今回ですが「河合塾Oneを使って英語を学んでいく際のメリットとデメリット」についてまとめてみることにしました。
英文法と英文解釈を中心に英単語や中学英語も学べるようですが,果たしてどういった学習コンテンツを使って学ぶことになるのでしょう。
難易度がどうかであったり時間がどのくらいかかるのかだったりが気になる方もいるかと思われます。
私は普段,自分の塾で英語を教えているので,一体どのような目的で使っていくのが良いのか生徒にアドバイスする感じで記事を書いてみることにします。
河合塾Oneの英語について
河合塾Oneの英語ですが,メインとなるラインナップは「英文法」と「英文解釈」の2つです。
難易度としては,河合塾Oneの他教科同様,教科書内容から大学入学共通テストレベルまで対応しています。
英文法
「英文法」では時制や仮定法,比較といった典型的な項目がある他,英文解釈する上でも役立つ文型や語法の知識が学習可能です↓
英語の基本(36),動詞の語法(47),時制(24),状動詞・受動態(37),仮定法(26),準動詞(68),関係詞(39),接続詞(35),比較(38),代名詞(45),名詞・冠詞(24),形容詞・副詞(32),否定・倒置・語順・強調・省略・共通関係・挿入・代用表現・同格・付加疑問(37),前置詞(30)
カッコにしたのはトピックの数で,全13単元においてトピックの数は518もあるので,規則正しく受講しようと思ったら,学び終えるまでに1年はかかるくらいの量があります(1日1~2トピック進める場合で計算)。
ところで,みなさんは高校の授業で文法をしっかり習う機会はあるでしょうか。
あくまで文章を読むことがメインでしょうし,最近は4技能に注目が集まっている関係で,リスニングやスピーキングの時間も増えているので,網羅的に英文法を誰かに教えてもらう機会はますます減ってきているように感じます。
Forestやネクストステージのような文法書を渡されても,テスト前にただ丸暗記させられるところも多いのではないでしょうか。
しかし,それではすぐに忘れてしまうため,その場しのぎにしかなりません。
そこで講師の存在が重要になってくるわけで,「誰か他のできる人に教えてもらうことで楽に学べてしまう」というのは,河合塾Oneに限らず,多くのオンライン教育を利用する上でのメリットです。
その上,間違えた問題に対し,自分の好きなタイミングで戻ってきて復習することもできるわけですから,AIおすすめ学習も同様に役立つでしょう。
英文解釈
続けて「英文解釈」のラインナップですが,レベル設定はスタンダードのみです。
なんとなく,アドバンス(ハイレベル)講座が追加されそうな雰囲気がありますが,今のところトピック数は15個のみとなっています。
立ち位置としては英文法の続きとして学ぶことになっているようで,トピック番号は14から始まるのが特徴です(英文法は13トピックありました)。
英文法と比べてみると,量的には30分の1以下しかないこともあり,これなら1~2週間で終えられるでしょう。
なお,英文法をまずは学んでから英文解釈に入るという流れは自然なものですが,英文解釈の難易度はどこまでも難しくできるので,どれほどのレベルにまで到達できるかも気にするべきだと思います。
そして,河合塾Oneの英語はあくまで英文法がメインコンテンツで,英文解釈は実に基本の部分だけといった感じです。
この後,いきなり本格的な英文読解に入っていけるかというとまだまだ不十分で,別教材でそれなりの練習を積む必要があるでしょう。
とはいえ,私が英語を高校生に指導する際は,高1の間に英文法を完成させ,高2で英文解釈を終え次第,本格的な英文読解へと進むのが通常のカリキュラムになるので,まだ高1生であれば,「このペースだと周りに遅れを取ってしまうのではないか」などと心配することはありません。
加えて,河合塾Oneで学ぶメリットは,本サービスで学んだあと実際に通塾することがオプションとして残されているということであり,同じ塾である以上,通うことになった場合も特に抜ける知識が生じることなく進んでいけます。
本サービスを利用していれば,入塾金が最大で10万円免除になることも忘れてはいけません↓
とはいえ,オンラインだけで高いレベルの知識まで完成させたいと考えている方にとっては物足りないでしょう。
その場合は,スタディサプリを使って進めていくことをおすすめします↓
講座数は増えますが,英文解釈も大学受験レベルの問題まで解けるようになるのが特徴です。
次章からは,河合塾Oneの英文法と英文解釈についてもう少し詳しく,内容をみていくことにしましょう!
