2020年を最後にセンター試験が廃止となり,2021年1月から共通テストが開始されました。
これは入試改革の一環ですが,その影響は広範囲に及び,私大であってもリスニングを入試で課すところが増えてきた今日この頃です。
配点を確認してみると想像を超えていることが少なくなく,対策なしでは合格可能性が低くなってしまいます。
従来,リスニングというのは対策が疎かになりがちな分野の1つで,試験直前期には他にやらなければならないことが増えるため,リスニングにまで手が回らなくなってしまうことが多かったわけです。
しかし,配点や難易度がそこまでではなかったため,軽視したところで大事には至りませんでしたが,今やそうもいかず,短期集中的な対策ではなく,毎日数分でも英語を聴く習慣を長きにわたって継続する必要性が高まっています。
今回の記事では,現状に対する理解を深め,「スタディサプリを使ったリスニング対策」として一体どのようなものが考えられるのかみていくことにしましょう!
大学入試のリスニングを取り巻く状況
過去のセンター試験のリスニングですが配点は50点でした。
一方,メインとなる英語の筆記試験は200点満点であり,センター試験を採用する大学ではリスニングと合計した250点を200点に8割換算し,それを英語の得点として用いていたわけです。
私が直接担当していた生徒ではありませんが,筆記試験で8割正解できていてもリスニングで7割しか取れず,トータルの成績が8割を切ってしまう高校生を数多く見てきました。
しかし,そうした状況にもかかわらず,リスニング対策は後回しにされ,結局本番まで大した対策をせずに済ませていたのが普通だったわけです。
センター試験の英語で高得点を取るための戦略では,とにかく筆記の第4~第6問の長文でそれぞれ1問ミスまでに抑えられるようにすることが最優先で,その後,第2問や第3問の文法や文脈問題の対策をし,最後に第1問の発音アクセントをちょっと見ておくくらいが主流でした。
当時,リスニングの対策まで念入りに行えていたのは,浪人生や時間に余裕のある一部の現役生に限られていたわけです。
また,いざリスニングの勉強をしようと思っても,落ち着いてCDを聴ける環境が作りづらいことも対策しづらい理由になっていて,自宅で勉強するのが苦手な受験生が年々増えてきていることもそれに拍車をかけていました。
しかし,上記戦略は今や通用しません。
新しい共通テストでは,リスニングとリーディングはどちらも100点満点となり,リスニングが占める割合はこれまでの20%から50%へと拡大しました↓

センター試験のリスニング問題
スタディサプリの講座をみていく前に,大学入試におけるリスニング問題はどのような内容になっているのか確認しておきましょう。
まずはセンター試験の過去問を例に,当時の出題傾向をみていきます。
次章で紹介する共通テストの問題と比べると多少違うところがありますが,かといって,センター試験が解けない人が共通テストで高得点を取ることはありません。
試験時間ですが,リスニング機器のチェックなどが入るため,多めに確保される傾向にあります。
センター試験では60分の試験時間が取られていたものの,実際に解く時間は30分でした。
ゆえに,最終的には30分間集中を切らさないように訓練すれば良いことがわかります。
なお,問題は複数の大問から構成されることが普通で,後に出てくる問題ほど難しくなり,配点はすべてが同じで2点です。
これらは共通テストでも同じなのですが,ということは,取れる問題を確実に得点していくことが重要だという結論になります。
