この度,TOEICの勉強に役立つ語学アプリの筆頭であるスタディサプリENGLISHに収録されている「TEPPAN英単語」がなんと書籍になりました!
とはいえ,今や市場は戦国時代。
多くのTOEIC単語帳が出回っている世の中です。
そんな中,本単語帳は,どのような特徴でもってその世界に挑んでいくのでしょうか。
どうやらその答えは「神講師による解説+アプリとの連携」にあるようです。
もちろん,それだけに留まらない本書の魅力を,本レビューを通して学んでいくことにしましょう!
TEPPAN英単語(書籍版)の特徴
- 書籍名:TOEICテストTEPPAN英単語
- 価格:1430円
- 発売日:2019年3月18日(改訂版2021年12月24日)
- 発行元:株式会社KADOKAWA
本書の説明の前に,スタディサプリENGLISHのTOEIC対策コースについて説明させてください。
スタディサプリは,2019年版の発売時にすでにシリーズ累計385万ダウンロードを達成していた人気アプリで,私自身,中学高校内容の復習からそれこそTOEICの学習に至るまで,大変お世話になりました。
アプリ版には,パート別の攻略法を扱った「パーフェクト講義」や模試として使える「実戦問題集」など色々な学習コンテンツが揃っているわけですが,中でも毎日学習したのが「TEPPAN英単語」というオンライン単語帳だったわけです↓
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スタディサプリENGLISHのTEPPAN英単語・熟語の使い方
スタディサプリENGLISHにあるTOEIC対策用の学習コンテンツといえば,パーフェクト講義や実戦問題集という名前が真っ先に挙がりますが,今回紹介する「TEPPAN英単語・熟語」もそれらに負けず劣らず評判の良いコンテンツ ...
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上の記事に書いた通り,これまでに類を見ない機能を備えているものでしたが,今回わざわざ書籍にしてきた以上,さらに何かあるはずです。
まずは収録語数を比較すると,アプリが1500語あるのに対し,2019年版の書籍では1409語でしたが,2021年版のものは1557語と遜色なくなりました。
加えて,本書の特徴は以下の3点に色濃く表れています↓
- 単語の配列順
- 解説の特殊性
- 音声データ
2019年版には独自アプリの用意もありましたが,改訂版では利用できません(改定前のものを買ったとしても,すでにアプリ自体が存在しないので注意)。
それでは次章から,これら1つ1つについて,詳しくみていくことにしましょう!
独自データに基づいた単語配列
本書の特徴の1つ目ですが,TEPPAN英単語のアプリ版のユーザーの単語正答率を分析し,その高いものから,つまり覚えやすい単語から学習できるように配列が工夫されています。
本書で例として示されている「option(529番目に出てくる単語)からdonation(533番目に出てくる単語)」までの5つの単語の正答率をみてみると,番号の若い順に,
85.47%→85.46%→85.35%→85.26%→85.21%
となっているそうです。
改訂版に本記載はありませんが,初版と順番に違いはありません。
ちなみに,私が初めてやることになったアプリ版の方では1個目の単語がdepartmentであり,それがすごく記憶に残っている自分としては,本書の最初の単語がmachineだったことにショックを受けずにはいられませんでしたが,配列の理由を聞いて納得しました。
このように,まずは覚えやすいものからどんどんボキャブラリーの数を増やし,気分良く学習が進められるのが本書の特徴です(ちなみに,書籍版においてdepartmentは,結構後ろの642個目に収録されていました)。
ところで,いくら多くのユーザー情報から得た正答率であっても,ただ出る順に並べただけでは面白みに欠けてしまいますよね。
現に「出る順」の単語帳は,すでに市場に出回っていますし。
ここで,書籍版の2つ目の特徴である「ユーザーの声+関正生先生の解説」が生きてくることになります。
関正生講師の「神」解説
TEPPAN英単語の書籍版の内容について,もう少し詳しく分析してみましょう!
例えば,先ほどのdepartmentですと,左ページにはその単語の意味と例文(またはコロケーション)が和訳と共に載っています。
その他,派生語や類語が収録されている単語があったり,付属の赤下敷きで意味を隠して学習できる工夫も見受けられますが,これらも普通にあるものでしょう。
しかし,注目すべきは右ページに書かれている2列分の解説であり,これこそが本書における2つ目の特徴となります!
