今回は「タイマーを使った学習法」というタイトルで,私が効果的だと感じ,普段から好んで使っている方法を紹介したいと思います。
「しがない個人の方法論に一体誰が興味を持つのか」と早速失笑された方もおられるでしょうが,この方法でもってそれなりの数の資格や検定を取得することに成功している私で,ここ数年だと国内旅行業務取扱管理者やFP2級を2ヶ月程度の勉強期間で合格しました(もちろん本業の合間に勉強してです)。
私の大きな弱点は長時間勉強し続けられないことで,すぐに気が散ってしまいます。
歳も決して若くなく,すぐに眠たくなりますし机に向かっているだけでも背中や腰がすぐに痛くなってしまう毎日ですが,それでも「適した勉強法が何かあるはずだ」と試行錯誤を重ねてたどり着いた答えが今回紹介する方法です。
なお,タイマーが必須アイテムとして登場してくる時間管理術としては「ポモドーロ・テクニック」というものがビジネス界を中心に古くから知られており,私が実践している勉強法もその影響を大きく受けています。
当記事ではその方法についても章を別に設けているので,そちらは名だたる発案者様が公表されているものだけに参考になるはずです。
ただし,当サイトの運営方針上,あくまで勉強に関する内容に限らせていただき,現代の小中高生が定期テストや受験勉強に役立てられる内容を中心とさせていただきます。
普段から集中して勉強できない自覚がある方や,自分が今採用している勉強法に自信が持てない方は,是非参考にしてください!
タイマーを使った学習法の特徴
勉強する際に費やした時間数に注目することが多いと思いますが,長年勉強してきて思うことは,集中して勉強できる時間を作ることこそが重要で,時間ややる気が許す限りその回数を増やすことに専念するということです。
昔は,我慢しながら10時間学習することが至高と考える自分を疑いませんでしたが,勉強時間を徒に増やすことばかりに尽力していて,勉強の質(1時間当たりの過ごし方)については考えが及びませんでした。
それが今や,集中して30分間勉強することを1日に数回設けるだけでも結構な学びが得られることに気が付いた私です(もっとも,今の私は1日10時間も勉強できないと思います)。
少なくとも,超難関ではない資格勉強や定期テスト程度の勉強であれば,タイマーを使った勉強法を採用するだけで十分な成果が得られるでしょう。
タイマーを学習に用いることにマイナスの影響が出ることはあまり考えられませんが,詳しい方法についてみていく前に,まずはメリットとデメリットをまとめておきたいと思います。
メリット
勉強関連のイベントにおいて,「入り方」は非常に大切です。
例えば,試験開始となった直後に頭が真っ白になってしまえば,動揺してまともな思考ができなくなるものですし,勉強していて「面倒くさいな」とか「眠い」などという気持ちが芽生えてしまえば,その後はもう勉強をしているフリしかできず,その後の数十分間で得られるものはほとんどないでしょう。
一般的に,勉強ができる人ほど,自分が集中できる儀式のようなものを実践していることが多いように思います。
例えば,試験前に鉛筆の先をじっと見つめているだとか,目を瞑って深呼吸をしたり,首や手を回したりすることは代表的な仕草です。
これは何も勉強の世界に限らず,プロ野球の試合を見ていてもそういった動作は行われているようで,例えば打席に立つまでに決まった動きを見せる選手は数多くいます。
そして勉強でタイマーを使うことは,時刻をセットする動作によって集中力を高められるメリットがあるわけです。
私は上記のアナログ式のキッチンタイマーを使っていますが,これは時限爆弾ではないですが,ずっとゼンマイの音がカチカチ聞こえるので,時間の経過を強く意識させられます。
音が煩わしくて,注意が散漫になってしまうのではないか
と心配される方がいるかもしれません。
ですが,実際はその反対で,気が散りやすい私であってもむしろ集中力が高まって学習効果が上昇するように感じています。
