学習指導要領 教育改革

教育現場でのICT環境の現状

昨年の12月末,文部科学省のHPで,『学校における教育の情報化の実態に関する調査結果』が発表になりました。

教育現場におけるICT(情報通信技術:Information and Communication Technology)の環境については,2020年度の教育改革の目玉の1つであり,21世紀型の新しい学習には欠かせないものとなります。

今回はそんな学校におけるICT環境の現状について,

  1. 学校の整備について
  2. 教員の指導力について

の2つの面からみていくことにし,どのような態度でこれからの教育改革に向かい合っていくべきか考えてみたいと思います。

 

 

ICTを用いた学びについて

ICTは大きく分けると,一斉学習・個別学習・そして協働学習(アクティブラーニング)といった3つの学びに活用することができます。

ここでは本題に入る前に,ICTを活用した指導について学んでおきましょう。

 

一斉学習

一斉学習では,実際に教師が実演した様子を電子黒板で流したり,カメラで動きを連写したものを使って説明したりすることができます。

『圧倒的な情報量』という点で,ICTの強みが生かされますね。

 

個別学習

ICTは個別学習においても有効です。

習熟の程度や誤答の傾向といったデータを蓄積し独自に分析することで,各自に応じた課題を提出することができますし,ペースも本人に合わせることができます

また,発音や書いたものなどを形あるものとして録音したり,入力して残すことができるので,あとからの自己評価が容易になります(宿題をしたけど家に忘れたといったことがなくなります)。

オンライン英会話を始めとする新しい学習スタイルが,これからは『学校』という場において積極的に取り入れられていくわけですね。

 

協働学習

インターネットを使った調べものやプレゼンといった発表の練習について,私は大学で本格的に学びましたが,これからは高大接続ということで,より早期から触れることになりそうです。

グループごとに役割を分担し,情報端末を用いて同時並行で作業する,いわゆるシェアワーキングもこの中に含まれます。

最近は作曲もこのような形式で行われていると聞きます。

働く場所や時間を選ばないというのは,新しい仕事のスタイルでもありますね。

グループで協働作業することで,1人では得られないアイディアが浮かぶということも,多くの方が経験してきたことではないでしょうか。

 

 

ICT環境が整った学校とは

jarmoluk / Pixabay

 

生徒1人あたり1台のタブレットが用意されている

以上のようなICT学習を生かすために,学習デバイスとしてタブレット型コンピューターが流行ってくることになります。

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ここでいうタブレット型コンピュータというものは,『平板上の外形をしていて,タッチパネル式の表示と入力ができるもの』を指しますが,iPadなどを考えてみても,昔に比べてだいぶ安くはなってきているもののまだまだ高額です。

現状の学校(今回の調査は公立の小学校から高等学校までを調査しています)では,生徒一人当たりに,どのくらいの台数のタブレットが用意できているのでしょう。

発表になったデータによると,現在は1台のタブレットを約6人で使うようです↓↓

小学校だと1台を6.7人で使うということで多く感じますが,中学(5.9人),高校(4.8人)と学年が進むにつれて多少改善されているようです※H31年の段階では3人に1人くらいにはなってきているようです

とはいえ,これではまだ,十分な量が用意されているとは言いがたい現状です。

教育改革がこれだけ騒がれている世の中においても,一気に整備が進んできていないことを考えると,コストや授業負担などの問題で,簡単に導入するには至らないのでしょう。

 

しかし,やはり理想は1人1台タブレットを持てることです。

もちろん複数人で教えあって使うことにも独自の授業効果はあるのでしょうが,やはりトータルでは得られるものは少なくなります。

「多くの人と1つのものを共有する」ということは,一人当たりの学ぶ機会がその分少なくなることを意味するからです。

例えば,世の中の塾においてマンツーマンレッスンの方がグループレッスンより安いのもそういう根拠があるからですし,大学の有名な教授のいる研究室であっても,指導する生徒が10人もいるようでは,1人1人に手をかける時間が不十分になり,成果があがらないというのもよく耳にします。

いずれにせよ,自宅に持ち帰ることができるタブレットが学校から与えられないとなると,『学校はあくまでやり方を教わる場所』と考え,自宅での練習用タブレットについては別途用意する必要があると思います。

 

電子黒板と無線LANが整備されている

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電子黒板は,教員が教材を提示するために使われます。

黒板と異なり,写真を拡大して見せたり,音声や動画も表示できるのが強みだといえるでしょう。

iPadのレビューを見ていると,教員の方が,実際の授業に(電子黒板などの投影用などで)使う予定だという方も見受けられますし,カラフルで刺激的な画像などは,子どもの興味や関心を高めるのに役立ちます。

