2020年を最後にセンター試験は廃止となり,2021年から共通テストが始まりました。
入試改革の影響は広範囲に及び,私大であってもリスニングを入試で課すところが増えてきました。
配点も高く,何も対策しなければそれだけで合格の可能性が極めて低くなります。
そもそもリスニングというのは対策が疎かになりがちな分野の1つなのですが,試験直前期ともなればやらなければならないことが多くなり,リスニングにまで手が回らなくなってしまうでしょう。
実際,そういう状況に陥っている人ほど,リスニングを軽視しているわけです(重要だと思えば真っ先にやるはずです)が,短期集中的に対策するよりも,毎日数分ずつでよいので長期にわたって聴く習慣を身に付けておく方が楽なのは確かです。
そういったわけで,当記事では「スタディサプリを使ったリスニング対策」についてまとめてみることにしましょう!
大学入試のリスニングを取り巻く状況
過去のセンター試験のリスニングですが,配点としては50点を占めていました。
メインとなる英語の筆記試験が200点満点だったわけですが,センター試験を採用する大学では,リスニングと合計した250点を200点に8割換算し,それを英語の得点として用いることが普通でした。
私の生徒ではありませんでしたが,筆記試験で8割正解できたとしてもリスニングで7割程度しか取れず,トータルの成績が8割を切ってしまう高校生も見てきました。
しかしそういった状況にもかかわらず,リスニング対策は最後の最後に回され,結局本番まで大した対策をすることがなく済ましていたのが普通だったわけです。
確かに,センター試験の英語で高得点を取る戦略としては,とにかく筆記の第4~6問までの長文で各1問ミスまでに抑えられるようにすることが最優先で,その後,第2問や第3問といった文法や文脈問題の対策をし,最後に第1問の発音アクセントをちょっと見ておくくらいが有効でした。
リスニングの対策まで念入りに行えていたのは,浪人生や時間に余裕のある一部の生徒だけに限られていたというわけです。
また,いざリスニングの勉強をしようと思っても,落ち着いてCDを聴ける環境が作りづらいことも,対策しづらい理由の1つとなっていて,自宅で勉強するのが苦手な受験生も年々増えてきていることもそれに拍車をかけていました。
しかし,2021年以降,上の戦略が通用することはありません。
共通テストではリスニングとリーディングはどちらも100点満点となり,リスニングが占める割合はこれまでの20%から50%へと増大しました↓
4技能のうち,スピーキングは実施が難しいので当分の間は大丈夫でしょうが,私大でもリスニングを課す大学は増えています。
センター試験のリスニング問題
大学入試におけるリスニングはどのような内容になっているのでしょうか。
まずはかつてのセンター試験の過去問を例に,当時の出題傾向について簡単に理解しておきましょう。
次章で紹介する共通テストの問題と比べると多少違うところもありますが,かといって,センター試験対策が共通テスト対策にならないことはありません。
試験時間ですが,リスニング機器のチェックなどが入るために多めに確保される傾向にあります。
センター試験では60分の試験時間がありましたが,実際に解く時間は30分です。
なお,問題は複数の大問から構成されるのが普通で,後に出てくる問題ほど難しくなります。
絶対ではありませんが,徐々に問題に慣れて最後に長文を聴くのが普通の流れです。
配点ですが,センター試験ではすべてが同じ2点でした。
ということは,取れる問題を確実に得点していくことが重要だという結論になります。
質問と選択肢はすべて問題冊子に印刷されていますので,文章の理解力や読むスピードも多少影響するでしょう。
以下は,2017年度のリスニング問題を例として示していますが,問題構成としては毎回大差ありません。
第1問
4つほどの会話(25~30語)を聞き,問題冊子に印刷されている質問に答えます。
選択肢には絵や数字が含まれるのが特徴です。
問題は6問ありますが,ここでは瞬時にポイントを把握する力が求められています。
第2問
第2問はこれまた短い対話(3つほどの会話で,15~35語程度)を聞き,対話の最後の発言に対する相手の応答を選びます。
最後の発言は普通の文だったり疑問文だったりしますので,その都度対応しましょう。
問題は7題あり,予想のつかない返答が答えになると難易度が高くなります。
第3問
第3問はAとBの2つに分かれています。
Aは3つの対話を聞いて,印刷されている質問に答えるもの。
発話の数は4~8つあるのが普通で,全体として聞く分量は40~60語とやや長めになっていて,1つの対話につき質問は1題です。
一方で第3問のBでは,発話数が9~12つで150語程度の対話を聴くことになります。
結構長めで1つの内容につき,3つの問題が用意されているのが普通です。
その内容ですが,表を完成させたり,対話で話題になっているイラストを完成させたり,図から位置を答えるものなど,年によって違います↓
対話の場面と問いを予め確認するための時間が与えられるようになったのは2007年度からです。
2017年度では,2人の学生が掲示板のポスターをみながら,どのプログラムに応募するか話しているという場面設定でした。
問題数はAもBも3題ずつの計6問です。
第4問
第4問もAとBに分かれていますが,どちらも長めの説明文を聞くことになります。
