本記事は,2021年に開始となった大学入学共通テストの解き方についてまとめたものです。
とはいえ,毎年難易度であったり問題形式が変わることが常ですし,あくまで過去のデータをもとに語ることしかできませんが,それでも解き方について学ぶ前と後ではテストの印象がだいぶ変わってくるように思います。
基本的な方針としては,あくまで普段から自分の実力を高めておくことが肝心で,それが正しく発揮されるように解き方を学ぶということを忘れないようにしてください。
なお,問題は試験直後であれば各社新聞社のHPなどで入手でき,しばらくすると大学入試センターの方にも掲載されます↓↓
参考
はじめに
共通テストの解き方を学ぶにあたって,最初に知っておきたいことがいくつかあります。
まず1つ目は,自分の実力の限界点です。
これについて知りたければ,まずは時間を測らずに問題を解いてみてください。
とはいえ,過去問の数に限りがあるような場合は,通常通り時間を測ってやってみたあと,すぐに採点をせずにもう一度最初から解き直すようにし,新しく変えた答えについては青いペンで書くなどして対応します。
ここで初めて丸付けをしますが,時間を無制限にして取った点数(青ペンで書いた答え)が自分の実力のMAXであり,制限時間を課したもの(鉛筆で書いた最初の答え)をこれにできるだけ近づけるために解き方を学ぶという理屈です。
そのため,もしMAXとなる点数が自分の望むものでなければ,まったく別の勉強,つまりは知識の補充であったり思考力を養成するなど,実力を上げるための勉強をすべきだということになり,まだ解き方を学ぶ段階に至っていないことを意味します。
どうあがいても6割しか取れない人が8割を取る解き方を知りたいと思っても,そんな都合が良い方法はないことは理解しておきましょう。
2番目に知っておきたいこととして,他人にとってのベストな方法が必ずしも自分に合うとは限らないということです。
本記事で紹介するのはかなり高得点を取るための解き方であり,これはほとんどの人にとっての目標点以上となる場合もあり,それこそ各種予備校から伝えられる分析と同様,すべてを同じように実践できる受験生はほとんどいないかもしれません。
そこで,大部分の方は自分に役立ちそうな解き方を試してみては,うまくいったものやできそうなものを採用することになります。
もちろん,実力というのは本番が近づくにつれて高くなっていくものですので,それに併せて解き方もより高度なものへと変化させていく必要があることも忘れないようにしてください。
つまり,今はできないけれど,未来の自分なら実践可能な解き方が存在するということです。
いよいよ次章から,科目ごとの解き方についてまとめていきますが,共通テストについての基本情報やプレテストなどの基本知識については以下の記事で確認するようにしてください↓↓
英語の解き方
共通テストの英語はリーディング100点とリスニングが100点で,1日目の15時10分~16時30分に前者が,そして17時10分から18時10分まで後者が行われます。
リーディング
文法やアクセントなどを問う問題は一切なく,第1問から第6問まですべてが文章題です。
私は初めて見たタイプの問題に関しては質問の先読みなどをせず,最初から最後まで普通に読んでから問題を解くようにルール化していますが,2021年度のものをそうやって解くと時間ギリギリになってしまいました。
満点を目指そうと欲張った実力者ほど時間が足りなくなって焦ってしまうテストだったように思います(とはいえ,時間切れになっても85%は取れるはずです)。
いずれにせよ,時間は不足しがちなので悩んで止まってしまってはいけないことを覚悟しておきましょう。
それくらい読む分量は多いということで,答えに迷った時はとりあえずどこかにマークするとともに,シートの問題番号にチェックを入れておき,最後までやってから戻ってくることをおすすめします。
第1問のAは相手とメッセージをやり取りする問題でしたが,これは拍子抜けするぐらい簡単な問題でしたね。
解き方的には質問を先読みし,対応する場所を探す方が早く終わるでしょう。
Bはウェブサイトに書いてある内容を理解するもので,丁寧に1つ1つ検証していくよりも,パッと眺めて「これっぽいな。」と判断したものについて詳細(数字など)を確認してみるのが良いです。
第2問は表やコメントの読み取りでしたが,こちらも質問の先読みが有効でしょう。
新方式らしく,fact(実際に起きた事実)やopinion(個人の意見)を見分ける力が問われました。
