【大学受験の学習計画】理系独学で難関大を攻略する「プランブロック式」勉強法(書評)

東大院修了(農学修士)×指導歴20年|教育・Web運営専門家 さんくす

さんくす

指導歴20年。東大院修了(農学修士)。当初は教授に理解を疑われるも,異常なまでの探求心と没頭力が認められ,最後は「数年に一度の秀才」と惜しまれつつ研究室を去る。Webメディア運営10年で確固たる実績(国内最大級ASPにてトップクラスの称号)を築き,企業に忖度しない本音を発信。教育・Web運営の専門家として,最短ルートの勉強法を論理的に伝授します。詳しいプロフィールは運営者情報をご覧ください。

「塾に行かずに,独学で難関大学に合格する」というのは夢物語のように聞こえるかもしれませんが,「プランブロック式戦略的学習計画法」という書籍を読めば,それが決して不可能ではないことに気づくはずです。

今はAIなどの便利な学習ツールを誰でも安価に借りられる時代ですから,「何を使って勉強するか」以上に,「どのような計画で勉強を進めるか」の重要性が極めて高まっています。

本書はあくまで理系の受験生をメイン読者に想定して書かれてはいるものの,文系を含む幅広い層に「本当に正しい勉強の仕方」を伝授してくれる1冊となっているので,高校1年生など早めに読んでおくほど,より多くの恩恵を受けられるでしょう。

私は職業柄,こうした勉強法の本を読むことが多く,これまでは東大理IIIに合格した人の体験談をまとめたものがお気に入りだったのですが,塾で指導するプロの人間が「市販の参考書や問題集の具体的な使い方」まで踏み込んで詳しく解説した本は非常に珍しいです。

普通,こうした本は「英数はこの塾に通うべき」といったポジショントークや,著者が関わる高額な教材の宣伝目的を兼ねて書く人が多いものです。

しかし本書は,全国の書店で誰でも手に入れられる「市販の教材」を中心に構成されています。

本屋に行けば見掛け倒しで中身の薄い本ばかりが目につき,動画サイトやSNSではすぐに忘れ去られるような一時的な勉強法が絶賛されている昨今。

本書を読むことで,そうした「表面的な薄っぺらい情報や一時的な流行」に惑わされずに済むでしょう。

受験勉強に直結する実践的なテクニックも惜しみなく語られているため,長年指導している私から見ても「目から鱗が落ちる」ことが一度や二度ではありませんでした。

プランブロック式の学習法はあらゆる勉強に応用できるため,大学受験に限らず大人になってからの資格・検定試験にも役立てられますし,現在予備校に通っている方にとっても,普段の勉強の効率を劇的に上げるヒントが得られます。

前置きが長くなりましたが,以下では「プランブロックとは一体何であるか」の説明から始め,本書から得られるメリットや,どんな人におすすめなのかについて詳しく見ていきましょう!

プランブロック式戦略的学習計画法の概要

プランブロック式戦略的学習計画法の表紙・KADOKAWA出版

基本データ

書名:プランブロック式 ゼロから理系難関大学に合格できる戦略的学習計画法

著者:草下靖也(イラスト),山本咲希(監修)

出版:KADOKAWA

ボリューム:303ページ(別冊あり)

ISBN:9784046053701

価格:1650円

出版年:2022年3月

『プランブロック式戦略的学習計画法』を読むことで,本来であれば一部の優秀な塾に通わなければ絶対に得られなかったはずの「秘伝の勉強法」について広く学ぶことができます

「勉強法」と一口に言っても,細かくは「長期的な計画(戦略)」と「日々の学習法(戦術)」に分けることができます。

前者では大学受験本番までのロードマップの立て方を学び,後者では圧倒的な実績を持つ塾で実際に指導されている「点数を取るための知見」を得ることが可能です。

本書は全部で6つの章から構成されますが,戦略部分は主に「1・3・4・5章」,戦術は「2・3・5・6章」において語られており,どちらの面からも非常に充実しているように感じます↓

プランブロック式戦略的学習計画法の目次

以下に,

各章の内容を簡単にまとめておきましょう↓

本書における各章の内容と分量

第1章:プランブロックについての理解を深める(11ページ)

第2章:プランブロックで頻繁に登場する学習法について知る(16ページ)

第3章:科目別のプランブロックと学習法の紹介(163ページ)

第4章:実践するにあたり毎日の時間割と年間計画の作り方を学ぶ(16ページ)

