2019年4月,スタディサプリの中学講座において「個別指導コース」という新たなサービスが開始となりました。
高校生が利用する大学受験講座の方にはすでに合格特訓コースが存在しており,ついに中学講座においてもオンラインコーチングが利用できるようになったわけです。
しかし,このことは同時に,ベーシックコースが不十分であることを示しています。
もちろん,より良い実績を残したいというリクルート側の前向きな意図があってのことでしょうし,断じてベーシックコースが悪いわけではありませんが,スタディサプリを用いて高校入試に挑もうと考える中学生は気にしておくべき事柄です。
なお,そんな個別指導コースは2025年の3月30日をもってサービス終了となりました。
この理由は様々でしょうが,効果がなかったからではないでしょう。
実際6年間も続いたわけですし,最近は少子化ということで,アルバイトを任せられる大学生の確保がどの業界でも難しくなっています(ましてやスタディサプリの場合,「難関大出身」という条件がそれに加わるわけです)。
さて,今回の記事ですが,スタディサプリの中学講座に足りない点を明らかにするとともに,個別指導コースが無くなった今,それをどのように補っていくかについて考えてみることにしましょう!
スタディサプリの中学講座に足りないもの
餅は餅屋ということで,スタディサプリ中学講座(ベーシックコース)に足りない点は,かつての個別指導コースの特徴そのものになります。
詳しい内容は次章以降に譲りますが,特徴を簡単に書き出してみると以下の通りです↓
- 普段の予定表を作ってもらえる
- 確認テストを実施してもらえる
- 試験に向けたサポートがある
- 悩みや疑問の相談相手ができる
これらが現在の中学講座に不足しているということで,学習者側で対応しなければいけません。
例えば,確認テストの代わりになる問題集を別に用意することや,完全にミッション機能任せにせず,自分で予定を立てることも検討すべきでしょう↓
ちなみに,個別指導の対価として,スタディサプリでは月に「8602円(10780円-2178円)」が余計にかかっていたので,対応に充てる予算を組む際の目安にしましょう。
いずれにせよ,ベーシックコースで普段学んでいて,以下のような悩みを抱えた場合はすぐに対応するようにしてください↓
- 勉強する習慣が身に付かない
- やる気が続かない
- 英語と数学の点数が伸びない
- 学校の定期テストの点が取れない
- 模試の点数が伸びない
- 悩みを相談できる相手がいない
- 講義を受けてもわからないことがある
次章から,先に挙げたスタディサプリ中学講座の弱点と学習者がすべき対応について詳しくみていきましょう!
スタディサプリの予定表は自分で作る
多くの中学生は部活動に追われて生活しているもので,週の多くを練習や試合に費やし,付き合う友達は部活メンバーが中心です。
実は,高校受験で良い結果を残せる生徒ほど,部活と勉強を上手く両立できているもので,部活における活躍が内申点や推薦に好影響を与えることも多いとあって,中学校では部活に大いに励むべきとさえ言うことができます。
しかしその反面,勉強をするためのまとまった時間が取りづらく,試験前の部活停止期間にその場しのぎの対策をして,辛うじて凌いでいることも少なくありません。
普段から勉強しておけば,試験前にそれほど困らなくて済むのに
と誰もが思いますが,部活で疲れてしまうと頭の働きは鈍くなり,何を勉強するかを帰宅してから決めようとしても正常な判断ができないことが多いです。
おまけに学校の宿題もあるわけで,夕飯や入浴を済ませた後にそれくらいは何とか済ませられても,途端に眠気に襲われ,「ちょっとだけ休もう」などと横になってしまったが最後,そのまま翌朝を迎えてしまうというのがお決まりのパターンになります。
そうならないためにも,予定表を前もって作成しておくことが重要です↓
これは余裕がある日曜日に作成するのが良いでしょう。
含めるべき要素は,勉強可能時間と次の目標(定期テストなど)までの日数,さらには具体的に進めるレッスン名となります。