最初の問題も一番最後の問題も同じ点数なので,どの問題も同じ態度で臨むことが重要ですし,対策不足であれば前半に注力し,高得点を狙うのであれば後半の問題だけを使って念入りに練習することが考えられるわけです。
また,質問と選択肢はすべて問題冊子に印刷されているので,文章の理解力や読むスピードも結果に多少影響してきます。

第1問
第1問では4つほどの会話(全体で25~30語の英語から構成される)を聞き,問題冊子に印刷されている質問に答えます。
選択肢に絵や数字が含まれているのが特徴です。
問題は全部で6つありますが,どれも瞬時にポイントを把握する力が求められていました。
第2問
第2問は短い対話(3つほどの会話のやり取り全部を合わせて15~35語)を聞き,対話の最後の発言に対しての応答としてふさわしいものを選びます。
なので,最後の発言が一番大切になりますが,普通の文の形を取っている以外に疑問文の場合もあるため,その都度対応しなければなりません。
もちろん,会話の流れもあるので最後以外の発言の意味も理解しておくべきですが,すべて聞き取れたとしても予想がつきにくい返答が答えになっていることがあり,そのタイプの難易度は比較的高めです。
全部で7つの問いに答えましょう。
第3問
第3問はAとBの2つに分かれます。
Aは3つの対話を聞き,印刷された質問に答えるものです。
発話の数は4~8つあり,聞くことになる英語の量は40~60語とやや長めとなりますが,1つの対話につき質問は1題なので良心的であると言えるでしょう。
一方,第3問のBは発話数が9~12で,全体として150語程度の対話を聴くことになります。
結構長めとなりますが,その分,少し聞き逃しても内容を補完しやすくなっており,1つの英文につき3つの問題が用意されているのが普通でした。
話の内容としては,表を完成させたり対話で話題になっているイラストを完成させたり,図から位置を答えさせられたりと,年によって異なります↓
対話の場面と問いを先に確認する時間が与えられるようになったのは2007年からです(2人の学生が掲示板のポスターを眺めながら,どのプログラムに応募するか話している場面設定でした)。
しかし,これをラッキーだと思うようでは油断大敵で,状況を頭に入れた状態からのスタートになる分,問題が難しめに作られていたように思います。
問題数は,AもBも3題ずつの計6問です。
第4問
第4問もAとBに分かれていますが,どちらも長めの説明文を聞くことになります。
Aは100語程度の説明を聞いて1つの質問に答える形式で計3題です。
第3問のAと似ていますが,より難しくなっていました↓
一方,Bでは200語ほどの説明文を聞きますが,その1つの会話に対して3つの質問があるので,それに答えていきます。
こちらも第3問のBに近い形ですが,より難しいように感じるのは長さのせいもあるでしょう。
このタイプの問題の攻略法については,後で紹介する関先生の講座を観るようにしてください。
共通テストのリスニング問題
続いて,2021年の共通テストのリスニング問題を簡単にみていきますが,センター試験では全て2回読まれていたところが,共通テストでは1回しか読まれないことがあります。
大問の数は6つに増え,第1~第2問は2回読まれますが,第3問以降は1回きりです。
回数が少ないことは,そのまま難しさに変わります。
準備時間を除いた純粋なリスニング時間は,センター試験のときと同様,30分ほどです。
第1問
共通テストの第1問はAとBに分かれ,どちらも数秒程度の短文を聞きその内容に近い選択肢を選ぶものですが,Aの選択肢は英文,Bはイラストで与えられるという違いがあります。
選択肢を見比べて,何が違うのかに注目しましょう!
第2問
第2問は,男女の会話を聞いて,イラストから正解を選ぶものです。
形式自体は第1問のBに近いのですが,第1問と比べると2倍くらいの分量があります。
とはいえ,スクリプトが長い方がヒントにできる部分も増えますし,2回聴けることもあってまだまだ序の口です。
第3問
どのようなシーンであるかは日本語で書かれているのでわかりやすいですが,問題文は英語になり,第2問のときより長い対話を聴くことになります。
何より,第3問以降は1回しか聴けないこともあり,難易度がぐっと高まるので気合を入れて臨みましょう。
第4問
第4問はAとBに大きく分けられ,どこかに出てくる図表の読み取りが攻略の鍵です。
先読み時間が与えられることからもわかるように,どこを聞き取るべきか,前もって待ち構えておくようにしなければなりません。
とはいえ,センター試験の第3問などにおいても同様のことをしていたわけで,別段真新しいことではないです。
とはいえ,B問題ではメモを取ることが許可されるなど,新形式らしさが垣間見えます。
第5問
第5問は300語程度の講義を英語で聞き,その内容に関係する7問ほどの問題に答えます。
内容は大学で聴かされるような,アカデミック色の強いものです。
これまでの問題と比べると1度に聞く量が長くなるため,最初に与えられる準備時間の1分を上手く生かしましょう。
第6問
第6問はABともに長い対話を聞き,質問に答えますが,こちらも準備時間が与えられます。
全体で使われている語数は150~200語で,第5問よりは少ないですが,人の会話だけあって展開が読めないところがあった途端に難しくなるでしょう。
複数の箇所を参考に答えを決める問題が含まれている他,選択肢が文の形を取っていたり,はたまた数字や図表になっていたりなど,様々なバリエーションが存在するのが特徴です。
他教科も含めた共通テストの詳しい解き方については,以下の記事を参考にしてください↓
スタディサプリでリスニング対策ができる講座
ここからは,いよいよスタディサプリにおけるリスニング対策講座についてみていきますが,大学入試に用いることができるものとしては「通年講座・共通テスト対策講座」を中心に,英検講座やスタディサプリENGLISHのものも利用可能です。
以下で1つずつみていきましょう!
高3トップ&ハイレベル英語リスニング
私大や国公立2次試験を受ける方は「高3トップ&ハイレベル英語リスニング」を受講してください。
全4講義と少な目ではありますが,ディクテーション,短い対話文,長めの対話文,そして評論文のリスニング問題を一通り学ぶことができます。
音声変化のような解説から始まりますが,少しずつ難易度が上がっていき,最終的にはメモの取り方や先読みといったテクニックまでを身に付けることが可能です。
テキストは74ページからなり,問題部分はワーク形式ですが,板書内容はすでにまとめられています↓
全て1時間程度の講義になりますが,約20分ごとに休憩が取られるので取り組みやすいでしょう。
予習は不要で,授業内に問題を解く時間が設けられている他,復習用に扱った問題の音声はもちろん,音読とディクテーション用のトレーニング(以下画像)が別に用意されているので,しっかり取り組めばそれだけの実力が付くはずです↓
音読トレーニングのやり方については,次に紹介する共通テスト対策講座のものを参考にしてください。
共通テスト対策講座 英語リスニング編
2025年の秋にリニューアルされるので,現在は利用できず,以下の説明は旧講座のものであることにご注意ください。
こちらは共通テストの英語リスニングの対策講座です。
まだ共通テストが実施になっていない段階で実装されましたが,プレテストの内容とこれまでのセンター試験をもとに作成した上,本試験開始後に読み上げ回数を変更するなどのアップデートも行われたので安心して使ってください。
講義では,先ほど紹介した問題構成通り,第1問から第6問までを1つずつ講義で取り上げ,解き方だけでなく私大入試に応用できる知識までをも得ることができます。
なお,こちらも予習は不要ですが,復習での音読10回はマストです。
こうして授業を受けていると,根本的な解き方は共通テストであろうと他のリスニング試験であろうと大差ないことがわかってくるでしょう。
先ほど保留していた音読トレーニングについてですが,扱った英文がすべて収録され,速度を変えたり適宜聞き直したりすることができます(ただし,問題に登場してきていないテキストの英文についてはありません)↓
最初の何回かは,1文ごとに停止して音読するようにしましょう。
このとき,構文や意味をしっかり考えながら行うことが大切です。
理解できたと感じた文に関してはシャドーイングも行ってみてください。
実力が付いてくると1.5倍速でも意外と聞き取れるものです(が,その速度でシャドーイングまでする必要はありません)。
意味のまとまりごとに,ナレーターの方が息継ぎや間を取っていることを感じ取れるようになれれば理想的です。
共通テスト直前対策講座
共通テスト前は上で示した音読トレーニングを毎日やるのも良い練習になりますが,直前期においては本講座を使って学ぶことも忘れないでおきましょう。
メインは3講義と最小の構成ながらも,本番での得点力をアップさせるための手法を再確認することができますし,場合によっては5講義からなる補講を用いて練習量を増やせます。
内容は良いのですが復習がやりづらく,いちいちリスニング音声の再生部分にまで戻って聴き直さなければならない(音読トレーニングなどの復習機能はない)ため,動画の何分何秒に音源が登場してくるかをメモしておいてください。
直前対策講座はスタディサプリ内では「冬期講習」に含まれる内容で,詳しくは以下の記事にまとめました↓
英検2級対策講座
高校英語の理解度を英検で確かめることができます。
リスニング対策として,塾で英検の音源を使ってディクテーションさせることも多く,スタディサプリの英検対策講座を大学入試対策として使うことが可能です↓
講義数は第6講と7講の2つで,かかる時間は2時間ですが,学んでおいて損はありません。
特に共通テストの前半部分で間違いが見られるような方におすすめです。
日常英会話コース
ここまで通常のスタディサプリにある対策講座を紹介してきましたが,いくらリスニング問題の攻略法を知ったところで,実際に英語が聞きとれないのであれば高得点は期待できません。
リスニングの能力を高めるには,これまでに聞いたことのない未知の音源を聞く練習と,すでに学んだ既習の音源を繰り返し聞く作業の2つが必要になります。
これまでに紹介したものは,後者を重視したトレーニングに偏りがちです。
冒頭部分で「年間通して毎日英語を聞くことだ」と述べましたが,時間がない受験生であっても毎日数分間は未知の音源をリスニングするように心掛けてください。
そのときのおすすめはスタディサプリENGLISHにある「(旧)日常英会話コース」で,Lv.4程度の難易度であれば,毎日10分程度の勉強で無理なく英語耳を作っていくことができるでしょう。
内容も教科書的でつまらないものではなく,日常的で使える表現ばかりで楽しいですし,通学途中やや勉強の合間にスマホでパッと聞けて気分転換に使うことも可能です。
なお,この日常英会話コースは社会人向けの有料コースであれば,たとえTOEIC対策コースやビジネス英語コースであっても使うことができます。
最も安く利用するなら「新日常英会話コース」を使うことになりますが,基礎講座の発音も使うことができるのでおすすめです↓
まとめ
以上,大学入試のリスニングについて,取り巻く環境や実際の問題例から始めて,本題のスタディサプリにある各種リスニング対策講座をまとめてきました。
絶対ではありませんが,まず最初の問題で慣れさせてから,最後の長文で実力試しをさせるというのが多くのリスニング問題に共通の流れとなります。
リスニングできる音源の分量については復習の回数などで異なるため,はっきり何時間とは言えませんが,講義動画の長さは,
- 高3トップ&ハイレベル英語リスニング=4時間
- 共通テスト対策講座 英語リスニング編=7時間
- 共通テスト直前対策講座リスニング編=3~8時間
- 英検対策講座=2時間
- スタディサプリENGLISH=数年分
ということで,復習時間を考慮しても,最低1ヶ月は毎日リスニングに触れることができるでしょう。
もちろん,もっとその前から対策してリスニング量を増やすのであれば,スタディサプリENGLISHがおすすめです。
英語の成績に伸び悩んだときには,様々な角度から英語力を高めていく工夫が必要になります。
特に,リスニングは音が発せられた瞬間からすぐに消えていってしまう性質があるので,後から前に戻って確認することができません。
聞こえた順番通りに,頭から理解していくことしかできないわけです。
しかし,よくよく考えてみれば,英文を早く読む際にもこれと同じ作業をしているわけで,基本的には左から右に目線を動かすこととなり,その逆はありません。
このことが「英語を正確に聴ける=英語を早く読める」とされているゆえんで,この逆もまた然りです。
受験生の方は最後の最後まで諦めず,スタディサプリでリスニング対策を頑張るようにしてください。
なお,これからスタディサプリを使おうと思った方は,スタディサプリのキャンペーンとコードのまとめをチェックするのをお忘れなく。
最後までお読みいただき,ありがとうございました。