今回ですが「英検準2級の攻略法」ついてまとめてみたいと思います。
難易度についてですが,高校1年生の間にこのレベルに達することが1つの目安となっている(高校中級程度)他,英語が得意な中学生が高校入試を有利に進めるために是非とも挑戦してみたい級です。
当記事では準2級の概要の説明から始めて,続けて一次試験と二次試験について詳しく解説していくことにしましょう!
もちろん,問題を解く練習まではできませんので,本格的な対策に移る前の導入部分として読んでいただければ幸いです。
英検準2級の概要
ここでは従来の英検(S-CBTではないもの)についてみていくことにしますが,年に3回の試験があり,一次試験と二次試験の2つが別日程で行われ,第1回実施分は6月と7月に,第2回は10月と11月に,そして第3回は1月と2月に行われます。
ちなみに,スピーキング試験までを1日で完結させられる英検S-CBTに関しては以下の記事をどうぞ↓
個人で受ける場合の料金は8500円で,試験時間については,筆記(リーディング+ライティング)が80分のリスニング約25分,そしてスピーキング能力を測る面接は6分程度です。
このうち筆記とリスニングが一次試験で行われ,残ったスピーキング能力は二次試験で測定されることになります。
一次試験
それでは一次試験の内容について概要をみていきましょう!
準2級に限りませんが,英検ではどのような出題がされるかがほぼ決まっているため,対策は非常に立てやすいです。
筆記試験は大問6つからなり,リスニングは「部」と呼ばれるものが全部で3つあります↓
準2級一次試験の出題形式
大問1:短文や会話文のカッコを埋める(15問)
大問2:会話文のカッコに文や語句を入れる(5問)
大問3:長文の空所を埋める(2問)
大問4:長文の内容に関する質問に答える(7問)
大問5:Eメールに返信する(1題)
大問6:質問に対して自分の意見を英語で述べる(1題)
第1部:会話の最後の発話に続く内容を答える(10問)
第2部:会話内容に関連する質問に答える(10問)
第3部:長めの英文を聞いて質問に答える(10問)
このうち,大問5~6の英作文(記述式)やリスニングの第1部(3択問題)以外は,すべて4択問題となることを覚えておきましょう。
S-CBTと異なり,一次試験の合格者のみが二次試験へと進むことができ,後者は前者の約1ヶ月後に行われます。
二次試験は面接ですが,まずは音読を行ってから5つの質問に答えましょう↓
二次試験の出題形式
音読:約50語程度の英文を読み上げる
質問1:音読した英文内容に関する質問に答える
質問2:イラストの人物の行動を描写する
質問3:人物の状況について説明する
質問4:英文に関連した内容に対する意見を求められる
質問5:日常生活の身近な事柄について質問される
日常生活の話題ですが,ホームシアターや食品フェア,電子辞書やプリペイドカードなどがこれまでに出題されています。
面接委員は1人の個人面接です。
次章から準2級試験の攻略法についてみていきますが,一次試験と二次試験とで別の章に分けて解説していきます。
英検準2級一次試験の攻略法
具体的にどのように準2級を解いていけばよいか考えるために,まずは過去問を解いてみてください。
英検のサイトに行くと直近1年分(全3回分)が無料でダウンロードできます↓
もっとも手に入るのは問題と答えのみで解説まではありませんが,実力をチェックするだけなら十分ですし,リスニング音源を聴くことも可能です。
そもそも,準2級を受ける方は詳しい解説をさほど必要としないでしょう。
というのも,単に語句の意味がわからなかったことによるミスがほとんどだからです。
そのため,過去問にみられる未知の単語や高校の教科書に出てくる単語をリストアップして復習するようにすると,より短期間で合格点が取れるようになるように思います。
もっとも,中学生が準2級を受ける場合,高校内容の単語は別に学ぶ必要があるため,英検用の単語帳を購入するのがおすすめです(高校生は学校で配布された単語帳を使うで構いません)。
大問1
いきなり最高難度を誇る語彙問題から始まるのが英検の特徴で,基本的な構成は最初の10問が単語問題で,熟語問題が残り5問を占めており,大体1問を30秒以内に解くようにします。
目標は15問を7分です。
わざわざ文の形で問われているからには,文脈(話の流れ)をヒントに答えを決める必要があることは明らかで,カッコの後ろがヒントになることも多いため,最後まで読んでから答えを決めるように心がけましょう。
