以前の記事でスタサプ高校生ユーザーは講習期間をどう過ごすべきかについて概要をまとめましたが,今回は「冬期講習(共通テスト直前対策講座と冬期・本番直前期講座)」を取り上げ,そのレビューをしてみたいと思います。
一般的に冬期講習というのは「共通テスト対策」と「国公立二次または私立大対策」の2つに大別できますが,当記事ではその特徴とラインナップ,実際の講義の様子を中心にまとめました。
基礎知識を固めるのに必死だった夏期や,学校や復習で忙しい秋期においては講習に参加するだけの余力がなかったかもしれませんが,冬期講習ともなれば多くの受験生が受講するものです。
当記事の内容をよく読んで,スタディサプリの冬期講習を自身の受験勉強に生かしてみてください。
スタディサプリ冬期講習の特徴
スタディサプリの冬期講習ですが,現在はベーシックコースの料金だけで利用することができ,具体的には以下の3講座が該当します↓
- 共通テスト直前対策講座
- [冬期]演習講座
- [本番直前期]直前ファイナルチェック講座
一般的に冬期講習は12~3月に行われるものを指します(一部「直前講習」と呼ばれることもあります)が,スタディサプリの場合,時期に関係なくいつでも利用できるのが特徴です。
とはいえ,その性質上,通年講座(普通の講座)をあらかた終えた段階で用いるのが通常となるため,取り掛かる時期としては冬休み以降となるでしょう。
例えば共通テスト対策を行う場合であっても,まずは以下で述べた通常の共通テスト対策講座から始めて,最終調整として冬期講習の講座を利用することとなります↓
詳しくは後述しますが,冬期講習内で語られる内容は非常に実戦的なもので,比較的新しめの入試情報に基づいて講義を行う関係で,本番での的中を狙ったり時間配分や試験に臨む心構えを伝授したりなど,本番での総合的な得点力をアップさせることが主な目的となっているのが特徴です。
なお,予習で本番レベルの問題を解けるだけの基礎知識があることが前提となっている点には注意してください。
満点を取れる必要はありませんが,どのような出題がなされるかであったり,解説されて「あー,あれか!」と思い出せたりするだけの知識は必要です。
ところで,共通テストや大学入試が近くなるとスタディサプリ以外の予備校でも冬期講習が行われますが,わずか1回の入試本番に向けた授業を行うため受講料は基本的に高くなります。
語られる内容が志望大学に向けたものになる関係で受講者数は減りますし,教材の使いまわしもしにくくなるからです。
しかし,スタディサプリは先述の通り,ベーシックコースの利用料金で受講することができるわけで,もっと言えば過去に1講座数千円で販売されていた講座ばかりなので,当時を知っている先輩たちからすれば大盤振る舞いのように感じられるでしょう。
とはいえ,毎年テキストを作り直す講座と比べれば多少は鮮度は劣り,今視聴できる内容はコロナ前に収録されたものです。
とはいえ,共通テスト直前対策講座は2023年の秋に初登場したので新しいですし,その他講座もまだまだ通用する内容だと思います。
ところで私は冬期講習こそが講習の中で最も価値があるものと思っているのですが,時間をかければ過去問で満点が取れるようになった生徒が,冬期講習を機に制限時間内に8割の正解率を目指す戦術に切り替えることも多く,その決断が合格を引き寄せるといっても過言ではありません。
逆に夏~秋が順調であっても最後の最後で失速してしまえば,それまでの努力も水の泡となって消えてしまうので,特にこの時期に現役生の追い上げにあうであろう浪人生は気を付けましょう(逆に現役生は冬期が最も伸びるので最後まで頑張りましょう)。
なお,冬期講習の役割には生徒にこれまでに学んだ内容を総復習する必要性に気づかせることも含まれており,直前期に復習をないがしろにしてしまったがために,本番で「前にやったはずなのにどうしても思い出せない」状態に陥ってしまうことを防ぐことができます。
例えば,共通テストの模試の文法問題が9割くらい解けるようになった生徒であっても,直前期にこれまで使用した問題集を1000問くらい一気に見直す作業は欠かせません。
復習対象はスタディサプリの教材に限らず学校で配られた問題集なども含まれますが,この時期には変に新しい物に手を出さず,これまでの内容を万全にすることも必要になってくるものです。
それでは次章から,先に挙げた3講座を個別にみていくことにしましょう!
テキストは基本的にすべてダウンロードできますが,共通テスト直前対策講座のみ,紙のテキストを購入することもできます。
共通テスト直前対策講座のラインナップ
スタディサプリの共通テスト直前対策講座は通常講座の方に分類され,季節演習のところを探しても見つからないので注意してください。
春~秋に使ったであろう共通テスト対策講座とは異なり,これを実際に使うのは12月以降になります。
冬休みまでは実力を蓄えるようにして,クリスマスから年始にかけて最終調整を頑張りましょう!