また,従来のセンター試験のように図表の読み取りが問われるのも第2問です。
Bの方で2つのeメールを見比べるのかと身構えましたが,そこまで複雑なものではありませんでした。
まずは内容を最初から最後までざっと読み,質問文をみてから詳細を確認しに戻る形がよさそうです。
第3問は日常生活(旅行や学校生活)に関する口コミやニュースレターの内容を理解する能力が問われました。
計算的な内容や出来事を起きた順に並び替える問題があり,特に後者は,英文を読みながら一緒に解いていくようにしないと時間がかかってしまうので注意してください。
あまりに苦手であれば飛ばしてしまってもよいでしょう。
第4問以降はずっと長文が続きます。
ここからはより内容を深く理解していく必要があり,さもないと推理するような問題が解けません。
先に文章を読んでから考えるようにします。
ただし,文章だけでは意味がよくわからなくても,後に載っている図表を見ると「なんだ,こういうことか。」とわかったりするので,語注ではないですが,先にどんな図表があるのか目を通しておくとよいでしょう。
第5問はニュース記事と発表用のスライドがセットになった問題でした。
内容理解と要約能力が問われていましたが,major figure(主役)とminor figure(下っ端)のような見慣れない単語の意味も推測する必要があります。
第6問はAとBの2つに分かれ,より専門性の高い記事や教科書を読み,内容を要約したり理解度が問われる問題です。
解き方としては,最初に文章をざっと読み,質問に答えるために詳細は後で検証する形ですが,文章が長く,探す場所を見失うようでは時間のロスに繋がるので,読みながらどんな内容が書いてあったかを段落横に書いておくことをおすすめします。
基本的には時間をかければ解ける問題ばかりなので,これまでの問題を通してどれだけ時間を残せているかが正答率に影響するので,分析する際は「読解力が不足していたのか,それとも単に時間が足りなかったのか」に注意してください。
なお,見慣れない単語(専門用語や造語)についてはちゃんと言い換えられています。
大問ごとの配点や解答時間の目安は以下の通りです↓↓
- 第1問:10/10点,9分
- 第2問:16/20点,13分
- 第3問:12/15点,13分
- 第4問:16/16点,13分
- 第5問:15/15点,13分
- 第6問:24/24点,19分
時間は1分程度前後すると思いますし,第4問~第6問はどこかでうっかりミスが1問あっても構いません。
ですが,上のように解くことで80分で90点が取れることになります。
私自身は2021年度の問題は8番の答えが選べずに間違えましたが,全ての選択肢を検証し終えても判断に迷うものはいくら時間をかけても間違えてしまう可能性が高いです。
ならば,先述の通り後回しにしてしまう方がよほど賢明だと思います。
一般的には,並び替えの問題(何問かセットで全問正解できて初めて得点になる問題)や推測問題(国語が得意でないと和訳を読んだとしても正解できない問題)は人によっては捨て問にしてしまう選択もありでしょう(それでも8割はいきますので)。
他にはセンター試験の名残のような問題があった他,新しい資質・能力を問う問題,realiseなどのイギリス英語も見られました。
リスニング
共通テストから,英語はリーディングと同じ配点に格上げされた「リスニング」というテストが重要になってきます。
リスニングは文法知識や速読力も測れてしまう特徴があり,聞こえづらい音は文法知識を駆使して推測するものですし,聞こえた順に頭から理解していく(できれば日本語にせず,状況を頭に浮かべる)方法は,速読の際にも使う能力です。
ゆえにリーディングができる人は,正しい英語の音さえ聴き分けることさえできれば問題なく解けますので,過度に心配する必要はありません。
加えてリスニング力はリーディング力よりも短期間で完成できる能力であります。
とはいえ,配点が配点ですので,毎日数分間でもリスニングを行う習慣は身に付けておくべきでしょう。
通学時間であったり,寝る前の5分は単語とリスニング勉強に充てるようにしてください。
こちらのテストですが,勝手に流れては勝手に終了するテストなので,制限時間を気にする必要はありません。
ただし,試験中にどのような行動を取るかで多少得点は変わってきます。
過去問を解いていて連続して間違えてしまった問題があれば,それはよく聞き取れなかった問題の影響を後の問題にまで引きずってしまったことが原因ではないでしょうか。