Aは100語程度の説明を聞いて1つの質問に答える形式で計3題です。
第3問のAと同じですが,より難しくなっていました↓
一方のBは200語ほどの説明文を聞きますが,その1つの会話に対して3つの質問があるので,それに答えます。
こちらも第3問のBに近い形ですが,難しいと感じるのは長さのせいでしょう。
攻略法については,後で紹介する関先生の講座を観てください。
共通テストのリスニング問題
続いて,2021年度のものを例に共通テストのリスニング問題を簡単にみていきますが,センター試験では全て2回読まれていたところが,共通テストでは1回しか読まれないものもあります。
大問の数は6つに増え,第1~2問は2回,第3問以降は1回です。
リスニング自体はセンターと同様30分ほどとなります。
第1問
第1問はAとBに分かれ,どちらも数秒程度の短文を聞き,その内容に近い選択肢を選ぶものですが,Aの選択肢は英文で,Bだとイラストになっているといった違いがあります。
第2問
第2問は,男女の会話を聞いて,イラストから正解を選ぶものです。
形式自体は第1問のBに近いですが,第1問と比べて2倍くらいの分量になります。
とはいえ,スクリプトが長い方がヒントにできる部分も増えますし,2回聴けるので,まだまだ序の口です。
第3問
どんなシーンかは日本語で書かれていますが,問題文は英語で,第2問よりも長い対話を聴きます。
加えて,第3問以降は1回しか聴けないこともあって,難易度はぐっと高まるので気合を入れましょう。
第4問
第4問はAとBに大きく分けられ,図表の読み取りがポイントです。
先読み時間が与えられることからもわかるように,どこを聞き取るべきか,前もって待ち構えておくようにしなければなりません。
とはいえ,これはセンター試験の第3問などでも同じことをしましたよね。
ゆえに別段新しいことではありません。
とはいえ,Bの問題でメモを取ることが勧められるあたりは新形式です。
第5問
第5問は300語程度の講義を英語で聞き,その内容に関係する7問ほどの問題に答えます。
内容もアカデミックな内容です。
これまでと比べると,1度に聞く量が長くなるため,最初に与えられる準備時間の1分を上手に使いましょう!
第6問
第6問はABともに長い対話を聞き,質問に答えますが,こちらも準備時間が与えられます。
複数の箇所を参考に答えを決めたり,選択肢は文の他,数字や図表など,様々なバリエーションがあるのが特徴です。
他教科も含めた共通テストの詳しい解き方については,以下の記事を参考にしてください↓
スタディサプリのリスニング対策講座
さて,本題のスタディサプリにおけるリスニング対策講座ですが,大学入試に用いることができるものとしては,通年講座にあるリスニングの他,共通テスト・センター試験対策講座のものが利用可能です。
高3トップ&ハイレベル英語リスニング
私大や国公立2次試験対策としては「高3トップ&ハイレベル英語リスニング」を受講してください。
全4講義ながら,ディクテーション・短い対話文・長めの対話文・そして評論文のリスニング問題を一通り学ぶことができます。
音声変化のような解説から始めて,少しずつ難易度が上がっていき,最終的にはメモの取り方や先読みといったテクニックまでを身に付けることが可能です。
なお,テキストは74ページからなり,問題部分はワーク形式で,そして板書内容はあらかじめまとめられていました↓
全て1時間程度の講義ですが,約20分ごとに休憩が取られるので取り組みやすさに定評があります。
予習は不要で,授業内に問題を解く時間が設けられている他,復習用に扱った問題の音声はもちろん,音読とディクテーション用のトレーニングが別に用意されているので,しっかり取り組めばそれだけの実力が付くはずです↓
音読トレーニングのやり方については,次の共通テスト対策講座を参考にしてください。
共通テスト対策講座 英語リスニング編
こちらは共通テストの英語リスニングの対策講座です。
まだ共通テストが実施になっていない段階から実装されましたが,プレテストの内容とこれまでのセンター試験をもとに作成し,さらには本試験後に読み上げ回数を変更するなどのアップデートも行われているのでご安心ください。
講義では,先ほど紹介した構成にあった通り,第1問から第6問までを1つずつ講義で別々に取り上げ,解き方だけでなく,応用が利く知識も得ることができます。
なお,こちらも予習は不要ですが,復習での音読10回はマストです。
こうして授業を受けていると,根本的な解き方は共通テストであろうと他のリスニング試験であろうと大差ないことがわかってくるかもしれません。
先ほど保留していた音読トレーニングですが,扱った英文がすべて収録され,速度を変えたり,適宜聞き直すなどができます(問題に登場してきていない,テキストの英文についてはありません)↓
最初の何回かは,1文ごとに停止して音読するようにしましょう。
このとき,構文や意味をしっかり考えながら行うことが大切です。
理解できたと感じた文に関してはシャドーイングも行ってみてください。
意味のまとまりごとに,ナレーターの方が息継ぎや間を取っていることを感じ取れるようになったら理想的です。
センター英語対策講座 リスニング編
こちらは,センター試験英語のリスニング講座です。
問題形式については共通テストのものとは異なりますが,ここで語られる解き方については,あらゆるリスニング試験に通じるものなので,聴く量を増やすためにも積極的に取り入れましょう!
