今回の記事では,河合塾が2019年の12月に開始した,AIによる自動学習サービスである「河合塾One」についてまとめてみたいと思います。
いわゆる「個別最適化」が可能になるシステムになりますが,当時こういった類のサービスは学校関係に専用で提供されることがほとんどでしたので,こうして一般家庭でも利用できるようになったことは本当にありがたかったです。
残る心配事としては,AI自体の頭の良さや対応している科目や授業内容,そしてかかる料金がどのようなものかなどが挙がるかと思いますが,これから1つ1つみていくことにしましょう!
河合塾Oneの特徴
河合塾Oneのウェブサイトですが,どことなくアニメ調のトップページで,スマホを手にした高校生が写っています。
髪のカラーリングにも特徴があり,近未来的な雰囲気を感じました。
実際,過去にはVチューバーとコラボしたこともありましたが,最近はこうしたタッチのイラストが表紙を飾る参考書も増えていますし,これが時代の流れなのでしょうね。
なお,本サービスを利用するにあたって,河合塾One専用のアプリをインストールする必要はありません。
PCであれスマホであれ,ウェブサイトに直接アクセスすることで学習が可能です。
対象となる学年は「高校生,高卒生,先取り学習したい中学生」などと書いてありますが,高校の教科書レベルの内容を扱う関係上(詳しくは後述),学校で習う授業内容を確認したいすべての方におすすめします。
現実的には,いわゆる定期テスト対策であったり,大学受験で必要な科目を初めて学ぶ際に利用することになるでしょう。
有名どころのスタディサプリと異なり,大学受験をこれだけで乗り切ることはできませんが,練習問題の中には共通テストのものも含まれているので,章末問題レベルまでとは限りません。
とはいえ,コンテンツとしては数分の動画や選択式の問題が並ぶので,自宅や自習室(または教室)以外にも通学時にパッと学ぶことに適しているでしょう。
もちろん,お風呂やベッドに入って観るのもOKですが,折角家にいるのでしたら,机に座って実際に手を動かしながら問題を解くことを心がけてください。
私も使ってみましたが,練習問題や受講前後のテストは外出先であっても真剣に考える必要がありますし,AIの判定に影響するからでしょうが,少しくどいと感じてしまうほどの問題量です。
「すべてを外出先でやれ」というわけではないので,その点,誤解なきようお願いします。
ちなみに,保護者の方が子どもの学習状況をウェブ上で確認することもできますが,高校生にもなれば,子どもがちゃんと勉強をしているかどうかを親がそこまで厳密に管理する必要はないでしょう。
それよりも,別料金を支払って大学生のチューター(河合塾Oneでは「トレーナー」と呼ばれます)を付けてやったり,見込みがあれば河合塾の本科に通塾させたりする方が,ずっと子どもの役に立つように思います。
ちなみに,トレーナーを付けた際の値段は業界最安レベルです。
河合塾Oneの教材の評判
河合塾Oneの存在は結構前から知っていたのですが,開始時期が延期になったり扱う科目数が少なかったりで,当初みなさまに紹介するにはまだまだ時期早々だと判断しました。
ですが,2020年の4月に化学・物理・古文の3科目が,そして同年9月に日本史と世界史が追加となり,だいぶ良い感じに評判も出揃ってきたので,この度紹介するに至ったわけです。
現在では以下の7科目が利用できます↓
- 英語(英文法と英文解釈に英単語や中学内容も)
- 数学(IAIIBに限らずIIIや小中数学も)
- 化学(基礎にも対応)
- 物理(基礎にも対応)
- 生物(基礎のみ)
- 古文(文法のみ)
- 日本史
- 世界史
学習範囲については,必要なものだけを学習プランに指定しておくと,AIがその範囲の中から最適な学習教材を探してきてくれる点が評判です↓
理想を言えば,これに生物や漢文が加わってほしいところですが,いつか追加される日を待ちたいと思います。
逆に,最初から採用されていた英語・数学・物理などの科目というのはAIとの相性が良好で,大体AI関連の凄さを伝えるニュースで目にするのはこれらの科目であることが多いです。
- どこを間違えたらどこを復習すればよいのか
- 今やっている範囲容を理解できたら次はどこに進めばよいのか
