学習指導要領

巣鴨中学高校の教育方針に学ぶ,2020年に必要な能力と資質

中高一貫校の巣鴨中学・高等学校は,御三家に次ぐ名門男子校の1つですが,『硬教育』という教育理念の元で生徒を育てているようです。

今回はそんな巣鴨の建学の理念について学びながら,2020年に生きる中学生・高校生が学生時代に身に付けるべき資質・能力のヒントを掴んでいくことにしましょう。

 

 

中高一貫校の巣鴨,基本情報

学校名:巣鴨中学校・高等学校

場所:東京都豊島区

創立者:遠藤隆吉

創設年:1910年(巣園学舎)→1922年(巣鴨中学校)

偏差値:73(高等学校),52~60(中学校)

『硬教育』の名の下で,流行に流されず伝統や規律を重んじた教育(例:剣道)に加え,時代の流れに合わせた最先端教育(例:イートン校サマースクール)の両方を実践している男子校。

最近は医学部志望の子が塾に来ることが多いですね。

 

 

巣鴨の硬教育と軟教育

MabelAmber / Pixabay

「硬い」という言葉からはあまり良いイメージを持てない方もいらっしゃるでしょうが,正確な知識や論理を持った頑固者がぶれずに自らの考えを貫き通せば尊敬されるように,巣鴨の言う『硬教育』においても,当たり前のことを流行に流されずにやることが基本の考え方となっています。

しかし,この巣鴨の建学の精神の真の目的が,

努力することが報われて,何かを成し遂げる体験をしてほしい

という願いであることは,意外と世間に知られていないかも知れません。

 

ところで『硬教育』の反意語として,明治時代にアメリカから入って来た『軟教育』というものが知られています。

これは,現在多くの塾や予備校でみられるような,

物事を手取り足取り噛み砕いて,わかりやすく教えること

という意味です。

何でも聞いたことを教えてもらえるというのは,一見とても良いことのように思えますが,他人の手を借りず,自分1人の力だけで何とかして理解に至ったときには特別な価値が生まれます

例えば,お坊さんが悟りを開くときのことを考えてみてください。

師匠に何を言われようとも,結局は自分の力で師匠の言葉の意味を理解しなければ悟りには至れません。

それに,何かを初めて学ぶという体験は,そもそも一度しか経験できないことです。

そんな貴重なチャンスを簡単に他人にゆだねてしまってよいのでしょうか,私は大変にもったいないことだと感じています。

「中学と高校の6年間は,人の土台を作る大切な時期だ。」

というのは,多くの人が納得している意見です。

この時期の学生特有の吸収力の高さや記憶力,そして体力を活かして,どんな困難も一人で乗り越えられるという自信をいくつかの成功体験を通して身に付けることができたら,きっと将来生きる上で大きな武器になります。

これはSociety5.0と呼ばれる社会を生き抜くうえで非常に大切な力となりますので,時代の要請にもあっています。

参考記事:新学習指導要領と生きる力について

 

次章では,そんな成功体験を生徒に感じさせる,巣鴨伝統の行事について説明していきましょう!

 

 

成功体験をすることの重要性

strecosa / Pixabay

巣鴨では大体5月頃に大菩薩峠越え強歩大会が行われます。

これはもうすでに50年以上の歴史があり,校長によると,

「苦労や努力の後に感激が得られることを生徒に知って欲しい。」

という思惑があります。

自らの力で何かに成功するという体験を,中1から高3までが全員参加で学ぶというわけですね。

歩くことになる距離は圧巻の一言で,

  • 中1:20.9km
  • 中2と中3:26.0km
  • 高1:27.0km
  • 高2:33.9km
  • 高3:34.5km

となっています。

配布された栞に目を通すと,とにかく注意事項は多く,スマホなどは持っていけませんが安全面には極めて配慮されている印象。

  • 行き:21時に上野公園集合→…→中央高速→勝沼インター→塩山北中(0時)
  • 帰り:翌日11時に青梅出発→圏央道→…→大塚(16時)

といったコースをバスで行きます。

実際歩くのは真夜中の1時30分から約9時間ですが,最初それを聞かされたときは「正気か」と耳を疑いましたよ(笑)。

全員懐中電灯を手にして歩きます。

万歳三唱はさておき,途中の小屋でカップラーメンを食べるのは毎年の恒例。

この行事だけで身体が強くなることはないですし,ケガをしたりする生徒も出てくるのは当然のことですが,達成感は確実に得られますしそれが感激につながっていきます。

その他,巣鴨では遠泳や寒稽古などの行事もありますが,そちらは強制ではないし(中1の遠泳は必修)費やすことになる時間もずっと短いです。

やはりこの強歩大会が一番の行事だと思います。

 

 

まとめ

inseng0 / Pixabay

以上のことを踏まえ,巣鴨の教育方針からみえる中高生のときに経験しておくべきことについてまとめてみると,

  • 受け身的にただ教わることに満足せず,自ら努力し試行錯誤を繰り返しては,自分の可能性に気づくこと
  • 実行するのに困難を伴うことを経験し,達成感のような目に見えない何かを確実に得て感激につなげること

などとなりますが,これは巣鴨生に限らず2020年以降に生きる中高生も大いに参考にすべき考え方であるとも言えるでしょう。

前者はまさにアクティブラーニングそのもので,積極的で深い学びにつながりますし,後者からは共感や思いやりさらには母校愛といった,社会に出ていく上で特に必要とされるものを学び取る経験ができます。

その他,教育改革についての意見として,

英語をうまく扱える高度な4技能を持つ生徒よりも,深みのある内容を話せる生徒の方が評価されるはずだ」

というのが,巣鴨の校長先生の意見です。

ふとここで,学生時代に能や狂言のような日本文化を観に行かせられたり,修学旅行先が歴史的な都市であった生徒たちについて考えてみましたが,こういったものも自国に詳しくなることで外国人に対する意見を持てるようにする意図があったのかもしれませんね。

 

最後にもう一つ。

自らが努力し,試行錯誤という失敗体験を反省につなげては潜在能力が開花するまで努力し続けるのは,とにかく時間がかかってしまうのがネックです。

ですがそれをせずに学生時代を過ごして大人になってしまえば,もうそういった経験を積むことは難しくなるでしょう。

そのためにも,あれこれ思いを巡らせる時間を無駄とはみなさず,とことん真面目に勉強することで,自ずと今後社会を生き抜くための資質や能力が身に付くというのを結論とし,本記事を締めさせていただきます。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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  • この記事を書いた人

スタディサイト管理人

都内で塾運営にかかわってから,講師歴も15年以上になりました。小学生から高校生まで,英数を中心に学校の定期テストから大学入試まで幅広く教えています。最近の関心事は「教育改革」で,塾に入ってくる情報に加え,セミナーや書籍,信頼のおける教育機関より得た情報をまとめています。すぐに実践できる勉強法やオンライン教育サービスを利用した学習戦略も意欲的に掲載。ネットを介したやり取りにはなりますが,少しでもみなさまのお役に立てたらと思います。

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