誰か周りに受験生がいると,出先に神社や寺があった際に「お守り」を買いたくなるのは私だけではないでしょう。
学問の神様である菅原道真を祀った天満宮のものは定番ですが,今では非常に多くの学業お守りが存在し,中には変わった物も見受けられます。
私自身,これまで何十個も購入しては生徒に渡してきましたが,ここで私が気になっているものをいくつか紹介してみることにしましょう!
学業成就で定番の学業お守り

「学問の神様」と称される歴史上の人物と言えば菅原道真です。
学校では894年の遣唐使廃止(吐くよゲロゲロ)で習ったかと思いますが,彼は元々漢学者で大変勉強gができる方でした(書道でも「三聖」に入るほどの達人です)。
当時の宇田天皇に才能を見出されて右大臣にまで出世したものの,上手く抑えられていたはずの藤原時平(左大臣)との政権争いに敗北して九州の大宰府へと左遷されてしまい(昌泰の変),そのわずか2年後に亡くなってしまいます。
左遷された理由が身に覚えのない冤罪であること,しかも自分の子どもたちまでもがひどい目に遭わされたこともあって,大層な無念を抱えて亡くなったことは想像するにたやすいですが,その恨みは時平だけでなく関連のある皇族にまで及び,落雷といった天変地異をも引き起こしたわけです。
雷雲に乗った道真の姿を目にした者がいたり,巫女が道真のお告げを聞いたりしたこともあって,結果的に道真は「火雷天神」と称され,その神霊への信仰を「天神信仰」と呼ぶようになりました。
最初に建てられたのは京都の北野天満宮(道真が生まれ育った土地)でしたが,時が経つにつれて道真の人柄や業績が再評価され,福岡県にある太宰府天満宮の他,全国に天神・天満宮が次々と建立されていったわけです。
天満宮を天神と呼ぶこともあるため,両者間に違いはないように思われますが,「天満」という文字は道真の怨霊が天に満ちたことから来ているとする説もあります(参考)。
ちなみに,上の参考ページから国内に存在する主な天満宮について確認することもできたので調べてみると,沖縄県以外の46都道府県に1つ以上の神社が存在していることがわかりました。
なので,探せばすぐに何かしら見つかるでしょう。
なお,本家の太宰府天満宮には学業お守りだけでも
- 学業錦守
- 学業和守
- 学業巾着守
- 学業鋼守
の4種が存在しますが,それぞれにさらにカラーバリエーションがあります。
オンラインで購入することも可能なので,興味がある方は太宰府天満宮のサイトを訪れてみても良いかもしれません↓
お守り以外には鉛筆があり,マーク試験に重宝されています。
なお,山口県の防府天満宮(左遷中に宿泊した地)の合格はちまきがニュースになることもあり,社頭にて頒布され受験合格後に返納されたものを巫女が洗濯してアイロンを掛け,次の受験生に配布するものです。
ここまでに紹介した太宰府天満宮,北野天満宮,防府天満宮を「三大天満宮」と呼ぶことがあります。
変わった学業お守り

「人事を尽くして天命を待つ」の格言に見られるように,人事を尽くすことは前提です。
しかし,試験当日の選択肢で迷った際に正解を選べるなどの勘が冴えわたったり,得意分野からの出題が見られたりするのはどちらかというと天命の方で,本番までの日々を受験生が頑張れるように周りが励ますことも重要だと思っています。
お守りもその1つで,
神頼みはこちらの方でやっておくから,君は勉強を頑張れ!
という励ましの意味が込められているわけです。
ところで,お守りの役割は幅広いので,普段の受験生の頑張りに貢献できるお守りであれば,別に「学業」お守りにこだわらなくても構いません。
実際,厳選して購入した学業お守りよりも,私が自分のために購入した勝守り(勝負ごとに強くなるお守り)を欲しがる生徒もいたくらいですので,決してこれでなければいけないということはなさそうです。
あくまで受験生が気持ち良く試験に臨めることを一番に考えるべきでしょう。
なので,たとえ健康守りであろうと,純粋にその子が好きな色や形をしたお守りであろうと構わないはずで,確かに,先ほどの勝守りを選んだ生徒は第1志望の大学に加え,さらに欲張って受けた大学にまで受かり,結局後者に通うことを決めていましたし,他の子たちもちゃんと合格できています。
また,先に紹介した鉛筆のようにお守りの形をしていないものであっても十分用に立つわけですが,その場合は,特徴またはそこから連想される言葉や音が学業となんらかの関連性を持っている場合がほとんどです。
「Kit Kat(きっと勝つ)」はもちろん,「置くとパス」や「合格間違い梨」とかはネーミングをよく考えられたものですが,ことば遊びはそれこそ道真がいた平安時代の和歌においても行われていたわけで,趣深いものがあります↓
面白いネーミング例
徳島県にある「学駅(がくえき)」の入場券5枚から成るお守り=ご入学
飴やビッグカツの袋に「合格」とマジックで書き込んだものでも立派なお守りとなるわけで,特に精神的に参っている様子なら,メッセージを書く(これまで頑張ってきたのだから大丈夫だよ,自信を持ってなど)のが有効です。
次章以降は,特に私の興味を引いたお守り的グッズをいくつか紹介してみることにしましょう!
くるっぴー

