【王道勉強法:ESAT-Jの完全攻略ガイド】
東京都が推進する「グローバル人材育成計画」の目玉,ESAT-J(イーサットジェイ)。2026年の現在,中1からのYEAR 1/2導入により,スピーキング対策は「早期からの準備」が当たり前の時代になりました。都がこのテストを導入した本当の意図(背景)を読み解き,本番で最高評価「A」を獲得するための全戦略を公開します。
都立高校入試において,もはや避けては通れないのが英語スピーキングテスト(ESAT-J)です。
2022年の本格導入以来,このテストは「話す力」という目に見えにくい能力を,入試の合否に直結する「20点分」の確かな数値へと変換してきました。
しかし,このテストを単なる「入試科目の一つ」として捉えるのは間違いです。
これは東京都が2012年から進めてきた「東京グローバル人材育成計画」という大規模な教育改革の集大成とも言える重要な取り組みに他なりません。

東京グローバル戦略:なぜスピーキングが必要なのか

東京都教育委員会は2030年を見据え,世界で活躍できる人材の育成を「TARGET」として掲げています↓
- TARGET 1:主体的に学び続ける態度と総合的な英語力の育成
- TARGET 2:国内外の課題を解決する創造的・論理的思考力の育成
- TARGET 3:世界の中の一員としての自覚と自己の確立
- TARGET 4:多文化共生の精神の涵養(かんよう)と協働する力の育成
実現のための具体的な手段は各学校の手にゆだねられますが,個人が学べるサイトとしてTokyo GLOBAL Student Naviが用意されており,「英語を学ぶ」というメニューに含まれるコンテンツは以下の通りです↓
- Welcome to Tokyo:東京の見所や魅力を紹介する(TARGET 3)
- Tokyo Global Studio:あらゆる世代に向けた動画コンテンツを100本収録(TARGET 1・2)
- TOKYO English Channel:以上の2つ以外にバーチャル留学(TARGET 2)と高校生国際会議動画(TARGET 4)を含む
- 話すことトレーニング:映像を使ってスピーキング練習が可能(TARGET 1)
東京都の英語力ロードマップ(2027年の目標)
都は,中学卒業までに英検3級レベル(A1),高校卒業までに準2級レベル(A2)以上を取得する生徒の割合を65%にすることを目標としています(参考:文部科学省の英語教育改善プラン)。

さんくす
最新の令和6年度調査では,都内の中学生のA1到達率は61.8%,高校生のA2到達率は60.5%です。目標まであと一歩のところまで来ています。教員のB2(英検準1級相当)取得率も向上しており,東京都全体が「英語でスムーズにコミュニケーションが取れる環境」へと着実に進化しています。
この戦略の中で,インプット(読む・聞く)だけでなくアウトプット(話す・書く)の力を正しく評価するために導入されたのがESAT-Jです。
ESAT-Jのテスト形式:YEAR 1・2と本番の仕組み
ESAT-Jは英検の面接のような対人形式ではありません。
タブレットとヘッドセットを用いた「デジタル録音形式」で行われます。
テストの基本構成
名称:中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)
対象:都内公立中学校に通う3年生(YEAR1・2は中1・中2対象)
実施時期:11月の第4土曜日~12月の第2日曜日にある休日か祝日
判定:A~Fの6段階評価(入試得点に20点~0点として加算)

さんくす
2024年の1~3月からは中1(YEAR1)および中2(YEAR2)も対象になりました。これは本番のタブレット操作に早くから慣れさせ,操作ミスによる思わぬ失点を防ぐための素晴らしい配慮です。
毎年,実施結果が発表になりますが,令和7年度のものの平均スコアは「74.9(Bスコア)」とプレテストの時(60.7が理想)よりもだいぶ高くなっています。
詳しいタイムスケジュールなども併せて公式サイト等で確認しておいてください。
【Part A~D】各パートの実戦攻略法と対策
ESAT-Jは4つのパートで構成されています。
それぞれの評価のポイントを理解しましょう↓
| パート | 課題内容 | 攻略の鍵 |
| Part A | 英文の音読 | 正しい強勢,イントネーション,意味のかたまりごとの区切り |
| Part B | 質問への応答 | 10秒以内の素早い返答 |
| Part C | 4コマストーリー | 接続詞を使って文と文を論理的に繋ぐ |
| Part D | 自分の意見 | 自分の意見と,その理由(根拠)のセット |
ここで極めて有効なのが,芦田愛菜さんに学ぶ読書習慣の身につけ方の記事で触れた「読書をしながらの想像力」と「声を出して読む(音読)」という基礎的な訓練です。
Part Aの音読はもちろん,Part CやDにおいても,日頃から読んだ内容を頭の中でイメージ化し,実際に声に出して練習し続けている生徒は,頭の中に「英語を話すための回路」が既にしっかりと出来上がっています。
相手が人間でも機械(タブレット)でも,焦らずに堂々と声が出る。
これこそが最強の対策です。
フィージビリティ調査の問題と解説を開く(タップで展開)
スピーキングテストのひな型となるフィージビリティ調査(実現可能性の調査)は,都内の公立中学8校に在籍中の第3学年の全生徒1000人ほどを対象に,2018年の8月から9月にかけて行なわれました。
6校においてはタブレット端末やPCを用いて録音する形式でしたが,残り2校は比較検討のためか面接形式(対人)で行なわれています。
実施時間は20分程度で,準備時間を含めても50分以内に完了するテストでした。
実施結果が良好だったため,本番でもこのような出題になることが予想され,実際にそうなりました。
2つの問題セットが用意されていましたが,ここではセットAの出題内容をみていくことにしましょう。
質問は全部で6問となり,前半では以下のような英文が流れました。
当然ながら,受験者は以下の印刷文を目で確認することはできません↓

