2020年度の教育改革以降,小学校での学習内容は大きく変わりました。
学校では1人1台のタブレット端末が配られ,先生が一方向的に解説しては板書するのを生徒が黙って見ているような授業はもはや行われていません。
先生も一体となったグループワークが増え,英語やプログラミングに触れる機会も増えました。
そんな中で疑問に思うのは,従来の授業がすべて間違っていたのかということです。
今,第一線で活躍している頭の良い人たちのことを思い浮かべてください。
彼らが小学生だった頃は,AIを搭載したオンライン教材もプログラミング授業もなかったはずです。
とはいえ,授業外において他人と違う学び方をしていたことは確かでしょう。
つまるところ,いつの時代も学校の授業では足りないところを家庭学習で補うというのが正解です。
そこで今回は「令和時代の小学生に必要な家庭学習」について考えてみることにしましょう!
家庭学習では読むことを最優先に
小学生のうちに身に付けさせたい資質・能力ですが,多くは「読むこと」を通して得られることになります。
というのも,小学生は使える知識が圧倒的に足りず,外部からそれを吸収しなければならないからです。
学校では他人が大勢いては教えてくれる人までいるので,会話を通して(その場合も空気を読む必要はありますが)知識を得られるのに対し,家庭学習では文字で書かれたものが知識の源泉となります。
本に限らず,お菓子の裏面やチラシに説明書など,文字で書かれたものはすべて読むべき対象です。
学校のテストはもちろん,ニュースや社会活動の中で文字を目にしないことはなく,それらが正しく読み取れなければ,何かしらの形で損をしてしまうでしょう。
これだけデジタルが全盛の時代に,世の中の解説書のすべてがマンガや動画になっていないのは,文章にしかない価値を社会が認めているからに他なりません。
実際,何をどのくらい読むのかであったり,読んだ後に何をするかといった細かい方法は複数考えられますが,家庭学習では読むことを習慣化することを優先してください。
色々なものを読むことで教養が身に付きます。
この教養とは,クイズ王が備えているようなオタク的な知識であっても構いません。
ひとまずは文章で書かれたものであれば内容については不問としましょう。
名著と称されるものにそれなりの価値があることは確かですが,それしか読ませないのもおかしな話で,一般人が書いた普通の文章を今後一切読まないわけにはいきません。
栄養だけを気にして食べていても,たまにはお菓子だって口にしたくなるでしょうし,「クラシックだけが至高でポップスは無価値」などと言われてしまっては,自分の青春を共に歩いたあの曲はどうなってしまうのかと思うはずで,これらの話と読書問題はどこか似ているように思います。
ということで,
読む以上はどんなものでも許す
の精神で話を進めていきましょう。
さて,そんな読む行為を通じて得られる教養は,創造的な考えを生む土壌になると同時に,豊かな感受性を育むことに繋がります。
後述しますが,読書量がもっとも多いのは小学校時代なので,本人の魅力に関わるあらゆる要素が,実は小学校時代の読む行為に起因していると言っても過言ではないわけです。
もちろん,スポーツを始めとする社会活動から協調性が得られたり,自然の中で遊ぶことで感動したりするわけなので,読む以外をしなくてよいわけではありません。
ですが,物事を考える際の基本となるのはやはり「言語」であり,備えている教養が当人の可能性の幅を決めていることを鑑みると,読むことで得られたものが本人を構成していることは確かです。
「別に知識がなくても調べればわかるではないか」と反論されるかもしれませんが,ある程度の教養がなければ特定の単語を調べようとすら思わないでしょう。
それに,読書を通じて「読む力」を身に付けることができます。
これは「書かれている内容をそのままの意味で正しく理解できる力」のことですが,簡単に身に付けられるようでいて実はそうではありません。
最近の研究においても,同じ文章を読んだ際に人によって理解度が異なることが証明されています。
今回は紹介しないので,気になる方は以下の記事を読んでみてください↓
次章からは,どのくらいの本を読めばよいかについて考えてみたいと思います。
小学生は月に何冊くらいの本を読むべきか
前章の内容から,早い段階に教養や読む力を身に付けると,後の人生に役立つ機会がその分増えることは確かです。
そして,そのために使える時間が最も多く取れるのが小学生時代なわけで,逆にこの時期を逃してしまうと不利な状況に追い込まれてしまいます。
後になって遅れを取り戻すことはできますが,やるべき時にやるべきことをやるのが最も効率的であるように社会は回っていることを考えると,小学生は読書を最優先課題とするべきです。
とはいえ読書は1人でできることなので,重要だと知っていながらも学校でわざわざ取り上げることはしないわけですが,ここで1993年~2023年における学生の読書量の推移を見てみましょう↓
