2020年度の教育改革以降,小学校での学習内容は大きく変わりました。
加えてコロナの影響もあり,今でも現場は混乱しています。
ですが,それに合わせてこちらまであたふたするわけにはいきません。
親は自分の子どもに何をしてやれるのかについて,ぶれない方針を1つ決めておく必要があります。
そこで今回は,2020年以降の教育改革で重要とされている資質・能力をふまえ「小学生の家庭学習」について考えてみることにしましょう!
読むことが最優先
まず最初に結論から申し上げると,小学生のうちに身に付けさせたい資質・能力はすべて「読むこと」を通して得られることになります。
もちろん,何をどのくらい読むのかであったり,読んだ後に何をさせるのかといった細かい方法は複数考えられますが,家庭学習では読むことの習慣化を優先してください。
色々なものを読むことで教養が身に付きます。
この教養は,クイズ王が備えているようなオタク的な知識でも構いませんし,本人の考え方の土台となる「判断基準,正義,愛や優しさなどを形成する物差し」になるような大層なものでも何でも結構です。
もちろん,名著とされるものにはそれなりの価値があるのは確かですが,それしか読ませないのもおかしな話で,俗人が書いた新聞記事などを今後一切読まないわけにはいきません。
栄養を気にして良い食べ物ばかり選んでいてもたまにはお菓子だって食べたいですし,クラシックだけが至高でポップスは無価値などと言われてしまっては,自分の青春を共に歩いたあの曲はどうなってしまうのかという話です。
ゆえに,「読む以上,どんなものでも許す。」の精神でいきましょう(ただし,短文では読んだことにならないので,ネット記事やSNSはなしです)。
さて,そんな読む行為を通じて得られる教養は,創造的な考えを生む際の土壌になると同時に豊かな感受性を育むことに繋がるとも言われます。
後述しますが,読書量がもっとも多いのは小学校時代だとされているわけですから,本人の魅力に関わるあらゆる要素が,実は小学校時代の読む行為に起因していると言っても過言ではありません。
もちろん,スポーツを始めとする社会活動から協調性のようなものが得られますし,自然の中で遊ぶことで感動を得るので,読む以外しなくてよいという意味では決してないのでご注意ください。
とはいえ,物事を考える際の基本となるのはやはり「言語」であり,備えている教養が当人の世界の広さを決めていることなどを鑑みると,読むことで得られたものが本人を構成しているというのは確かでしょう。
欲を言えば,読み書きそろばんの3つの能力はできるだけ高いレベルで備えておきたいところです。
このうち「読みと書き」は学習のやり方一つで両者並行して実践できますし,それらと比べるとそろばんの重要性は多少低くなるのでここでは省略します。
参考までに,世界大百科事典で定義されている「読み書きそろばん」は,
文字や文章を読むこと,内容を理解して文章を書くこと,計算することの3つを可能にする能力を備えていること。初等教育における基本的な教育内容とされ,基礎的な能力や学力を指す。英語ではReading, Writing, Arithmeticの3語なので「3R's」という。
のように定義され,英語でも共通の概念が存在するようですね。
その他,読むことを通して読解力のようなものも身に付きますが,これは「書かれている内容を正しく理解できる力」のことであり,最近の研究では,同じ文章を読んでも人によって理解度が異なることまでわかってきました↓↓
そこで次章からは,読む方法についていくつかみていくことにします。
平均よりも多くの本を読む
上記の教養を身に付ける黄金期はまさに小学生時代なわけですから,読書を家庭学習の中心に据えるのは最もわかりやすい方法でしょう。
脅しではありませんが,逆にその時期を逃してしまえば手遅れとなってしまいます。
情報化が進むこれからの社会では,あらゆる流れが速いわけです。
上手く言うつもりもありませんが,やるべきことがやり終わらないくらい用意されてしまっているために,適した時期に取り組まない限り,後でそれをやるだけの時間は残されていません。