そもそも周りで物音がしない試験会場などありませんから,多少の物音で心が乱されているようでは実力は発揮できません。
その他,タイマーを使って学習するメリットとして,自分の性格について知ることができることが挙げられますが,これは定量的な学習記録が取れるようになるからです。
後で詳しく紹介しますが,決まった長さの時間を毎回タイマーで設定することになるので,1日にタイマーをセットした回数を記録するだけで簡単に勉強時間を計測できます。
自分が集中して勉強できる限界時間を知ることもできますし,1つの学習単元を攻略するのにかかる時間の目安を知るためにも役立つわけで,勉強が継続不可能になった回数も記録しておけば,今後の反省に生かせるでしょう。
重要なのは,これらデータは他の誰のものでもない自分に当てはまる唯一のものであるということで,自分について理解を深めることができれば,今後の生活において役立つ場面は多いと思います。
タイマーを用いた学習は,実行すればするほど自信へと繋がり,達成感ややる気や自己肯定感のような望ましい感情も,すべてタイマー学習によって高められるはずです。
デメリット
個人的に,タイマーを使用していてデメリットを感じることはほとんどありません。
他人との関係性に注目してみたときに,「音がうるさい」や「人づきあいが悪い」などのトラブルに発展する危険性が生じるくらいでしょうか。
とはいえ,人によっては合う合わないがあることは確かで,絶対にタイマーを使って勉強しなければならないわけではありません。
加えて,タイマーを置いて集中できる環境を必要とするので,交通機関を利用していて5分後に降りるときに,そのスキマ時間を生かすような使い方は不可能です。
多忙な毎日を過ごされている方は,数分間という短い時間の使い方も重要になってくるので,この場合はまた別の作戦を考える必要があるでしょう。
その他,自分の過去の学習データを分析する目も必要になってきますし,最初のうちは慣れるのに時間がかかるかもしれません。
とはいえ,多額の費用や労力がかかる方法ではないので,身近な目標に対してまずは2ヶ月くらい実行してみることをお勧めします。
最後に1つ,タイマーを使った学習は他の勉強法と比べて勉強モードになりやすいものですが,「始めよう」という自らの意思は必要です。
やる気がないと,タイマーに触る元気すら生じませんし,いざ始まった後の辛さを考えるとタイマーをかけたくない(もっと緩く学びたい)という気持ちに陥ることもあるわけで,そういった気持ちとどう折り合いをつけるかも,広い意味でのタイマー学習法と呼べるかもしれません。
タイマーを使った学習法に必要な道具
タイマーを使った学習法ですが,必要とする道具は非常に少なく,それはずばり,
- タイマー
- 書くもの
の2つだけです。
とはいえ,それぞれにこだわりを持つことはできるので,本章の内容を参考に,是非お気に入りのものを見つけてみてください!
タイマー
まずはタイマーですが,一番手軽なものでは,自宅で料理をする際に使うものが利用できます。
その他,スマホのアプリにありますし,スマートウォッチのようなものを持っている方もいるかもしれません。
とはいえ,将来的に幅広い学習に役立つという観点でみれば,学習タイマーが最適かもしれません↓
例えば,Dretec社のものの中には,模試を解くといった長時間の計測に耐えるものや,カウントダウン機能以外にカウントアップ機能(いわゆるストップウォッチ的なもの)を備えたものも見られます。
変わった物では,状況に合わせてアラーム音を消すことができ,代わりに青色LED(学習者の精神に優しい色)を点滅させられるものがあったり,学習者が見やすい角度に配慮しているものがあったりしましたが,色や形も含めて選びがいがありそうです。
こういったタイマーは愛着が沸くことでますます学習が捗るものなので,使い勝手だけでなく見た目にもこだわって,お気に入りの相棒を見つけましょう!