トロッコ列車を求めて関東圏を旅したこともある私ですが,千葉県の小湊鐡道に「くるっぴー」があることまでは知りませんでした。
これはゼンマイを巻くと勢いよく走りだすおもちゃなのですが,テーブルの上で走らせてみると,通常であればそのまま真っすぐ走り続けて,いずれ落っこちてしまうように思うのが普通の感覚でしょう。
サイズも比較的大きめなだけに,傍から見ていてもハラハラしてしまいます。
しかし,このくるっぴーは「落ちません」。
落下する前に自ら向きを変え,逆方向に走り続けることができます。
別に高性能なAIが搭載されているわけではありません。
ちなみに,この玩具がなぜ落ちないかについて,ここでその機構について解説することは可能ですが,あえて詳細を伏せておく方がその魅力も増すというものです。
手品と一緒でわからない時の方が面白かったりしますし,実際,受験生の伸びる可能性に限界は存在しません。
なので,ここでは詳細を伏せることにしましょう。
くるっぴーは小湊鐡道ver.に限らず,ANAやJALの機体や新幹線のはやぶさの形をしたようなものも売られています。
ちなみに,受験生に向かって「落ちる」という言葉を使わないのは常識です。
これは結婚式のおめでたい席で忌み言葉の「出す」や「ほどける」などを避けたり,贈り物にハンカチ(手巾=手切れ)や櫛(苦死)を選ばないことに似ています。
そういえば,あえて「鐡」道と書くのも,鉄という漢字が「金+失(=お金を失う)」でできていることに起因するそうです。
小湊鐡道のくるっぴーを貰って合格した暁には,是非トロッコ列車にも乗車してみてください↓

養老渓谷駅舎に備え付けの足湯も良かったです。
すべらない砂

同じ電車繋がりで言えば,土佐くろしお鉄道に代表する「すべらない砂」も気になっています。
砂と言えば,甲子園やサハラ砂漠のもの,沖縄の星の砂や鳴き砂などが有名ですが,それぞれに特徴があり,自由研究のテーマとして生徒に勧めたこともあるくらいです↓
様々な種類の砂
甲子園の砂=火山灰を含む鹿児島の黒土と水はけの良い京都の砂のブレンド。
サハラ砂漠の砂=地殻成分に特徴的なSiO2(石英と同一)のみから成る。
星の砂=その正体はバキロジプシナという虫の殻。
鳴き砂=京都の琴引浜,宮城の十八鳴浜,島根の琴ヶ浜が有名で,水分を含めた多くの環境要素が揃うことが条件。音は鰭脚類の鳴き声に似る。
そして,上に挙げたすべらない砂というのは,本来電気機関車の車輪が空回りしないようにと線路上に撒く滑り止め用の砂です。
砂という物質は面白いもので,例えば山道を下った経験がある方はむしろ滑りやすい印象を抱いているように思います(以下は,富士山の天頂に向かう最後の傾斜になります)↓

