ESAT-J対策ガイド
ESAT-Jは,中学校の授業で身に付けた英語の「話すこと」の力を測るスピーキングテストです。
中学3年生対象のYEAR 3は都立高校入試に活用され,中学1・2年生にはYEAR 1・2も実施されています。
当記事では,2026年度の日程と出題形式を確認したうえで,Part A~Dの対策と,自宅でできる発話練習を紹介します。
多くの都立高校の入試で活用されているのが英語スピーキングテスト(ESAT-J)です。
2022年度の本格導入以来,対象となる都立高校入試では,話す力の評価が最大20点分として総合得点に加算されています。
しかし,このテストを単なる「入試科目の一つ」として捉えるべきではありません。
これは,東京都が2018年に策定した『東京グローバル人材育成計画'20』と,2022年の『東京グローバル人材育成指針』に基づく,一連の教育改革の一環でもあるからです。
ESAT-J YEAR 3のテスト形式とYEAR 1・2との違い
ESAT-Jは英検の面接のような対人形式ではありません。
タブレットとヘッドセットを用いた「デジタル録音形式」で行われます。
2026年度ESAT-Jの基本情報
正式名称:中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)
対象:都内公立中学校3年生
会場:都立高校・大学・民間施設など
受験料:都内公立中3生は無料
YEAR 3の日時:2026年11月22日(本試験),12月13日(追・再試験)
実施方法:タブレットとヘッドセットを使って解答音声を録音する
YEAR 3の結果※:A~Fの6段階で評価され,都立高校入試では20点~0点に換算される
YEAR 1・2:2027年2~3月に在籍中学校で実施する。入試には使用されない
※A=20点,B=16点,C=12点,D=8点,E=4点,F=0点として都立高校入試に加算されます。スコア区分は,Aが100~80点,Bが79~65点などです。
令和5年度(2023年度)から,中学1年生対象のYEAR 1と,中学2年生対象のYEAR 2も始まりました。
これらは,現在の「話すこと」の力を確認し,個人レポートをその後の学習や授業改善に生かすために実施されます。
同じ形式のタブレットやヘッドセットを使用するため,結果としてYEAR 3の操作や録音形式に慣れる機会にもなります。
令和7年度YEAR 3の平均スコアは74.9点で,前年度の68.3点を上回りました(参考:令和7年度プレスリリース)。
A評価は47.2%,B評価は29.0%となり,A・B評価の受験者が全体の4分の3を超えています。
ただし,年度によって問題や得点分布は変わるため,平均点の高さを理由に対策を軽視するのは禁物です。
詳しいタイムスケジュールなども併せて公式サイトで確認できます。
Part A~Dの実戦攻略法と対策
ESAT-Jは4つのパートで構成されています。
それぞれの評価のポイントを理解しましょう↓
| Part | 問題数 | 課題内容 | 対策の要点 |
| A | 2問 | 英文の音読(準備30秒・解答30秒) | 発音・強勢・間の取り方を意識し,意味のまとまりごとに読む |
| B | 5問 | 質問への応答・質問・意図の伝達(準備なし・解答各15秒以内※自分から質問する1問のみ準備10秒) | 質問に必要な情報を素早く伝え,自分から質問する問題にも対応する |
| C | 1問 | 4コマのストーリー(準備30秒・解答40秒) | 人物・出来事・結果を,時間の流れに沿って説明する |
| D | 1問 | 自分の意見(準備60秒・解答40秒) | 意見・理由・具体例を組み合わせて話す |
Part A:抑揚と切れ目を意識する
まず意識したいのが,抑揚の付け方です。
例えば,YesやNoで答えられる疑問文では,文末を上げるのが基本的な読み方です。
息継ぎは文末やカンマの位置だけで決めず,主語と動詞,前置詞とその後ろの名詞など,意味の強く結び付いた語を分断しないようにしましょう。
発音に自信がない単語があっても,長く止まらず,聞き取れる声量で最後まで読み切ることを優先してください。
Part B:質問の要点を聞き取る
準備時間がない問題では,質問の冒頭にある疑問詞や助動詞を聞き取り,何を尋ねられているのかを素早く把握します。
質問に必要な情報が伝わることが第一です。
自然な短答で十分な場合もありますが,余裕があれば質問で使われた動詞や時制を利用して,文の形で答えましょう。
また,自分から英語で質問する問題もあるため,What,Where,When,Howなどを使った基本的な疑問文をすぐに作る練習も必要です。
Part C:4コマの流れを説明する
準備時間には,各コマについて「誰が・どこで・何をしたか」を短い英語で整理します。
解答では,4枚の絵をばらばらに説明するのではなく,最初の状況,起きた出来事,最後の結果が伝わるように話しましょう。
First,Then,After that,Finallyなどを使うと時間の流れを示しやすくなりますが,難しい接続詞を無理に使う必要はありません。
Part D:自分の意見を話す
Part Dでは,英語表現を考える前に,自分の意見と理由を日本語でも簡潔に整理できることが重要です。
準備時間には,「私は~だと思う→なぜなら~だから→例えば~」という3段階で内容を決めましょう。