とはいえ実際の整備状況は7年前頃から,急激に高まって来たことがわかり,8年前の7倍くらいになってきています↓↓

大体4教室に1つくらいの割合(24.4%)のようですが,すべての黒板が電子黒板に入れ替わることは考えにくいですし(両黒板を併設するところが普通ですし),それよりもまずは,タブレットの導入の方をもっと進めてほしいですね。

普通教室における無線LANの整備率は3割程度ですが,学校内でみればWi-fi環境はほぼ全校に(9割)備わっており,実際にICTの授業に支障が出なければ問題ない整備率だと思います(教員側のパソコン普及率については,1人1台はすでに実現されていますので,職員室にはWi-fi環境はほぼ間違いなくありそうです)。

どのようなICTを使った授業をするのかわかりませんが,100Mbps以上の超高速インターネットは47.9%の学校に整備されており,30Mbps 以上に限ってみれば87.2%です。十分でしょう。

 

 

ICT環境を生かせる教員の質とは

geralt / Pixabay

さて,ここからは,教員の指導能力についてみていきましょう。

コンピュータが苦手とか言えない時代になりましたからね。厳しくみていきたいです。

 

今回の文部科学省の調査においては,教員のICT活用の指導力を,

A:教材研究・指導の準備や評価にICTを活用する能力

B:授業中にICTを活用して指導する能力

C:生徒のICT活用を指導する能力

D:情報モラルなどを指導する能力

E:校務にICTを活用する能力

の5つの点から調べてみたようです。

Aは,教育効果を高めるための計画ができるか,ネットやCD-ROMでの情報収集に加え,プレゼン能力やデジタル独自の評価ができるかが問われました。

Bでは,資料を効果的に提示でき,生徒の興味・モチベーション・理解を助ける工夫ができるかを自己評価します。

2つ飛ばしてEでは,ネットや校内ネットワークを活用し,必要な情報の交換や共有化を図ることができるかということです。

やはり学校に通わせる親の身からすれば,どのような様子で学校生活を送っているのか気になるところですし,教員間での情報共有も親身な対応には欠かせません。

CとDについては後で考えることにして,まずは結果を見てみましょう↓↓

AやBやEは,教員自身とても関心が高そうですし,何よりも自分の評価に直接関わってきやすいですからね。

また,Dは特に昨今ニュースで騒がれていることもあり,特に徹底されてきているように感じます。

 

色々な権利(肖像権や著作権など)や常識に加え,犯罪に巻き込まれない立ち振る舞いや個人情報とセキュリティーについても深く学ばなければいけませんが,最近はそういったものの目をかいくぐるような事案が次から次に出てきますから,どちらかというと悪いことをしている側(大体は大人)を教育すべきで,子ども側には罪はないんでしょうけれども。

なお,Cの調査の質問としては,以下のようなものがありました↓↓

 

 

この質問は教員にされたものですが,逆に生徒側の目線になってみれば,以下の能力がICT環境においては求められることになるということがわかります。

まとめると,

・ネット上の情報を取捨選択できること(ネットリテラシー)

・ワードやエクセル,パワーポイントを上手く使えること

学習用ソフトやネットで繰り返し学習すること

となりましょうか。

 

 

ICT環境まとめ

rawpixel / Pixabay

以上,教育現場におけるICT環境の現状と今後の課題についてでした。

2020年度が近づくにつれ,ICTの整備も改善しつつあります。

とはいえ,タブレットの導入の限界や,新しい学びの形ゆえの,指導に関する難しさも明らかになってきました。

 

教育予算上の問題は大きいでしょうが,生徒の日常においては,学校の授業時間より,自宅で過ごす方が長いわけですから,先の章のCの結果が最悪だったのが少々気になりました。

これからを生きる生徒たちは,多忙な日常のすき間時間を活用して,しっかり自力で学習できるよう育っていってほしいと思います。

 

特にスマホゲームやSNSなどの悪い面ばかりが強調され,ICTの効果を信じられない人がたくさんいる時代ですので,みんなを納得させるには並々ならぬ努力が必要だと思います。

ですが,そんな難しいところにこそ,ICTの大きな可能性は眠っているわけですので,目を背けずに今年も立ち向かっていってほしいですね(もちろん教員だけでなく,生徒や保護者も含めて協力していくことが大切です)。

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