学習指導要領

2020年に向けてアクティブ・ラーニングを体験しよう!

2020年が近づくにつれて,さまざまな学習法の名前を聞くようになりました。その中でもアクティブ・ラーニングというのは,社会人になってからも役立つスキル(というかむしろ一生役立つスキル)である,「自ら学ぶ」姿勢を身に付けるのに有効とされる学習法です。

今回は,中学や高校でどのようにアクティブ・ラーニングを教える授業が行われるのか,実際の教材を一つ取り上げて,体験してみることにしましょう。

アクティブ・ラーニングとは

jordandreyer / Pixabay

英語にすると"Active Learning"ということで,和訳すると「主体的(対話的)学習」となります。机に座って一方的に先生の話を聞くような従来の学習スタイルに対して,異質な学習法であることは容易に理解できます。

しかしこの「主体的な学び」は,2020年の教育改革において特に重視されており,今後主流に変わっていく日もそう遠くないかもしれません。

アクティブ・ラーニングによる具体的な授業内容としては,『調査学習・発見学習・課題解決学習』といった主体的に調べるタイプのものから,『集団討論・グループワーク』といった,相手の意見をくみ取りながら自分の意見をしっかり述べていくタイプがそれに当たります。

誤解されがちですが,グループワークやICTを使った学習法だけがアクティブ・ラーニングというわけではなく,体験学習(小学校のときの社会科見学)なども立派なアクティブラーニングです。

つまり,アクティブ・ラーニング自体は別段真新しい学習法ではないということになりますが,教育改革の目玉として大きく取り上げられることで,取り組む人の本気度や頻度が増えることこそが最も大事なところだと思っています。

 

それでは以下で,JICA(独立行政法人国際協力機構)で最近公開された,『中学生・高校生向きの社会科の授業』を例としてみながら,アクティブラーニング教材を体験していきましょう!

 

 

中高生の教材でアクティブ・ラーニングを体験

今回は,群馬県の桐生女子高等学校の学習指導案を使って,アクティブラーニングについて学んでいくことにします(出典:JICA HP)。

なお,主要テーマは「イスラム」となっています。

授業内容

①「イスラム」と聞いて思いつくものをグループでディスカッションしてください(8分)。

例:ムハンマド・ケバブ・危険・なんかかぶってる

 

②以下の映像を観て,イスラムの生活と宗教のかかわりについて,自分たちにとって共感できるところ,できないところをまとめてグループごとに発表してください(10分)

例:礼拝・断食・食べ物への感謝・貧しい人への慈悲

 

③以下の映像を観た後で,『異なる価値観を持つ人同士が尊重しあって共に生きる世界が,最近特に叫ばれるようになった背景』について話し合って発表してください(7分)。

例:イスラム人口の増加に伴い,今後ますます自分たちとの接点も増えることが予想される。共存は必要である。

 

④以下の映像を観て,欧米でイスラムに対する差別や排斥の動きが起こっている理由について,グループ発表してください。また,日本ではどうかについても話し合ってください(10分)。

例:難民流入・テロによる反発や動揺によるもの。イスラムのタブー(豚肉食べないなど)に対し,無知なところがある。

 

⑤最後に次の映像を観てください。今後,日本でイスラムを受け入れる際,どういったことに注意して対応していけばよいか,話し合って発表してください(10分)。

例:職場で理解を深める取り組みが必要。行政による支援。

 

⑥まとめの時間です(3分)。グローバル化により異文化を理解することがますます大切になってきていることがわかったでしょうか。

 

評価の方法

アクティブ・ラーニングにおいて難しいのは,生徒の評価の方法です。

そのため,採点基準は明確化され,人によって採点に差がつかないように,基準は細かく指定されています。

今回の授業では4つの観点から評価されます。

1.関心・意欲・態度

→グループ討論・発表において積極性は見られたか

2.思考・判断

→資料に対し,的確な考察ができたか

3.技能・表現

→意見を的確な表現で発表できたか

4.知識・理解

→イスラムという異文化を理解できたか

 

なお,今回のアクティブラーニングにより,学習したことによる高校の学習指導要領との関連ですが,以下の通りです↓↓

 

一つの単元について,知識を深めることも大切ですが,今回の授業のように,複数の教科に渡る知識をいくつか結びつけることによって,総合的な物の考え方ができるようになります。

もちろん,このようなことを学生は考えませんが,授業の裏にはしっかりとした目的があることを知っておいていただけたらと思う次第です。

 

 

2020年教育改革の意義について

jarmoluk / Pixabay

以上,アクティブ・ラーニングの例を一つ取り上げて,実際の授業を体験してみました。

このような国際的な問題について考える前と後では,自分の視点が広がったと感じるのではないでしょうか。特に中学生や高校生は,その広がりをより強く感じることになります。

こういった総合的・多角的学習は,今後の社会で役に立つスキルを身に付けるのに効果的だということに疑いはありませんね!

 

とはいうものの,従来の『詰め込み型の教育スタイルが間違いだった』ということにはなりません。

教育改革に関する座談会などで,

「これまでの知識詰込み型の勉強スタイルが,社会ではまったく役に立たない。」

という論調の意見を耳にしますが,それは,大学ですべきことをしてこなかった大人による,大いなる勘違いであるように思います。

 

一見,社会に役立たないような知識を,社会に役立つ形に変えていくことを学ぶことが大学の存在価値の一つだと思うわけで,実用的でなさそうな学問こそ(哲学や数学など),実は社会において役立つ知識に変わることになるのですが,話すと長くなるので今後の機会に譲ります。

 

最後にまとめると,知識や技能は,短期間で伸ばすことができますが,思考力や表現力,そして判断力のようなものは,長期間を要します

さらに,実際に評価するのは労力や時間がかかって大変です。教える側の能力もかなりのものが問われることになるでしょう。

そういった課題の一つ一つに独自の対策を講じていくという姿勢ではもはや対応しきれないように感じます。そういった理由で,そもそもの教育現場を,こういった対話型・自主的な環境に変えてしまうことこそ,真の意味での教育改革なのかもしれません。

また,こういった自分でものを考えられる学生が増えていけばいくほど,世の中の怪しい誘いに懐疑的なまなざしを向けられる人が増えることになるわけで,そんな世の中は大歓迎ではありますが,商売によっては困るところも出てくることでしょう。

塾業界でも,スタディサプリのような自主的にどんどん学べるサービスが登場し,一時騒然となりました。また,逆にそれだからこそ,生身の人間にしかできないことを,講師側は意識的に提供しないといけないということは肝に銘じておきたいですね。

教科書に載っていることは,誰でも読めば理解できることです。積極的にそういったサービスも利用して,自主的にどんどん学んでいってください!

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スタディサイト管理人

都内で塾運営にかかわってから,講師歴も15年以上になりました。小学生から高校生まで,英数を中心に学校の定期テストから大学入試まで幅広く教えています。最近の関心事は「教育改革」で,塾に入ってくる情報に加え,セミナーや書籍,信頼のおける教育機関より得た情報をまとめています。すぐに実践できる勉強法やオンライン教育サービスを利用した学習戦略も意欲的に掲載。ネットを介したやり取りにはなりますが,少しでもみなさまのお役に立てたらと思います。

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