自宅でスピーキングの練習量を増やす方法
学校の授業だけでは発話練習の回数が限られるため,自宅でも短時間の音読や質問応答を繰り返しましょう。
スタディサプリENGLISHなどの英語学習アプリであれば,音声を聞いてまねる練習や,短い英文を声に出す習慣を作る用途に利用できます。
メインレッスンでお手本を音読すればPart A対策になります。
また,AIとの英会話では決まった答えが用意されていないため,質問に応じて内容を考えるPart Bや,意見と理由を組み立てるPart Dの練習に利用できます。
単語学習を並行すれば,Part Cの4コマを説明する際にも,人物の行動や気持ちを表す語を思い出しやすくなります。
全体的に有効なのが,芦田愛菜さんに学ぶ読書習慣の身につけ方の記事で触れた「読書をしながらの想像力」と「声を出して読む(音読)」という基礎的な訓練です。
Part Aの音読はもちろん,Part CやDでも,日頃から内容をイメージしながら音読している生徒は,場面に応じた英文を組み立てて話し始めやすくなります。
相手が人間でも機械(タブレット)でも,焦らずに堂々と声が出る。
このことも重要な対策の一つです。
その他,生成AIを使った学び方についても記事にしているので読んでみてください。
特に英検準1級用のプロンプトは,4コマの流れを英語で説明する点がPart Cと共通しています。
難易度や制限時間は異なるため,ESAT-J用に時間と語彙レベルを調整して利用してください↓
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ただし,ESAT-Jではタブレット上の指示に従って録音する必要があります。
本番前には,東京都教育委員会が公開する過去の問題・解答例を使い,実際の準備時間・解答時間で練習してください。
東京都がESAT-Jを実施する背景と普段の学び
東京都教育委員会は,『東京グローバル人材育成指針』に基づき,小学校から高校までを通した英語教育や国際理解教育を進めています。
同指針では,総合的な英語力だけでなく,論理的思考力,多文化共生,協働する力などを含む4つのTARGETを掲げています↓

東京都教育委員会が掲げる4つの「TARGET」は以下の通りです。
- TARGET I:主体的に学び続ける態度と総合的な英語力の育成
- TARGET II:国内外の課題を解決する創造的・論理的思考力の育成
- TARGET III:世界の中の一員としての自覚と自己の確立
- TARGET IV:多文化共生の精神の涵養(かんよう)と協働する力の育成
個人で学べるサイト
実現のための具体的な手段は各学校が実態に応じて取り組みますが,個人が学べるサイトとしてTokyo GLOBAL Student Naviが用意されています。
「英語を学ぶ」というメニューに含まれる主なコンテンツは以下の通りです。
カッコ内のTARGET番号は,内容をもとに筆者が整理したものになります。
- Welcome to Tokyo:東京の見所や魅力を紹介する(III)
- Tokyo Global Studio:あらゆる世代に向けた動画コンテンツを100本収録(I・II)
- TOKYO ENGLISH CHANNEL:以上の2つ以外にバーチャル留学(II)と高校生国際会議動画(IV)を含む
- 中学英語「話すこと」トレーニング:映像を使ってスピーキング練習が可能(I)
実践的な学習の場:TOKYO GLOBAL GATEWAY(TGG)
ペーパーテストやタブレットによる練習に加えて,実際に人と英語でやり取りする経験も,コミュニケーション力を高めるうえで役立ちます。
TGGは,学んだ英語を実際の場面に近い環境で試せる体験型英語学習施設です。
実践の場:TGGでの体験
青海(お台場エリア)や立川(GREEN SPRINGS)にある TGG は,海外の街並みをリアルに再現した体験型の施設です。
レストラン,薬局,機内といった「実際の海外の場面」で,イングリッシュスピーカーを相手に英語でミッションをクリアしていきます。
ESAT-Jという「テスト」で高得点を取れるようになったら,ぜひTGGという実際の場面を再現した環境で,イングリッシュスピーカーを相手に,自分の英語で目的を達成できるか試してみましょう↓
まとめ:2026年度の形式に合わせて練習しよう
ESAT-J YEAR 3の結果は,A~Fの評価に応じて20点~0点に換算され,対象となる都立高校入試の総合得点に加算されます。
- 中1・中2:YEAR 1・2の結果で弱点を確認し,公式の問題・解答例と採点基準を使って復習する。
- 中3:本番形式の問題を使い,Part A~Dを実際の準備時間・解答時間で繰り返す。
Part Aでは伝わる音読,Part Bでは質問に対応した返答と質問,Part Cでは時間の流れに沿った説明,Part Dでは意見・理由・具体例の組み合わせを意識しましょう。
普段は教科書やスタディサプリ,Tokyo GLOBAL Student Naviなどで発話量を増やし,本番前には話すことトレーニングや過去の問題・解答例を使って通し練習を行ってください。
公式サイト上では,自分の解答を録音したり自動採点したりできないため,タイマーと録音アプリを併用すると,より本番に近い練習ができます。