シーンをイメージできれば推測でもなんとかなることがあります。
例えば上に示した問題(2)において,Aさんの文章の意味がわからない受験者も多いでしょう。
ですが,Bの返答で,ダイエット中であることやアップルパイやアイスクリームの話をしていることがわかれば,デザートの話題をしていることはわかるはずです。
流石にdesert(砂漠)が選択肢に用意されることはなかったですが,haveを「食べる」意味で使っていたり,ask a favor of(~にお願いをする)との混同を狙うなど,難しく作ってあることが伝わってきます。
なお,英検準2級では,誤答の選択肢に出てきた単語が別の回の問題に再登場することも少なくないため,例えば(1)を復習する際には誤答(bright,ripe,thin)も含めて,単語の意味を確認しておくようにしてください。
今はスマホのGoogle翻訳などのアプリで写真を撮ればすぐに和訳が表示されてくるわけですから,あとは忘れないようにメモに残しておくことが重要です。
(11)以降の熟語問題では,意味を暗記していれば申し分ありませんが,わからない場合は使われている動詞や前置詞から意味を推測するようにします。
消去法ももちろん使いますが,例えば雨で道が見えずらい状態で「道路に引かれた線が( )まで待とう」といった文であれば,どんな言葉がカッコに入るかくらいはわかるでしょう。
あとは go in,drop down,make out,belong toの選択肢のどれが確からしいかを判断するだけで,私自身,確証を持って3つ目を選べたわけではありませんが,なんとなく「分かる」的な意味だと察することができるわけです。
belong toは「所属する」だし,goは「行く」だし,drop downとmake outのどっちが良さそうか考えれてみれば高確率で後者を選べるのではないでしょうか(そうでなくても2択=50%の正解率までいけます)。
なお,第一問に文法問題が含まれる場合もあり,中学英語で解けてしまう問題がないわけではありませんが,高校範囲からの出題もあるため中学生にはきついところです。
その場合,そこでのミスは避けられないと開き直り,他の問題をしっかり正解することによって合格点取得を目指しましょう。
高校生が文法問題を復習する際は,時制や態の他,関係詞や比較といった単元を中心に行うようにしてください。
大問2
大問の2では会話文が4つ出てきますが,最後のものだけ1つの問いに対して2つの問題が付いてくるので問題数は全部で5問です。
時間の目安は1問につき1分で解くようにします。
大問1の時と同様,カッコの前だけでなく後ろもヒントになるので,こちらも全部読んでから解くようにしてください。
出てくる2人の関係性に注目するとわかりやすいでしょう。
上の(16)では,友達が試験勉強の話をしています。
Bが「今日はできない」と言って,何か別の提案をしていますが,それに対してAは「午前10時に会おう」と言っているわけです。
カッコの後ろを読んでいなければ,ほとんどの選択肢が入りそうですが,後ろまで読んでいれば4が良さそうです。
そこまで当たりを付けて初めて,check out some books(本を借りる)の意味が分かる方もいるかもしれません。
booksが本ですから図書館との相性はピッタリです。
大問3
長文は2024年から1つだけになりました(3問減りました)。
問題は複数問ありますが,3~4分で解くようにしましょう。
注釈が付いている場合は先に読んでしまうことで,何が話題になっているのかわかりやすくなります。
英語の長文を読む時の基本態度は,代名詞を明らかにしつつ論理展開に注意して読むことです。
ちなみにここでもポイントとなるのは自身の単語力なのですが,具体例として挙げられている固有名詞の意味がわからなくても解けるので,すべての単語がわかっていなければ解けないわけでもないことを覚えておきましょう。
上の文ではエミリーが主人公で,Fluffyが何かわからず不安になりますが,ウサギのことだとわかりますし,feedの意味が分からずとも掃除していることや,空欄後にやばそうな内容が続いていることから,3が選べるはずです。
大問4
準2級の大問4では,eメールと説明文の長文(300語程度)の2つを読み,3問または4問の質問に答えます。
両者合わせて約30分で解くようにしましょう。
