「マインドマップ」は様々な使い方ができるツールですが,勉強に役立てることももちろんできます。
早い段階に導入するほど自分のモノにしやすいのは世の中における真理ですし,それこそ小・中学生のうちから,学校のノートをマインドマップ形式でとってみることは大変におすすめです。
今回は,そんなマインドマップの基本的なルールや書き方について紹介し,特に勉強用途におけるノートの実例も交えながら解説してみたいと思います。
マインドマップのルール
マインドマップはトニー・ブザン氏が考案した思考術のことを指し,似たような名前で呼ばれる「メモリーツリー」や「図解技法」といったものもあるのですが,それらとは違うルールでかかれていることも多いです。
ゆえに,まず最初に,マインドマップを書く際の基本ルールについてまとめておきましょう。
なお,今回の記事を書くにあたって,できるだけ基本に忠実な記述を心がけてはいますが,私は正規コースを修了したマインドマップの公認インストラクターではないことにご留意ください。
より正確に知りたい方は,上記に示したようなトニー・ブザン氏の著作を読むことをおすすめします。
紙を正しく選ぶ
使用する紙ですが,無地で白いものを横にして使うようにしてください。
サイズはA4以上のものが推奨されていますが,大きいに越したことはありません。
過去にはなんと600平方メートルもの大作がかかれたこともあるほどです。
人間,余白があると埋めようとする心理が働くものですし,背景が白だと他の色が引き立ちます。
まとめたいテーマが多くの情報量を含んでいる場合であっても,なるべく1枚に収めたいものです。
そうすることで,その1枚のマインドマップから,キーワード同士の繋がりがより多くみえてくるようになり,それが,できるだけ大きい用紙にかくべきとされるゆえんなのでしょう。
とはいえ,テーマを新たにしてかき直しても構いませんし,道具が揃っていない環境下では,メモとして白黒で残したノートを,あとから大きな用紙に書き直すのもありです。
セントラルイメージは目立たせる
マインドマップでは中央にテーマをかくことになりますが,それは「セントラルイメージ」と呼ばれます。
このとき,色は3色使うようにし,文字を書く場合は立体的かつ印象的にしておくのがポイントです(詳しくは次章で)。
マインドマップをかいているとセントラルイメージが自然と目に入ります。
なので,より目立つようにしておくことで,テーマを見失う可能性が少なくなるというわけです。
キーワードを書き込む
マインドマップに文は書き込みません。
ノートというと,結構,説明的にくどくどと書いてしまう人も多いでしょうが,そういった詳細はキーワードから想起されることになるため,あえて省略するようにします。
あくまでキーワード(またはシンボル)であることが重要で,抽象的で曖昧なものだからこそ,偏見に囚われない自由な発想が可能となるわけです。
そういった意味では,プレゼンテーションのときに用意するメモ用紙に近いかもしれません。
自己紹介する場合であれば,「名前→部活→趣味→挨拶」などと書かれるでしょうが,このように,大体のメモには,話す内容に関する大まかな流れが,簡単なキーワードを伴って示されるはずです。
ブランチを繋ぐ
ブランチとは英語で「枝(branch)」を意味しますが,マインドマップではブランチを使ってキーワードを繋いでいきます。
まさに,ブランチの上にキーワードやシンボルを載せるようにするのですが,そのときのブランチの長さは,キーワードの文字数に応じてピッタリの長さにしましょう。
また,セントラルイメージから伸びるブランチごとに色を分けるようにし,1ブランチには1単語または1シンボルが基本です(ゆえに,マインドマップをかくにあたって,色ペンは必須です)。
配置を工夫する
セントラルイメージを中心に,ブランチを放射状に広げていきます。
中心に位置するものほど,印象に残るように太く抽象的なブランチをかき,末端にいくほど具体的かつ細くすることを意識すると,論理的な思考を育成する際に都合が良いです。
マインドマップにおける見やすさは1つ重要なポイントとなっているので,見映えをたえず意識するようにしましょう。
ひと目で全体を見渡すことができ,色やイメージごとにどのような内容がかかれていたかを難なく思い出せてしまう点はマインドマップならではの特徴です。
似たような図としてスパイダー図(イメージマップ)がありますが,こちらは色は使うことが絶対ではありません↓
枝の太さにも差が付けられておらず,発展性に乏しいです。
次章で,より詳細な書き方について述べることにしましょう。
マインドマップの書き方
①中央部から取り掛かる
まずはセントラルイメージをかきます。
先述したように,強く印象に残り,かつ創造力に訴えかけるよう,色は3色を使い文字は太字にしましょう。
上の例では,「マインドマップ」ということでシナプスを描いてみました。
②メインブランチを伸ばす
次にテーマからメインブランチを1つ伸ばし,その上にキーワードを1つ書きます。
太い曲線にして,目立たせると同時に緩さも出しましょう。
あくまでアナログ的な緩さが大切で,決して機械的にしてはいけません。
文字よりもイメージの方がアイディアに結びつきやすいとも言われており,今回のマインドマップでは各キーワードに関する私のイメージを併せて書くようにしました(次の画像参照)。
③サブブランチを伸ばす
さらにそのキーワードからサブブランチを複数伸ばし,想起されるサブキーワードまたはシンボルを同じようにかき足しますが,枝の太さはメインブランチと比べてかなり細いもの(1本線)にしています。
多少関係がないと思っても,あとで何が役に立つかわからないので,頭に浮かんだものはできるだけ残すようにしています。
④充実させる
同じ調子でメインブランチをかいていきますが,全部で5~6つほどになるのが理想です。
人間の短期記憶的には「7つ」の事柄が限界ということもあって,充実度と効率を求めた結果がこの数字なのでしょう。
繰り返しますが,枝ごとに別の色を使うようにしてください。
色を使う意味ですが,楽しさに繋がったり,右脳に訴えやすかったりするわけで,色ごとに自分なりの意味付けをしておくことと記憶に残りやすくなるのでおすすめです。
最後に全体を俯瞰し,ブランチごとに繋げられそうなものを矢印でつなげたり,グループ化したいものを囲ったりと,仕上げの作業に入っていきます。
もっとも,マインドマップはかいて終わりではなく,別の日に見直すことで,付け加えられそうなアイディアが浮かぶこともあるため,基本的に終わりはありません。
マインドマップの使い方
マインドマップは,なにも特殊な職業の人が限定的な場面で用いるものではなく,誰でもいつでも使うことができます。
それこそ,小学生であってもかけるでしょうし,用途は多岐にわたり,仕事や勉強はもちろん,家庭のことや創造的な作業,はたまた健康の実現に役立てることも可能です。
なお,マインドマップはかけばかくほどに洗練されていくものなので,できるだけ日々の生活に取り入れるようにすると,その人の未来は明るくなるように思います。
1日に行うべきToDoリストや1週間の予定表を書く際にも使用することで,マインドマップに触れる頻度は増え,100枚かくこともそれほど先のことにはならないでしょう。
とはいえ,楽しくて面白いと感じたときにこそ最大の効果を発揮するものなので,無理にかく必要は ないと思います。
なお,あなたが学生の場合,授業内容をマインドマップで残すと,毎日凄い量がかけることになり,練習を積むのにピッタリです。
勉強に使う場合
勉強目的でマインドマップを使う場合,いくつかの用途が考えられます。
まずは先にも述べたように授業ノートをとることが挙げられ,そこでマインドマップを使うというのはユニークなアイディアです。
とはいえ,箇条書きにするときと異なり,自分で頭を使いながら,いまどこの話をしているのか考えながら,各ブランチごとにかきわけていく作業をするわけですから,それは高度な知的活動を行っていることに他なりませんし,授業中も飽きずにいられます。
たまに,「学校の授業が退屈だから絵を描いていました」と告白してくる生徒がいますが,マインドマップには作業内にイメージを描く作業が含まれているわけで,それが暗記の手助けに繋がるわけです。
マインドマップをかくことで論理的で創造的な思考を獲得できれば,それは21世紀を生き抜くための力にもつながるでしょう。
様々な理由から,学校でかくのは憚らるようでしたら,家で授業内容をまとめる際に使ってみると良い復習になります。
社会の勉強法!ノート術も紹介のまとめノートのところで語った内容です。
小中学生は,マインドマップにして家族に学んだ内容をプレゼンしてみるのはいかがでしょうか。
この他,長期休暇を利用して,自分の弱点分野を分析する際にも利用することができます。
受験生であれば小論文が試験に含まれることもあるかと思いますので,マインドマップを使って,話の流れを考えてみましょう。
マインドマップは書き終わったあとに俯瞰できるのが特徴なので,下書きの段階で漏れや重複がないかを確認できて便利です。
マインドマップの実例
なお,英語の勉強において,自分の弱点をマインドマップを使って分析したものが上に示した例となります。
これは,夏休みにそこまでに習った範囲の総まとめテストを行った際の反省として,生徒に作らせたものです。
上のマインドマップでは5色を使いましたが,この色の通り,ノートや本文を同じように色分けしていく(青色で前置詞を,緑色で指示代名詞をチェックする)ことで,今後の学習において,より一層の注意を払うことができるようになります。
こういった勉強法に関しては,英語ノートの作り方の記事も是非お読みください。
まとめ
以上みてきたように,マインドマップは勉強を始め,多くの作業の効率を高めてくれる便利なツールです。
今回の記事を書くにあたり,「マインドマップの書き方」の章のところで示したマインドマップを実際に使って書くようにしましたが,時間にして数十分で書き終えられたように思います。
一般的に,マインドマップでは20分を目処に一区切りとすることで,集中力を高いレベルで保持できるとのことです。
今では,マインドマップをデジタル的に扱うことができるAyoaというソフトも一流企業の間で流行っていると聞きます。
知る人ぞ知る勉強ツールではありますが,学校で習わないところも多いでしょう。
ですが,みなさまはすでに「マインドマップ」というキーワードにたどり着いているわけで,是非ともこれから本腰を入れて鍛錬に励み,生涯使える思考ツールとして,あらゆる場面に生かしていただけたらと思います。
少なくとも,私の毎日をみる限り,役立つ場面はとても多いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。