中高生の自己肯定感(セルフエスティーム;自尊感情)を高める方法とは

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逃げるは恥だが役に立つ(逃げ恥)のドラマが放送されてから約二年が経ちましたが,今回の記事では,そんな「逃げ恥」の4話・5話で触れられていた自己肯定感(セルフ・エスティーム;自尊感情)について,香川県の教育委員会の取り組みを参考に,学校教育の視点から少し考えてみることにしたいと思います。

さらに,2018年6月に調査結果が発表になった自己肯定感を高める方法についても追記しましたのでご覧ください。

 

 

自己肯定感とは

『自己肯定感(ドラマでは自尊感情)』という言葉を私が耳にしたのは,2016年に放送開始されたTBS火曜ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の第4話でした。

少しあらすじについて説明します。

 

星野源さん演じる津崎平匡は,こと恋愛に関しては自尊感情が極めて低く,新垣結衣さん演じる森山みくりに他の男の影が見て取れるものなら,すぐに壁を作ってしまいます。

ドラマにおいて自己肯定感とは,『自分自身に価値があると思える感覚』と定義されており,自尊感情が高い人は,成功できたという体験を,より強く認識する傾向があり,自分をより肯定する人のことを指します。

それに対して,セルフエスティームが低い人というのは,成功したことではなく,失敗したという体験をより強く認識してしまい,自分を否定しがちな人を指すことになります。その結果,平匡の心の壁はますます高くなっていく一方だと,分析されていました。

「良いなぁ,愛される人は良いなぁ」

なんて憧れを抱きながらも,平匡自身はまさか自分がその立場になれるなんてことは想像できないわけですが,みくりの「恋人になってください」という提案によって,その夢が現実のものとなっていきます。

逃げ恥において,自尊感情は『恋』というテーマの中で語られていますが,これはあらゆる物事においても関係してくるものです。

先述したように,自己肯定感というのは,比較的新しい言葉だとは思うのですが,国際的な調査はすでにいくつも行われており,ある調査では,日本・韓国・アメリカ・イギリス・フランス・スウェーデンの若者において,自分に価値があると思う割合が最低レベルであったのが日本であり,自分に世界を変えられる力が備わっていると意識している人の割合も少なかったというデータがあります。

ある程度の謙虚さは美徳の一つになりましょうが,必要以上に自己否定をしすぎなのも問題です。

何にせよ,自己肯定感を高める方法について知っておくことは必要です。

今回は,教育分野における試みの例をいくつか紹介してみたいと思います。

 

 

香川県による自己肯定感を高める試み

geralt / Pixabay

「自分によいところがありますか?」

と聞かれて,

「はい」

と胸を張って言える大人はどれだけいるでしょうか。

 

平成29年度の全国学力・学習状況調査において,同様の質問を日本全国の小中学生に聞いてみたところ,香川県は,大阪と並び,小中学生の自己肯定感が最も低かった県になってしまいました(なお,最も高かったのは秋田県)。

そこで香川県は,自主・自立の精神を子どもに身に付けてもらうため,親を巻き込んだ取り組みをすることにしました。

その一つが,以下で示す「自分でできるよ!チャレンジシート」だったりするわけですが,これは小学生が,家族の一員として家事を手伝うことをきっかけにして,自己肯定感を高めていこうという試みになっています↓↓

子ども自らがすすんで食器を洗ったり,洗濯物をたたんだり,掃除をした場合にはシールを貼っていき,3回ほど達成したらクリアとなります。

 

実はこの背景に,『手伝いの頻度や生活習慣の身に付き具合』と『自己肯定感』との間に,正の相関があることがわかっています↓↓

お手伝いをするほど,そして生活習慣が身に付いている子供ほど,自尊感情が強くなっているのがわかりますよね。

 

 

自己肯定感を高めるには褒めることが大切!

子どもの自己肯定感を育むことに,周りにいる大人の反応も実は大いに影響を与えます。

例えば,保護者は子どもが何か始めたら,「やろうとしたこと」や「努力したこと」に気づいてあげることが大切です。

子どもが何もやろうとしないときは,自分も一緒に楽しんでやることでコミュニケーションを重視することも重要になってきます。

そして最後に忘れてはいけないのが,子供がこれらの課題を達成した際に,親も一緒に喜んで,褒めてやる必要があるということです。

 

次のグラフは,親に褒められた経験 or 叱られた経験と自己肯定感の関係を比較したものです↓↓

これを見ると,上の2つの横棒が,褒められた経験が多い子どもが成長したときの自己肯定感の高さを示しており,下の2つが褒められることの少なかった子どものものになっています。

上2つに比べて,下2つのバーでは自己肯定感が低くなっていることがわかりますね。

このように,叱られた経験の多少に関係なく子どもの頃に両親に褒められて育てられると,自己肯定感が高い大人になるというわけです。

 

