今回は「タイマーを使った勉強法」を紹介します。
タイマーは,それだけで集中力を高めてくれる魔法の道具ではありません。
しかし,「今からこの課題だけに取り組む」と決めて時間を区切ることで,勉強を始めるきっかけを作り,途中で別のことに気を取られるのを防ぎやすくなります。
その意味では,やる気の維持や学習の習慣化を支える道具の一つです↓
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また,当サイトが提唱する「学習OS」では,タイマーを勉強のスイッチを入れる「開始ルーティン」に位置付けています。
復習サイクルである「1の5乗復習法」で問題を解く際にも,決められた時間内で集中して演習するために活用できます。
タイマーを使う代表的な時間管理法が,フランチェスコ・シリロ氏の「ポモドーロ・テクニック」です。
本来は25分の作業と短い休憩を組み合わせる方法ですが,当記事ではその考え方を小・中・高校生や資格試験の勉強に取り入れやすい形に調整して紹介します。
タイマーを使った勉強法の特徴

勉強する際に費やした時間数に注目することが多いと思いますが,勉強時間の長さだけでなく,集中して取り組めた時間を積み重ねることが重要です。
短時間の学習であっても,課題を明確にし,集中して取り組む回数を積み重ねれば,まとまった学習量になります。
私も資格試験の勉強ではタイマーを使い,総合旅行業務取扱管理者とFP2級に,それぞれ約2ヶ月の学習で合格しました。
もちろん,合格には教材選びや復習も必要ですが,タイマーで学習時間を区切ったことは,毎日の勉強を続けるうえで役立ちました。
たとえ大きな目標であっても小さな目標に細かく分ければ段階的に取り組めるため,適用範囲は広いです。
タイマーを学習に用いても大きな負担は生じにくいですが,向き不向きはあります。
詳しい方法についてみていく前に,まずはメリットとデメリットをまとめます。
メリット1:勉強を始める合図になる
勉強を始める前に毎回同じ動作を行うと,「ここから勉強する」という合図を作れます。
例えば,教材を開く,机の上を整える,深呼吸をするといった動作です。
スポーツ選手が競技前に決まったルーティンを行うのと似ていて,当サイトの学習OSでも「開始ルーティン」を設定しています。
タイマーの時間をセットする動作を開始ルーティンに組み込めば,迷わず最初の課題に取り掛かりやすくなるはずです。
メリット2:目の前の課題に取り組みやすくなる
私はゼンマイ式のキッチンタイマーを愛用しています。
カチカチという音を聞くと時間の経過を意識でき,目の前の課題に集中しやすくなるからです。
メリット3:学習量と課題の所要時間がわかる
その他,タイマーを使って学習するメリットとして,定量的な学習記録が取れることが挙げられます。
後で詳しく紹介しますが,決まった長さの時間を毎回タイマーで設定することになるので,1日にタイマーをセットした回数を記録するだけで簡単に勉強時間を計測できます。
記録を続けると,1日に何セット取り組めるのか,特定の単元に何セット必要なのか,どの時間帯に中断が増えるのかが見えてきます。
これらは,翌日の予定を立てたり,課題を適切な大きさに分けたりする際の材料になります。
重要なのは,これらのデータは他の誰のものでもない,つまりは自分固有のデータであるということです。
自分の傾向について多くを知ることができれば,今後の生活において役立つ場面は多いです。
タイマーを用いた学習では,完了したセット数が目に見える形で残るため,達成感を得たり,翌日の勉強を始める自信につながったりすることもあります。
デメリットと対処法
タイマー学習は誰にでも同じように合うわけではありません。
残り時間を意識すると焦ってしまう人や,タイマーの音が気になって集中できない人もいます。
また,文章作成や難しい数学の問題などでは,考えが深まったところでタイマーが鳴り,流れが途切れることもあるでしょう。
このような場合は,
- 残り時間が見えない位置にタイマーを置く
- 無音・光通知のタイマーを使う
- 1セットを少し長くする
など,自分の課題に合わせて調整してください。
スマホをタイマーとして使う場合は,通知を切り,勉強に不要なアプリを開かない環境を作る必要があります。
毎回時間を測らなければならないわけではないですが,試験本番で厳しい制限時間が設定されている場合は,本番と同じ時間をタイマーで測る練習が重要です。
一方,15~40分のまとまったセットを確保できない移動中などには,今回の方法をそのまま実践しにくいことがあります。
その場合は,5分間だけ単語を確認するなど,スキマ時間用の短い課題を別に用意しておくとよいでしょう。
その他,自分の過去の学習データを分析する目も必要になってきますし,最初のうちはわざわざタイマーを設定すること自体に慣れないかもしれません。
とはいえ,多額の費用や労力がかかる方法ではないので,身近な目標に対してまずは1~2週間,同じ時間設定で試してみてください。
ポモドーロ・テクニックの基本ルール