スタディサプリの夏期講習の方でも一部共通テストレベルの問題を扱う講座がありましたが,それらは入試問題を使って基礎力をアップさせることが目的であったのに対し,冬期のものは共通テスト本番番前に必要な知識を総整理するという明確な違いがあります。
私が塾で行っている指導では,共通テスト直前対策講座は12月中にはやり終え,あとは別に用意した過去問や模試を時間を測ってひたすら解いていくのがお決まりのパターンです。
なお,ラインナップに理科や社会の講座は確認できず,講座の種類は主要3教科(英数国)のみの全6講座となっています↓
共通テスト直前対策講座一覧
英語リーディング(12講義),英語リスニング(8講義),数学IA(10講義),数学IIB(10講義),現代文(8講義),古典(6講義)
講義数は6~12となっていて,担当講師は英語が肘井先生,数学が山内先生,国語の担当が柳生先生と岡本先生です。
なお,上記ラインナップにおいて「古典」と書かれた講座では古文と漢文の両方を扱う他,予習ですべての問題を解いては60分の講義を受講することを覚えておきましょう。
冬期演習講座のラインナップ
スタディサプリの季節演習講座のうち,[冬期]のものに含まれるのは国公立大の二次と私立大の試験対策を行う講座となります。
教科は英数国がメインですが,理科についてもいくつか講座があり,社会は存在していません(社会は次章で紹介する直前期のファイナルチェックを利用してください)。
利用する時期ですが,多くの方は共通テストが終わってから受講することになるでしょう。
冬期演習講座のメインテーマは,実際に大学入試の過去問を使って本番さながらの演習を行って感覚を掴む他,受験生が対策を怠りがちな範囲を短期間で集中的に伸ばすことです。
扱う分野は幅広く,先に述べたような知識の抜けを確認するような,復習を兼ねた講座もいくつか見受けられます。
全25講座のラインナップは以下の通りです↓
英語
講座一覧
最難関私立大英語,難関国公立大英語,関東難関私立大英語,関西難関私立大英語,国公立大英語,私立大英語
全講座の約半分にあたる12講座が英語関係です。
それぞれ読解編と文法編が4講義ずつあり,前者を肘井学先生,後者を関正生先生が担当します。
数学
講座一覧
難関大理系数学,標準大理系数学
数学は2講座があり,各6講義で担当は堺義明先生です。
国語
講座一覧
難関国公立大現代文,難関私立大現代文,スタンダードレベル現代文,最難関私立&難関私立大古文,難関国公立大古文,漢文
国語は6講座が確認できました。
各4講義で,現代文では国公立を柳生好之先生,私立大を小柴大輔先生が担当しており,古典は岡本梨奈先生が担当します。
理科
講座一覧
トップ&ハイレベル化学,スタンダードレベル化学,トップ&ハイレベル物理,スタンダードレベル物理,ハイ&スタンダードレベル生物
理科は全部で5講座です。
各4講義で,化学は坂田薫先生,物理は中野喜允先生,生物は牧島央武先生が担当します。
どの教科もおなじみの顔ぶれですね。
直前ファイナルチェック講座のラインナップ
スタディサプリの直前期の講座は全部で5つです。
ラインナップは文系教科のみとなり,すべての講座名に「ファイナルチェック」の文字が入っています。
ちなみに,講義内容は問題を解いて60分の講義を視聴するということで,これまでに紹介したものと同様です。
国語
講座一覧
現代文ファイナルチェック<読解法>,古文ファイナルチェック<重要語句・文法・敬語>
両者とも4講義ずつで,現代文は柳生先生,古文を岡本先生が担当します。
社会
講座一覧
世界史ファイナルチェック,日本史ファイナルチェック,政治経済ファイナルチェック
各4講義で,担当は日本史と政経が伊藤賀一先生,世界史は村山秀太郎先生です。
スタディサプリの冬期講習のレビュー
最後に,過去に行われたセンター試験対策講座を例に,教科ごとの講座内容を具体的にみていきましょう!