河合塾Oneで英文法を学ぶメリットとデメリット
河合塾Oneの英文法ですが,基本的に1つのトピック(上の例だと現在形)は,
- レベルチェックテストが3つ
- 基本事項解説が1つ
- 練習問題が2つ
- 練習問題解説が2つ
の4つからなります(ただし,最初の単元である「英語の基本」に含まれるトピックのみ,例外的に基本事項解説しかありません)。
レベルチェックテストは1つにつき3題を解くことになりますが,わからないも含めた3択問題になっているのが特徴です↓
解答するとその場で正誤判定と解説が表示されてきますが,この文法事項に関する詳しい解説は「基本事項解説」の方だと動画で確認できるので,そちらの方でしっかり理解するようにするで構いません↓
動画では電子黒板的なものに板書が表示されていき,講師の解説ももちろんあります。
観終わった後の仕上げとして練習問題を解くことになりますが,難易度は最初のチェックテストよりは少し上がり,共通テストレベルの出題です↓
このレベルの問題を解くためには,文法力(時制の知識)以外に語彙力(状態動詞と動作動詞の違いを見抜く力)も必要なので,先ほどの教科書レベルの問題とは違って実践的な問題であることがわかります。
もっとも,これらの練習問題1つ1つにも解説動画が付いているので,最後まで理解できないままなどということはありませんし,いざとなればチューターにメールで質問することもできるのでご心配なく↓
以上の内容をまとめると,河合塾Oneの英文法では,難易度に違いを設けた問題の用意もされているだけでなく,解説する講師も女性と男性のように異なる2人が選ばれてきており,退屈しないための工夫もされていました。
動画の長さは2分程度ですので,1トピック20分もあればやり終えることができるでしょう。
厳密には各単元ごとに受講前テストと受講後テストが入るので(全30問),ちょっと時間は増えますが,順調に間違えずに学んでいけば200時間もかからずに,高校の英文法を学び終えることができます。
英文解釈のメリットとデメリット
次に英文解釈の内容に移りますが,こちらは英文法に比べるとボリューム的にはずっと少なく,内容も入門的な位置づけだとすでに述べました。
トピックのコンテンツも,英文法は4つから構成されていたのに対し,英文解釈では,
- 練習問題1つ
- 練習問題解説1つ
の2つしかありません。
もっとも,練習問題は和訳が必要なので,1題解くための時間はそのぶん長くかかります↓
河合塾Oneの数学講座をやってみた際にも感じたのですが,英文解釈の方も,別にノートを用意して手を動かす必要があるので,例えば電車の中で何も書かずにやるのはおすすめしません。
というのも,和訳する問題では答えを残しておかないと,後で解説を聞く際,本来できていなかったところをわかっていたように錯覚してしまうことがあるからです。
河合塾では,構造分析から語句のまとめ,そして和訳までもが丁寧に解説されるので,すぐにわかった気になってしまうのがメリットでもありデメリットでもあります。
なおさら,勉強の仕方には注意が必要でしょう。
なお,解答が記述式であるという性質上,自分の答案をAIが採点してくれるなどの機能はないので,出来に関しては自分で判断するしかありません。
そういった意味でも自分に厳しく取り組んでいただけたらと思います。
学び終えるまでにかかる時間としては,1つのトピックに30分かかったとしても全部で8時間弱ですから,1週間毎日やればなんとか終わる程度の分量です。
さすがに英文法と比べると少なく感じますので,英文法の最後にちょっと英文解釈が付いているように思っておくのがよいでしょう。
