7月になると「スタディサプリの夏期講習」が始まります。
なお,これは「特別講習」と呼ばれるサービスの1つで,月額アーカイブ動画とは異なることに注意してください↓
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夏は受験の天王山ですが,誰もが本気で受験勉強に取り組む時期だけに,自分が周りよりもリードするためには,効率良く学習すると同時に,各教科の基礎固めを徹底する必要があります。
なお,「基礎」といってもどこまでのレベルを指すのかが分かりにくいので,夏の間に到達しなければならないレベルを肌で直に感じ取ることで勉強の目標が定まり,やる気も高く維持できるというものです。
ただし,独学しているだけではなかなかその状態へと至ることができず,周りに同じ志で頑張っている人が少ない高校に通う生徒や浪人生は,特に苦労することになります。
そのようなときには,スタディサプリの夏期講習が出番となるわけですが,本記事でその特徴と講座の種類についての理解を深め,自分の夏の勉強計画に加えられないか検討してみてください。
スタディサプリの夏期講習の特徴
1年かけて受験勉強をする場合,夏休みは基礎を固められる最後のタイミングです。
確かに,2学期に入ってもまだ基礎固めができるとは思いますが,その分,応用知識を身に付けるための時間が減ってしまうことになるため,「できる限り,夏の間に基礎固めを終了しておいてもらいたい」というのが,私のような塾講師たちの本音でもあります。
夏になって,何らかの問題集を最初のページから取り組み出す生徒も多いですが,特に最近になって部活を引退し,ようやく受験勉強を始めたような高3生は勉強の仕方が分かっていないわけですから,あらゆるところに時間を取られてしまい,立てた学習計画通りには決して進まないのが実状です。
そこで,各科目ごとに「ここだけは夏の間にやっておきたい」という具体的な内容を,夏期講習を通して聞き出すことがとりわけ重要で,残りの時間を弱点部分の予復習,つまり足りない知識の補完に充てるということが,結果を出せる受験生の夏休みの過ごし方となります。
理科や社会のような暗記科目においては,直前期に詰め込む前に,重要とされる範囲に夏の段階で一度目を通しておきたいものです(浅くて構いません)。
また,これまで順調に学んで来られた生徒であっても,学校がなくなって夏にペースを乱してしまうことも多く,果たして自分の勉強は正しい方向に進んでいるのかわからなくなることのないよう,ここで再度,信頼が置ける講師の言葉に耳を傾けるようにしてください。
ちなみに,スタディサプリの夏期講習には,後述するように「基礎完成」や「総まくり」と名の付いた講座が数多く用意されています。
さすがに全範囲を漏れなく学習することにはなりませんが,そこはスタディサプリの講師陣の言うことを信じて,厳選された単元を完璧にすることを第一目標としましょう!
なお,講座の中には,スタディサプリのベーシックコース(月額アーカイブ動画)の学習内容を前提としているものもあるので,意外とやるべきことは多く作業が捗ります↓
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すでに学校で履修した内容であっても,塾でしか得られない知識もあります。
特に最近の出題傾向に関しては,それ専門でやっている大規模な塾の方が詳しく分析できるのは当然です。
なお,主要3科目である英国数においては,夏の段階から積極的に入試問題を演習に取り入れることで,得点力を一気に上げることができます。
通常より早いペースになりますが,難関大学を目指す方はこちらの方針の方が有効です。
スタディサプリの特別講習では,大学別に実際の入試問題を使った各種演習講座が用意されていますし,学習指導要領にとらわれない講義構成にすることができます。
このことで,これまで分野別に学んでいた知識(縦の知識)が頭の中で横につながる経験ができれば,いつブレイクスルー(急激な成績上昇)が起こってもおかしくありません。
そして,そうなる可能性を秘めているのがスタディサプリの夏期講習の特徴です。
スタディサプリの夏期講習のラインナップ
最近のスタディサプリの夏期講習ですが,以下の講座が用意されていました↓
2022年度の教科別講座数
英語5講座・数学8講座・国語8講座・理科7講座・社会9講座
以下は開講中のコメントになりますが,時期外れの場合には,自分が取りたい内容の講座があるかの目安として使ってください。
英語
関正生先生の講座
- スタンダード&ハイレベル英語<文法編>
- トップ&ハイレベル英語<文法編>
関先生の担当する講座はベーシックコースのときと同様,文法です。
前者は「共通テストや日東駒専レベル」で,後者は「MARCH以上の難関大レベル」となっています。
ただし,MARCH志望であっても文法が苦手な方であれば,前者の講座を完璧にすることから始めてみましょう。
その後,余裕があれば後者も受講するようにしてください。
肘井学先生の講座
- スタンダードレベル英語<長文編>
- 難関私立大英語
- 難関国公立大英語
英語長文は肘井先生の講座で扱います。
スタンダードレベル英語は入門の位置づけで講義数は3つしかないので,気楽に受講できるでしょう。
しかし,スタディサプリの特別講習を利用しようという受験生は,夏の時点で英語はすでに応用レベルに達していることも多いように思われます。
残り2つの講座はそのために存在しており,実際の入試問題を使った出題となり,難関私立大英語では正誤問題,国公立大英語だと自由英作文にも挑戦しましょう!