問題を解く際には設問を先に読んでおきます(選択肢までは読みません)。
上の問題では「マークが訪れた美術館の情報」が問われていますが,どれも一筋縄でいかない選択肢です。
例えば3の選択肢はwalk aroundがget through に言い換えられています。
4も文章と照らし合わさなければ良さそうな内容です。
受ける回によってはこれよりもっと難しい問題も出てくることでしょう。
解き方のコツは,目的やトピックについて把握した後で,大問3のときと同じく代名詞や論理展開,または単語の言い換えなどに注意して読むようにすることです。
なお,大問の1~3で時間を使いすぎてしまうと,大問の4~6を解くための時間が残りません。
これら3つには「時間をかけた分だけ正答率が高くなる」という傾向が見られるため,時間配分にはくれぐれも注意してください。
大問5
この問題が新しく加わったもので,Eメールへの返信を考えます。
確かに以前のものにもEメール問題があったのですが,その時は形式もこちらで考える必要がありました。
しかし,2024年度からはすでに定型文が印刷されており,自分の名前を書く必要もないため,中身を重視して採点がされることは明白です。
書く内容は詳しく指定されていて,「下線が引かれた単語(上の場合は a library)の特徴を問う質問を2つすること」とされています。
それ以外に元々のEメールに合った質問にも答えることも忘れないようにしましょう。
解き方としては,以下の内容をまずは英語で考えるようにします↓
- 質問の1
- 質問の2
- 質問3に対する自分の答えとその理由
字数は1割以上不足または過剰にならなければ減点されないでしょうが,心配な方は1文追加するか,不要な内容を最後に切り詰めて整えましょう。
質問1の前に簡単な挨拶を入れられる他,質問3の返答における根拠はより充実させられる余地が残っています。
かける時間は15分程度です。
大問6
大問6の英作文ですが,これは以前のものと違いがなく,同じ方法で解くことが可能で,こちらも15分を目安に解いていきましょう。
こちらも書く内容が厳密に決められているので,自由なようでいて決まりきった解答にしかなりません。
まずは意見を表明することから始めるようにし,Yes, I think that it is important for people ~などと,質問文をそのまま利用して書き始めます。
あとは理由付けをすればよいので「First, 朝ごはんを食べると仕事が捗る」だったり,「Second, 家族の予定を確認できる」などと続けますが,この際,具体例や説明をさらに1文ずつ付け加えるのが理想です。
例えば,最初の理由に対しては「朝を抜くと授業に集中できなかった」とか「パンよりもご飯を食べた方が調子が良い」などと書き足せるでしょうし,2つ目の理由には「家族が忙しい日は買い物を頼まれることもある」といった独自ルールを付け加えられることが考えられます。
リスニング
リスニングは3部制です。
どれも1度しか放送されないのですが,わからなくても気持ちを切り替え,前の問題の出来を後の問題に引きづらないことを第一に心がけましょう。
問題数は10問×3の計30問で,内容は部ごとに異なります。
攻略法として知られているコツとして有名どころを箇条書きにしておきましょう↓
- 第1部と第2部は会話文
- 会話の最後だけに注目せず全体の流れを聴き取る
- 疑問詞は確実に押さえる
- 直接答えを言わない選択肢もあるので注意
- 第2部と3部は選択肢があるので先読みする
- 時制だけが異なる出題もある
- 単語は言い換えられることの方が普通
- 似た発音の単語が入った選択肢は不正解の場合が多い
- 第3部は人や物について説明した文か物語文となる
- 難しい単語には説明が加えられるので焦らないこと
赤いマークをした「先読み」の技術が特に重要で,選択肢を見比べることによって,話のどの部分に注意して聞く必要があるのかが分かります。
すべて意識して行うのは大変ですので,やりやすそうなものから真似してやってみてください。
英語自体がほとんど聴き取れない方はリスニング練習の時間を毎日取る必要があります。
二次試験の攻略法
続いて二次試験の様子についてまとめますが,大きな流れとしては以下の4つです↓
- 入室して簡単なやり取りをする
- カードを受け取って音読する
- 質問に答える
- 退室する
以下でそれぞれのポイントについてみていきましょう!