1回の作業単位を「ポモドーロ」と呼びます(この名称は,シリロ氏が使っていたトマト型のキッチンタイマーに由来します)。
時間配分の基本は以下です。
- 25分タイマーをかける
- 5分の短い休憩を取る
- 4セットごとに15~30分の長い休憩を取る
ただし,ポモドーロ・テクニックは時間を区切るだけの方法ではありません。
やることの計画,割り込みへの対処,作業量の記録や見積もりまでを含む時間管理法です。
タイマーを使った学習法についてより多くのことを知りたければ,「ポモドーロ・テクニック」の生みの親であるフランチェスコ・シリロ氏の著作を読んでみてください。
勉強時間中の割り込みへの対処法をより体系的に学べますし,当記事では触れていない,チームで働く際の応用も知ることができます。
実際,当記事では,同書で紹介されている時間管理法を参考にしながら,学生の勉強や資格試験に取り入れやすい形に調整しています↓
当記事の主な参考文献
フランチェスコ・シリロ著,斉藤裕一訳,『どんな仕事も「25分+5分」で結果が出る ポモドーロ・テクニック入門』CCCメディアハウス,2019年。
勉強中に割り込みが起きた場合
勉強中に別の用事を思い出した場合は,すぐに行動せず,紙に短く書き留めて休憩後に対応します。
例えば,友人への返信,調べ物,別の宿題などは,多くの場合,数十分後まで先延ばしにできます。
一方,体調不良やトイレなど,すぐに対応すべきことを無理に我慢する必要はありません。
中断が避けられない場合は,そのセットを完了回数に含めず,用事を済ませてから新しいセットを始めます。
これは失敗ではなく,「どのような割り込みが起きたか」を把握するための記録です。
中断の原因が繰り返されるなら,次回から勉強前に対策しておきましょう。
基本の方法に慣れてきたら,復習を重視したいセットでは,最初の3~5分で前回までの内容を思い出し,最後の3~5分で今回学んだことを確認する方法もあります。
これは,当サイトの「1の5乗復習法」とも相性の良い使い方です↓
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毎回行う必要はありませんが,前回の内容とのつながりが重要な単元や,忘れやすい内容を学ぶ際に取り入れるとよいでしょう。
タイマー学習に必要な道具

タイマーを使った学習法ですが,必要とする道具は少なく,それはずばり,
- タイマー
- 記録用紙またはアプリ
の2つだけです。
とはいえ,それぞれにこだわりを持つことはできるので,本章の内容を参考に,お気に入りのものを見つけてください。
タイマーの選び方
一番手軽なものでは,自宅で料理をする際に使うキッチンタイマーなどが利用できます。
専用タイマーを1つ用意することはおすすめですが,スマホのタイマー機能やアプリでも十分にその代わりになると思っています。
ただし,スマホを使用する場合は,勉強中にSNSなどの通知で気が散らないように設定を工夫してください。
とはいえ,将来的に幅広い学習に役立つという観点でみれば,学習タイマーが最適かもしれません↓

例えば,ドリテック社のものの中には,模試を解くといった長時間の計測に耐えるものや,カウントダウン機能以外にカウントアップ機能(いわゆるストップウォッチ的なもの)を備えたものも見られます。
製品によっては,状況に合わせてアラーム音を消すことができ,代わりに青色LEDを点滅させられるものがあったり,学習者が見やすい角度に配慮しているものがあったりするので,色や形も含めて選びがいがありそうです。
気に入ったタイマーであれば愛着が湧き,勉強を始めるきっかけにも使いやすくなります。
使い勝手だけでなく見た目にもこだわって,お気に入りの相棒を見つけましょう。
- 問題演習・模試:長時間のカウントダウンとカウントアップに対応したもの
- 図書館・自習室:無音設定や光通知に対応したもの
- ポモドーロ学習:勉強時間と休憩時間を連続設定できるもの
- 日常的な使用:押しやすさ,画面の見やすさ,リピート機能も確認
記録用紙・学習記録アプリ
タイマー式学習においては結果を記録することも必要です。
これは主にデータ分析に使いますが,紙とペンというアナログ的な道具の方ができることは多く,電力やネットを介さないために変なトラブルも起きませんし,一度に多くが目に入るため,自分の創造力を働かせやすいようにも感じます。
もちろん,デジタルのメモ帳やWordやExcelなどを使って管理することもできるので,自分に合ったものを採用してください。
以下のように,時間を入力するとグラフにしてくれるアプリもありますし,友だちと勉強量をシェアできるものだと楽しく学べるでしょう↓