数学
堺義明先生の講座
- 理系数学
- 難関大理系数学
- 最難関大理系数学
- 数学III基礎完成<複素数平面編>
- 数学III基礎完成<極限編>
- 数学III基礎完成<微積分編>
最初の3つは,志望校のレベル別に夏期講習で押さえておきたい知識をまとめた講座です。
堺先生が担当する講座にはもれなく数IIIの内容が含まれているのですが,複素数・級数・極形式・微積・体積・媒介変数といった,入試で狙われやすいテーマが目立ちます。
数IIIの基礎に弱点がある方は,基礎完成の講座を使って分野別に学習してください!
山内恵介先生の講座
- センター数学IA
- センター数学IIB
数学はIAIIBだけの範囲でよい方は,山内先生が担当するもの受講してください。
講座の名称は相変わらず「センター」のままですが,内容は,共通テストや私立入試における誘導付きのマーク問題も扱っていて,実践的かつ数学IAIIBの重要単元を広く学べる講座です。
国語
柳生好之先生の講座
- 難関私立大現代文
- 早大現代文
- 難関国公立大現代文
- 最難関国公立大現代文
早稲田大学を志望する方は難関私立大のものから始めて,早大現代文へと進んでください。
東大や京大,一橋大を志望する方であれば,難関国公立大現代文→最難関国公立大現代文の順で受講します。
なお,後述する伊藤先生による「日本史<文化史編>」でも,古文や現代文で出題される文学史を扱っているため,そちらも併せて受講しておきたいところです。
小柴大輔先生の講座
- スタンダード現代文
現代文が苦手な方は,小柴先生の講座を通して実力アップを図りましょう!
問題の質としては標準レベルで,難問や奇問の類は見られませんし,問題形式は記述式と選択式の両方が含まれていて,扱うものは評論や小説とバランスが取れています。
岡本梨奈先生の講座
- 古文<読解演習>
- 古文<ハイレベル読解演習>
- 漢文<演習>
岡本先生の講座ですが,どれも基本的な文法・単語力が身に付いていることが前提です。
その段階から怪しい人は,夏期講習が開始になる前にベーシックコースの動画で彼女の授業を視聴しておきましょう。
内容ですが,1つ目と3つ目は共通テストや私大に対応しており,過去問を使って実践的な演習を行います。
一方で,国公立の記述問題には対応していません。
古文のみハイレベルが存在しますが,これはMARCHレベル以上の志望者が対象で,問題としては上智や早稲田の過去問を使います。
理科
坂田薫先生の講座
- 化学基礎完成<理論編>
- 化学基礎完成<無機編>
- 化学基礎完成<有機編>
化学では無機と有機の学習が遅れている方が多いので,坂田先生の講座で化学反応式についてであったり,異性体や脂肪族の内容だったりを復習しておきましょう。
学習進度的に有機の次に出てくる高分子化合物は,秋期講習以降で扱います。
中野喜允先生の講座
- 物理基礎完成<力学編>
- 物理基礎完成<電磁気編>
- 物理基礎完成<波動・熱力学編>
どれもGMARCH・理科大・地方国公立以上を受験する方が対象ということで,基本の確認から標準レベルの入試問題までを解けるようにします。
ベーシックコースにある「高3スタンダードレベル物理」を視聴してから受けるのがおすすめで,というのも,そこで学んだ知識を活用することが本講座の目標となっているからです。
牧島央武先生の講座
- 生物基礎完成<遺伝編>
生物はラインナップが少なく,牧島先生の上記1講座のみです。
遺伝の法則についてしっかり学んでおきたい方は是非受講してください。
生物に関してはこれだけと割り切って,残りの時間を理科のもう1科目に回すことをおすすめします。
社会
伊藤賀一先生の講座
- 日本史速効総まくり<実践演習>
- 日本史速効総まくり<現代史編(昭和・平成)>
- 日本史速効総まくり<文化史編>
- 倫理速効総まくり
- 政経・現社速効総まくり
