AD/PR

小中高生の自己肯定感を高める方法!ちょっとした工夫で改善可能

「逃げるは恥だが役に立つ」という,新垣結衣さん主演の連続ドラマが人気を博したのはもう8年以上前のことになりますが,今回はその中で触れられていた「自己肯定感」について取り上げます。

その反意語は自己否定感で,簡単に言えばポジティブかネガティブな人かという話になりますが,ほどほどが良いという話はさておき,どちらが本人や周りの人にとって好ましいかと聞かれれば,自己肯定感の方でしょう。

「自分はダメだ」とか「生きる価値がない」などと暗い顔で言ってくる人と話していて,良い気持ちになるはずもありません。

それなら,自分の悩みを相談したときに,「大丈夫」だったり「君ならできる」だったりと肯定してくれる人の方が,会話していて明るい気持ちになれて,良い時間が過ごせるでしょう。

これは他人にとっての話ですが,自己肯定感は本人自身にとっても当然ながら有効で,弱い心を自らが恒常的に励ませることを意味します。

まずは自己肯定感の基礎的な知識についてまとめてから,小中高生の自己肯定感を高める方法や親の声掛けの仕方についてみていきましょう!

自己肯定感とは

「自己肯定感」という言葉について私が初めて耳にしたのは,2016年に放送されたTBS火曜ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ(逃げ恥)」の第4話においてでした↓

ドラマ内では「自尊感情」という名前で呼ばれていましたが,多くの社会問題を取り上げていたのが印象的で,色々な社会現象を引き起こして盛り上げてくれました。

古くは「家なき子」や「人間・失格」で有名な,ザテレビジョンドラマアカデミー賞も受賞しています。

私なりのまとめで恐縮ですが,内容は以下のようなものです↓

逃げ恥のあらすじ

星野源さんが演じる津崎平匡は,こと恋愛に関しては自己肯定感が極めて低く,新垣結衣さん演じる森山みくりに他の男の影が見て取れるものなら,すぐに壁を作ってしまいがちです。ドラマにおいて,自己肯定感とは「自分自身に価値があると思える感覚」と定義されており,これが高い人は,成功できたという体験を強く認識することができ,自分をより肯定的に捉えられるようになります。一方で自己肯定感が低い人というのは,成功したことよりも失敗体験の方をより強く意識してしまい,自分を否定しがちな人のことを指し,実際,平匡の心の壁は高くなっていく一方でした。「良いなぁ,愛される人は良いなぁ」と自分以外の誰かに憧れを抱きながら,平匡自身,まさか自分がその立場に置かれることになろうとは想像もできなかったでしょう。それが,みくりの「恋人になってください」という突然の提案により,平匡の夢は現実のものとなっていきます。

逃げ恥において,自己肯定感は恋愛面を中心に語られますが,これは教育や仕事などのあらゆる物事に関係してくるものです。

言葉自体は比較的新しいものですが,国際的な調査はすでにいくつも行われており,Linked inの調査によれば,日本・韓国・アメリカ・イギリス・フランス・スウェーデンの若者において,「自分に価値がある」と思う子どもの割合が最低だったのが日本でした。

「自分に世界を変えられる力が備わっている」と意識している人の割合も少ないようで,ある程度の謙虚さは日本人の美徳の1つと呼べるのでしょうが,必要以上に自己否定しすぎることは問題です。

自己否定感の弊害は,

  • チャレンジをしない
  • 困難な状況に立ち向かうことができない
  • 生活に無気力または憂鬱になる
  • 社会に出て他人とコミュニケーションを取るのが怖い

のような形で表れてきます。

その原因として家庭環境やこれまでの苦い経験などが考えられますが,結局は自己肯定感が低くなっていることに起因するものです。

管理人
管理人
変な話,たとえ怠惰であろうとチャレンジを避ける性格であろうと,本人の自己肯定感さえ高く維持できていれば,それらすら許容することができ,何の問題も生じません。

なので,原因を究明するよりも,自己肯定感を高める取り組みを行うことに集中すべきと私は考えます。

実例を知るのが一番なので,まずは次章で香川県の試みについて紹介しましょう!

 

 

手伝いや生活習慣と自己肯定感の関係

「自分に良いところがありますか」と尋ねられて,はいと胸を張って答えられる人は,大人も含めてどれほどいるのでしょうか。

2017年度の全国学力・学習状況調査において,上記の質問を日本全国の小中学生に投げかけてみたところ,香川県は大阪府と並び,子どもの自己肯定感が最も低い県となってしまいました(参考までに,最高だったのは秋田県です)↓

全国における自己肯定感の高い小中学生の割合を示した図

きれいに直線状に分布していることから,自己肯定感の高さは学年に関係なく,低い県では低く,高い県では高くなります。

とはいえ,不名誉な思いをした香川県が黙っているはずもありません。

そこで,自主・自立の精神を子どもに身に付けてもらうため,親を巻き込んだ取り組みをすることにしたわけですが,その1つが「自分でできるよ!チャレンジシート」です。

これは,小学生が家族の一員として家事を手伝うことをきっかけに自己肯定感を高めていこうという試みとなります↓

自分でできるよ!チャレンジシート

子ども自らが進んで食器を洗ったり,洗濯物を畳んだり掃除をしたりする度,シートにシールを貼っていき,3回行うと見事達成となる内容です。

こうした意図ですが,香川県が目を付けたのは,「手伝いの頻度または生活習慣の身に付き具合」と「自己肯定感」の間に正の相関があることでした↓

手伝いや生活習慣が自己肯定感に与える影響

このグラフをみると,手伝いをするか生活習慣が身に付いている小学生ほど自己肯定感が高くなっていることがわかります。

日々の小さな積み重ねが自己肯定感に繋がることを示す好例です。

 

 

褒めることと自己肯定感の関係

このとき,周りにいる大人の反応も,子どもの自己肯定感に大きな影響を与えます。

例えば子どもが何かを始めたら,親は子どもがやろうとしたことや努力したことにいち早く気づいてあげることが大切です。

逆に,子どもが何もやろうとしないときは,自分が楽しんでやっている姿を見せて積極的に働きかけることも必要になるでしょう。

そしてその際,最も忘れてはならないのが,子どもが何かを達成した際,親も一緒に喜んで褒めてやるということです。

下のグラフを見ていただきたいのですが,これは「親に褒められた経験または叱られた経験」と「自己肯定感」の関係を比較したものになります↓

親に褒められたり叱られた経験と自己肯定感の関係を示すグラフ

上2つの横棒が,褒められた経験が多い子どもが成長したときの自己肯定感の高さを示しており,下半分は褒められることが少なかった子どものそれを表していますが,上2つに比べ,下2つでは自己肯定感が低くなっていることがわかりました。

興味深いのは,叱られた経験の多少は何の関係もなかった点で,厳しい家庭で育とうが甘やかされて育てられようが,子どもの頃に両親に褒められて育てられると自己肯定感が高い大人になるというのが調査結果です。

なお,子どもの自己肯定感に大きな影響を与える存在として,親以外に先生も含まれます。

以下は,先生に褒められた経験と自己肯定感の関係を示した図です↓

先生が生徒の自己肯定感に与える影響

この図も同様に,先生に褒められた経験が多い子どもほど,自己肯定感の強い大人に成長することを示しています。

スパルタなんてものが流行った時代もありましたが,ひたすら厳しく接する時代は終わりを告げ,令和の時代に生きる子どもの接し方に関しては,褒めて伸ばすことが当たり前になっていくでしょう。

厳しさが自己肯定感に影響しないのですから,教師は危険をわざわざ冒してまで叱る必要はないわけです。

管理人
管理人
ただし,これらは必要以上に子どもを甘やかすことを意味しません。間違ったことをした際に厳しく接するのは当然のように思われます。あくまで,いじめや先輩のしごきや体罰といった理不尽な暴力が許されないだけです。

とはいえ,褒めて育てられてこなかった大人というのは自分の子どもを褒めるのが苦手な傾向にあるので,褒め方について学ぶ必要があるでしょう。

加えて,自分の子どもを他人に褒められた際に,

そうなんです。すごいでしょう,うちの子は

と言いづらい空気が,どことなく日本の社会全体を覆っているのは事実です。

ところで,海外の親というのは自分の子どもを本当によく褒めるもので,

私はあなたを誇りに思うわ!

と多くが口を揃えて言うことに驚かされます(その反面,子どもが悪いことをしたらすごく叱ります)。

いずれにせよ,日本の教育改革において,生徒たちは受け身の態度ではなく主体的にものを考えて行動を起こすことを期待されており,自己肯定感を高めることができれば学習意欲にも良い影響を及ぼすことをしっかり押さえておきましょう。

 

 

子どもの褒め方

芝生に座る子ども

褒めることの重要性はわかったとして,一体どこをどう褒めれば良いのでしょうか。

実にこれが厄介な点であり,実際私もまだ答えにたどり着けていないのですが,塾での指導や添削業務を通して上手くいった経験を紹介することはできます。

一言付け加える

まず1つ目ですが,できた結果を褒める以外に以下のような一言を付け加えることです↓

  • こうするともっと良くなる
  • ここが特に良かった

発展的なアイディアや具体性を付与することと言い換えられるでしょうか。

突然,勉強の話になって恐縮ですが,「放課後は何をする予定ですか?」という英文を「What are you going to do after school?」と正しく訳せた中学生に対して,以下のような声掛けをするのが成功例です↓

実際の声掛け例

疑問詞で始まる be going to の疑問文を正しく書けたね。この文のdoは「する」という意味の一般動詞で,I don't~やDo you~?のdoとは違うんだ。だから,未来形ではなく現在形にしてWhat do you do after school?のように書くと,「ふだん放課後は何をしていますか」という習慣を尋ねられる文にできるよ。

できている部分をまず最初に褒めてやり(黄色部分),事実を指摘するだけに留まらず発展的な内容を付け加える工夫もしているわけです(赤字部分)。

後者を行うのは中々に難しくてできないときもありますが,その場合も,褒めていることを確実に子どもに伝える次のような一言を付け加えることはできるでしょう↓

やる気を出させる言葉

頑張ったね,できるようになったね,立派,才能あるよなど

親が持たせてくれる,学校で食べる用の飴に,毎回「凄い」などのシールが貼られていて元気が出たと言う高校生がいましたが,これも一言付け加えることの力でしょう。

 

使う言葉を選ぶ

一方で,褒めるところがあまり見当たらない生徒については一層,かける言葉が大切になってきます。

例えば,問題を解かせてあまり出来が良くなかった場合に,

できないことがわかってよかったじゃない。満点だったら何も学ぶことがないんだから,これだけ伸びしろがあるってことだよ

という言い方ができるでしょう。

「このくらいの問題が解けないと,良い学校に行けないよ」という否定的な言葉をかけるのではなく,「こんなに難しい問題を頑張って解こうとしたんだから,確実に一歩合格に近づいたね」と声掛けするだけでも全然中高生の反応は違います。

自己肯定感の高め方として,本人自身が使う言葉を選ぶことも挙げられているくらいなので,こういう言葉を周りがかけ続けていけば,当人の考え方も変わってくるように思います。

最悪,「一緒に頑張ろう!応援するよ!次もこうやって宿題をやってきてくれるのを待ってるよ!」という言い方をして献身的な姿勢を示してやる(赤線部分)だけでも,生徒は頑張って勉強してくれるものです。

子どもが不安がっているときこそ,断定口調で発言してみてください。い!

塾では見送りの時間も大切で,最後に必ず笑顔にさせて帰らせることも意識しています。

これはつまり,声掛けの最後を前向きな言葉で締められることを重視しているわけです。

なお,最近学んだ性格統計学によると,相手が褒められたと感じる言葉にも気を配る必要がありそうです。

「頑張れ」と言う言葉を重たいと感じる人も少なくありません。

管理人
管理人
自分と違うタイプの人間に対しては,自分が良かれと思った言葉もマイナスに受け取られかねないわけで,褒め方について学問的に学んでみるのも良いかと思います。

 

 

自己肯定感を高めるその他の要因

独学する子ども

2018年の6月に東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が共同で行った調査結果が発表されました。

この調査は,小1から高3までの生徒と保護者2.1万人を対象に,2015~2017年の3年間にわたって,子どもの自己肯定感の推移を追跡したものですが,これまでに挙げた要因の他に,

  • 学校
  • 成績の上昇低下
  • 勉強の好き嫌い
  • 将来の目標

が,自己肯定感に影響を与えることがわかりました。

クラスや友達関係は子どもにとって,毎日触れあう第二の家庭のようなものですし,勉強が得意になれば「自分はやればできるんだ」と自己肯定感が高まることが容易に想像できます。

管理人
管理人
最近では学校内においても民間のオンライン学習が採用されることがあり,学習ログが容易に記録できるようになりました。その結果,クラスの意外な人物が長時間勉強していることが判明し,それを先生が発表することで,クラス内での評価が一躍高まることが報告されています。

上の調査結果から1つ紹介すると,成績が下位から上位にアップした子ども2割の自己肯定感が大きく高まり,逆に成績ダウンしてしまった子は大きく下がっていました

定期テストの点は,このように子どもの自己肯定感に大きく影響しますが,良い悪いは相対的なものであり,賢い子ほど自分の理想が高くなるため,高い点数が必要になることに注意してください(この場合,理想を見直し,自分にできるレベルに修正することも考えられます)。

勉強を始めたばかりの生徒の場合,学校のテストで積み重ねが必要な英数でいきなり良い点を取るのは難しいので,比較的簡単にできるようになる理科や社会を頑張らせてみることが多いです。

第三者に認めてもらう点で言えば,民間の検定試験に合格することも考えられるでしょう。

有名どころである英検や数検,そして漢検はどれも目標になり得るものです。

ところで,自己肯定感の低い子どもの親も同じく自己肯定感が低いと言われるので,勉強に自信がない方は子どもと一緒に上記試験を受けてみるのも良い方法だと思います。

お互いに褒め合っては感謝を伝え合いましょう!