しかし,体操選手が演技前に用いる砂(こちらの成分は炭酸カルシウムなど)は十分滑り止めの機能を果たしているように感じるわけで,用いる砂の特徴や用いる物質との相性などによってはどちらであっても機能するというのが正解のようです。
鉄道の場合は金属と金属の接触となり,間に細かい砂があることで摩擦力が生まれてブレーキも利きやすくなるもので,土佐くろしお鉄道に限らず,蒸気機関を運用している他の鉄道会社においても目にすることがあるでしょう(例えば,伊豆箱根鉄道グループが2024年に無料配布をしていました)。
とはいえ,袋に入った砂だけをあげるというのもなんですから,瓶などに入っている方が使いやすいと思います。
ちなみに,土佐くろしお鉄道のものは紐の色が選択できるわけですが,勉強に縁がある色といえばやはり「青」でしょう。
夢や知性の象徴であり集中力を高めてくれる色でもあるため,教育施設で青色の壁紙を目にすることも多いと思います。
滑らない繋がりでは,国土交通省などがマンホールの蓋にちなんだお守りを配布することも有名です。
これは「〇い・落ちない・滑らない」ことに由来します。
羽化るお守り

木から落ちることなく飛び立ったチョウの抜け殻すら縁起の良いお守りとなっています。
とはいえ,昆虫のお守りは「羽化」の音にみられるように,落ちないこと(否定)よりも受かること(肯定)の方に重きが置かれている点が特徴です。
注目されるようになったのは比較的最近になってからだと思いますが,白いヘビの抜け殻は効能が幅広いお守りとして昔から有名です。
なお,上記画像は山梨県にあるオオムラサキセンターが販売しているものですが,他にオオゴマダラチョウの蛹を使ったものも知られ,石川県ふれあい昆虫館のものだと通信販売が利用できます。
後者のチョウは亜熱帯にしか生息していないので,昆虫館にでも行かないと蛹を目撃する機会は少ないのですが輝く金色が見事です。
ちなみに以下の写真は,同じマダラチョウ科からツマムラサキマダラの蛹のものとなります↓

もちろん,不完全変態の昆虫であれば蛹期間を経ずに羽化するため,お守りにはできません。
余談ですが,蛹のときの中身はドロドロに溶けた状態となっており,その「生命のスープ」から全く新しい生命体が誕生することになるわけですから,一発逆転を狙いたい受験生にはピッタリです。
カウントダウンカレンダー
寄せ書きの魅力を生かせるものにカウントダウンカレンダーがあります。
手間はかかってしまいますが,受験生用の日めくりのもので毎日メッセージを書き込めるものが存在し,以下のものだと比較的短期間で済みますし,自由度が高くて使いやすいでしょう↓
このカウントダウンカレンダーに書かれているトンボと五角形のマークは,後退せずに前にしか進まない勝ち虫の縁起の良さと「合格」との語呂遊びになっているようで,これまでの話と関連性があります。
もっとも,これは身内でない限りは渡しづらく,お守りというよりも見守りに近いものかもしれません。
ですが,私が家族に選ぶというのであればこのような商品も候補に入りますし,家族や友達のメッセージを寄せ書きのようにして書き込んでみたり,兄弟姉妹がいる場合には,最初に使った子が日記帳のように自分の感想を書き込んでおくと,弟や妹に引き継げるはずです。
周りが総出で関わることの魅力は当事者意識が全員に芽生えることで,近しい子どもに向けての贈り物としておすすめします。
おわりに

以上,受験生に渡せるおすすめのお守りの紹介でした。
豚カツ(勝つ)を食べることやダルマを買うこともゲン担ぎとして有名ですが,天満宮のお守りは天神様の御神霊を遷して授与されるとあってやはりどこか別格です。
取り扱いには多少注意が必要で,お守りを「買う」と言わずに「授かる(受ける)」とするところからも,人智を超えた存在を感じ取ることができるでしょう。
相手にあまりに早い時期に渡しても本番前に息切れしてしまうようではあれですので,私は毎年,年が明けたときの最初の授業で渡すことに決めています(一般選抜以外の受験方式だとまたタイミングが異なりますが)。
大体の生徒は家族や親戚などからもらったであろうお守りを沢山カバンにぶら下げているはずなので,渡す相手との距離感に応じて被りにくいものを選ぶことも重要かもしれません。
そうした意味では,私などが渡す場合,太宰府天満宮のお守りはむしろ買いづらく,変わり物のお守りがうってつけになるでしょう。
当記事がみなさんのお守り選びの一助となれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました!