教育改革により英語4技能が重視されている昨今ですが,今回はそのうち「書く」にあたる「英作文」の得点力を高めるためのポイントについて学んでいきます。
そのためには敵について知ること,つまり,そもそも英作文がどのように採点されるのかについて知っておくことが一番わかりやすく,確実に結果も出るでしょう。
特に英語4技能重視の学習指導要領に沿って学ぶ中高生の方は,今回の記事を通して「英作文で注意すべきポイント」について,しっかり学んでいただけたらと思います。
その他,英作文の勉強法についても簡単にまとめているので,あわせて参考にしてください。
英作文の採点方法
そもそもどのように英作文は採点されるのでしょうか。
もちろん,大学ごとにその方法は多少異なりますが,基本的にチェックされるポイントは「内容・構成・文法・語彙」の4つであると言われています。
文法を適当にして書いて高得点が付く大学があるとは思いませんよね。
これが教育改革前の採点であれば,内容と文法の2つの点から採点されることが多かったように思われますが,これからは上記4項目すべてに重きをおいて考えた方がよいでしょう(ただし内容のウエイトは高い)。
ちなみに,絶対的な答えが1つのマークシートとは異なり,採点者が採点するという問題があるので,点数は1点刻みとはならず,大まかな評価(ABCDの4つなど)で決まるのが普通で,採点者によって得点にバラつきが出ないよう,判定基準は細かく定められています。
それでは上の4項目ごとに,注意すべきポイントを解説していきましょう!
内容
「内容」は,英作文において最も重要な採点項目です。
質問された内容や指示にずばり答えられているかどうかで評価が決まりますが,例えば100点満点の問題だとしたら40点,下手したら50点以上の配点を占めると考えていて構いません。
というのも,もし仮に質問の内容を勘違いしてしまって的外れな英語を書いてしまうと,たとえ文法がどんなに正確で完璧であっても,評価は低くなりがちだからです。
内容が最低評価なのに,論理構成や文法が最高評価などという答案はありません。
そこでまず,自分の書いた英作文が以下のポイントをしっかりと含んでいるか確認してください↓
- 質問内容に答え,問題指示を守っている
- 説得力がある内容である
- 内容が乏しいか話が脱線していない
細かい文法や語彙はともかく,通しで一回読んでみて内容がわかりやすかったかどうかが,この項目で一番重視されるポイントだと言えるでしょう。
簡単な内容であっても,論理がちゃんとしていれば上から2つ目くらいの評価にはなります(世界的な基準だとCが普通です)。
試験時間が限られている以上,まずはこのレベルを目指してください。
構成
英作文2つ目の採点項目である「構成」は内容とは異なり,どちらかと言えば技術でどうにかなるものです。
その最たるものが字数であり,メールであればふさわしい書式となります。
「○語程度で」とあれば,その±1割に収まる語数にしてください。
なお,数字は100000と書いても1語としてカウントします(one hundred thousandだと3語)。
指定語数に対して実際の文字数が少なすぎる(例えば5割以下)場合は大きく減点になりますのでご注意ください。
Eメールでは相手の名前を冒頭に書いたり,結びの挨拶などにも注意しましょう。
「Dear ○,Sincerely,」などがこれにあたります。
次に注意すべきものが「論理展開を示す語句(ディスコースマーカー)」に関するもので,内容はありきたりであっても論理の流れが適切であると判断されれば,「構成」の項目で簡単に高得点が取れるはずです。
つい忘れがちになってしまうディスコースマーカーだけに,しっかりと意識して入れましょう。
ところで,字数を増やすためだけの無意味な繰り返しは,内容的に減点されます。
文法的にも,ずっと同じ主語と動詞で始まるようなものは書かないでください。
例えば,I know that~や I think that~で始まる文ばかりであったり,I went to~. Then I went to~などと続く単調な文では,文法が正確でも減点されるのは明らかでしょう(that節の中身が複雑であればまだマシですが)。
構成についてまとめると,
- 論理の流れはしっかりしているか
- 論理展開を示す語句は使えているか
- 不要な繰り返しはないか
などが,構成面での注意事項です。
ちなみに「内容」以外の項目(構成と文法と語彙)の配点は,100点満点で考えると,それぞれ20点ほどのウエイトを占めることになります。
文法
3つ目は「文法」です。
英作文でよく聞くのが,「自分の知っている文法や語彙だけ使って書くようにすること」ですが,それだけでは簡単な中学英語しか書けません。
もちろん,文法的に間違えてしまえば確実に減点されるのですが,先述したように英作文は1点刻みの採点ではないことがほとんどですし,少なくとも普段の模試などにおいては,いろいろな文法事項に挑戦するよう心がけてください。
例えば,"I recommend that you should go there."とこれまでは書いていたところを,"Why don't you go there?"と書くだけでも変化が出ます。
とはいえ,複雑すぎる文章を書いてしまうと逆に伝わりにくくなってしまいますので,接続詞のthatを省略せずに書いたり,目的を表す不定詞のtoをin order toなどの形で書くなど,採点者に誤解されないような書き方がおすすめです。
まとめると,英作文の文法では,
- 単純な文法ミスをしていないか
- 使用されている文法にバリエーションはあるか
- 難しい文法に挑戦しているか
- 採点者側の視点に立ち,複雑すぎる文を書いていないか
といったことに注意してみてください。
語彙
英作文で意識すべき最後のポイントは「語彙」です。
ここではボキャブラリーの豊富さが評価されますが,CEFRレベルの高い語彙を意識的に含めることで評価を高くすることができます(中学ではA2レベル,高校生はB2レベルが目標です)。
もちろん文意を妨げてしまうような間違い方をしてしまえば本末転倒ですが,ちょっと意識するだけでこの項目の点数を上げられるので,「文法」に引き続き,本項目においても普段から積極的に難しい語句を含めて文を書く練習をしておきましょう。
難しいといっても,例えばパフェ(parfait)とか菓子類(confectionery)といったワードを使うだけでも,語彙力をアピールすることはできます。
英語で日記を書くようにすると(twitterでの呟きやLINE翻訳でも可),こういった単語なども覚えられるので役立ちますよ↓
まとめると,語彙の項目で高評価を得るために,
- スペルミスをしない
- 文意に合わない語彙を使わない
- 難易度の高い語彙を含める
ことを意識してみてください。
ここまで,英作文の採点基準になりうる4つの項目について語ってきましたが,次章からは,英作文の得点を上げるためのポイントや具体的な勉強方法についてみていくことにしましょう!