入室から開始までのやり取り
まずは入室します。
「May I come in?(入室してもよろしいでしょうか)」の他,簡単に挨拶を交わしましょう。
面接カードを渡すように指示があるので,「Here you are(どうぞ)」などと返します。
ここまでは立ったまま行いますが,その後,着席の指示があるのでお礼を言って座りましょう。
続いて氏名と級の確認があり,さらには天気とか体調などに関する簡単なやり取りを終えたら,「Now, let's start the test.」などと言われて,いよいよテストが始まります。
面接委員の雰囲気に慣れ,必要とあらば相手の心を掴むように振舞うのもこのタイミングです。
問題カードの受け取りから音読まで
問題カードは3部構成で,文章(50語程度)と2枚のイラスト(AとB)が印刷されているのですが,いきなり音読させられるわけではありません。
まずは20秒の黙読時間(read silently)があり,続けて音読(read aloud)するように求められるわけです。
後でされる質問の内容も予想できるため,ここで準備をしておきます。
音読する際の注意事項は以下の通りです↓
- タイトルから読むこと
- 意味のまとまりごとに区切って読むこと
- 知らない単語は適当に読むこと
早く読む必要はありませんが,どう読むのか分からない単語が出てきたときも途中で止まらないようにしてください。
下手に小細工をしたところで見抜かれてしまいます。
どうせ他の受験者も同じところを読めていないので,たとえ間違えることになっても気にせず,同じテンポでアクセントや音量に気をつけながら読み上げましょう。
喜怒哀楽に代表される感情を付けて発音すると好印象です。
質問に答える
質問は後になるほど難しい傾向にあります。
1問目は文章に関する質問で,問題カードの中から答えを探しましょう。
質問文は肯定文の形に言い換えるようにしますが,主語は代名詞にします。
WhatやWhyで聞かれることが多いです。
2問目はAのイラストを見て答えましょう。
複数の情報が読み取れることと思いますが,例えば動作について聞かれたら「男の人が公園のベンチに座っています。女の人は芝生で寝ています。女の子が花の匂いを嗅いでいます」などとできるだけ多くの情報を答えるようにします。
このとき,例えば「smell the flowers」という言い方が出てこないなら,「A girl is looking at the flowers.」などと,自分のわかる表現で描写してください。
こういった発想の転換力も大切になってきます。
第3問はイラストのBを使いますが,この問題では状況を説明するよう求められるはずです。
まずは状況を英語で描写し,その後で理由を添えましょう。
例えば,おばあさんが洗濯機を前にして困っている絵があれば,「An old woman can’t use the washing machine. This is because there are too many buttons on it.」などと答えられるはずです。
第4問に入る前にカードを裏返すよう言われますが,この後の2問ではカードを使いません。
どちらもYesかNoで答える質問形式となりますが,必ずその理由について聞かれますので,答えやすい方を選ぶようにしてください。
基本は2つの文で答えますが,最悪1つでも構いません。
ちゃんとした答えを返すことがとにかく大切です。
その後で余裕があれば,もう1文続けるようにしましょう。
退室する
すべての質問が終わると,問題カードを面接委員に返すよう指示されます。
ここでも「Here it is.」や挨拶を忘れずに行うようにしてください。
こういったものは,すべてattitudeの評価に関わってきます。
二次試験の総括ですが,声はなるべく大きく,挨拶は忘れずに行い,カードを渡されたら「Thank you」,指示されたら「Yes」などと,しっかり相手の目を見て会話することを心がけましょう。
なお,聞き返しについては以下の表現を使うようにしてください↓
- I beg your pardon?
- Pardon me?
- Sorry?
- Please say it again?
- Could you repeat the question?
質問内容がわからないのに適当に答えたところで点数にはなりません。
聞き返してもわからないときは素直に「わからない」と言いましょう。
まとめ
以上が英検準2級の攻略法となります。
ここまで色々と書いてきましたが,実際の問題を見ないことには一体何のことかわからないはずなので是非,3回分の過去問をやってから臨むようにしてください。
英検はTOEICなどと異なり,学校の勉強だけでも合格できてしまう試験です。
準備期間は2週間もあれば十分で,日ごろの勉強の成果が問われると考えてください。
とはいえ,リスニングやスピーキングにライティングは,人によって勉強量に差が出てしまうでしょう。
なので,苦手な部分を無くすことを最優先に対策してください。
一次試験のコツですが,試験まで時間があまり残っていない場合であっても真っ先に取り組むべきは,大問の1と5~6です。
大問1の解き方は大問2にも応用できますし,5~6の英作文の対策をすることなしに本番で一発勝負をするのは無謀だと思います。
特に後者は,過去問の解答例を参考に,先に紹介した型をいち早く身に付けるようにしてください。
一方,面接においては一次試験に比べると合格率が極めて高く,過度に心配する必要はありませんが,日ごろから声を出す練習をしておくと有利に事を進められるはずです。
特にattitudeの評価項目では満点を取りやすく,私の塾では「荷物を置いてよいですか?」や「今日はバスが混んでいて大変でした」などのセリフをあらかじめ用意してから臨むように指導しています。
今ではスタディサプリのように,塾に通わずともしっかりしたトレーニングを行うことができるオンラインサービスがありますので,対策が遅れている方は是非使ってみてください↓
最後までお読みいただきありがとうございました。