扱うテーマをみても「状況の把握の仕方・狙われる語彙・数字問題・メンタルの力について・読解力が必要な問題」などと,センター試験の攻略法に絞った内容ではありません。
また,これまでに紹介したリスニング対策講座は肘井学先生が担当していましたが,こちらは関正生先生が教えている点もメリハリがついて良いのではないでしょうか。
ただし,コンテンツとしては前に作られたこともあり,トレーニング内容にディクテーションや音読トレーニングがないことには注意してください。
(旧)日常英会話コース
ここまで通常のスタディサプリにある対策講座を紹介してきましたが,いくらリスニング問題の攻略法を知ったとしても,実際に英語が聞きとれないのであれば,高得点は期待できません。
リスニングの能力を高めるには,これまでに聞いたことのない未知の音源を聞く練習と,すでに学んだ既習の音源を繰り返し聞く作業の2つが必要になります。
これまでに紹介したものだと,後者を重視したトレーニングに偏りがちです。
理想は年間通して毎日聞くことですから,時間がない受験生でも数分はリスニングするように習慣化したいものです。
そのときのおすすめはスタディサプリENGLISHにある(旧)日常英会話コースで,Lv.4程度であれば,毎日10分程度の勉強で,英語耳に変えていくことができます(上の画像を参照)。
内容も教科書的でつまらないものではなく,日常的で使える表現ばかりで楽しいですし,通学途中やや勉強の合間にスマホでパッと聞けて,気分転換にも使うことが可能です。
ただ残念なことに,この日常英会話コースは,有料コースを利用した際の無料特典としてしか使うことができません。
最も安く利用するには「新日常英会話コース」を利用することになるので,実際に体験してみてから予算と相談してください。
また,基礎講座の中にある基礎リスニングもおすすめです↓
まとめ
以上,大学入試のリスニングについて,取り巻く環境や実際の問題例から始め,本題であるスタディサプリの各種リスニング対策講座についてまとめてきました。
リスニングできる音源の分量については復習の回数などで異なるので,これくらいとは言えませんが,講義動画の長さとしては,
- 高3トップ&ハイレベル英語リスニング=4時間
- 共通テスト対策講座 英語リスニング編=7時間
- センター英語対策講座リスニング編=5時間
ということで,復習時間も考慮すれば,1ヶ月くらいは毎日リスニングに触れることができるでしょう。
もっとリスニング量を増やしたければ,スタディサプリENGLISHの有料コースの利用も考えるようにしてください。
英語の成績に伸び悩んだときには,様々な角度から英語力を高めていく工夫が必要になります。
特にリスニングは,音が発せられた瞬間からすぐに消えていってしまうものなので,後から前に戻って確認することができません。
聞こえた順番通りに頭から理解していくことしかできないわけです。
しかし,よくよく考えてみれば,英文を早く読む際にもこれと同じ作業をしているわけで,基本的には左から右に目線を動かし,その逆はありません。
これが,英語を正確に聴けるようになるということが英語を早く読めるようになることと同義であるとされるゆえんで,この逆も然りです。
いずれにせよ,意外なところに,英語のブレイクスルー(成績急上昇)のきっかけは転がっているのかもしれません。
受験生のみなさんは,最後の最後まで諦めず,スタディサプリでリスニング対策を頑張ってみてください。
なお,これからスタディサプリを使おうと思った方は,スタディサプリのキャンペーンとコードのまとめをチェックするのもお忘れなく。
最後までお読みいただき,ありがとうございました。