今回はスタディサプリの高校・大学受験講座から「生物」という科目に注目し,どのような講座があるかについてまとめていこうと思います。
この記事をお読みになっている方の中には,初めて生物を学ぶ人であったり,学ぶのは生物基礎までで十分という方もいることでしょう。
または,難関大に特有の考察問題まで解けるようになりたいという方もいるかもしれません。
ここでは,各講座の特徴に加え,講座選びの基準的なものを示せればと思っています。
スタディサプリの生物講座について
スタディサプリの生物講座は高校・大学受験講座に存在しますが,全部で以下の4つです↓
- 高1・高2・高3 生物基礎
- 高1・高2 生物
- 高3 生物
- 高3 トップ&ハイレベル生物
講座を担当するのは,東大理学部で生物科学を修了した牧島央武先生で,予備校講師らしいオーソドックスな説明でテンポの良い授業が受けられます。
とはいえ,基礎レベルから応用講座までを扱う先生ですから,当然のように自学自習を求められることになり,高度な知識が得られる反面,生物が嫌いであったり,勉強が嫌いな人の場合だと,授業を受けるのがやや辛いと感じるかもしれません。
もちろん,学校の授業を一度は受けたことのある方が,この講座をきっかけに教科書や参考書を学び直すきっかけに使うのであればぴったりです。
なお,スタディサプリに登場する先生について詳しく知りたい方は,以下の記事を参照してください↓
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さて,上で挙げた講座1つ1つの特徴と違いについて簡単に解説していきますが,「高1・高2・高3 生物基礎」は,名前にもある通り,生物基礎を学ぶための講座です。
共通テストで利用する方や,生物基礎で受験ができる学部(例えば看護学部)を受験する予定がある方は,本講座を受講するようにしてください。
なお,生物を学びたい方は,いきなり「高1・高2 生物」から始めましょう。
生物には生物基礎で扱う内容も含まれるのは確かですが,それは本講座もカバーしているので,2つとも受講する必要はありません。
なお,高3の受験生が初めてスタディサプリで生物を勉強する場合はどうすればよいかというと,現状の知識レベルによります。
あとで具体的に説明しますが,基本的な用語を聞いて「あー,あれね!」的な感じで,それが意味するものが浮かばないような状況であれば,「高1・高2 生物」から受講してください。
学校の授業で生物を学んだことがあり,定期テストでもある程度の点数を取れていた方であれば,「高3 生物」から始めてしまって大丈夫です。
受講後には,標準レベルの問題を解けるくらいにはなっています。
なお,偏差値の高い大学を生物で受験するともなると,考察問題が出題されるようになりますが,そういった問題を解く予定のある方は,「トップ&ハイレベル 生物」を受講してください。
ちなみにスタディサプリのテキストですが,授業で扱う問題については解答のみが載っているだけなので,講義の解説はノートに残しておく必要があります。
なお,これらの講座で学んだ後は,共通テスト対策講座や志望校対策講座に進むか,学校で配られた問題集を解き,最終的には過去問を演習して本番力を磨くようにしましょう。
高1・高2・高3 生物基礎の特徴
スタディサプリの「高1・高2・高3 生物基礎」ですが,こちらは学年を問わずに理解できる内容です。
基本的には高3になって始めて,受験科目に生物基礎があることを知って受講する方が多いでしょうが,受験生になる前に一度学んでおくと,高3になって学び直すときに思い出すだけで済みます。
講義数にしてもわずか12回なので,生物選択にするか迷っているような方は試しに1つ視聴してみると,できそうかできないかの判断がすぐにできるのではないでしょうか。
扱うテーマについては以下の通りです↓
- 生物の多様性と共通性,顕微鏡
- 細胞の構造と機能,酵素
- 代謝:同化と異化
- DNAと遺伝子
- 遺伝情報の複製と分配
- 遺伝情報の発現
- 体液と循環系
- 排出系
- 内分泌系と自律神経系
- 免疫系
- 植生の多様性,遷移
- 物質の循環とエネルギーの流れ
順番については学校の教科書に沿ったものでない場合もありますが,どこからでも開始できます。