書くもの
タイマー式学習においては書くものも必要です。
紙とペンというアナログ的な道具の方ができることは多く,電力やネットを介さないために変なトラブルも起きませんし,自分の創造力が赴くままにカスタマイズもしやすいように感じています。
もちろん,WordやExcel,メモ帳の類を使って管理することもできるので,自分に合ったものを採用してください。
以下のように,時間を入力するとグラフにしてくれるアプリもありますし,友だちと勉強量をシェアできるものだと楽しく学べるでしょう↓
Society5.0に向かう時代に,デジタル的なアプローチを否定するつもりは毛頭ありません。
なお,記録したものを残しておくと,後で見返すことでやる気のアップが期待できますし,分析する際にも役立ちます。
タイマーを使った学習の手順
それではここから,タイマーを使って学習する手順をみていきますが,基本となるのは以下の5つです↓
- やることリストを作る
- その日にやることを決める
- 一定時間(20~40分)勉強する
- 休憩する(短いものと長いもの)
- その日の内容を振り返る
①やることリストを作る
「やることリスト」の作成は勉強を開始する前にやるべきことで,自分がやらなければならない課題ををどこかにまとめて箇条書きなどにしておきます。
それを目につくところに置いておくと,意識せずにはいられないため,嫌でも勉強するようになるでしょう。
「早速作ってみるよ!」という方は,10分くらいかけて,1枚の紙に思いつくままに書き出してみてください。
締め切り日が設定されているものは,その情報を付け加えておくのが良いです。
書き終わった後も,また何か新しく浮かんだり人から頼まれごとがあったりすると思うので,その都度書き足していきましょう。
②今日やるべき課題を選ぶ
次に,上で書いたリストの中から「今日やるべき課題」を選び出します。
ただし,あまりに壮大な内容のものを書いてしまっている場合は,ダウングレードすることに注意してください。
課題設定において重要なのは,あくまでその日に終わる内容に小分けにしたものを書くという点です。
例えば「英文法の参考書を1冊やる」という大きな目標があったとしましょう。
この場合,今日やる内容は「不定詞をやる」や「計50分間勉強する」だったり,「20ページ進める」だったりにすべきです。
具体的に書くことを心掛けて,1日かけても終わらないものを課題に設定してはいけません。
その日にやることをすべて1日で終わらせるからこそ,達成感が出てくるのです。
③一定時間勉強する
課題を設定した後は,それらを1つずつ全力でこなしていくだけになりますが,1回の勉強時間については注意が必要で,最初は1回あたり20~40分に設定してください。
こうする理由は人の集中力がそれほど長時間に及ばないからで,同時に,中断するリスクを減らすためのものでもあります。
タイマーを使った学習法では,集中力を伸ばすことを目的に含めません。
毎回決まって集中できる時間に設定することが重要です。
私は25分に設定していますが,先の学習タイマーのメーカーは小学生の集中力を15分程度と分析していましたし,小学校の時間割などは45分が1限の長さに設定されています。
なので,大体そのくらいの長さであればOKで,しばらくやってみてこれと決めたら,その後は大きな変更をせずに継続して様子を伺うのが良いでしょう。
私は,時間が来てタイマーが鳴ったら「今日やるべき課題」の横に印を付けるようにしています。
これはTo Doリストを処理するときと同じ方法ですね。
実際は絶対やらなければいけないほどのことではありませんが,後で反省する際に使うことができるので,特に最初のうちは,やったことを何かしらの手段で残すようにしてください。
例えば,課題をやり遂げたら横線を引くことにすると,タイマーを3回セットして終了したときの結果は次のようになります↓
不定詞の勉強×××
バッテンが3つ付いてさらに横線が引かれている状態ですが,実はこれは次章で紹介するポモドーロ・テクニックで紹介されている方法です。
④休憩する
一定時間勉強した後には必ず休憩をするようにしてください。
休むことも重要な手順の1つです。
ただし,何時間も休むようでは問題で,この時の時間は3~10分で設定します。
確かに,疲労度が高いと感じるときや,次の課題が大変なときには多少多めに取ることもありますが,10分以上はおすすめしません。
そして,休憩中には課題のことを一切考えないようにします。
机から立ち上がって歩き回ることはおすすめで,カップを持って飲み物をつぎ足しにいくことも多いです。
ちなみに,3~4回勉強を積み重ねた後の休憩に関しては15~30分と長めに取ることも覚えておいてください。
先ほどの3~10分の休憩を小休憩とすれば,こちらは大休憩と呼べるでしょう。
天気の良い日には散歩に出られるくらいの時間ですし,このタイミングで食事を取るのも良いです。
ここまでの内容を理解するために,とある小学校の時間割をみてみましょう↓
近所の小学校の時間割
1時限目:8時55分~9時40分
2時限目:9時45分~10時30分
3時限目:10時45分~11時30分
4時限目:11時35分~12時20分
給食休憩:12時20分~14時
5時限目:14時~14時45分
6時限目:14時50分~15時35分
制約が多い学校生活なだけに,理想と呼べる状態からはわずかに外れた時間設定になっていることが容易に想像されますが,それでも,勉強した後には短い休憩が毎回用意されていますし,4回勉強した後には長めの休憩時間が取られていることがわかります。
学校が長期間の休みに入るタイミングで,「規則正しい生活を続けるように」と指導された経験がある方も少なくないでしょうが,理想的な学習スケジュールは学校生活の中に実は見出せるのです。
⑤その日の内容を振り返る
最後にその日に行った内容を振り返りましょう!