まさに,読書こそ小学生が優先すべき家庭学習だとみなす理由はそこにあります。
ここで1989~2019年における学生の読書量の推移を見てみましょう↓↓
これは,全国学校図書館協議会というところが実施した「第63回学校読書調査」の結果ですが,これによると,小学生のひと月あたりの読書量は11.3冊となっており,中学生の4.7冊や高校生の1.4冊に比べて特に多くなっています。
ちなみに,中学受験で女子学院や慶応中等部に合格した芦田愛菜さんは平均して25冊/月の読書量で,月によっては60冊読むときもあったそうです↓↓
本の厚さもありますし,別に早さや量を競うわけではありませんが,毎日1冊読むくらいでも全然普通のペースだということは一つ覚えておきたいところです。
一方,上記調査において全く本を読まない生徒の数は以下のように推移しており,小学生は6.8%,中学生では12.5%,そして高校生では55.3%の生徒が本を読まない結果となりました↓↓
もっとも高校生は大学受験があるため,問題を解きながら読むことをしているのでしょうが,それでは時間に余裕がある大学生となればどうでしょう。
大学生協が実施した調査によると,約半数の大学生はまったく本を読まないことがわかりました。
このことからも,高校生以降,読書はしなくなる傾向にあり,小学生という時期の大切さが際立ちます。
読書以外の家庭学習
読書以外にできる小学生の家庭学習として,オンライン教育や通信教育の利用があります。
読書と比べると短いですが,文章を読むだけにとどまらず,関連した問題を解くことや,内容について要約したり,自分の意見を述べることができるところが魅力でしょう。
これにより,学習指導要領で重視されている「考える力」や「書く力」が高まります。
ところで,2020年の教育改革をきっかけに,小学校での英語が教科化されたりプログラミング教育が必修となったわけですが,そこで問われるのは論理的思考や自分の意見を相手に伝える能力です。
私立中学の受験において,これらが試験科目になる日もそう遠くないのかもしれません。
とはいえ,「本を読む暇があれば英語の勉強をしなさい」などと言われるようでは,その教育は間違っています。
話す主体の対話的授業ではありますが,中身のない話を続けることよりも話す内容の方が圧倒的に重要であることを忘れてはなりません。
いずれにせよ,これらは読むことを通して獲得できる力でもあるので,家庭学習でわざわざ別に取り上げなくてもよいかと思います。
話を戻しますが,オンライン教育で取り上げられる文章というのは名文であることが多いですし,問題を解く際の論理的な考え方について,教える能力に優れるプロフェッショナルから学べるところが非常に大きいです。
以下はとあるサービスの国語の授業ですが,人物の心情の読み取りや因果関係についてわかりやすく動画で解説してもらえます↓↓
なお,これらのサービスの中には添削がセットになっているところも多く,実際に文字で書いてみることで,自分の考えが明確になります↓↓
作文に特化したサービスも出てきており,毎日10分間の勉強習慣が身に付くほか,語彙力も増えるため,国語力を総合的に伸ばすことができます↓↓
まとめ
以上,小学生における読むことの重要性についてと2020年以降の家庭学習についてみてきましたがいかがだったでしょうか。
最後に本記事の結論をまとめます↓↓
- 読むだけで必要な資質・能力が十分身に付く
- 小学生は最も読書ができる時期
- 1ヶ月の平均読書数は11冊だが,毎日1冊でも多くない
- オンライン教育では論理的思考を動画で学べる
- 問題を解くことで,書く力以外に考える力も育つ
- 作文の通信教育も存在し,添削も受けられる
受験に限らず,社会生活の中で活躍できる人というのは魅力的な人が多いものです。
そして,その人をその人たらしめているのは,読むことを通して身に付けた教養があるからこそであり,大人になっても学びに終わりはありませんが,やはり,読書しやすい環境にあるときにやっておくのがベストでしょう。
是非,小学生の家庭学習は「読むこと」を主軸に,これからの時代の要請に適応していってください!
最後までお読みいただきありがとうございました。