なお,1回の講義の内訳は,前半40分で授業をし,後半の30分で演習問題の解き方について説明するといったものです(1.5倍速で早回しで観てもOKです)。
毎日1講義ずつと決めてやれば,すべての講義を1ヶ月で学び終えることは十分に可能ですし,変な話,その2倍のスピードで学ぶこともできますので,本番までの時間がほとんど残されていなくても諦めないでください。
使い方ですが,まずは前半の授業を視聴し,その上でテキストの問題を解きましょう↓
生物の最初に習うものと言えば,顕微鏡が定番ですね。
中学生でも学べるような内容にも関わらず,正誤判定問題などで突然出てきたりもするので侮れません。
生物基礎の問題は,前半の動画内容だけを参考に解くこともできますが,教科書を併用した方が良いです。
解き終えたら,後半の講義を視聴して答え合わせをしましょう。
間違えた問題があれば,その理由を書き込んでおくと,復習する際に便利です。
高校1年生であれば,復習するのは2年後になるので,後で確実に役立ちますし,その際の時短にも繋がります。
高1・高2生物の特徴
高校生物の基礎知識は「高1・高2 生物」で学びましょう。
全部で40講義ということで結構な量がありますが,扱う単元は大きくみると以下の7つです↓
- 細胞と分子
- 代謝とエネルギー
- 遺伝子の働き
- 生殖と発生
- 生物の環境応答
- 生態と環境
- 進化・分類
とはいえ,40回ある講義1つを観るだけでも60分以上がかかりますので,毎日1つずつやっていっても40日がかかりますし,記憶の定着も含めれば3ヶ月くらいは費やしたいところです。
なお,後で比較に使う関係上,ここでは「独立と連鎖(第19講)」を例に説明しますが,テキストの前半は基本的な用語のまとめとなっています↓
生物が暗記科目とされる理由は,結構な数の用語を覚える必要があるからですが,その概念についても理解を深めていく必要がありますし,「対立形式」や「相同染色体」,「遺伝子座」といった用語すべてについて,テキストに詳細な説明が載っているわけではありません。
後述する「高3生物」と比べれば,牧島先生は基本レベルから説明してくれてはいるものの,教科書や参考書も使って,自分なりに理解を深めていく必要があることに注意してください。
問題は用語を埋めるような問題もあるため,基礎的な知識を網羅的に学習することが可能です↓
スタディサプリの生物科の方針は,網羅的に学ぶことを繰り返し,得た知識をさらに深めていくことですが,本講座で学んだ用語は,より高いレベルの講座を受ける際には当然のものとして登場するので,調べては覚え,忘れてはまた覚えを繰り返していきましょう。
高3 生物の特徴
スタディサプリの「高3 生物」の内容としては,章としてみれば以下の8つになります↓
- 細胞とその構成要素
- 生殖と発生
- 代謝
- 遺伝子とその働き
- 動物生理
- 植物生理
- 生態
- 進化,分類
ただし,1つの章が複数の講義からなるため,講義数としては48個にもなってしまい,その1つを終えるだけで2時間程度はかかる見込みです。
1つの講義は全部で4つのチャプターに分けられ,前半の2つが授業で,後半では3~40分かけて解いた問題の解説がなされます。
このときに,結構な数の生物用語が出てくるのですが,パッと言われてその内容が浮かぶような状態になっていないと,授業に付いていくのは困難でしょう。
ゆえに,先述した通り,「相同染色体」や「乗り換え」といった用語に馴染んでいないといけません。
生物を未習の方がいきなり本講座から始めると,解説動画を理解することすら難しいでしょう。
どちらのレベルから始めようか悩んでいる方は,まずは「高3 生物」を視聴して,解説内容が理解できるかどうかを基準に判断してみるとよいように思います。
なお,問題の質も標準レベルに上がっていて,例えば組み換えの話題の講義では,連鎖のバリエーションが増えたり,独立との見分け方についても解説がプラスされていました↓
組み換えの計算式であったり,出現する表現型の比率については,共通テストや私大でもひねった問題として出てくる可能性があります。
暗記した知識をもとにして,とある現象についてより深く学んでいきましょう。
なお,以下に示したのは「高1・高2生物」のときと同じテーマの演習問題(独立と連鎖)になりますが,難易度の違いは一目瞭然です↓