といった判断をAIがしやすいといった事情があるのでしょう。
その他,教材について注意したいところは,テキストの類は一切なく,すべてはオンライン上に表示されるもののみというところです。
ゆえに,講義内で解説されたもののうち後で必要になりそうな知識については,普段使っている教科書や参考書に書き込んでおく必要があるでしょう。
内容としては,受講前後に使うテストに加え,基本事項の解説,レベルチェックテスト,練習問題,そして練習問題の解説があります。
詳細に使ってみた記事については別に紹介していますが,ここでは「数学I」の授業をもとに簡単に紹介することにしましょう。
「受講前・受講後テスト」は,講座を受講する前後でどれだけ理解が深まったかを知るためのテストで,結構な問題量があるので,実力判定の精度はそれだけ高くなります↓
次に「基本事項の解説」ですが,こちらは動画形式となり,電子黒板的なものに書き込まれ,音声説明があるものです↓
ちなみにですが,これが河合塾Oneで唯一とも言える学ぶための教材,つまりはインプット用の教材となります。
あとは演習が中心になるので,ここまでの説明で内容が理解しにくいと感じるような方には,河合塾Oneはおそらく向いていません。
理解しきれていないと感じるときは必要に応じて教科書で調べてみたり,一時停止などしたりして,自分なりの学ぶ形を見つけてください。
このとき,画質(3種類)やスピード(6段階)も選べますが,1分程度の動画も多いので,そこまで多用する機能ではないでしょう。
上で学んだ授業内容に基づき,「レベルチェックテスト」を使って理解を確認することになります↓
講義内容に沿った出題ですので,思い出しながら解いてみましょう。
さらに問題はこれだけにとどまりません。
「練習問題」と「練習問題解説」という2つでセットのコンテンツを通して,トピックで扱った内容についてさらに詳しく学んでいく感じです↓
問題の難易度はレベルチェックより高くなりますが,解説動画が別に付いてきます。
そのため,人によってはレベルチェックよりもわかりやすいと感じるかもしれません。
1つの単元においてすべてのトピックを学び終えると「受講後テスト」を受けますが,こちらは「受講前テスト」と全く同じものです。
ですが,それで問題なく,そもそも未習範囲を初めて学ぶような方の場合だと,受講前テストを受けた段階ではほぼすべてを正解することができないでしょう。
そのため,その次にある基本事項の解説をどこまで理解できるかで,河合塾Oneの評価が分かれてくると述べたわけです。
受講後テストの結果も合わせて,できるようになったことを確認してください。
なお,科目ごとの詳しいレビューについては以下の記事をどうぞ↓
河合塾Oneの料金についての評判
続いて河合塾Oneの料金についてまとめましょう。
プランは全部で3種類となります↓
- 月額払い(4378円)
- 6ヶ月プラン(24948円)
- 12ヶ月プラン(47278円)
まとめ払いをする場合に返金システムもありますが,基本的にこういうものは使いたいタイミングで短期集中で利用するのが通常です。
よって,最も評判であるプランは「月額払い」となっています。
まとめ払いと比べると割高にはなってしまうものの,止めたい時に止められる点を重視しましょう。
支払いを終えると,科目数に制限はなく使い放題となりますが,決済はクレジットカードによる1回払いのみとなり,Visa・Master・JCB・Amex・Dinersを使用できます。
なお,「1ヶ月」をどのように計算するかですが,例えば9月1日に申し込んだとしましょう。
先の公式サイトをみていただくとわかりますが,まずは無料体験が7日分あるので,9月8日から有料サービスが開始となります(無料期間は申込日を1日目とします)。
そこから翌月の同日の前日までを「1ヶ月」と見なすので,今回の例ですと,10月7日までが1ヶ月目,11月7日までが2ヶ月目という判断です。
これは簡単な例でしたが,もしも1月31日から1ヶ月後を計算しようと思ったらどのように考えればよいでしょうか。
2月31日はありませんから,そのような月に限っては「月末の前日」である2月27日までを1ヶ月目とし,3月30日が2ヶ月目,4月は29日までが3ヶ月目といったふうに計算していきます(料金表示は税抜です)↓