第5章:学習法を修正し改善するための方法について理解する(15ページ)

第6章:受験全般に役立つ学習法のヒント集(51ページ)

分量的に最も多くなっている第3章はもちろん素晴らしいのですが,指導者の視点から見ると第6章は絶対に読んでほしい必見の内容です。

さんくす
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これらに関しては,次章以降で実際のテキストの一部を画像で紹介します。

ところで,私の周りを見渡してみると,高い塾に行くことなく独学で難関大学に合格した人というのが一定数存在しており,彼らは本書で語られているレベルとまではいかなくても,自分なりの効率的な勉強法を独自に編み出している人がほとんどです。

その方法は,彼らが長い時間をかけて試行錯誤して作り上げた非常に独自色の強いものですが,本書に書かれた指示に丁寧に従っていくと,そうした「頭の良い人たちの勉強法」を自然と真似して実践できてしまいます。

このときのポイントは,

  1. 自分の今の時期と実力に合わせて,適切な難易度の教材を選ぶこと
  2. 無駄を省き,学習の効率を最大限に重視すること

の2つです。

「情報戦」とも言われる現代の受験において,本書を読めば「知らなかったせいで遠回りしてしまう」という危険な事態を確実に防ぐことができます。

今後どこかの塾や予備校に通う予定がある人にとっても,大学受験に必要なすべての科目を塾で習い切ることは不可能であり,どこかで必ず「自分一人で独学する時間」が必要になります。

本書には,学校や塾の授業を受ける前の「予習のコツ」も載っているので,できるだけ早いタイミング(高1や高2)で本書を読んでおくと,受験勉強で周りに差つけられる場面が非常に多くなるでしょう。

 

 

プランブロックのルール(積み上げる計画法)

プランブロックの見方

さて,本書のタイトルにもなっているように,受験までの戦略を立てる上で非常に頼りになるのが「プランブロック」という考え方です。

英語の例を上に示しましたが,見た目は積み木で作ったピラミッドのような形をしていて,以下のルールが設定されています↓

プランブロックの6つのルール

  1. 同じ段に位置する課題は「同じ時期」に並行して行う
  2. 習得できたかどうかは「セルフテスト」の結果で客観的に判断する
  3. 期間はあくまで目安であり,「できるようになること」を最優先する
  4. 1~3ヶ月ごとに終わったブロックを総復習する
  5. ★が書かれたブロックを完璧に終えない限りは,絶対に上に進まない
  6. 同じ段の課題が一部早く終わった際は,別の科目の進め方を工夫する

先の画像を見れば「初級単語・文法・構文」のブロックは同じ最下段(土台)に置かれています。

なので,これら3つの要素は同時進行でバランス良く学んでいく,というのが1つ目のルールです。

ルール2つ目にある「セルフテスト」というのは,本書において次のように定義されています↓

「セルフテスト」とは,制限時間を設けた演習のこと。テストしたい内容に合わせて「暗記チェックテスト」と「演習テスト」の2つのテストを使い分けよう!

要するに,わかったつもりになっていないかを確認するために,重要事項を暗記できているかチェックし,これまでに学んだ問題を基に確認テストを自ら作成して解いてみるわけですが,限られた時間の中で一定の得点率を超えていれば,「合格」として次の段階へ進んで構わないという仕組みです。

この一番下の土台部分に費やせる目安期間は3~6ヶ月とされていますが,プランブロックの最も重要な基礎であるため,理解不十分なまま焦って上に進んではいけません。

「大きな家を建てようと思ったら,まずは土台を広く深く固めましょう」などと学校の先生から聞かされたことがある方は,まさにその教えをシステム化したものだと思ってください。

復習についてはルール4で語られていますが,こちらもまた,ただテキストを終わらせるスピードよりも「確実に解けるようになること(定着)」を何より重視していることが伝わってきます。

本書ではその日の復習や週ごとの復習についても具体的なやり方が言及されているので,購入後にぜひ確認してみてください。

さんくす
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特に「ショートレビュー」と呼ばれる復習法は,大学生や社会人になってからの資格勉強でも使える一生モノの非常に便利なテクニックです。

ルールの5と6はそれほど頻繁に意識するものではありませんが,数学や英語など,毎日の積み重ねが必要な科目を学ぶ際に重要になってきます。

ところで,プランブロック式勉強法が興味深いところは,大学合格という頂上にたどり着くための一本道(直線)ではなく,土台から着実に積み上げる「山全体(面)」をどう作っていくかを視覚化しているところです。

