今回は「国語の勉強ノートの作り方」についてまとめてみたいと思います。
国語は主に現代文(評論や小説など)と古典(古文と漢文)に大別され,時間をかけて勉強した分だけ得点力が伸びやすいとされるのは一般的には後者であると言われますが,かといって現代文をはなから諦めてしまう道理もありません。
もちろん,あれもこれもできないからひとまず古文に集中するという戦略は十分に考えられますが,時間がある中学生や高校生は満遍なく取り組むことを基本姿勢としてください。
現代文の勉強ノートの作り方
受験における現代文では,主に,
- 読解力
- 解答力
- 記述力
という3つの能力が求められることになります。
なお,学校の授業では読解力を伸ばすことに重きが置かれているため,それ以外の2つは授業時間外を利用して能力アップを図る必要があることに注意しましょう。
とはいえ,学校の授業においても自宅学習でもノートは書くことになるわけで,以下では,それぞれの能力ごとにどのようなノートを作るべきかを紹介していきたいと思います。
読解力を高めるノートとは
解答力や記述力を高めたいと思ったところで,読解力がそもそもなければそれらの能力を高めることはできません。
ゆえに,学校の授業をしっかり活用することが大切になってきますが,一般的な授業の流れは,
- 文章を読む
- 全体の内容を掴む
- 重要な箇所を引用する
- それに対して説明を加える
といった順番で進んでいくことがほとんどです。
ところで実はこの流れ,入試問題を解くときに行う作業と同じなので,授業は入試本番のための訓練の場のようにみなすことができます。
このときに作る勉強ノートですが,タイトルや日付の他,引用した箇所のページ番号や行数を後から確認できるようにしっかり書き残しておきましょう。
読むべき文章は数ページにまたがっていることが普通で,そこからポイントとなる文だけを抜き出して解説していくことが多いので,上のような工夫をしておかないと,一体どこから引用したのかを見つけるだけで一苦労です。
なお,ノート術で大切なのは余白を空けることですが,現代文においては引用した文の間を数行空けるだけでなく,板書内容(黒字)や教師またはクラスメイトがしゃべった内容(赤字)の間も行を空けるように工夫してください↓
特にグループワークの場合は意見に訂正が入ったり自分の意見を求められたりすることも多いですから,書き込めるスペース(黄色矢印)は多く取っておくに越したことはありません。
このとき,ノートの中心部に横線を引き,板書(結論)部分としゃべり(話し合い)の部分を上下2段に分けて書くのも良い方法でしょう。
ところで,現代文の問題というのは結局のところ,傍線部をわかりやすく言い換えて説明できさえすれば自ずと高得点が取れてしまうわけです。
そして,鍵となる文であるけれど一回読んだだけでは意味がわかりにくい傍線部を,学校の授業で,教師ら読み解けるように解説してくれるわけですから,定期試験前に,ノートに書かれている引用部分すべてに対して,教科書に傍線を引く作業をすることで,簡単に予想問題集が作れてしまいます↓
これらを見ながら,ノートに書いた板書や先生のしゃべりを再現できれば良いわけです。
とはいえ,学校の定期テストでは,問題を作成する教師と普段の担当教師が異なったり,授業の展開次第で解説した文の種類が異なることも少なくありません。
特にグループワークともなると,より様々な意見が飛び交うことになるでしょう。
なので,授業で解説されなかった箇所以外が問題になる場合に備え,他クラスのノートも手に入れて,漏れがないことをチェックするのも重要です。
解答力を高めるノートとは
さて,今度は問題に解答する力を磨くノート作りについて述べますが,問題用紙にまったく線を引かずに解いてしまうようでは,いつまで経っても現代文を勘で解くことから抜け出せず,成績は安定しないでしょう↓
ちなみに上の生徒は,こんなふうにワークは完璧に正解できているのにもかかわらず,実際のテストでの出来はいまいちでした。
テストを受けた後,なんとなくできたとかできなかったとか毎回感じている人は,文に線を引くところから始めてください。
結局,文中に書かれていることしか根拠にすることはできず,誰が解いても同じ答えを導き出せるというのが現代文の問題です。
なので,それはそれは厳密かつ論理的に問題は作られています。
文全体に登場するキーワードや,構成に影響する論理展開を示す語句(逆接・並列・同義)をチェックしつつ,具体例は全体の構成に含めないように囲むなどして区別して,何度も登場する似た表現(主張であることが多い)には線を引くようにしましょう。
なお,線を引くのは本文だけに留まりません。
質問や選択肢についても,重要な部分(「不適当なものを選べ」や「なぜか」などの指示)であったり,誤りだと判断した根拠だったりにバッテンや三角の印を付けておきます↓
なお,国語という教科においては,文章を読んでただ問題を解くよりも,そのときの解き方についてよく理解することの方が圧倒的に重要です。
どの問題にも通ずるような解き方を身に付けることを目標にして,1つの文章から多くを学び取りましょう!