ここで,6ヶ月や12ヶ月でまとめ払いした場合の返金制度についても触れておきましょう。
そのときの計算式は,「支払った総額-4378円×利用した月数-2200円」となります。
最後の2200円は手数料で,月額払いプランの場合は返金システムは利用できません。
なお,返金を希望する場合は,その旨を問い合わせフォームから連絡する必要があることもお忘れなく。
ところで,長期休暇前などにキャンペーンが実施されることがあるので,詳細は以下の記事で確認してみてください↓
例えば,2023年5月8日まで実施されていた新年度学習応援キャンペーンでは,12ヶ月プランの料金が12100円引きになっていました。
河合塾Oneで評判なお得情報
河合塾Oneにはトレーナーを付けたり先生に授業内容を質問することができるサービスがあります。
トレーナーとは担任制度のようなもので,難関大の学生が2週間ごとに学習計画を立ててくれる他,日々の悩みをチャットで相談できると評判です(進路や学習方法など)。
なお,実際にどのような人に付いてもらえるかについては,こちら側から希望情報を伝えることができます。
文系や理系の希望や学部,そして大学名や部活動などを入力しましょう↓
条件を厳しくするほどに該当するトレーナーの数は減ってしまうことになりますが,第3希望まで優先順位を付けて送信することが可能です。
利用料金は月に1100円余計にかかりますが,サービス内容を考えると評判になるのもわかるお得なオプションだと思います。
特に数ヶ月以上使う予定があるのであれば,是非検討してみてください(月ごとに変更することも可能です)。
続けて質問サービスについてですが,そもそも月3回までは無料でできるのですが,足りなくなった際,1回550円で回数を増やすことができます。
河合塾Oneの教材限定で,通常3日以内に返答されるサービスです(大体どこも似たようなサービスです)。
そして,最も評判なお得情報ですが,本サービスを利用することで,河合塾(本科)の入塾金が免除になります。
その額は圧巻の一言で,もしこれらが利用できる立場にあれば,本サービスの利用料金などは比にもならないでしょう↓
- 高校グリーンコースは3万3千円が免除
- 大学受験科は10万円(時期により変化)の免除
私の時代は,模試で良い成績を取ることで授業料が免除になったり,無料講座に出ると半額になったりもしましたが,そのような予定がないのであれば,河合塾Oneを契約した状態で本科に入塾するようにしてください。
ただし,一度でも退会してしまうと本特典は利用できなくなります(無料体験期間中の会員も利用できません)↓
逆に考えると,簡単に退会できてしまうところも気楽に使いやすいサービスだと言えるでしょう。
まとめ
以上,河合塾Oneの特徴から始まり,科目や料金を含む各種評判についてみてきましたがいかがだったでしょうか。
それにしても,AIが学習者の出来を自動で判断し,最適だと思われる教材を提示してきてくれる未来型学習を利用できる昨今の高校生はラッキーですね!
評判なトレーナーによるサポートをこれに加えれば準備としては万全の状態になりますし,提供元はなんといっても,私が大手塾で大きな信頼を置いている「河合塾」です。
教材の質については何も心配することはないですし,河合塾Oneで基礎を固めてから本科に通うといった使い方も十分に考えられます。
同塾のサービスですから,教え方が変わって戸惑うようなことにはなりません。
その昔,仲良くしていた音楽大学の教授が,「簡単なことを大学に来てまで学んでいるのだから勿体ない。基礎部分を独学してから入ってくればもっと授業が効果的なものになるのになぁ」と漏らしていたのを思い出しました。
音楽以上に勉強は実践しやすいわけですから,基礎部分を独学しておかない道理はありません。
科目数や内容がもっと充実してほしいというのが本音ではありますが,そうするとまた利用料金も上がってしまうでしょうし,もし今利用したい科目がある場合はこの時期を逃さない方がよいでしょう。
好評なAIによる個別最適化学習を体験してみたい方も,是非試しに使ってみてください。
最後までお読みいただいた方,ありがとうございました。