今はもう存在しない「特別講習」というサービスのレビューとなり,まだセンター試験が行われていた時代の内容にはなりますが,スタサプの冬期講習の雰囲気を掴むことは十分に可能です。
夏期や秋期のときと異なる雰囲気を感じ取ってください。
英語
英語講座は3講座が用意されていました↓
- 英語リーディング
- 英語リスニング
- 過去問解説
1と2は現在のものと似ています。
講義ではセンター試験と同じ出題形式のオリジナル問題を扱い,本番を想定した演習が行えるのが特徴でした↓
講義で扱うテーマは「選択問題,整序,不要文削除,図表グラフ,広告掲示,小説,随筆,メール,長文読解」となり,大問ごとの解き方を全8講義を通して網羅的に学べる内容になっていました。
上記画像では,要旨問題の出題傾向について肘井先生が解説していますが,
「このパターンは実際の本番で出題される可能性があります。どういうパターンか分かります?こことここが決めにくくなっているのはなぜだかわかります?要は,(4)まで確信を持って答えられると(5)を考える必要がないから…」
といった具合に,本番で役立つ話を毎回のように聞くことができます(上の話は,出題者の意図について解説している時のものとなります)。
セリフの一部を抜き出したものなのでわかりにくいでしょうが,結果として,多くの受講生の本番での得点力を上げることに成功したはずです。
現在の直前対策講座と異なり,当時は関先生による過去問解説講座もあり,センター試験で8割突破を目指す受験生を対象に全4回の講義が行われもしました。
余談ですが,このときの題材となっていたのは直近2年分の「追試験」の過去問です。
追試験の問題というのは,普通のテストを病気などで受けられなかった人を対象に行うためのもので,本試験よりも遅い時期に行われる分,難易度が高いとされています。
そんな問題をあえて直前期に扱う理由は,適度に負荷を高くした問題で練習しておくことで,本番の共通テストを解いた際,少し簡単に見えるという効果が期待できるからでしょう。
このテクニックは現代でも有効とされます。
講師から寄せられたメッセージの中には,
「(冬期講習では)プロフェッショナルの仕事というものをお見せします!」
というものがあり,非常に頼もしく感じられたものです。
国語
スタディサプリの冬期講習ですが,国語の試験対策を目当てに申し込まれた方も多かったように見受けられます。
というのも,普段から英語や数学,または暗記科目の理科や社会は勉強していても,どうしても対策せずにこの時期まできてしまうのが「国語」という科目だからです。
講座は以下の3つが用意されていました↓
- 現代文
- 古文
- 漢文
なお,講義数は現代文と漢文が4講義の古文が5講義です。
今だと現代文が8講義の古文と漢文合わせて6講義なので,現代文が少し手厚くなっている印象を受けます。
このときは,全部受講すれば19.5時間にもなる膨大な量でしたが,今も約14時間なので遜色はありませんね。
現代文の問題は,最近のセンター試験過去問からとオリジナル問題の両方からの出題でしたが,私が受講したときは,授業で扱う問題が「最後の大問」のみに絞っているところが印象的でした。
配点が高く,是非とも正解させたい大問の解き方を論説文・小説文のジャンルを問わずに学ぶことで,どこに着目すれば不正解の選択肢に惑わされなくなるかを見抜く目を養えたわけです。
それ以外にも,国語全体の気になる時間配分であったり,総合的な解き方(まずタイトルを読んでから設問を見て,といった手順)だったりにも言及されていました。
古文については正解率8割を目標として総合的な対策が行われましたが,扱う問題はオリジナル問題(第2講と第3講)と追試験のもの(第4講と第5講)でした。
すでに共通テストの過去問を解き始めている人であっても,初見の問題を使って演習できるのが良かったです。
ちなみに,最初の講義は問1(短語句解釈問題)と問2(文法問題)についてのものでしたが,前者については,過去に出題されていて再び狙われるであろう単語・慣用句が5ページ以上にわたってまとめられていて総復習が可能でした↓
古文の文法問題も「に,なり,ぬ,ね,る,れ,らむ,し,なむ」の識別などが一覧になってまとめられていたので,共通テストに限らず,私大対策としても活用できたわけです↓
数学
当時の数学も現在と同じく以下の2講座でした↓
- 数学IA
- 数学IIB
担当はどちらも山内先生で,「時間内に解き終わるためにはどういうところに気を付ければよいのか」,スピード重視の解法を学んでいくことになりました(授業もさくさく進んだものです)。
IAの講座内容は「式と計算,関数,命題,三角比,データの計算,場合の数,確率,整数の性質,図形の性質」となっていて,大問1個につき2~3問を予習で解いてから授業に臨むようにしましたが,数学IIBも網羅的なラインナップでした。
指数関数,対数関数,図形と方程式(第1講)→三角関数(第2講)→微分法,積分法(第3講)→数列(第4講)→ベクトル(第5講)と,後半に行けば行くほどに,1回の講義で扱う分野が少なくなっていたのは内容的により難しくなるからでしょう。