全部の課題を終えられたかどうか,そしてどのくらいの時間でもって終えられたのか(勉強回数)を別の紙に記録します。
もちろん,アプリでそれ用の日記をつけても構いませんし,SNS上の呟きという形で残すでも構いません。
1日を通して何回タイマーをかけられたのかがわかれば,自分の集中力が続く目安時間を知ることができ,今後の学習に役立てることが可能です。
例えば,月曜から金曜までの5日間で「7回・8回・10回・8回・7回」と記録されていれば,自分が集中力を発揮できるのは1日に8回(タイマーが30分なら計4時間)ということがわかります。
こういった経験則は,記録する日数を積み重ねていくほど真実に近づくもので,サイコロも数回しか振らなければ特定の目に偏ることも多いですが,数千回振れば全ての目が出る回数はほぼ均等(6分の1)になるはずです。
今回,勉強時間については触れませんが,一応の目安として「平日に1時間,休日は2時間」というものが知られています↓
ポモドーロ・テクニックについて
タイマーを使った学習法についてより多くのことを知りたければ「ポモドーロ・テクニック」について学んでみるのがおすすめです。
その生みの親であるフランチェスコ・シリロ氏の著作を読めば,当記事では触れていない,勉強時間中の割り込みへの対処法がわかりますし,個人ではなく社会でチームとして働く際に役立つ内容も学べます。
勉強に限れば,トイレに行きたくなったり友達から連絡が来た時だったりの対処法について知っておくのが有効でしょうが,基本的には休憩時間まで先延ばすようにしてください。
上の場合,トイレは我慢し,連絡には反応しないということです。
なお,ポモドーロ・テクニックにおいては,数秒以上,勉強を中断してしまうようなことがあれば,その勉強自体を無効にすべきと書かれています。
それほどまでに,集中力を欠くことは大きな失敗とみなされているわけです。
なお,無効にした後は,休憩を挟んでから(用事を済ませてから)気分を新たに再開します。
ポモドーロ・テクニックを使う場面が自宅や自習室ではなく仕事場であれば,他者による割り込みは当然ながら増えるでしょう。
つまるところ,たまに起こる緊急事態に柔軟性を持って対処できるところがポモドーロ・テクニックの大きな強みであるとも考えられます。
ビジネスシーンが中心ということで,相手に返信することも仕事の1つとみなされますし,今日やるべき課題がやり終えられないことも織り込まれているわけです。
ちなみに,前章で述べた「やることリスト」や「今日やるべき課題」はそれぞれ「仕事の在庫」や「今日やること」などと名を変えており,「記録」というシートも含めた3枚の用紙の使い方についても解説されています。
興味を持たれた方は「ポモドーロ・テクニック入門」をまずは読んでみてください。
ところで,ポモドーロ・テクニックでは最初と最後の5分間を復習の時間に充てているのですが,これは勉強する上でも役立ちます。
塾では当たり前のように行われていますが,最初に前回やったことの確認テスト,終了間際にその日の復習テストが行われるのも同じ理由からです。
タイマー学習においては,時間が中途半端に余ったようなときに,同範囲のそれまでの内容について見直すというのが実践的でしょう。
まとめ
私は1度に2つ以上のことを並行して行えないタイプで,YouTubeはおろか,音楽を流しながら勉強をすることができません。
なので,タイマーを使った学習法は大変性に合っており,実践するようになってからは様々な目標が達成しやすくなりました。
強制的に休憩するというのも,最初は「続けてまだやれるのになんでだろう」などと思ったものですが,これは音楽で言うところの休符のようなものであって,一見意味がないようで実際には重要な役割を果たしているのだと思います。
休憩を取ることで得られる精神的な準備なしに,集中できる時間を作ることはできないわけです。
自分の学習記録を振り返ってみると,1日のうち集中できる時間が取れる回数が思った以上に少ないことに気付きますが,その時間を勉強に費やすことができれば,大変効率の良い時間の使い方ができたことになります。
本家の入門書では今回紹介しなかった厳密なルールもいくつか採用されていますが,仕事でなく勉強するだけであるならば,基本的にタイマーをセットしたら終了のベルが鳴るまで集中するだけでよく,それさえ守って回数を重ねていけば自然と自分に合った学習ができるようになってくるものです。
これまで,何となくで勉強していていまいち上手くいっている実感が持てなかった方は,是非今回の学習法を試してみてください。
あくまで基本は,最初に述べた通り,集中する時間を作ってはその回数を1回でも多く増やすように努めることです。
究極的には,1回の勉強時間や休憩時間は比較的自由に決めてしまって構いません。
みなさんの目標が実現されることを祈っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。