そのためには,全問正解した問題であっても解説部分を読み,客観的かつ論理的な説明でもって正解にたどり着けたのかどうかをいちいち検証していかなければなりません。
私は国語の問題集の選び方について聞かれた際,「解説が分厚いこと」を挙げることにしていますが,それは上記のような理由からです↓
普通であれば分厚いものほど解説の量が多いため,学べるものはより多くなります。
解説の中から,国語の問題を今後解く際に役立つであろう部分を見つけたら,それにも線を引いて強調しておきましょう。
記述力を高めるノートとは
「記述問題は面倒だからやりません」と言う生徒が一定数いますが,たとえ本番の試験で選択問題しか出題されないからといって,記述問題を解かない理由にはなりません。
というのも,記述問題では自分がどのような論理で答えに至ったかが答案にしっかり残るからで,誤魔化すことはできなくなります。
大体,記述問題を嫌う生徒というのは,難しい文章を前にすると頭を使って深く物を考えることを放棄しがちで,「時間をかけるのがもったいない」などと言い訳してみては,単なる情報反応マシーンと化しているものです。
そのような態度ではこれからの情報化社会で生き抜くことはできないでしょう。
それに,国語で身に付く論理力というのは英語でも理科社会でも役立ちますし,そもそもノート術を学びたい人間が書く作業を嫌がるなど言語道断です。
必ず手を動かしては記述問題に取り組むようにしてください!
なお,このときの題材は学校ですでに扱った文章を用いてしまって構いません。
文章の要約をすることが最終目標になりますが,まずは問題集の傍線部分を使って,それを具体的に言い換える練習から始めるのがおすすめです。
やり方は簡単で,傍線部を見つけたら意味ごとのまとまりに分け,それぞれを本文中にある言葉を使って言い換えていきます↓
記述に関しては,第三者に評価してもらうことが基本となるので,周りの教師に頼むようにしましょう。
何回か頼んでやってもらっていると,自分でも解答を見ればできるようになってきますが,その状態に至るまでは,自分で採点したものと教師が採点したものを比較する作業が必要です。
次に要約の練習ですが,評論では各段落ごとの要旨をまとめ,小説ならば登場人物の心情の変化を追っていきます。
具体的な方法としてよく知られているものには,
- 文章を削っていく方法
- キーワードから始める方法
の2つがありますが,ほとんどの人は前者で行っているように思うため,ここでは後者の方法を用い,ある段落で語られている内容について一言で要約する練習を紹介することにしましょう。
まずは,その段落のキーワードを見つけるところからですが,仮に以下のようになったとします↓
キーワード
てつがく者
もちろん,これだけでは要約になりませんので,肉付けして文章に変えていくわけですが,主語と述語を中心に加えてできた例がこちらです↓
主語と述語を加えた例
人は花屋の店先を通りかかる時,「てつがく者」になる。
このとき,本文で使われている言葉を使って充実させるところがポイントで,曖昧な言葉や特殊な意味で使われている言葉を含めてしまってはなりません。
自分で読んだときに変だなと感じないことも判断基準に入れてください。
最後に修飾語や節を足して形を整えたら完成となります↓
修飾語や節を足した例
人は花屋の店先を通りかかる時,命の誕生と譲渡に思いをはせる「てつがく者」になる。
こういった具合に,段落ごとに要約文を1つずつ作っていき,最後にそれらを始めから繋げて読んでみて,文全体の内容がわかるようになっていればOKです。
古典の勉強ノートの作り方
続いて古典のノート作りについてみていきましょう。
こちらは先述したように,時間をかければ伸びる教科ですが,古文→漢文の順番で学ぶと無駄がありません。
古文の文法を暗記し,その知識を生かしつつ漢文の句法を暗記するのが王道とされ,そもそも日本において漢文は白文では読まれず,古文として読めるように工夫してあるわけです。
現代文のとき以上に古典では予習を念入りにしたいところで,テストまでに,
- 古文=品詞分解できる
- 漢文=書き下し文が作れる
ことを目標にしましょう。
復習する際に暗唱も行うようにすれば,自然と現代訳が書けるようになりますし,授業で習ってから時間が経って忘れてしまった記憶も,暗唱することで蘇ってきます。
なので,古典の勉強ノートは,上記目標に達することを前提に作るべきです。
具体的には,見開きの2ページを1つとして使い,本文を上ページに貼り付けては,その訳を下ページの上半分に書き,それ以外の部分に板書やしゃべり,文法や語彙のまとめ(上ページ左)を作るようにしてください↓
現代語訳を,古文や漢文のすぐ横に書いてしまうと読みにくくなってしまう他,現代語訳のセルフチェックも行いにくくなってしまいます。
本文は拡大コピーして貼ることで行間も取りやすくなりますが,中学の内容のように写す文章が量的に少ない場合には手書きで構いません。
ただし,その場合は1行空けて書くことを忘れないようにしましょう。
なんだかんだで書き込む内容があります。
余白が足りない場合は紙を横に貼るなどして対応しましょう。
また,語彙の意味や時代背景などは生成AIに尋ねると正確なものを返してくれます↓
実際の景色や日本史的な知識であっても,古典を読み解く際には欠かせません。
使い方については小中高生の生成AIの使い方!デメリットを知って自分らしくを参考にしてください。
なお,漢文のノートも古文のものと同じように書くことができます。
まとめ
以上,国語の勉強ノートの作り方についてでした。
現代文は学校の勉強で読解力を高めますが,ノートに多くの意見や説明を書き込むようにし,自宅学習においては線引きを行なったり,傍線部の言い換えや要約を書いたりすることで,解答力や記述力を高めるように工夫しましょう。
古典に関しては,学校の授業で最低限の文法・句法の知識を学んでおけば,いざ受験生になったときにおいても焦らずに済みます。
生成AIの力も借りやすいですし,詳しく解説しているWebページが見つかることもあるはずです。
古典の勉強が遅れてしまっている人は,すぐにでもドリルを学校の授業と併用し,出てきた知識は参考書などで調べて,その場で確認する癖を付けましょう。
その他教科のノート術に関しては以下のページで案内しているので参考にしてください↓
最後までお読みいただきありがとうございました。