紙で記録する場合は,タイマーの横に置いてすぐ印を付けられる点が便利です。
一方,アプリや表計算ソフトは,日ごと・週ごとの学習量を集計し,グラフで確認するのに向いています。
大切なのは,記録に時間をかけすぎず,後から振り返れる形で残すことです。
タイマーを使って勉強する5つの手順
最後に,タイマーを使って学習する手順をみていきますが,基本となるのは以下の5つです。
- やることリストを作る
- 今日やるべき課題を選ぶ
- 一定時間(15~40分)勉強する
- 休憩する(短いものと長いもの)
- その日の内容を振り返る
①やることリストを作る
「やることリスト」の作成は勉強を開始する前にやるべきことで,自分がやらなければならない課題をどこかに書き出しておきます。
私はマインドマップやスパイダー図(放射状の簡易メモ)で描いておき,期限付きのものや重要度の高いものからやることが多いです↓
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それを目につくところに置いておくと,課題を忘れにくくなり,次に取り組む内容を選びやすくなります。
「早速作ってみるよ!」という方は,10分くらいかけて,1枚の紙に思いつくままに書き出してみてください。
締め切り日が設定されているものは,その情報を付け加えておくと良いです。
書き終わった後も,また何か新しく浮かんだり人から頼まれごとがあったりすると思うので,その都度書き足していきましょう。
②今日やるべき課題を選ぶ
次に,上で挙げた候補の中から「今日やるべき課題」を選び出します。
ただし,リストに書かれた課題が大きすぎる場合は,そのまま今日の課題にせず,1~数セットで取り組める大きさに細分化します。
課題設定において重要なのは,あくまでその日に終わる内容に小分けにしたものを書くという点です。
例えば「英文法の参考書を1冊終える」という目標なら,
- 不定詞の解説を読み,確認問題を解く
- 20~30ページを進める
- 25分を2セット行う
など,その日に実行できる形へ分けてください。
1日かけても終わらない大きな目標を,そのまま今日の課題にするのは避けます。
その日に終えられる量へ分けておくと,進捗を判断しやすくなり,課題を完了した達成感も得やすくなるからです。
③タイマーを設定して1つの課題に取り組む
ポモドーロ・テクニックの基本時間は25分です。
初めて取り組む方は,まず25分に設定し,その間は1つの課題だけに集中してみてください。
ただし,当記事では勉強内容や学習者に合わせ,次のように調整しても構わないと考えています。
- 小学生や勉強を始めること自体が難しい場合:15~20分
- 標準的な学習:25分
- 長文読解やまとまった演習:30~40分
一度決めた時間は数日から1週間ほど続け,完了できた回数や中断の状況を見て調整します。
なお,模試や過去問演習では,本番と同じ制限時間を設定してください。
しばらくやってみてこれと決めたら,その後は大きな変更をせずに継続して様子をうかがうのが良いでしょう。
私は,時間が来てタイマーが鳴ったら「今日やるべき課題」の横に印を付けるようにしています。
例えば,1セット完了するごとに×,課題が終わったら横線を引くことにすると,タイマーを3回セットして終了したときの結果は次のようになります。
不定詞の勉強×××
バッテンが3つ付いてさらに横線が引かれている状態ですが,実はこれは『ポモドーロ・テクニック入門』でも紹介されている方法です。
④短い休憩と長い休憩を取る
1セットが終わったら,3~5分程度の短い休憩を取ります。
休憩中は,水を飲む,立ち上がって歩く,ストレッチをする,窓の外を見るなど,頭を大きく使わない行動がおすすめです。
このとき,SNSや動画を開いてしまうと,休憩時間を過ぎても戻れなくなることがあるため注意してください。
4セット終えた後は,15~30分程度の長い休憩を取ります。
食事や散歩などは,この時間に行うとよいでしょう。
⑤完了したセット数と中断を記録する
学習後は,完了した課題とセット数を記録します。
例えば,月曜から金曜までの完了数が「7回・8回・10回・8回・7回」であれば,その週は1日平均8セット取り組めたことになります。
ただし,8セットが自分の絶対的な集中力の限界という意味ではありません。
学校行事,睡眠時間,課題の難易度などによって結果は変わります。
次の項目を簡単に残しておくと,翌日の計画を立てやすくなります。
- 取り組んだ課題
- 予定していたセット数
- 完了したセット数
- 中断した回数と原因
- 次回の修正点
記録は,セット数を増やすこと自体が目的ではありません。
課題に必要な時間を把握し,無理のない学習計画へ修正するために使います。
まとめ
私は,音楽や動画を流しながら複数のことを同時に進めるよりも,1つの課題に集中する方が合っています。
そのため,取り組む課題と時間を明確にできるタイマー学習は,資格試験や日々の仕事を続けるうえで役立ってきました。
今回紹介した基本手順は次の5つです。
- やることリストを作る
- 今日やるべき課題を選ぶ
- タイマーを設定して1つの課題に集中する
- 短い休憩と長い休憩を取る
- 完了数と中断の原因を振り返る
最初から長時間の勉強を目指す必要はありません。
まずは25分を1セットだけ行い,終わったら印を付けて短い休憩を取ってみてください。
なお,休憩というのは音楽で言う休符のようなもので,一見意味がないようで,重要な役割を果たしています。
1~2週間記録を続けると,自分が取り組みやすい時間,課題に必要なセット数,中断しやすい原因が見えてくるでしょう。
その記録をもとに時間や課題の大きさを調整し,自分に合った学習ルーティンを作ってみてください。