これにより,一つの科目に偏らずに複数の書籍を併用することや,定期的な復習の重要性を自然と強く意識するようになります。

また,それぞれのブロックに対して「どの参考書や問題集を使うか」は,同じ目標が達成できるレベルのものであれば基本的に何を使っても良いため,「絶対にこの参考書を使わなければならない!」といった強要がないところが非常に使いやすいです。

手取り足取りすべてを教える指導法では,生徒が自立できずにすぐに限界が来てしまうわけですから,自ら考えて学ぶ「自律的な学習態度」を身に付けられる本書は,これからの時代に最も求められている内容だと思います。

極端な話,本書で紹介されているおすすめの書籍が数年後にすべて絶版になってしまっても,この「考え方」さえ身についていれば,自分に合った参考書選びに困ることは一生ないわけです。

といったわけで,プランブロックというのは中々に画期的な素晴らしいアイディアだと思うわけですが,次章から,本書から得られるメリットについてさらに具体的にみていきたいと思います。

 

 

難関大を受験するための「本気の心構え」を学べる

プランブロック式戦略的学習計画法を用いて学ぶ最大のメリットですが,まず1つ目に難関大受験に臨む際の「本気の心構え」と「基準の高さ」を知ることができる点が挙げられます。

いわゆる「名門進学校」と呼ばれる学校では,高校2年生の間に高校3年間で習う全ての学習範囲の授業が完了しており,最後の1年間は過去問を使った実戦的な演習に膨大な時間を充てることができます。

名門校の多くは中高一貫の私立であるため,公立と比べて独自の早いカリキュラムを採用しやすい強みがある上,周りから見れば圧倒的に早いペースであっても,毎年多くの難関大合格者を輩出する環境にいる生徒にとっては「それが当たり前の基準」なのです。

なので,一般的な学習進度の公立高校などに通う生徒は,そうした「圧倒的に先を進んでいるライバル」が存在することをいち早く知り,自学自習でその遅れを取り戻していく必要があります。

難関大の合格に必要な勉強時間については,本書の序章に書かれている,

難関大学に合格する学力をつけるための総学習時間は4000時間と言われている(p.12)

という事実を知るだけでも,これまでの自分の甘い学習態度を反省し,気を引き締める材料になるでしょう。

具体的な勉強のヒントは第6章を中心に数多く収録されていますが,例えば「土日に2時間ずつ勉強する」と仮定したときに,

  • 土曜日は2時間ずっと数学をやり,日曜日の2時間は全て理科を学ぶ
  • 1時間数学をやり,次に1時間理科を勉強する。この時間配分を2日間とも行う

のどちらにすべきかを,脳の仕組みに基づいて自ら論理的に判断できるようになります。

ちなみに本書では「土曜日に1時間数学を学んで次に1時間理科を学んだ場合,日曜日は理科を先に1時間勉強し,数学の学習1時間を後回しにする」というサンドイッチ型の学習法が紹介されており,これはたとえ難関校に在籍している高校生であっても簡単には思いつかない素晴らしい工夫です。

以下に第6章で紹介される学習法の一部を示しますが,本書を読んでこれらのうちたった1つでも自分のモノにできれば,以前の自分とは明らかに違う高い視点から受験勉強をコントロールできるようになります

プランブロック式戦略的学習計画法の第6章で紹介される学習法の一部

すべてが根性論ではなく論理的に書かれているので,純粋に読み物として見た場合も非常に面白く,知的好奇心が刺激されるはずです。

筆者の草下靖也氏は東大の教育学部を卒業しており,塾業界での指導歴も長いため,彼ほど「勉強の正しいやり方」を体系立てて語れる人は極めて少ないでしょう。

さんくす
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実際,氏の勤める塾のサイトをみてみると,全国の講師を集めて指導法をお披露目する研修会を開くこともあるようです。プロを指導するプロということですね。

 

 

大学受験に必要な「参考書の正しい選び方」がわかる

今改めて考えてみると,参考書の種類や正しい使い方について,それも全科目を網羅して教えてくれるような授業を受ける機会は,学校でも塾でもこれまでほとんどありませんでした。

動画サイトやSNSで「この参考書が良い!」と紹介されているものは,あくまで「その配信者がたまたまそれで上手くいっただけ」であることが多く,結局のところ新刊のレビューや個人の感想でしかないわけです。