音が流れ切ってしまえば,もうその問題にどんなに時間をかけようと正解できません。
その場合は適当にマークし,次の問題に集中しましょう。
基本的にはプレテストのときと同様,後ろの問題になるほどどんどん難しくなっていくパターンでした。
読まれる回数に違いがありますが,第1問と第2問は2回ずつ読まれるので気持ちに余裕があります。
とはいえ,あまりに余裕ぶっていると1度目にまったく聴き取れずに焦ってしまいますし,心の準備をするという意味でも,あらかじめ質問に軽く目を通しておき,どのような話題がポイントになるかくらいは予想して待ち構えておきたいところです。
第1問のAは1人の話者が話してその内容を描写する内容を選ぶものであり,1問くらい難しめの問題が入っています(2021年度の問3)。
このように簡単な問題と難しい問題を含めることで初めて成績に差が出るわけですから,全問解けるなどと思わず,できる問題だけを確実に得点していくことが大切です(勘でも25%の確率で正解できるわけですし,1つでも選択肢が排除できれば可能性は33%に上がります)。
Bは正しいイラストを選ぶ問題でしたが,英語の音が消失する感覚に慣れていればof herselfなども正確に聴き取れるでしょう。
第2問もイラスト問題でしたが,今度は対話を聞き,話している物や場所について答えるものでした。
dirtyとsunnyの単語から軍手と帽子を予測するなど,新形式らしい出題も見られました。
しかし,第3問からはレベルが一段上がります。
1回しか音声が流れない上,会話の量も多くなるのです。
なお,問題設定や質問内容は問題用紙に書かれていました。
実は,第4問以降の問題のように先読みのための時間がたっぷり取られるものもあるのですが,そうでない第3問で先読みが不要かといえばそうでもなく,かなり時間はないのですが,質問文と状況設定くらいは先に見ておかないと正直きついです。
似た音の混同(2021年度の問13ではbackとbag)を狙ったものもありました。
さらに悪いことに,正解の根拠が対話文の最後まで出て来ない問題もあるのですが,答えが決まり次第すぐに次の問題の先読みを行うようにしてください。
参考までに,音声が流れ終わってから10秒すると次の問題が読まれます。
第4問以降は書き込みの頻度が増えますが,最後に書いた内容が覆る可能性があることや,書くのに集中して聞き逃さないことに注意したいところです。
ただし,図や表から答えを判断できるので,以降の第5問・第6問と比べるとそこまで大変だとは感じません。
第5問は講義内容をノートに取るような感じの内容ですが,言い換え表現なども多く,あくまで内容重視で聴いてみてください。
選択肢は二項対立であったり,ポイントさえ聴き取れていれば混乱するようなものではないです。
後者においてもメモを残しておくことは必要ですが,第6問Bでは国籍別の訛りと4人の話者に混乱させられました。
これまで女性と男性としか区別していませんでしたが,声色からさらに同性内で区別しなければなりません。
得点目標ですが,90点を取るためには2回読まれる問題とグラフや表のある第4問をほぼノーミスで通過し,残りの問題において2~3問のミスが許される程度です↓↓
- 第1問:25/25点
- 第2問:16/16点
- 第3問:12/18点
- 第4問:12/12点
- 第5問:15/15点
- 第6問:10/14点
ただし実際はここからさらにうっかりミスをしてしまうと思うので,現実的な数字としては「8割目標」で今後は指導することになると思います。
その場合,上の状態からさらに2問どこかで間違えられることになりますが,1問あたりの配点が3~4点ということで,どれを間違えてもなかなかにダメージが大きいですね。
途中まで順調に来られた人であっても,第5問・第6問が本当の勝負だと思っていてください。
ところで,個人的にリスニングがこのレベルにあるのは歓迎で,これだけの難度の問題を解かなければならないとなれば,さすがに多くの生徒がリスニング対策をせざるを得ないでしょう。
これまではリスニングができても入試で有利に働くことはそこまでありませんでした。
できる人は満点ですし,できない人も7割くらいは取れましたから。
ですが共通テストを見るに,リスニング対策を皆無で挑めば5割すら危ういのではないでしょうか。
そうなると,いくらリーディングで9割取っても,総合点は7割に下がってしまいます。
使える英語力を目指して頑張りましょう!