それはずばり「記憶エピソード」と「カクシン」です。
前者は,アプリ版のユーザーによる覚え方のコツが書かれており,なぜ彼らがその単語を覚えにくいと感じていたのか,そしてどのように覚えたら上手くいったのかなどの様々なエピソードが寄せられています。
基本的にTOEICの学習は孤独な作業ではありますがが,そんな中で,自分と同じような学習者の境遇を知ることができると,自分も頑張ろうと思えてくるのですから,何とも不思議なものです。
次に後者ですが,こちらはTOEIC対策コースの講師でもある著者の関正生先生による,スコアアップに直結する解説となっています。
文字で読んだだけでも単語のイメージが沸いてくるのは,やはり「神」講師足るゆえんなのでしょう。
departmentの実例ですが,
「いわゆる建物のデパートのイメージが強かったので『部門』と修正するのに苦労しました(通信業・600点台)」
という学習者の記憶エピソードがありました。
それに対し,
「そのイメージをきっちりつなぎなおしてみましょう。デパート(department store)は『各部門に分かれた店が集まった大型店』です」
と関先生の解説が続くわけです。
なるほど,三越や伊勢丹といったデパートは,この単語に由来して名付けられていたのですね。
さて,このような2種類の解説があることによって,だいぶ単語に馴染みが出てきて忘れにくくなってきたように感じませんか。
関先生の教えの根本には「単語は暗記せずに済む」という信条があるのですが,有料アプリでは存在しなかった,学習者の生の声と関正生講師による単語解説が入るところに本書ならではの特徴がひしひしと感じられました。
しかし,結果的にこれらの特徴は有料アプリの方にも逆輸入して搭載されることになりましたが,その辺りの事情については次章でみていきましょう。
音声が利用可能
TEPPAN英単語では角川のサイトから音声データをmp3形式でダウンロードして,それをスマホやPCで再生して聴くことができます。
内容は,まず単語の発音が読み上げられた後,メインとなる和訳が,そして最後に英語で例文が読み上げられて終わりとなり,1トラックに見開きページ分の単語がまとめて収録されていました。
余計なアプリなどを介することなく,直接データをダウンロードできる点が便利です。
アプリについて
こちらについては2019年版のみの特徴となり,2021年版では利用できません。
書籍の最後のページをみると,上のような袋とじが確認できました。
関先生のメッセージカードでも入っているのでしょうか。
実は,2019年版のTEPPAN英単語の書籍を購入すると,本書オリジナルの単語アプリが無料で使用できるようになりました。
残念ながら,2020年になるとこのアプリはダウンロードできなくなってしまうのですが,袋とじに入っていたのは,その無料アプリを利用するのに必要なコードでした。
本家のTEPPAN英単語アプリについては,先に提示した記事の中で詳しい機能を紹介しましたが,こちらの無料アプリでも同様に英単語を4択で出題してきてもらえるので,ゲーム感覚でポチポチ学ぶことができました(選択肢を消して音だけで学習することもできました)↓
トロフィーによる正答率表示や復習機能もありましたし,例文や記憶エピソードや解説もアプリ上で確認できたものです↓
外出時にはアプリ,腰を落ち着けられる場所では書籍を利用するなど,生活スタイルに合わせた使い分けも可能でしたが,本家のアプリを使っている方はこの無料アプリを別に使う必要はそもそもありませんでした。
当初,記憶エピソードやカクシンはこの書籍版のものにしか見られませんでしたが,今や本家のものにもまったく同一の内容を確認することができるようになったからです↓
とはいえ,本アプリは2021年9月30日をもってサービスを終了しました。
アプリを使いたい方はスタディサプリENGLISHのTOEIC対策コースにあるTEPPAN英単語(有料)を使いましょう。
まとめ
以上,スタディサプリENGLISHのTOEIC L&R TEST対策コースより,書籍版TEPPAN英単語のレビューでした。
本書の特徴としては,単語配列を出る順にしたこと以外に,記憶エピソードとカクシン,さらには無料アプリの存在が大きく目を惹きます。
スタディサプリENGLISHのユーザーから集めた膨大なデータを使って,学習者に寄り添った形で単語勉強をサポートしてくれる本書ですから,無味乾燥な単語の丸暗記から抜け出して楽しく学べるだけでなく,挫折する可能性もより低くなるでしょう。
2020年の秋以降,一時絶版となってしまいましたが,2021年に改訂版が発売されたので,今度は絶版にならないことを祈ります。
もちろん,本家の有料版スタディサプリENGLISHはいつの時代においてもおすすめです↓