簡単な質問に短文で答えますが,第3問において入力端末のボタンのYesかNoのどちらを押すかによって出題が変わるところは「機械的」です。
最初の問題なので,受験者の緊張をほぐす目的も当然あるでしょう。
黙らずに何かを話すことができればOKです。
しかし,第4問ともなるといよいよ本格的な出題となります↓

こちらでは強勢やイントネーションが問われていることが明らかです。
舞台は学校なので,身近に起こり得るシチュエーションだと見なせるでしょう。

ここでは書かれた英文をただ音読するだけで,そのあとに質問が続くわけではありませんでしたが,続く第5問・6問は実に入試問題らしい形式で,もちろん難易度は高めです。
第5問ではイラストを見て,ある日の班行動を振り返ります↓

いわゆる3コマ漫画を作る感じです。
こうしたものは起承転結を考えて作るものですが,3コマしかないので,1コマ目に起承を詰め込み,2コマ目で転,3コマ目で結を述べると良いでしょう。
各コマで1文ずつ言えればとりあえずOKですが,つなぎ言葉を用いるところが評価されることをお忘れなく(SoやHoweverを使うのがおすすめです)。
第6問の指示は以下の通りでした↓

スピーチ能力が問われている問題ですが,「話すことの例」が提示されている分,難易度は下がります。
ちなみに,これまでの問題すべての解答例は以下の通りとなっており,どの程度の解答が作れればよいのかの目安にしてください↓

総括しますが,これは中3生向けのテストとして見れば「簡単」です。
実際の平均点は80点となり,高得点層が多い結果となってしまいました。
とはいえ,多くの知見が得られるテストでもあり,最初の取っ掛かりとしては相応しい出題だったと思います。
本試験では得点分布が広範囲に及び,平均点は60点くらいになるのが理想的なので,実際はこれより難しくなることを覚悟しておきましょう。
一方で,出題内容については適切で,テストの信頼性も高く判定試験としての機能を果たしているという結果も出ていました。
プレテストの問題と解説を開く(タップで展開)
次に2019年(令和元年度)に行われたプレテストの構成をみていきたいと思います。
こちらは動画を使うことにしましょう↓
4つのパートごとの構成は以下の通りでした↓
| パートA | 音読問題が2問 |
| パートB | 質問に答える問題が4問 |
| パートC | 物語を作る |
| パートD | 自分の意見と理由を発表する |
これはその後行われた初回の本試験とほぼ同一の内容になっています。
出題内容についてもう少し詳しくみていくと,パートAは40語前後の英文を音読する問題でした。
準備時間と解答時間はともに30秒ありました。
パートBはイラストに関する質問に答える問題でしたが,準備・解答時間がどちらも10秒しかないので,即座に対応する必要があります。
英会話では黙ってしまうことが最悪とされるので,反応の俊敏さも重要です。
話題は留学生の案内からチラシに対するものまでと多様でした。
パートCは4コマのストーリーを自分で考えて話すもので,英検2級の面接などでよく目にするタイプの問題でもありましたが,30秒で準備し40秒で解答します。
パートDの問題では「ナイトルーティン」がテーマとなっていて,自分が普段していることとなぜそれをするかについて,準備時間が1分の解答時間は40秒で答える内容でした。
こうした準備時間や解答時間も初回に行われた本試験と同一です。
その後,確認プレテストが2回行われましたが,内容に大差はありませんでした。
本試テストの問題と解説を開く(タップで展開)
本試テスト(本試験)ですが,Part AはNo.1とNo.2からなり40語前後の英文を音読し,準備時間と解答時間がそれぞれ30秒ありました↓

DoやBe動詞で始まるものと異なり,WHで始まる疑問文の文尾は下げることに注意してください。
その他の注意点としてはnotのところをやや強めに読むくらいでしょう。
Part Bですが,問題数は最も多く全4問となるものの,準備・解答時間ともに10秒と短かったです。
最初の3問は聞かれた質問に答えますが,設定場面についての説明がある上,質問内容も英語で書かれているので,聞かれている内容をいち早く把握して適切な英語に直しましょう↓

4問目は逆に自分の方から質問をする問題で,開園時間が書かれた動物園のお知らせに対して,他に知りたいことを英語で尋ねるものでした。
Part Cでは4コマ漫画を作ります。
3コマよりこちらの方がわかりやすいです。
準備時間が30秒しかないのに対し,解答時間は40秒あるので,キーワードからストーリーを復元する練習を積みましょう↓

見た目通りではありますが,得点に差がつくのはPart CとDになります。
創造力や要領の良さも問われる出題です。
最後の大問となるPart Dは全1問ですが,70語くらいからなる英語の音声を2回聴き,それに対する意見と理由を述べていきます。
準備時間は1分,解答時間は40秒なので,説明しやすい意見と理由を1つずつ考え,詳しく丁寧に述べるのがコツです。
今回は,海外姉妹校の生徒から,「日本では昼に皆が同じ給食を食べるが,生徒にとってそれでよいか,別々のものを選べる方がよいか」について質問されているという場面設定でした。
日本語でまともな答えを言えないようでは,それを英語にしたところで理解してもらえません。
一発勝負なテストなだけに問題との相性が出てきてしまうのが玉に瑕ですが,ダメそうなら最小限の得点を狙う方針に切り替えましょう。
例えば上の問題だと「給食が美味しいと元気になるので,好きなものを食べたい。」などと言えれば御の字です。
逆に,高得点を狙えそうな場合は完璧な回答(学校における給食は栄養バランスが優れているし,準備する側は同じものを一度に作れて効率的であるため,同じ給食を食べる方が良いなど)を言えるように準備してください。
実践的な学習の場:TOKYO GLOBAL GATEWAY(TGG)
テストの点数を取る練習だけでは「生きたコミュニケーション能力」は完成しません。
東京都は,学んだ英語を実際に試すための「実践の場」としてTGG(東京都英語村)を用意しています。
実践の場:TGGでの体験
お台場(BLUE OCEAN)や立川(GREEN SPRINGS)にある TGG は,海外の街並みをリアルに再現した体験型の施設です。レストラン,薬局,機内といった「実際の海外の場面」で,外国人スタッフを相手に英語でミッションをクリアしていきます。
ESAT-Jという「テスト」で高得点を取れるようになったら,ぜひTGGという「本番さながらの環境」で自分の英語力がネイティブにどこまで通用するかを実際に試してみてください↓
TOKYO GLOBAL GATEWAY(TGG)公式サイト
TGGのプログラム詳細を開く(タップで展開)
プログラムを監修したのは松元茂氏で,親世代の方の中にはラジオ英会話でお世話になった方もいらっしゃるかもしれません。
彼は,「個人学習と対話型学習を通して培ったものは単なる練習にすぎず,実際のコミュニケーションの実践が伴ってこそ,普段の取り組む姿勢も変わってくる。」といった趣旨の話をしていました。
基本的には,小学生・中学生・高校生・大学生を中心とした「児童・学生向けの体験型英語学習施設」という位置づけですが,その対象範囲は今や幼児や大人にも拡大しており,週末や長期休暇には一般利用も可能です。
以下で青海のエリア紹介をしてみることにしましょう↓
- アトラクションエリア
- キャンパスゾーン
- リサーチラボ
- ジャパニーズカルチャースペース
■ アトラクションエリアとキャンパスゾーン

TOKYO GLOBAL GATEWAYがアトラクションエリアで提供するプログラムは,レストランやお土産店または病院など,海外生活で利用が想定される場面となり,外国人相手に英語で意思疎通を取るという貴重な体験を積むことができます。
もちろん,自由気ままに話しかけて終わりとはなりません。
実践する前に必要なフレーズを学び,本番では場面ごとに設定されているミッションをクリアする必要があります。
例えば,エアポートゾーンのレストランを選んだ場合をみてみましょう↓

海外に行ってもお腹は空くものですから,レストランに行って英語でやり取りする場面を避けることはできません。
ファーストフード店でもドリンクの受け取り(大体はfree drink)には悩まされましたし,ケチャップ1つ付けてもらうのにも難儀するものです。
チップが必要なレストランに行く場合,注文からお勘定に至るまでに数々の困難が待ち受けています。
英語ができないからと,ハンバーガーやピザばかり食べているようではつまらないですからね。
短期留学を考えている方はその準備段階としてTGGを利用し,相手に自分の希望を伝えられるように訓練しておくと良いでしょう。
ミッションですが,例えば「トッピングやドレッシング,さらにはサイドオーダーなど,希望する食べ物やドリンクを注文する」といったものがあります。
小学生の方であれば「I want~」や「~, please」といったフレーズを駆使して,欲しいメニューを頼んでみましょう!
店員側も,相手の英語力を判断して接し方を変えてきてくれます。
なお,中高生の場合はキャンパスゾーン(こちらは3階にあります)が利用でき,そこには学生窓口や書店があるため,クラブに入会したり指定の教科書を買ったりといった留学体験が可能です。
その他,以下のような体験ができます↓
- エアプレイン:飛行機のセットで機内のやりとりを体験する
- スーベニアショップ:どのお土産を買うか決めて店員に相談する
- ホテル:部屋の予約から快適に過ごすための交渉術までを学ぶ
- クリニック:体調やケガについて,経緯の説明や欲しい薬を相談する
- ファーマシー:薬局で日用品や薬を購入する
■ リサーチラボとジャパニーズカルチャースペース

前章で紹介したのは英語を使うプログラムでしたが,3Fにあるリサーチラボとジャパニーズカルチャースペースでは英語を通して何かを学ぶ体験ができます。
私の塾に来ている生徒をみていると,中高生のうちに短期留学やホームステイを経験して英語に開眼することも多いです。
リサーチラボでは,小学校でも必修化されたプログラミング教育について,Scratchのアプリを実際にPC上で行うこともできます。
また,「オリンピック精神を英語で学ぼう」というプログラムが行われた際は,以下のような流れでグループワークから発表までを行うことになりました↓
- オリンピックの哲学や歴史,さらにはオリンピックムーブメント(スポーツを通じて相互理解し,世界平和を目指す運動)について学ぶ
- グループに分かれて,オリンピックシンボルや憲章,賛歌,聖火リレーなどを通じ,オリンピックが目指す理想を考える
- みんなの前で発表する
これらはすべて英語のみで行われますが,TGGのスタッフがサポートしてくれるので小学生であっても安心して体験することが可能です。
ジャパニーズカルチャースペースではその名の通り日本文化に触れることができますが,中にはオーストラリアのクイーンズランド州の学校で実際に行われている授業を現地の教員が行ってくれるプログラムも見られます↓

■ 一般向けプログラム

TGGでは大学生や専門学校生,さらには社会人の方の利用も大歓迎となっており,40以上の国や地域から来日しているスタッフと話しながら,公用語としての英語を使う体験ができます。
「オトナTGG」と呼ばれますが,上記で述べたアトラクションエリアのミッションを体験できる他,トークサロンにおいて複数人が自由に会話も楽しむことも可能です。
この場合は話すテーマが予め設定され,時制に制限を加えた内容から,時事問題について意見交換するといった上級レベルの会話まで,英語力に応じた会話が展開されることになります。
時間が120分などとたっぷり設けられているところも魅力です。
学習のステップアップ:スタディサプリを活用した自宅学習
学校の授業という「基本の学びの場」だけでは,どうしても一人ひとりがスピーキングの練習をする絶対量が足りません。
東京都の調査でも,授業内で生徒が英語を話す機会の少なさが課題として指摘されていますし,教える教員側もマンパワー不足で実践的な指導をALTなどの外部の先生に頼っているのが現状な上,学校ごとの指導力の差(地域格差)の問題もあるわけです。
そうした「周りの環境」に左右されず,自分自身の力で英語力を鍛え上げるためには,スタディサプリENGLISHのような24時間いつでも声を出して練習できる学習アプリの活用が非常に効果的です。
1日15分,AIやスマホ画面越しの講師との「やり取り(Part B対策)」や「発表(Part D対策)」を積み重ねることで,11月の本番には揺るぎない「英語を話す自信」が完成しているはずです。
まとめ:東京都の恵まれた英語学習環境を使いこなそう
ESAT-Jの20点は,都立入試において内申点1~2段階分に相当する非常に重みのある点数です。
この20点を確実に確保できるかどうかで,志望校の選択肢や合格の可能性は大きく変わってきます。
- 中1・中2:YEAR 1・2を「ただのテストや遊び」と思わず,本番の形式やタブレットの操作を実際に体験できる貴重な機会とする。
- 中3:夏休みまでに基礎的な英文法や単語を固め,秋からは実践的な音読・解答演習に集中する。
普段はスタディサプリなどの学習アプリで毎日少しずつ練習を重ねつつ,本番が近づいたらTokyo GLOBAL Student NaviやTGGなどの豊富な環境を活用して実践力を磨き,これからのグローバル社会で活躍するための第一歩を堂々と踏み出しましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。