数学
数学I・Aの解答時間は70分と多めであるのに対し,数学II・Bは60分です。
どちらも配点は100点満点で,記述式の問題は今のところありません。
I・A
第1問・2問は必答で,第3問~5問(場合の数と確率,整数の性質,図形の性質)の中から2つを選んで解答します。
第1問〔1〕は2次方程式の出題。
素早く計算を行うことになりますが,空欄の形をできるだけヒントにして解いていきましょう。
計算は暗算を基本としますが,途中式を空欄の近くに書いておけばいざというときの見直しに使うことができます。
途中式を書くならきちんと書くし,暗算でやるならその分早く解くといった具合に,どっちつかずな状態にならないようにしてください。
共通テストらしく考察問題が見られることもありますが,一体相手が何に気づいたのかを読み取らねばならないので,同じ気持ちになるまでに時間がかかることがあります。
その場合は一旦飛ばして戻ってくるなどして,最後までわからず,結局時間だけが経ってしまうというリスクを減らすのがポイントです。
〔2〕は〔1〕とは別の分野からの出題になりますが,頻出の三角関数の問題であれば有名な公式群を手早く使って解いていきましょう。
正弦定理に余弦定理,はたまたsin,cos,tanの基本公式はすぐに出るようにしていないと間に合いません。
2021年度のものは三平方の定理の証明でよく見る形でしたが,この証明は東大入試でも出たことがある有名なものです。
もちろんそれを知らなくても,指示通りに式を立てていくと気づくと思います。
また図を正確に書くことも大切ですね。
見た目からすぐに答えが埋まる問題もあり,例えば2021年度の(4)は他の問題が一切解けていなくても正解できます。
第2問の〔1〕は見たことのない切り口で始まり,まるでPISA型問題を解いているようでした。
「ストライドが0.05大きくなるとピッチが0.1小さくなる」といった文章の他,わざわざ「一次関数で表せる」などとヒントが書いてあったりします。
ただし,形式に慣れていないと,カッコに「−(マイナス)」や「a(アルファベット)」を入れたり,2.00のような数字を答える際に「カ=2,キ=0,ク=0」とバラバラに答える際に混乱してしまうかもしれません。
後半〔2〕の問題は,現実世界のデータ(例えば総務省HP)からの出典だったりします。
2021年度は箱ひげ図やヒストグラムや散布図など,統計的に関するものが目白押しでした。
計算が入ると大体こういうものは時間がかかってしまうので,共通テストでもグラフを分析するだけで解くことができます。
ページ数は通常の3倍くらいになり,多く見えても,実際にかかる時間は3ページの計算と変わりません。
第3問の確率の問題で考察問題が再び登場しましたが,条件付確率にする前段階での確率を比にすることで,条件付確率の大小が予測できるといったものですが,この場合も解答群を利用し,一度に全てを比較せず,AとBの大小,CとDの大小,DとAの大小をそれぞれ求めると楽に答えが出ます。
第4問は整数論的な問題で,2021年度は不定方程式でした。
やや考察のところで意図を理解するのに手間取ったため,最後の2つは解答群から逆算して絞った2つ(①か③)をそれぞれ計算して導きました。
第5問は,方べきの定理やチェバ・メネラウスなどを使うことになります(2021年度は後者は出てきませんでしたが)。
総じてこれまでのセンター試験と同じ公式を使って解くことができますが,時間が伸びた分,気が付きにくさがアップしていたり,考察問題がやや増えていたりで,つまづく箇所が増えています。
焦らずに解ける問題をすべて解いてとりあえず7割ほどを確保してから,残り時間で飛ばした問題のいくつを正解できるかという,従来の攻略法でいけそうな感じがしました。
目標点と解答時間の目安は以下の通りです↓↓
- 第1問:24/30点,20分
- 第2問:30/30点,20分
- 第3問:20/20点,15分
- 第4問:20/20点,15分
- 第5問:20/20点,15分
先述した通り,数学では,時間内に気が付くことができなければ点数にならず,解ききれない問題が出てきてしまうものです。
ゆえに,解くべき大問の中で2ヶ所ほどは,それこそ一気に6点くらいマイナスになってしまうところも出てきてしまうでしょう。
その箇所が1つなら90点台,2~3つあれば80点台となるだけです。
II・B