組み換えが起こらない完全連鎖の場合と比べながら,すばやく正しい答えを導けるように訓練してください。
こちらも3ヶ月以上はかけたいものですが,長期休暇を利用すれば1ヶ月程度で一通りやり遂げることも一応は可能です。
高3 トップ&ハイレベル生物
スタディサプリの高3トップ&ハイレベル生物は,東大や京大の問題も用いながら,難問へのアプローチの仕方や考察問題の解き方について学ぶことができます。
こういった問題は,初見のものがほとんどになるので,まずはどのようなことが書かれているのかを理解しなければなりません。
加えて,図や表が与えられることが多く,そこから何を読み取るかが問題になっていることが多くなります。
扱う内容は以下の通りですが,1つの問題の中で広範囲にわたる知識が問われる場合がほとんどなのでで,総合問題だと考えてください↓
- 同位体を用いた実験
- 染色体と遺伝子
- 興奮の伝導,伝達
- 拒絶反応,抗原抗体反応
- 膜タンパク質,糖の取り込み
- 酵素反応の調節,限定要因
- 遺伝子①
- 遺伝子②
- 生態系内の物質循環
- 進化の仕組み
これまでの生物講座は,解説動画を観てから問題を解く形式でしたが,高3トップ&ハイレベル生物では,いきなり問題を解くことになります。
多くが大問2つから成りますが,牧島先生の言う「要素・場所・作用」に注意して解きましょう↓
なお,テキストに解説のページはありません。
収録されているのは問題だけです。
演習時間については無制限に費やしてよいということで,すべての問題に対して自分の答えをちゃんと用意しましょう。
テキストには解答しか書かれていないと言いましたが,解説は講義内で黒板を用いて行われるので,しっかり理解してください。
本番でまったく同じ問題が出題されることはありませんので,その問題を解くことよりも,解答までのプロセスを学ぶことの方が圧倒的に重要です。
なお,スタディサプリの講義には確認テストが毎回用意されているのですが,そちらの方は解答だけでなく,解説も付いています↓
スタディサプリの良質な問題で,難しい問題を解くコツを掴みましょう。
余談ですが,こういった問題は,大抵が院試の問題の改題だったりするもので,例えば予備校講師が予想問題集を作る際には,そういったものをたたき台にして作るわけです。
こういったものは,大学の研究室に入って,実際に研究テーマという形で自分の身に降り掛かってきますので,考えることを楽しめるようでないと,入学してから困ってしまうかもしれません。
ついでに老婆心ながら,上の問題は細胞分裂と遺伝情報の分配に関するものですが,ただM期,G1期,G2期,S期を覚えている方はいないでしょうか。
個人的な意見にはなりますが,受験生の態度としては,M=mitosis(分裂),G=gap(間),S=synthesis(合成)の頭文字であることくらいは,すでに調べているくらいのレベルには達しておいてほしいものです。
まとめ
以上,スタディサプリの高校・大学受験講座から,生物講座の特徴と使い方についてまとめてきましたがいかがだったでしょうか。
短期間で学び終えられる「高1・高2・高3 生物基礎」の講座は,集中的に取り組めば比較的早く得点が取れるようになります。
一方,生物の入試問題を解けるようになるためには,「高1・高2 生物」で基礎知識を固め,さらには「高3 生物」に出てくる標準レベルの問題をこなし,さらには実戦的な問題を解いて本番力を付けていく必要がありました。
例えば,以下の共通テスト対策講座の問題であったり,スタディサプリの特別講習でもそういった内容のものを扱っています↓
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獣医学部や医学部を含む難関大を受験する予定がある方は,「高3 トップ&ハイレベル生物」の考察問題にも挑戦してみてください。
なお,色々書き連ねてきましたが,実際に講義を視聴してみると,より雰囲気が伝わります。
スタディサプリは学年も科目を問わず,多くの講座が定額で利用可能ですので,キャンペーンについての記事も参考に,無料体験から始めてみてください↓
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私も受験科目は生物でしたが,得られた科学者的な視点は今の生活においても大いに役立っています。
頑張ってください!