部活や習い事がある日は勉強時間を短くし,休日には逆に多くの時間をかけて復習したり予備日を設けたりするなどと工夫を凝らした予定表は,どの範囲をいつにどれだけ学習すればよいかが明確になっていて,疲れた頭でも迷うことなく学習できるでしょう。
1つの予定が急に加わっただけでも,日々の予定は大きく乱されてしまうものなので,状況に応じて柔軟に対応する必要があります。
もちろん,先に触れたミッション機能においても週始めの月曜日にミッションが更新され,それを達成することでも似た効果が得られますが,理想は自分で考えて学ぶことで,学習指導要領に書かれた自律した学びの習慣を身に付ける上でも重要な態度です。
独学する場合には,進め方の記事を参考にしてください↓
スタディサプリ以外で理解度を確認する
スタディサプリの中学講座では,レッスンの最後に確認テストが用意されていますが,それとは別に,講義動画の理解度をチェックすることが必要です。
これには,基本レベルの市販問題集か,教科書の準拠問題集を使用します。
もっとも,全教科分解くのは大変でしょうから,重要度が高い英語と数学に限って行うでも構いません。
親や兄弟のような他人の前でスタディサプリの確認テストを解いてみせることも有用です。
本人の弱点というのは自分では案外気づけないことが多く,個別指導の講師であれば生徒の記述内容や取り組む姿勢から課題を見つけ出すことができます↓
私も塾で中学生を教えることがありますが,計算式1つとっても学習者の性格についての多くを知ることができるもので,意外な相手から学びのヒントが得られることは少なくないのです↓
スタディサプリで学んだ翌日にできなければ,週末にまとめて行うでも構いません。
講義動画をぼんやり観てしまっていたり,講義直後はわかっていても忘れてしまったりしていないかを,別にチェックを行って明らかにしましょう。
もちろん,苦手が判明した箇所については,スタディサプリのテキストを見直したり確認テストを解き直したりしてください。
このときのコツですが,あとで誰かに質問する可能性を考慮して,途中式は必ず書いておくようにして,どのような考えで解いたのかがわかるように感想も残しておくようにします。
分からない問題が見つかったときこそ実力を伸ばせるチャンスなので,間違えることを恥じないようにしましょう。
試験に向けた対策は念入りに
これまでの内容と重複するところもありますが,定期試験や高校入試では普段よりも念入りに予定を立ててください。
スタディサプリでは,定期テストの3週間前になるとミッションにそれまでの復習が表示されるようになったり,実技教科の課題が登場してきたりもします。
いわゆる「定期テスト対策講座」と呼ばれるものですが,特に学び始めは上手く使いこなすことができないかもしれません↓
なので,最高学年になる前の中学1~2年生のうちにできればスタディサプリを試しておきたいものですが,それができても,スタディサプリが対応している教科書には限りがありますし,学校のワークの取り組みまで指示してもらえることはないわけです。
なので,スタディサプリ以外にやることも含めて予定を立てなければなりませんし,目標点に応じて時間配分や学ぶ内容を変えることも必要でしょう↓
加えて,中学3年生の場合,10月以降は高校入試の対策も予定表に組み込まなければならず,より綿密な予定表を作成する必要があります↓
この場合も,上の予定表を参考に,自分なりに工夫を凝らしたものを作ってください。
部活を引退し,勉強に専念できる環境が整っても,努力する方向を間違えてしまえば結果に結びつきません。
自分なりに必死に頑張ってもそれが正当に評価されない場合,その子の自己肯定感は低くなってしまうでしょう↓
そのうち「どうせ何をやっても無駄だ」などと思い始め,結果的に勉強を含むあらゆる活動にマイナスの影響が及んでしまうことも少なくありません。
そうならないよう,試験に向けたスケジュールを週単位で修正することで,一直線に学習することができるようになります。