参考書の世界において,「出版年が新しいこと」というのはあまり役立つ基準ではありません。

というのも,塾講師がその本の本質的な使い方に精通するまでに長い時間が必要ですし,実際にその本を使って生徒が志望校に合格できるかどうかは,数年がかりで生徒の合格実績を確認しなければ証明できないからです。

私は自分の生徒に,数十年前から発売されている色褪せない「名著」を今でもあえて使わせることがあります。

肝心なのは「その参考書をどのような目的で,どの時期に使うか」であり,プランブロック式戦略的学習計画法の第3章を読めば,自分の今の学習段階でどのような参考書を選ぶのが最適かが一目瞭然です↓

英単語のプランブロックに利用する参考書

上の画像は英語の「中級単語」のプランブロックのページになりますが,王道を行く『速読英単語 必修編』を始め,全国の高校生が使っている『英単語ターゲット1900』や『システム英単語』,『DUO 3.0』,さらには難関大受験生御用達の『鉄壁』までもがしっかりとリストアップされていました。

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ちなみに,速単は第8版が2025年3月に登場しましたし,2000年に登場したDUO 3.0は今でも全く色褪せない現役の最強単語帳です。

それぞれの単語帳に対して,プロの講師目線からの鋭い書評がある他,「もしこれが合わなければこちらでも良い」という代わりの教材が紹介されているところが大変素晴らしく,どれを選ぼうとも「決めた1冊を完璧に仕上げれば確実に力がつく」という安心感があります。

そして,選んだ単語帳を「具体的にどのように使うか」についても丁寧な記述が確認でき,1日の学習ペースや復習のためのテスト作り,さらには著者の塾で実際に行われている暗記のコツやテクニックまでが惜しみなく公開されていました↓

英単語のプランブロックに対する勉強方法など

ここで身に付けた学習法は,英語の単語帳に限らず,理科や社会の重要語句を暗記するときにもそのまま応用することができます。

プランブロックの1つ1つのステップにこうした解説ページが用意されているわけで,本書の半分以上が「科目別のプランブロックの解説」で占められていることからも,第3章が本書のメインコンテンツであることは明らかです。

なお,本書は「理系難関大」をメインターゲットとしているため,国語や社会科については理系科目(数学・理科)と比べて解説が少し控えめであることには注意してください。

ところで,内容が良い参考書というのは世の中に数多く存在していますが,その「正しい使い方」に限って言えば,インターネット上に書かれている情報はあくまでその本にしか通じない限定的なものばかりです。

本書では世の中にある複数の名著と呼ばれる参考書を,どのようなタイミングで,どのように連携させて使っていくべきか(参考書同士の繋がり)を知ることができるため,それだけでも本書を購入する価値は十分にあると言えます。

 

 

大学受験に対する「不安や迷い」が消え去る

見えない敵と戦うとき人は最も不安になるもので,大学受験の全体像(ゴールまでの距離)がわからなければ,当然日々の勉強に迷いや焦りが生じてしまうはずです。

今の自分の立ち位置がわからなければ,自分のやっている勉強法に自信が持てなくなり,不安ですぐさま足が止まって参考書を変えたくなってしまうでしょう。

時間がただでさえ足りない受験生は,迷っている時間を1秒でも減らして効率の良い学習を心掛けるべきですから,このような「迷走状態」に陥っては大変です。

その点,このプランブロック式戦略的学習計画法を用いて早い段階から全体を見渡して計画的に勉強していれば,精神的に追い込まれる時期が来ても,「今,自分が全体の中でどの位置にいるのか」を見失うことはありません

予備校に通っていればプロの講師が「君のペースなら大丈夫」と客観的に声掛けしてくれますが,特に浪人生や自宅にこもって独学で勉強している人は一人で孤独に迷いがちです。

良かれと思って新しい参考書を1つ増やせば,限られた時間の中で逆に復習にかける時間が減り,何かを犠牲にしなければならないのが大学受験生というものです。

だからこそ,本書を信じて正しい順序で学び,自信を持って歩みを止めないようにしましょう。

なお,独学の不安を解消する手段として,最近の生成AI(ChatGPTなど)は「いつでも質問できる学習の伴走パートナー」として非常に優れていますので,ぜひ併用してみてください↓

本書に載っている「難関大合格までに積み上げるべき数多くの参考書」の量をただ眺めるだけでも,

合格する先輩たちは,ここまで徹底的にやっているんだな。

と事実を思い知ることになって,甘えを捨てて本気で机に向かう覚悟も決まるというものです。

それこそ高校1年生や高校2年生など,まだ時間に余裕があるうちに本書を読んで「受験の全貌」を把握しておき,第5章の内容を基に自分のペースに合わせて適宜スケジュールの修正や改善を行って,自分ならではの「必勝スタイル」を前もって作っておきましょう!