苦手な分野が多いという意味で,IAよりIIBの方が得点できないと言う受験生も多いですが,2021年度はIIBの方が簡単に感じました。
第1問と第2問が必答で,第3問~5問(確率分布と統計的な推測,数列,ベクトル)のうち2つを選択します。
第1問は三角関数からの出題でしたが,合成や加法定理の丁寧な誘導がありました。
どんな解き方をするのかについても,「相加相乗平均の関係から」などの指示があり,ページ数の割にスムーズでした。
とはいえ,対数関数や恒等式の考え方も問われ,知識は幅広く持っておかないといけません。
第2問は関数です。
文章を読んで,何をしているのかを理解する必要がありますが,空欄から逆算することで,そこまで頭を使わずに解けてしまいました。
適当に数字を当てはめたりする柔軟さは,共通テストにおいても必要です。
接線の方程式や積分で面積を求めたりしましたが,特に難しいものはありませんでした。
第4問は数列です。
等差数列と等比数列が混ざった漸化式が出てきましたが,誘導が丁寧なので,スモールステップで1つずつ答えていくと自然に終わります。
同じことを最初は具体的な形か簡単な形でやり,後半でより広い形で扱うパターンになっていくのでしょうか。
第5問はベクトルの問題でした。
最初は平面の正五角形を用いて,その性質について学びます。
そして後半では立体となる正十二角形(各面は正五角形をしている)を題材に,内積や大きさについて考えていきますが,最後の問題は内積と絡めた考察問題でした。
目標点と解く時間の目安ですが,
- 第1問:27/30点,17分
- 第2問:30/30点,13分
- 第4問:17/20点,13分
- 第5問:18/20点,17分
制限時間の関係で時間内に解き終わらない問題があることと,うっかりミスがあることは予想に入れるので満点は取れないでしょうが,すべての問題が難しいことはありませんし,逆にすべての問題を均等な時間で解くこともできないでしょう。
大問1つに15分程度かけることを基準に,簡単なもの(例えば上の例だと第2問と第4問)はできるだけ早く終え,計算が大変そうで取っつきづらい問題や考え方についていけなかったものは,残り時間で解くようにしてください。
国語
国語は生徒がノートに要約をまとめたものの他,自分で調べた内容や新聞の批評を引用するなど,共通テストらしい内容が大問ごとに見受けられました。
とはいえ,文章を解くにあたってこれまでと何か解き方を変える必要があるかと言えばそのようなこともなく,従来通りの勉強法と戦術で十分に対応できます。
おなじみの「評論文,小説,古文,漢文」の4部構成です。
それでは第1問からみていきましょう。
評論文は論理の構成がどのようになっているのかに注意したいので,指示語を明らかにしたり,文章の流れに影響する論理展開を示す語句であったり,時間の流れに注目します。
漢字は文字だけみて判断せず,簡単そうであっても他の書き方がないかどうか自問自答してください。
「ミンゾク的な」と書いてあっても複数の候補が考えられます。
2021年度は「だが,しかし,ところが」といった逆接,「中世,近世,近代」といった時代を表す単語が出てきました。
全体を見通してからでないと解けない問題はなかったので,傍線部が出てきたら,その段落を読み終えたタイミングで解いて構いません。
なお,あまりに評論文が苦手であれば,意味段落ごとに見出しを付ける問題(2021年度の問5のような問題)は読みながらリアルタイムで解いていくべきでしょう。
第2問は小説ですので,人物の心情を中心に理解していきます。
評論文よりは読みやすいと感じても,選択肢が意外と難しいので正答率まで高くなるわけではありません。
例えば2021年度の問3などは,多くの人が2択までは絞れたと思います。
しかし,どちらもいまいち言い回しに気になるところがあって,最後の選択で間違えてしまったのではないでしょうか。
しかし,誤った選択肢というのは,一見内容に合っていることが書かれているのですが,重点が置かれている部分がずれているものです。
「書いてある・書いてない」といった議論から一歩進んで,重点部分がずれているかどうかに注目してみてください。
最後の問題では批評家の意見の理解を問う問題と,それと異なる見解を選ぶ問題が出てきました。
同じ文章でも注目する場所によって受ける印象が異なるところは,今後の社会に出る上でぜひとも押さえておきたいポイントです(多種多様な意見があって社会は成り立っているということです)。