これは,全国学校図書館協議会が毎年実施している学校読書調査の結果になりますが,これによると令和時代の小学生のひと月あたりの読書量は12冊を超えており,中学生や高校生と比べてずっと多くなっています。
今ではネットショッピングで本が買いやすくなっていますし,図書館で本を借りるのもオンラインでできる他,電子書籍も利用可能です。
ちなみに,中学受験で女子学院や慶応中等部に合格した芦田愛菜さんは平均して25冊/月の読書量で,月によっては60冊読むときもあったそうです(参考)。
1冊の本の厚さもありますし,別に早さや量を競うものではないのですが,小学生が毎日1冊読むくらいのペースはむしろ普通であることは頭の片隅に入れておきましょう。
彼女が中学生になったのは2017年なので,当時の平均の倍以上を読んでいた計算になります。
合格した中学の偏差値は70以上ということで,上位2~3%に入る小学生の読書量の基準とも考えられるでしょう。
なお,具体的にどのような本を読んでいたかについては芦田愛菜に学ぶ!幼少期の読書習慣の身に付け方でまとめています。
以下は参考ですが,先の調査で全く本を読まない生徒の数も判明しており,2023年度の調査によると,小学生の7.0%,中学生の13.1%,そして高校生の43.5%が本を読まないという結果が出ていました。
また,大学生協が実施した調査によると,約半数の大学生はまったく本を読まないようです。
このことからも,高校生以降,読書はしなくなる傾向にあり,小学生という時期の大切さが際立ちます。
家庭学習では書きやそろばんにも注目したい
欲を言えば,「読み書きそろばん」の3つの能力はできるだけ高いレベルで備えておきたいところです。
世界大百科事典をみてみると,
文字や文章を読むこと,内容を理解して文章を書くこと,計算することの3つを可能にする能力を備えていること。初等教育における基本的な教育内容とされ,基礎的な能力や学力を指す。英語ではReading, Writing, Arithmeticの3語なので「3R's」という。
と定義され,英語にも共通の概念が存在しています。
これらのうち書きは読みと並行して実践しやすく,それこそ学校の国語の授業で,問題を解く際に記述問題が課されることもあるはずです。
もっとも,令和の時代には従来のスタイルの授業が行われないことも増えてきているので,書く作業をオンライン教育に一任してしまうことも,これからは必要なことかもしれません。
例えばスタディサプリの小学国語講座では,人物の心情の読み取りや因果関係を動画で解説してもらった上で,記述式の問題を解くことができます↓
普段読書をしているからこそ国語が良くできるわけですが,国語ができるからこそ読書が捗ることも確かでしょう。
例えば,文中の表現が人物の心情描写に繋がっていることを講師に教えられたことで,「どんよりとした雲が広がっていた」という文を読んで登場人物が不安になっていることがわかることもあるわけです。
国語の授業を受けることの魅力としては,文章を読むだけにとどまらず,関連した問題を解くことや,内容について要約すること,そして自分の意見を述べることができるところが挙げられます。
これにより,学習指導要領でも重視されている「考える力」や「書く力」が高められるのです。
もっとも,本格的に書く練習をしようと思うのであれば,添削や作文の通信教育を検討しましょう。
学校教育において自分が書いたものを第三者に評価してもらえる機会というのは意外に少なかったりするものです。
昔は夏休みの日記が夏の宿題の定番でしたが,今の時代は夏に宿題を課さないところもあるそうで,令和時代は,教員と文字でコミュニケーションを取る機会がより少なくなってしまっているかもしれません。
先ほどの定義によれば,そろばんはいわゆる算数を学ぶことで得られる能力を指しますが,そろばん教室に通うことで計算力以外の集中力や記憶力などを総合的に高めることができます。
こちらに関しては小学生の習い事の定番となっているので検討してみてください↓
まとめ
以上,小学生にとっての読み書きそろばんの重要性についてみてきましたが,いかがだったでしょうか。
以下に本記事の要点をまとめます↓
- 令和時代に必要な資質・能力は読書で身に付く
- 小学生は最も読書ができる時期
- 月間の読書数は12冊以上だが毎日読むのも普通
- 書くことやそろばんも重要
- 国語の問題を解くことで読みと書きの力が育つ
- そろばんは計算力以外の能力にも有効
- 作文の通信教育やそろばん教室を検討したい
学生に限らず,社会の中で活躍できる人というのは魅力的であることが多いです。
そして,その人をその人たらしめているのは,読むことを通して身に付けた教養ということで,学びに終わりはありませんが,やはり読書をしやすい小学生という時期を逃さないようにするのが魅力的になるための近道と言えるでしょう。
是非,小学生の家庭学習では読むことを基軸とし,書きやそろばんも含めて,令和時代に必要な能力を身に付けるようにしてください!
最後までお読みいただきありがとうございました。