2020年に小学校でプログラミングが必修化されましたが,使用される可能性のある教材については,文部科学省の運営するサイトにおいていくつかの有名ソフトウェアや基板,ロボットなどがまとめられています。
そこで,授業が開始になる前の段階からそれらについての知識をある程度身に付けておくことで,直前になって焦らずに済むでしょう。
また,実際に使われる教材名を頼りに,例えば仮にプログラミング教室に通わせてみようと思った際にも「○○(教材名)が習える教室を探そう。」などと有利に事を運べるはずです。
今回は,プログラミング教材を提供している各社公式サイトを訪問し,どういった教材がどのような意図で提供されているのかについて理解していきましょう!
ソフトウェアの候補
「ソフトウェア」と聞くと,小難しいプログラミング言語が頭に浮かぶでしょうが,2020年のプログラミング必修化により小学生が使うことになるソフトウェアは,ビジュアル型のプログラミング言語(直感的にわかりやすいもの)であるのが通常です。
候補となっているソフトウェアで有名なのは,
- プログラミン
- Scratch(スクラッチ)
- Viscuit(ビスケット)
- プログル
- Hour of Code
の5つとなります。
ここでは最初の3つを例に,どのようなことができるのか確認してみましょう!
プログラミン
- 名称:プログラミン
- 提供:文部科学省
こちらは「プログラミン」と呼ばれる動物(?)を積み重ねて,イラストを動かしてアニメ―ションを作成できるソフトウェアになります。
各プログラミンは単純かつ明確な命令を持っているのですが,それらを組み合わせることで,色々な動きが楽しめるのがウリです。
工作用のデスクマット上に絵を配置し(ここでは犬にしますが),その上にプログラミンを配置します。
下の画像では,試しに6匹のプログラミンを積んでみましたが,その後,再生ボタンを押すことで,プログラミングした通りに犬のイラストが動いて,仕上げに「わん」と鳴かせることができました↓↓
自分が作ったプログラムは保存できますし,気に入った「お手本」があれば,そのプログラミングについて詳しく確認することもできます↓↓
遊び心に富む小学生ですから,「笑いの起こるプログラミングを何とかして作ろう!」と頑張ってくれるように思います。
小学生向けに大変に使いやすいソフトウェアに仕上がっていると感じました。
追記:残念ながら,Adobe Flash Playerの提供とサポートが終了したことに伴い,2020年の年末をもってサービスを終了しました。
Scratch
- 名称:Scratch(公式サイト)
- 提供:MITメディアラボ
先に紹介したプログラミンは,実はこの「Scratch」を参考に設計しています。
実施例も多く,先のプログラミンが入門用としたら,こちらはスタンダードなソフトウェアです。
新しいソフトウェアも続々登場してきてはいますが,私的には,このScratchと次に紹介するViscuitを中心に今後も多くの授業が展開されていくように感じています。
主に8歳から16歳向けですが,世界規模でみると数百万人の人にも使われており,内容も盛りだくさんです↓↓
他人が作ったものを覗いてみると,実際に遊んだことがあるゲームに似た作品が数多く並んでいますが,中身をみると,かなり複雑なプログラミングによって動作していることがわかります↓↓
ゲームクリエイターやアニメーターを志す人の初めの一歩は,こういうところから始まるのかもしれません。
なお,実際にScratchを使って創造力の育成や論理的思考を学ぶことができる小学生向けの動画があるのでご視聴ください↓↓
Scratchを学べるプログラミング講座や教室については最後に紹介しています。
Viscuit
- 名称:Viscuit(公式サイト)
- 提供:合同会社デジタルポケット
Viscuitは文字を使わず,自分で描いた絵を動かすことのできるソフトウェアです。
パソコンやタブレットの他,スマホでも利用することができます。
サイトに行ってみてください。
「やってみる」という魚の絵をクリックしてから,次に「はらっぱ」を選択。
さらには好きな色の背景を押し,出てきた鉛筆のマークをクリックすれば準備は完了です。
この先の操作に関しては,こちらも指導者向けの動画が利用できるので,以下で確認してください↓↓
魚が口を開閉しながら前に進むところまで覚えたら,かなり自由に遊ぶことができます。
基板の候補
基板としては,