第3問は古文ですが,文法と単語の知識量が勝敗を決める構図は変わりません。
また,主語が省略されやすいので,誰が話しているのかに注目しましょう。
登場人物が多いときは決まって関係図があったりします。
単語帳をやっていればほとんどの単語の意味は問題ないはずで,2021年度の「めやすし・まなぶ・里・消息・ゆゆしき・おろか・いみじく」などは受験生ならすべて知っていないといけません。
自らが「みづから」と平仮名になっていたので難易度はより簡単に調整されていたように感じました(漢字で書くと,「おのづから」とも読めるので)。
また,和歌についてはそこまで大きな意味を持ってはいませんでしたが,間接的にせよ必ず問われることになるので,鑑賞できるように練習しておきましょう。
第4問は漢文ですが,こちらは教訓めいたものがあり,それを中心に文章が作られています。
基本,最後の問題が教訓になっていますので,ここを間違えないことが最優先事項です。
逆にここさえ押さえてしまえば,後はそこに合うように内容を逆算して考えていく解き方もあります。
2021年度で言えば,問6の内容が問3や5の出来に大きく関係していることがわかるはずです。
目安時間と得点目標ですが,全80分で200点満点を次のように配分してください↓↓
- 第1問:44/50点,25分
- 第2問:44/50点,25分
- 第3問:50/50点,15分
- 第4問:50/50点,15分
実際,現代文は20分ちょっとで終わりますし,古典は10分以内で終わるものもあるかもしれません。
全体を見通すまでは最大に時間をかけても上記までとし,最後に余った時間で残りを解くか,2択で悩んでいたところの答えを見直すようにしましょう。
なお,古文漢文は現代文よりも満点が狙いやすいように思いますが,一問ミスまでは許容ですので,9割目標としては,「どこか1つの大問で完答,残り3つは1問ミスまでOK」と考えておきましょう。
終わりに
初めての共通テストを受けるにあたり「試験方式が変わるから混乱する!」などと言っていた生徒がいましたが,私は「対策しないで臨めるので,受験生のそのままの実力が反映されやすい最も良いテストになるんだよ。」と正しました。
来年度もどこかの問題で形式が変化すると思いますが,そのときはチャンスだと考え,気を引き締めるようにしてください。
テスト本番ではとにかく全力を尽くすことだけを心がけているわけで,これまでと同じ問題が出てホッとするようでは緊張感が足りません。
油断して間違えてしまうことも大いに考えられますし,簡単な問題ではみんなができてしまって平均点が上がってしまうのです(初年度は強気の出願が目立ちました)。
試験中はずっと必死に解いていき(ただし必死と焦るは別ですが),最後の問題を時間内にちょうどやり終えた際,「何とか終えられて良かった。」とホッとするくらいがちょうどよいでしょう。
もっともこの場合であっても,途中で自信がなかった問題にチェックが入っているでしょうから,すぐに前に戻って見直すはずで,休息は基本的に訪れないことがほとんどです。
さて,これから共通テストが行われる回数が増えるにつれて,予備校などで対策をした人ほど点が取れるようになっていきます。
初回のテストですらプレテストをもとに対策をしていた受験生もいたわけですが,教育にお金をかけた人ほど貴重な情報が得られるチャンスが高くなるということは,ある意味,環境に恵まれない受験生にとっては辛いものです。
例えば2021年度の英語でfactとopinionが問われましたが,次回からは選択肢の一体どこに注目し,どんなダミーが用意されるのかすら事細かく教えられた受験生同士の戦いとなるでしょう。
リスニングでも,どの問題を先読みすればよいのかであったり,1回読みと2回読みの問題でどのような聞き方をすればよいかなど,より細かな指導が行われるはずです。
大学入試と言うのは小手先のテクニックで点数が取れてしまう試験が多いので,本来の学問とはかけ離れてしまっている部分もあるのですが,そういった勉強もしてください。
特に普段真面目に勉強している人ほど,しっかりそういった「楽な思い」をすべきです。
季節が秋以降になったらオンラインで構わないので,以下のような対策講座を受講しておいてください↓↓
そして見事志望する大学に合格してから,真の意味での学問を学んでいって欲しいと思います。