これらの講座を受けながら受験生は「覚えておきべき公式はしっかり入っているか?分野別の弱点はないか?」などと自問し続けることになります。
そしてその結果,どこを振り返ればよいのかが明確になり,効果的な復習へと繋がるわけです。
この特別講習にはチャット機能があったのですが,コメントを眺めていると,かなり数学ができる生徒でも忘れてしまっている公式は多いように見受けられました↓
上では,IIBのベクトルで面積を出す公式について解説しているところですが,本番では知っているか知らないかで運命が大きく変わってしまう出題もあったりします。
「苦手範囲が出たら捨てます」などと決して諦めてはいけません。
社会
社会は科目数が多いですが,それぞれに対応した講座がしっかりあるので,安心して受講することができました↓
- 政経,現社,倫理
- 地理B
- 日本史B
- 世界史B
まずは伊藤先生による日本史Bの講座内容をみていきますが「大テーマと原始&古代,中世と近世,近代と近現代,総まくりテスト1,総まくりテスト2,総まくりテスト3」となっています。
全6回の講義のうち,前半でテーマ別の知識を深めたら,後半で全時代を総まとめしていくカリキュラムでした。
その総まくりテストですが,1問1答的な問題が500問以上用意されていて驚きました↓
政経+現社+倫理のように3つの科目を扱う講座でも,担当が同じ伊藤先生だということもあって,前半の講義で過去問を使って全範囲を演習し,後半で総整理していくというメリハリのついた授業展開が魅力でした。
世界史Bは村山先生の講義が4つあり,具体的には「中東(オリエント~イスラーム史),近代以前のヨーロッパ,近現代史,東部ユーラシア史」といった具合に,扱うテーマが講義ごとに異なっていました。
冬期講習は土台を固める最後のチャンスなので,資料集を手元に用意し地図が多めのテキストを使って学ぶことで,誰もができる基本問題を確実に正解できる力を養うことが大切です↓
地理Bは4回の講義を通して,的中を狙った2回分のオリジナル予想問題をやることになりました(第1講で第1~3問,第2講で第4~6問対策といった具合です)。
担当は鈴木先生で,個人的には彼の板書が大変気に入ったのですが,残念ながら今だと鈴木先生の授業を冬期講習内で確認することはできません。
理科
最後は理科の対策講座についてです。
こちらも,センター試験8割を目指して,誰もが間違えやすい問題だけをピンポイントで学習できる内容となっていました。
用意されていた講座は以下の4つです↓
- 物理
- 化学
- 生物
- 過去問解説(物理基礎,化学基礎,生物基礎)
物理の講義内容は「力学,波,電磁気,熱力学,原子と原子核,正誤問題,昨年の本試験」で,中野先生の担当でした。
次に坂田先生による化学ですが,全部で5講義(理論のまとめ,無機&有機のまとめ,テスト1~3)からなり,テストは過去問を使用し,取りこぼしのないように授業が行われます。
テキストを見るとよくわかりますが,ボイル・シャルルの法則や電池から始まり,各種イオンを含む水溶液や有機溶媒を分離する操作まで,直前期に確認しておきたかったところがしっかりと網羅されていました。
生物は「光合成,呼吸,生物の環境応答,遺伝子,発生」となっていて,牧島先生が担当です。
特に,初見のデータをどう攻略していけばよいのかといった「考察問題の対策」を学べたところが個人的に役立ちました↓
私大の入試は今でもこうした考察問題ばかりなので,演習講座の方で解き方のコツを掴んでおきたいものです。
最後に「基礎」と名のつく講座についてですが,各科目ごとに2講義が用意され,どれも最新の過去問から本試と追試を用いて対策しましたが,現在似た講座は確認できません。
まとめ
以上,スタディサプリの冬期講習の特徴とラインナップ,そして実際の講義内容について過去のサービスを例に詳細をまとめてきました。
一人で過去問を解くだけではわからなかったであろう,勉強の進め方に対する確信めいたもの(この方法でいけるという直感)が得られた結果,受講後に自信をもって試験に臨めるようになるのはスタディサプリの冬期講習を受けたからこそでしょう。
最初にも述べた通り,入試本番で高得点を取るためには,これまで培ってきた知識を得点力に変えていく必要があります。
この最後の段階をないがしろにしてしまえば,これまでの努力も水泡に帰すことになるので,是非とも頑張りましょう。
共通テストや国公立二次・私大入試の得点力というのは本番ギリギリまで伸びます。
特に偏差値が低い分野ほどその伸びが大きくなる傾向にあるので,心配な科目であっても諦めずにやればそれなりのレベルにまで仕上がるものです(ただし,捨てる判断が必要になることもあります)。
刻一刻と本気度が増していく冬期だからこそ自宅であっても集中して勉強ができるはずなので,スタディサプリを信じて頑張りましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。