その他,「脳の栄養素」と呼ばれるホスファチジルセリンや,ストレスの緩和や思考する時間をサポートするGABAや熟成ホップ,古くから有名なDHAやEPAなど,栄養素を意識しながら献立を考えるようにすると間接的に自己肯定感のアップに繋がるかもしれません。

なお,私は夜食に関してだけは否定派で,夜遅くまで頑張っている子どもを応援しているようで,実はお腹を膨れさせて眠たくしているだけだったりします。

差し入れは軽いお菓子程度に留めておきましょう(例えば,棋士の方はクエン酸の入ったラムネを対局中によく召し上がられています)。

その他にアイディアを挙げると以下の通りです↓

自己肯定感を高める工夫

こうなりたい人や尊敬できる人を見つける:遠いはずの目標を身近に感じられます。

自分を好きになる:生まれつきの気質は後天的に獲得できる性格によって補うことが可能です。

良い大学に入る:東大に入っても自分の無能さに絶望しますが,社会的に「私は勉強ができません」とまでは言えなくなります。

これだけは負けないというものを作る:それでも負けることがありますが,その場合は総合力で勝つかユニークスキルで勝負してください。

自己肯定感が高い国の映画を観る:帰国子女の子と友だちになるでも構いませんが,異文化に触れるのは良いことです。

 

 

まとめ

元気で前向きな女の子

以上,自己肯定感とは何かから始まり,高めるために必要な要因や褒め方についてまとめてきましたがいかがだったでしょうか。

最近では「自己皇帝感」と書かれることもありますが,ネガティブな面も含めて自分自身を受け入れるようにしては,自分の良いところを1つでも多く認識し,失敗を許容する姿勢が重要です。

主だった要因をまとめると,

  • 手伝いや身の回りの整理整頓などの小さな積み重ねが重要
  • 親や教師は子どもをしっかりと褒める
  • 一言加えたり言葉を選ぶなど,褒め方を工夫する
  • テストの点にこだわり,必要なら検定試験も受ける
  • 栄養面でサポートする

となります。

褒め方については私の塾での経験を基に書いていますが,最適解については,近くで見ている親にしかわからないことの方が多いでしょう。

例えば,中学・高校の定期テストで平均点を下回る点数であっても,前回のテストより平均点に近づけていたり,苦手な漢字で満点を取れていたり,普段から子どもの様子をよく観察しているからこそ気づけることがたくさんあります。

褒めることと直接の関係はないかもしれませんが,最近遭遇したのは次のような場面です。

生徒の一人が「テストで時間が足りなくなってしまった」というので,どうしてなのかと彼の答案をよく見ていると,消しゴムで沢山消した跡があることに気づきました。

詳しく聞いてみると,「証明問題の解答欄を誤解して,全く違う問題のところに書いてしまった」という話です。

時間が切迫した中で,全部1から書き直す羽目になれば時間は足りなくなるのは当然ですし,その答案から本人の真面目さや必死さが伝わってきました。

焦ったと思うけど,最後まで必死に頑張ったんだね…

気が付くと,そのような言葉を自然と口にしていました。

丸やバツを見ただけでは決してわかり得ないことがあるということを再認識させられた瞬間だったように思います。

いずれにせよ,子どもと日頃からコミュニケーションを取っていれば,様子の変化を敏感に察知できては褒められる箇所が増え,最終的に確固たる信頼関係を築くことにも繋がるはずです。

子どもが小さいときはそこまで難しくはないでしょうが,高校生になった子どもに対しても褒め続けるという姿勢が重要だと思います。

褒められた体験は子どもの自己肯定感を高め,将来の方向を決める就職試験の面接時においても自信を持って挑むことができ,試験官に好印象を与えることになるでしょう。

そもそも褒められて嫌な気がする子どもはいませんし,甘やかすこととは違います。

2020年の教育改革以降,教育環境そのものを見直す必要が生じたように,大人の子どもへの接し方も変えてみるようにしてください。

ふとスマホに目をやると,陸上のとある大会で全国3位になった生徒がLINEで呟いていました。

強いから自信があるわけじゃない。自信があるから強いんだ

と。

こういう子どもが育つ日本を想像してみると,中々に明るい未来のように思うのです。

  • この記事を書いた人
学校の教室

スタディサイトの管理人

通信教育の添削や採点業務に加え,塾や家庭教師を含めた指導歴は20年以上になります。東大で修士号を取得したのはずっと昔のことですが,教授から数年に一度の秀才と評してもらったことは今でも心の支えです。小学生から高校生にまで通じる勉強法を考案しつつ,気に入っているスタディサプリのユーザー歴は7年を超えました。オンラインでのやり取りにはなりますが,少しでもみなさまのお役に立てれば幸いです。

-教育改革