日本史の全分野をわずか3講で総復習できてしまうという,驚くべき講座が「実践演習」です。
それ以外にも,普通にやっていると最後まで残ってしまう近現代史を夏のうちにやっておいたり,入試頻出の宗教史・美術史・教育史を中心に学んだりもできます。
伊藤先生は幅広いジャンルに親しんでおり,実際,スタディサプリの中学講座では地歴公民すべての教科を1人で教えているくらいですから,高校の倫理,政経や現社もお手の物です。
どれも,広範囲にわたって抜けた知識がないよう,総復習するための講座となります。
村山秀太郎先生の講座
- 世界史 速効総まくり<欧米史中心編>
- 世界史 速効総まくり<東部ユーラシア史編>
- 世界史 速効総まくり<中東・アフリカ現代史編>
共通テストや国公立,私立大受験などの区別なく,基礎レベルからの受講が可能です。
全講座ともに5つの講義からなり,基本事項と因果関係を中心に解説が進んでいきます。
とはいえ,問題をあらかじめすべて解いてくることが求められるので,人によっては予習段階でベーシックコースの講座で知識を確認する必要があることに注意してください。
求められるレベルは思いのほか高く,早慶レベルの正誤問題を解くことも予習内容に含まれています。
鈴木達人先生の講座
- 地理<テクニック徹底マスター>
地理ですが,前半の4講義で正誤問題を中心に入試に必要なテクニックを学び,後半の2講義のテーマは統計の内容です。
地理問題特有の解法を学ぶというのはまさに夏期講習らしく,共通テストはもちろん,本試験にも対応します。
スタディサプリの夏期講習の料金
2022年度の夏期講習ですが,税込26180円で全講座を見放題(夏期受け放題セット)にできますが,録画動画での提供となり,2023年の3月末までという視聴期限が設定されています。
また,1講座ずつの購入もできますが料金は5478円なので,5講座以上受講する予定がある方は,前者のセットを購入するようにしてください。
もっとも,途中から受け放題セットに変更することが可能で,その場合,差額を支払うだけでOKです(単品購入で始めたからと損をすることはありません)。
支払い方法はクレジットカード払い(VISA・Master caed・JCB・Amex・Diners)かコンビニ決済(ローソン・ファミマ・ミニストップ・セブン・デイリーヤマザキ)が利用できます。
なお,3~6月頃に申し込みできる「特別講習年間パック(71060円)」の申し込みや,6~8月にかけて行われる「夏期受け放題セット」の申し込みはキャンペーンの対象になることが多いです。
申し込みの前に,スタディサプリのキャンペーンやコードについての記事もご確認ください。
まとめ
学力を高める上で重要なことは,今できない問題のうち,最も簡単に理解できるレベルのものから知識を少しずつ増やしていくことです。
私はかつて,大手予備校の夏期講習において,センター試験で数学IIBが6割も取れないレベルだったのにもかかわらず,東大志望だからと「東大数学」を受講してしまい,全く役に立たなかったことをよく覚えています。
申し込んだ講座の数も,受験科目が多かった関係でついつい取りすぎてしまい,満足に予復習ができないまま講習に臨むことになった挙句,講習費用は数十万円になり,親にかなりの迷惑をかけてしまいました。
当時にスタディサプリの夏期講習が利用できれば,このようなことにはならなかったでしょう。
学習ペースをキープするためにも,普段は時間割通り受講するようにし,スケジュール的に無理な場合には,録画を忘れずに視聴するようにすればよいだけのことです。
料金も受け放題にすれば定額で済むので,パケ放題ではありませんが,使い過ぎを気にすることはありません。
是非,この夏はスタディサプリの特別講習を1つ検討してみてください!
一般的な予備校との違いについては,スタディサプリ特別講習が予備校の講習より良いところにまとめてあります。