さて,以下に示したのは,私が塾で英文解釈の指導をする際に使うことが多い「英文解釈の技術」という参考書になりますが,河合塾Oneの英文解釈で学んだあとは,このような参考書をやってみることが1つ考えられます↓
河合塾つながりで言うと,「やっておきたい英語長文300」に進んでしまうのもよいかもしれませんね。
河合塾Oneにあるその他の英語講座
AIおすすめ学習には対応していませんが,河合塾Oneでは中学英語(中学英文法)と英単語(中学と高校の単語に対応)も利用することができます。
中学英語
ここでは中学英文法を学びますが,I am Taro.などといった文から始まるわけではなく,単語や文章は高校レベルの英語で,扱う文法の概念が中学英語というだけなので,高校生で英語を苦手とする人以外であっても是非こちらから始めてみてください↓
文法事項として同格を取り上げる中学教科書は少ないと思いますが,上のような問題もトピックの4つ目で目にすることになります。
veterinarian(獣医)を意味するvetという単語はもちろん,この問題の難易度的に,確信をもって正解を選ぶことができる中学生は少ないでしょう。
こうした問題の入った単元が全部で11個もあるので,中学英文法だからとかAIおすすめ学習に表示されないからなどと敬遠せずに,こちらから始めていただけたらと思います。
英単語
英単語は中学のものが10レベル(700語程度)と,高校のものが10レベル(1000語程度)です。
問題形式は多様で,
- 語義選択(英→和)
- 語義選択(和→英)
- 英文空所補充(選択肢)
- 英文空所補充(文字入力)
- カウントダウン
- タイムトライアル
といった様々な出題形式の問題を解くことで,1回あたり20語を学ぶことができます。
なお,語義選択(正しい意味の単語を選ぶ)でも,story=「階」であったり,bear=「~に耐える」などが答えだったりするので,あくまで入試で狙われやすいものが選ばれている印象です(それぞれ「物語」や「クマ」などと覚えているだけでは不十分です)。
高校英単語の英文空所補充の問題を,私がいきなりやってみても,思い出すのに手間取るところがありましたし,間違えてしまうところもありました↓
答えを言われると,「確かに」と納得させられるものばかりなので,受験で出てくるものですしやりがいがあります。
すべて正解できるようになれば,語彙力としては共通テストレベル以上の問題にも対処できる実力が付くでしょう。
まとめ
以上,河合塾Oneの英語を学ぶ際のメリットとデメリットについてみてきました。
やや分かり辛かったかもしれないので,最後にそれぞれ書き出してみると,以下のようになります↓
- メリット:教科書内容から共通テストレベルまで網羅的に英文法を学べる。単語に関してはそれ以上に到達可能。高校の英文法と英文解釈はAIによる学習も可能。200時間で英文法を,8時間で英文解釈の基本を習得できる。
- デメリット:英文解釈はやや不足気味でノートが別途必要。学び終えた後も他の教材を使う必要がある。全体的にレベルが高く,中学で習う英語から学び直したい人が河合塾Oneで学ぶのは難しい。
もちろん,これはあくまで私の感想ですので,みなさんは別の感想をお持ちになるかもしれません。
中学英語から始めるのであれば先述したスタディサプリの方がより基礎レベルから学ぶことができると思いますが,無料体験が可能なので,まずはやってみるのが良いでしょう。
最後に余談ですが,私が今回河合塾Oneを使って問題を解いていて,ほとんどの問題で間違えることがなかったため,AIおすすめ学習は順番通りに教材を提示してきただけという結果になりました。
河合塾Oneで物理を学んだ際は,かなり復習することになったことを記憶していますが,英語に関しては,苦手意識がある方の感想を待ちたいところです。
ありがとうございました。