英作文の得点を上げるポイント
繰り返しになってしまうところもありますが,ここでは,評価の高い英作文を書くためのポイントについて改めて考えてみたいと思います。
まず「内容」の項目についてですが,ここでは国語力や発想力といった総合的な対策が必要になるので,即効性のあるものは少ないと思いますが,主張を書いて,そのサポート(理由や例)を続けるというパターンを意識してください。
1つの主張に対して,2文ほどサポートを繋げられればバランス的にOKです。
次に「論理」の項目ですが,高い評価を得るために,接続詞を意識的に使うようにしてください。
andやbut,soやbecause以外に,「一方で」というニュアンスを出せるwhileやon the other handを使用したり,firstlyやsecondといった順番を示すつなぎ言葉は簡単に含められます。
上級者はThoughを含めた譲歩の文にも挑戦してみてください。
3つ目にの「文法」項目では,難しい文法をあえて使うことをアドバイスしました。
関係副詞や非制限用法,分詞構文や仮定法の使用はなかなか難しいですが,付加疑問文やBe動詞で始める命令文,so…that~構文や比較表現などは簡単に使えるのではないでしょうか。
最後の「語彙」においても繰り返しになってしまいますが,CEFRレベルの高い語句を含めてください。
以下のような形で,CEFRのレベル別に単語をまとめてくれているサイトもあります↓
熟語に関しては今のところは意識せず,単語にだけ意識を向けてください。
英作文のおすすめ勉強法
最後に英作文の勉強法についてまとめておきましょう!
中学生のうちは,教科書で文法を学ぶ際に出てきた基本例文を丸暗記するだけでなんとかなったのですが,高校の英作文においては以下の2つが有効です↓
- 練習問題を解いて書き方を学ぶ
- 他人に添削してもらう
1つ目についてですが,問題集を選ぶ際は字数的に,普段の練習では最初は50語程度,最終的には100語程度を目安に始めるようにしてください。
内容面ですが,最終的な目標としては,文章の要約を英語で書いたり,自分の意見を論理的に述べられるレベルにまで達したいものですが,最初はまず自己紹介やとあるワンシーンの記述(写真を見てそれについて説明する),メールで用件を伝えるあたりから始めていきましょう。
こういったものは例えば,TOEICのS&Wにもよくある形式です。
あとは,和訳英作文で頻出の文法表現について学ぶのが良い方法となり,英作文は英借文とはよく言われます。
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一方で,2つ目の他人に添削してもらえる環境を整えるのは難しいと思いますが,英作文の上級レベルを目指すには是非取り入れたいものです。
中学や高校で仲の良い先生や周りに英語ができる大人がいれば頼むとよいでしょうが,見当たらない場合は,それ専用の塾や通信講座などを利用してみましょう!
英作文の実力を試す場としては,偏差値の高い大学を受ける生徒が集まる模試を受けることの他に,GTECや英検といった資格検定の勉強をするのも,受験方式の幅が広がっておすすめです。
もちろん,TOEICのS&Wでもライティングのテストが受けられますが,最初は1文から始まるものの,最後の英作文問題では300語程度が要求されるのでややヘビーかもしれません(とはいえ結構な数の高校生が受けに来ています)。
以前記事にした共通テストにおける英語の出題範囲をみると,今後は「実際にコミュニケーションが行われる状況」を題材とした英作文が多く出題されるようです。
自分の好きなテーマに関して難しい英単語を学んでおくのは思わぬ形で役に立ちますので,先述したような方法で,英語で日記をつけてみてはいかがでしょうか。
まとめ
以上,英作文での評価基準となる4つの項目と,英作文の得点を上げるためのポイントや勉強法についてまとめてきましたがいかがだったでしょうか。
内容面はともかく,それ以外の項目で最高評価を得るためには,難しいことへの挑戦なしでは実現できないことは忘れないでください。
逆に,上で述べたポイントをちょっと意識するだけでも,良い英作文を書くことができるのは確かです。
最後に今回の記事の要点についてまとめたので,英作文を書いた後に是非チェックしてみてください↓
英作文を書いた後にチェックしたいポイント
- 質問にしっかり答え,論理の流れが明確か
- 問題の指示(字数や指定された文法など)は守っているか
- 論理展開を示す語句を使用している
- 幼稚な繰り返しをせず,高度な文法が使えている
- 語彙はCEFRレベルが高いものを意識的に含めている
前章で述べたように,英作文を勉強する際には,練習問題を解くだけでなく添削してもらえる環境が重要ですし,そもそもの文法力や語彙力を増やすためには,根本的な英語力を底上げする必要があります。
ゆえに,文法が苦手という人は,英作文の勉強の前にまずは高校文法を学ぶところから始めるようにしてください。
なお,よりレベルが高いとされる自由英作文のコツについては以下の記事にまとめています↓
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自由英作文のコツ!知っておくだけで点数が上がります!
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