また,高校入試を考えると,英語と数学を得意科目にすることが望ましく,実際,かつての個別指導コースにおいても週に1度,英数に限ってオンライン指導が行われていました。
授業時間は1時間でしたが,英語と数学は積み重ねが必要かつ逆転が起こりにくい教科で,高校入試でも差が付きやすいとされます。
なので,スタディサプリのベーシックコースで普段学んでいて,英語と数学の成績が伸びないようであれば,英数についてのみ塾に通ったり,別教材で学んでみたりすることを検討してください。
このときに,予定表についてもみてもらえると一石二鳥です。
勉強の相談相手を探す
中学生の学びでは精神的なサポートも重要で,親が管理する方法は以下の記事にしました↓
月に2~3万円はするであろう個別指導と比べるのはフェアではないでしょうが,そこでは勉強を教えてもらう以外に,勉強上の悩みを相談することや学習計画のチェックを行ってもらうことが可能です。

顔を合わせてのやり取りだと指導者と生徒の信頼関係が芽生えやすく,特に中学生は心が純粋で変に歪んでいない時間を生きているとあって,週に1度のやり取りであっても大きくモチベーションを上げて頑張ってくれます。
試験前に励ますだけでも相当な頑張りを見せてくれるもので,塾の授業で生徒をやる気にさせるだけでも十分と言えるほどです。
中には自分から積極的に発言しにくい子もいるので,そういった場合は指導者の方から声掛けをすることになるでしょう。
ところで,中学生の時期は,親がどれだけ正しいことを言っても聞く耳を持ってくれない難しい年頃にあたります。
ですが,第三者が助言するとその指示に素直に従ってくれるもので,なんとも不思議なものです。
私の塾に来られた親御さんからは,
先生が言ってくださるから,うちの子は勉強してくれます
などの嬉しいお言葉をいただいています。
ところで,近頃の生徒の様子を見ていると,ZOOMなどを介したオンラインのやり取りに対する適応度が高くなっており,たとえスマホやPCの液晶画面を介したやりとりであっても,実際のそれと何一つ変わらないように機能することがわかってきました。
学校でオンライン英会話を受けたり,他校の生徒と会議めいたことをしたりする経験が生きているのでしょう。
その時の相手が親とも学校の先生とも違う年代だと,「頑張らなければ」という意識が芽生えやすいように思います。
学生のアルバイトがベテラン講師よりも良い成果を生むのはそういう理由で,それほど「年齢の近さ」の影響は大きく,先生や親世代とも異なる不思議な距離感だからこそ解決できる悩みがあり,それが子どもの大きな癒しや救いになることも少なくありません。
友人関係の悩みも,結果的に生徒のやる気に関係してくるので,相談で解消することが必要です。
まとめ
以上,スタディサプリの中学講座に足りないところと,どう対応すべきかのヒントをみてきました。
今回挙げた対応策としては以下のようなものがあります↓
- 前もって予定表を作成しておく
- 講義内容を理解していることを問題集を別に解いて確認するか第三者に確認してもらう
- 定期試験や高校入試はスタディサプリ以外にやるべきことも多く,特に英語と数学は念入りに対策する
- 勉強の相談ができる相手を探す
これらを中学生が,それも特に本格的な勉強をした経験の少ない子がいきなりできることはありません。
なので,中1~2年生であれば,時間をかけて1つずつ改善していきましょう。
なお,相談相手としては生成AIの成長が著しく,SNSやアプリもより便利に使えるようになるはずです。
令和の学びは,何か絶対的なものが1つあるわけでなく,多くのツールの良いとこ取りを狙ったハイブリッド的な利用が中心になるでしょう。
中学生のうちに身に付けた学習態度は高校や大学,さらには社会人になってからも役立つものです。
是非,スタディサプリを1つのきっかけにしてみてください。
高校講座になれば合格特訓コースを利用することで答え合わせめいたものができます。
なお,これから始められる方はキャンペーンコードのチェックをお忘れなく↓
最後までお読みいただきありがとうございました!