 

 

プランブロック式戦略的学習計画法を読むべき人とは

前章ではプランブロック式学習法の素晴らしいメリットについて語ってきましたが,最後に,この本が「どういったタイプの人に特におすすめできるか」について触れておきたいと思います。

最後までやり抜く「強い意志(忍耐力)」がある人

本書は,一般的な高校生からすると明らかにレベルが高い「難関大学(旧帝大や早慶など)」に入るための,妥協のない学習法を伝授するためのものです。

東大や国公立大学の医学部合格すら狙える本格的な内容なだけに,著者が言わんとしている意図を正しく読み取る読解力や,それを毎日の生活で実際に実行できる「行動力」が必要になります。

例えば冬の直前期になれば,「本番と全く同じ時間割・同じ環境下で過去問を解くこと」が当然の訓練として求められます

精神的にも体力的にも疲労困憊するのは承知の上で,本番の試験スケジュール通りに全教科分の過去問を解き切る訓練をしていかなければなりません。

もちろん,この過酷な訓練には「本番でのスタミナ切れを防ぐ」という明確な理由があるわけですが,著者の厳しい指示に最後まで食らいついていけるかどうかは,読者の「やり抜く忍耐力」にかかっています。

大学入学共通テスト一つをとってみても,例えば理系の2日目だと9時30分~11時40分まで理科の2科目をぶっ通しで解き,お昼を挟んで13時~14時10分まで数学IAを,15時~16時10分まで数学IIBCを解き,最後に17時~18時に情報Iを解かなければならないわけです。

試験会場での拘束時間は実に丸1日(長時間の連続稼働)にも及び,しかもこれらを本番と同じ緊張感で行い,もし早く解き終えても終了のチャイムが鳴るまでひたすら見直しを続けるためには,日頃からかなりの忍耐力と精神力を鍛えておく必要があると言えるでしょう。

 

自分への甘えを捨てて「セルフテスト」を実施できる人

過去問を解くなどの直前の実戦期を除いては,日々の勉強は基本的に基礎を固めるための「セルフテスト(自己確認テスト)」を繰り返すことになります↓

学習の初期段階に行われるセルフテスト

独学で進めるとなると,このセルフテストを誰かに用意してもらうのではなく自分で作成する必要があり,それまでに学んだ問題の中から復習すべき内容を自らの判断で選び出し,ストップウォッチで時間を測って厳密に解き直さなければならないのです。

問題の選び出しはサイコロなどを使ってランダム(シャッフル)に行うようにし,制限時間に関しては「初めて解いたときにかかった時間の半分」などと,自分なりの厳しいルールを決めるようにしましょう。

もちろん,今は問題の写真を撮って生成AIに「似たようなテストを作って」と指示して作らせてみるのも大変賢いやり方です。

「今日は疲れたからいいや」とセルフテストを省略した途端に,定着していない知識が抜け落ちて学力の土台があっけなく崩れ去ることになります。

また,制限時間内に終わらなかったり不正解だった問題は「なぜ間違えたのか」の原因を深く分析する必要も生じるため,意志が弱い学習者は「答えを見てわかった気になる」という楽をしたい誘惑に負け,最悪の場合は途中で挫折してしまう恐れがあることには注意してください。

 

質問できる環境や「第三者のサポート」を確保できる人

本書の学習法は基本的に「独学」で進められるように書かれていますが,参考書や問題集をただ買って一人で黙々とやるだけでは不十分な場面も出てきます。

これはつまり,記述問題(英作文や数学の証明など)の添削や採点については,信頼できる第三者(先生など)に,最初のうちだけでも「客観的なお手本や指摘」をもらうことが絶対に必要であることを意味します↓

第三者によるチェックについて言及したページ

周りにすぐ質問できる友人や学校の先生がいる現役生であれば簡単なことかもしれませんが,自宅にこもって一人で独学する浪人生などは,最低でも生成AIの有料プラン(精度の高いGPT-4など)を契約して添削相手にするか,記述対策の期間だけ家庭教師やオンライン添削サービスのお世話になるなどの対策を施してください。