- micro:bit(マイクロビット)
- Raspberry Pi(ラズベリー・パイ)
が有名です。
基板なのでパソコン,またはモニタやキーボードと接続して起動し,パーツの一部として機能します。
例えばマイクロビットの場合は,パソコンの専用アプリで作ったプログラムを転送すると,音や文字などを表示してくれます。
使える機能をいくつか挙げてみると,
- LEDで光らせる
- 光や温度センサー
- 動きセンサー
- 無線通信
などがあり,単純に文字を映し出すようなものから,ラジコンなどのロボットまで作れます。
ロボット教材
ロボット教材としては,
- 教育版レゴ
- アーテックロボ
が有名です。
基本的には,ブロック+センサー+モーターなどを組み合わせてロボットを組み立て,専用ソフトウェアで起動します。
アイコンを並べるだけでもプログラミングできますが,JavaやC言語で制御もできます(レゴの場合)。
レゴのマインドストームは,周りでも好きな小中学生が多いですね↓↓
かなり本格的なレベルまで学べ,この先となると,いよいよプロ仕様のpythonへと進むことになるでしょう。
なお,マインドストームはかなり昔からある有名どころなので,今でも多くのロボット教室で学べるはずです。
プログラミング教育の実施例
学術都市であるつくば市の小学校では,児童の発達段階に合わせてカリキュラムが組まれています。
それにより,扱う教材も学年ごとに変わってくることに注意してください。
同市で2018年度に実施されたカリキュラムは「コアカリキュラム」と呼ばれ,基本の骨組みは上記画像にある計画に沿って行われました。
小学1・2年生では,ソフトウェアで紹介した文部科学省の「プログラミン」が採用されています。
懐かしの「スイミー」の1場面から,音読に合う背景をアニメーションにする国語の授業の一環として用いられました。
小学3年生から5年生までは,より複雑な「Scratch」が活用されており,理社のクイズ作成や図形を描く授業が行われます。
そして小学6年生になると,「マイクロビット」の基盤を利用し,プログラミングで作動するセンサーづくりから外国語活動まで幅広く用いられたとのことです。
プログラミング教育で注意したいのは,何かの授業の一貫としてプログラミングが利用されるということと,各教材に慣れ親しむのに一定の時間がかかることから,一度決めた教材は一定期間使うということです。
例えば小5の社会ではプログラミングを行いながら食料品の産地についての理解を深めました。
あくまで授業内容とリンクしているので,その科目に習熟しておく必要があること,そして一度遅れを取ると落ちこぼれてしまう危険性があることにも注意したいですね。
まとめ
今回は,2020年のプログラミング必修化に導入されそうなソフトウェアや基板・ロボットについて簡単に紹介してきましたが,その他にも小学生に人気の「マインクラフトを教育向けに改良したもの」なども出てきています。
今後も,より小学生が使いやすいものが登場してくるかと思いますが,プログラミングを通して論理的な考え方を身に付けるためには,何よりも小学生自身が楽しんで学べることが大切です。
同じ教材を使っていても,教え方一つで授業の楽しさは全然変わってきてしまうので,特にプログラミングの初印象が悪くならないように,評判の良いロボット教室・プログラミングスクールに通ってみるのも,良い結果を生むことになるかもしれません。
今回紹介したScratchやLEGOのマインドクラフトについて学べる通信講座や教室は,以下のページでいくつか紹介しています↓↓
参考
実際の授業ですが,教員側は基本的に,自分たちで何かを新しく作り出すよりも,うまくいっている授業例を真似して,少しだけ自分のクラスに合うように改良していくのが普通です。
ゆえに,今回紹介したような,現時点の段階から頻繁に使われている教材を用いて学んでおくことを,プログラミング教育の予習段階としておすすめします。
特に,教員の研修用教材として,先に紹介したScratchとViscuitが代表例として取り上げられていることもあり,これら2つは授業のどこかで用いられる可能性が高いはずです。
保護者の方でも興味がある方は,チェックしてみてください↓↓
参考
地域によって状況は異なると思いますので,実際に使用している教材やプログラミング教育について何かお気づきになられた方は,ぜひご意見いただけると幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。