また,子どもの自尊感情に大きな影響を与えるのは両親だけでなく,『先生』の影響も大きいようです。

以下は,先生に褒められた経験と自己肯定感の関係を示した図です↓↓

この図も同様に,先生に褒められた経験が多い子供ほど,自己肯定感の強い大人に成長することを示しています。

スパルタなんてものが流行った時代もありましたが,今はそれは体罰となりえますし,2020年以降の時代に生きる子どもの扱いは,褒めて伸ばすというのが当たり前になることが予想されます。

 

褒めて育てられてこなかった大人は,自分の子どもを褒めるのも苦手ですし,自分の子どもを褒められて,

「そうです。すごいでしょう,うちの子は!」

と言いづらい空気が,どことなく日本の社会全体を覆っているような気がします。

しかし,海外の親は,自分の子どもを本当によく褒め,

「誇りに思うわ!」

と多くの人が口を揃えて言うことに驚かされます。

謙遜さが日本人の美徳の一つかもしれませんが,それが度を超えてしまって,自信が全くない子どもになってしまうのならば考えものです。

特に,今後の教育改革において中高生は,受け身の態度ではなく,主体的にものを考え行動を起こすことを期待されています。

褒めて自己肯定感が高まれば,学習意欲や能力は高まるというのが現在の考えの主流であると覚えておきましょう。

 

 

自己肯定感を高めるその他の要因

picjumbo_com / Pixabay

2018年6月15日に東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所の調査結果が発表されました。

この調査は,小1から高3までの生徒と保護者2.1万人を対象に,2015~2017年の2年間にわたって,子どもの自己肯定感の推移を追跡したものですが,それによると,自己肯定感に影響を与える要因としては,家庭における保護者の意識や関わりの他,

  • 学校
  • 成績の上昇低下
  • 勉強の好き嫌い
  • 将来の目標

が,自己肯定感に影響を与えることがわかりました。

クラスや友達関係は子どもにとって,毎日触れる第2の家庭のようなものですし,勉強ができるようになれば,「自分はやればできるんだ」と自尊感情が芽生えるのは容易に想像できます。

実際のデータを一つ取り上げますと,成績が下位から上位にアップした子供2割の自己肯定感が大きく高まり,逆に成績ダウンしてしまった子は大きく下がったという調査結果が出ています。

テストの点は,やはり子どもの自尊感情に大きく影響するようです。

 

 

教育改革における,親の子への付き合い方

Alexas_Fotos / Pixabay

以上,自己肯定感を高めるために必要な要因についてまとめてきました。

まとめると,

・手伝いや身の回りの整理整頓をさせる

・親が子をしっかり褒める

・学校での充実した人間関係や将来の夢があること

・勉強が好きになり,良い成績を取れること

でした。

『褒めることの重要性』はわかったけれど,一体子どものどういうところを褒めればいいのでしょう。

恐らくそれは,近くで見ている者にしかわからないことだったりするのではないでしょうか。

例えば,中学・高校の定期テストで,平均点を下回る点数であっても,前回のテストよりも平均点に近づいていたり,苦手な漢字で満点を取れていたり,普段から子どもの様子をよく観察していれば気づけることがたくさんあります。

また,褒めることと直接の関係はないかもしれませんが,最近あったのは次のような話です。

生徒の一人が「テストで時間が足りなくなってしまった」というので,どうしてなのかと,彼の答案をよく見ていたら,消しゴムで沢山消した跡があることに気づきました。

詳しく聞いてみると,「証明問題の大問1個の解答欄を誤解し,全く違う問題のところに書いてしまった。」ということです。

時間が切迫した中で,全部一から書き直す羽目になれば時間は足りなくなるのは当然ですし,その答案からは本人の真面目さや必死さが伝わってきました。

「焦ったと思うけど,最後まで必死に頑張ったんだね」

気が付くと,そのような言葉を自然と口にしていました。

○×からでは決してわかりえないことがあるということを再確認させられた瞬間だったように思います。

 

以上のように,子どもと日頃からコミュニケーションを取っていれば,様子の変化を敏感に察知し,褒められる箇所は増え,最終的に確固たる信頼関係を築くことにもつながります。

子供が小さいときはそこまでではないですが,高校生になった子供に対しても褒めることができるという点が大事です。

褒められた体験は子どもの自己肯定感を高め,将来の方向を決める就職試験の面接時においても,自信を持って挑むことができ,企業側に好印象を与えることになるでしょう。

 

もちろん日本人の民族性から,自己主張をしすぎないことが善とされているtころもあります。

しかし,過度に相互依存し,批判をされないように自己主張しなくなりすぎてしまった結果,何か問題が起きたときの責任の所在が不明瞭で,「自分は知らない。」というような人が増えてしまったのが現代のような気もします。

 

兎にも角にも,褒められて嫌な気がする子どもはいませんし,甘やかすこととは違います。

2020年教育改革に伴って,教育環境そのものを変えていく必要があると思っていますが,ぜひ大人の子どもへの接し方も変えてみてはいかがでしょう。

 

ふとスマホに目をやると,陸上の大会で全国3位になった生徒がLINEで呟いていました。

「強いから自信があるわけじゃない。自信があるから強いんだ。」

と。

 

こういう子が増えた日本を想像するのも,なかなかに明るい未来だと思うのです。

 

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