先のセルフテストにおいても,あなたの苦手な内容がわかっている第三者(親や先生)に作ってもらうことができれば,より効果的なテストが出来上がるでしょう。

さんくす
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生成AIも有料版であれば,過去にあなたが間違えた内容を記憶して,それを反映したテストを作ってくれやすくなります。

塾に通うと,こうした学習管理やテスト作成といった「面倒な作業」は講師の方が勝手にやってくれるため,本人は目の前の勉強にだけ専念できて非常に楽なのですが,長い目で見ると,そうした「与えられるだけの環境」は生徒自身の思考力を奪うことになりがちです。

計画作りから自分の頭で考えながら主体的に勉強していく経験は,大学入学後も必ず役に立ちます。

 

モチベーションを保つ工夫を楽しめる人

一人で独学する際の最大の弱点として,誰とも話さず勉強が単調でつまらなくなりがち,ということが挙げられます。

知的好奇心が満たされて勉強自体を楽しむことができれば最高ですが,いくら考えてもわからない難問が次から次に出てくると精神的に参ってしまうものです。

長い受験期間中,学習意欲(モチベーション)を高いレベルで保ち続けるためには,「先週できなかった問題が今日は解けた!」というような自分の成長を感じられる「小さな成功体験」が日々必要です。

そのためにも,定期的に外部の模試を受けて自分の現在地を確認したり,学校の定期テストでクラスのトップを狙ってみたりと目標を細かく設定しましょう。

また,本書の別冊に付属している「書き込みゴールマップ」を積極的に活用し,シールを貼ったり色を塗ったりして,過酷な受験勉強の中に「楽しむための工夫」を取り入れてください↓

楽しさを生むゴールマップ

別冊には,手書きで塗りつぶしていく書き込み用のプランブロックや,時間割,年間計画表も収録されていました。

デジタルデバイスやアプリでの管理が主流の時代において,自分の手で塗りつぶして達成感を味わうという,こうした「アナログならではの温かみと魅力」は,受験生の心を支える大切なアイテムだと改めて感じます。

 

 

まとめ

プランブロック式戦略的学習計画法の裏表紙

以上,KADOKAWAから出版されている『プランブロック式戦略的学習計画法』の特徴と,その絶大なメリット,そしてお勧めできる受験生像について解説してきました。

これまでにない画期的なアイディアを世に生み出した著者の草下靖也氏は,理系科目に限らず1人で全教科を教えることができる,非常に優秀で万能タイプの指導者です(本書のわかりやすいイラストも彼自身が書き上げています)。

最近のSNSをみると,胡散臭いとまでは言いませんが,到底「その発信者本人でなければ実現できないような,再現性のない極端な勉強法」がそこかしこに散見される状態です。

しかし,本書で紹介されている学習法は,実際に彼の塾で多くの生徒に対して行われ,結果を出している王道の手法であって,怪しさは微塵も感じられません

それどころか,本来ならば塾の「門外不出のノウハウ」とするような内容を惜しげもなく公表している点について,本書の根底に「近くに良い塾がないなど,環境に恵まれない受験生を救いたい」という温かい教育者としての思いを見て取ることさえできました。

著者が教える塾に通えば難なく学べてしまう内容ですが,住んでいる場所や部活の時間,金銭的な制限からそれが叶わない人はたくさんいます。

そうした教育格差の問題を踏まえると,これほど重要な知見に富んだ本がたった1650円で購入できてしまうことは,他の予備校からすれば脅威にすらなる素晴らしい試みで,ここで得られる内容は「予備校の授業1回分(数千円はします)」の価値をはるかに凌駕しています。

ゆえに,理系で難関大学を独学で受験しようと決意している高校生にとって,本書は間違いなく「必読」とも言えるバイブル的な1冊です。

本書の勉強法を実践するにあたって,まずは著者が運営している「花塾」や「生徒派」という塾の公式サイトを訪れて,その理念に触れてみてください↓

著者が運営する学習塾の公式サイト

著者の教育に対する真摯な姿勢を知ることで,より信頼感が強まった状態で本書の計画作りに取り掛かれるようになるはずです。

こうした「正しい計画を立てて,自分を信じてやり抜く」という経験と努力が,未来のあなたの忍耐力と人間的な成長に必ず貢献します。

ぜひ本書を手に取り,大学受験を見事成功させてください。応援しています。

最後までお読みいただき,ありがとうございました。

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