるで構いませんが,いずれは目標を定める必要があるでしょう。
その方がやる気も上昇します。
なお,算数の目標としては「算数検定」が有名です。
上には数学検定が控えていますが,6~11級が小学範囲の出題となります↓
実際,RISUでは算数検定で1学年以上上の階級に合格した場合に受験料を全額助成してもらえる制度も過去にあったほどです。
なお,RISUでは中学受験や中学数学のコースに進むこともでき,前者においては以下のような単元を扱います↓
RISUの受験コースの学習内容
つるかめ算と過不足算,虫食い算,植木算,旅人算,インド式暗算術,規則性の問題,さまざまな数列,場合の数と確率,和差算&分配算,あざやかに解ける計算,仕事算,相当算
中学受験においては公立小学校に通う生徒がなんとなくで受験して受かることもありますので,小6の夏に模試を受けてみて良い成績が出るようであれば,過去問を解いて挑戦してみてください。
RISUの料金
最後に,RISUをできるだけお得に使うための方法についてもまとめておきましょう!
まず最初にタブレット代ではないですが,1年分の基本料金が33000円かかります。
これは途中解約しても返ってこないお金になりますが,RISUで配布されるタブレットは返却の必要がありませんし,進めたステージまでの問題は解約した後も一生使うことができるので,そういった料金だと考えておきましょう。
これに加えて利用料金が毎月かかるのですが,高速で小学範囲を進める場合,月に3以上のステージを進むことになるため,上限の9350円(初月のみ6600円)です。
なお,毎週1ステージ終わるペースで学習すれば,2年ほどで小学範囲をすべて学び終えることができますので,その場合,RISUにかかる総額は「33000円×2年+9350円×24ヶ月=290400円」で,これを月額換算すると12100円となります。
もちろん,小学1年生のレベルから開始とはならない方も多いでしょうから,もし仮に1年で終わるようであれば,33000円×1年+9350円×12ヶ月=145200円で小学数学を学び切ることが可能です。
机上にタブレットを開いて置いておき,いつでも手に取りやすい環境を作っておけば,あり得ないペースでもありません。
見事やり終えた暁には6年分の教材が入った状態のタブレットが丸々残るわけですし,何より子どもが算数を得意になってくれることに勝る喜びはないでしょう。
中途解約する場合は翌月末まででストップとなりますが,その間に1ステージ以上進めなければ利用料はかかりません。
なお,RISUにはクーポンコードが存在し,当サイトに配布されたものを使うと,タブレットの送料+保険料をすべて含めて「1980円(1週間限定)」で利用することが可能です↓
aib07a
いわゆるお試しに適したものですが,1週間様子を見て,合わなさそうであればそのまま解約の流れでOKですし,継続する場合は通常と変わらないサービスを受けることができます。
なので,上記のコードはあくまで,保険の付いた状態で申し込めるようになるクーポンと捉えるようにしてください。
学年によってRISU算数とRISUキッズの2つがあります↓
小学生向け 年中~年長向け
まとめ
以上,RISUを使うメリットから始めて,使い方の工夫や利用料金まで解説してきましたがいかがだったでしょうか。
小学生の教材には様々な種類がありますが,科目を1つに絞ったものは目標が明確になる分,特に取り組みやすいように思います(最近になって英語や国語の教材も利用できるようになりましたが)。
これからの時代,算数が苦手だから文系,国語が苦手だから理系に進むといった判断は通用しないでしょう。
文系学部であっても数学が必須になってきていますし,分野に縛られない総合的な考え方ができる人材がますます求められるようになっています。
複数ある教科の中の1つにしかすぎませんが,算数の得意不得意が後に及ぼす影響を考えると,決して蔑ろにはできません。
私自身,小学校の算数で培った計算力が,大学受験含め,今でも大いに役立っているように感じています。
今はRISUのような便利な教材がそれこそ幼児のうちから利用できてしまうわけですから,各家庭が柔軟な方針でもって子どもの教育方針を考えるようにしてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。