小論文が課される大学を志す高校生が,本格的な受験対策を始める前に一度は目を通しておきたいオンライン講座があります。
それは「スタディサプリの各種小論文講座」です。
今回の記事では,具体的にどのような内容の講座があるのか,そしてどれほどの期間で学ぶことが可能か,さらには対象学年やどういった受験生に向いているかについてまとめてみることにしましょう。
もくじ
スタディサプリの小論文講座
スタディサプリの小論文講座ですが,リリース予定のものを含めると全部で7つあります↓
- ベーシックレベル小論文
- 高3ハイ&スタンダードレベル小論文
- 高3トップレベル小論文
- 高1・高2・高3 小論文入門
- 高1・高2・高3 小論文
- 慶應義塾大学 小論文対策講座
- 総合型選抜対策講座<事前課題型小論文編>
1の講座は2022年の8月に新しくラインナップに加わったもので,できれば高1または高2のうちに学んでおくべき小論文の基本知識が得られる講座です(高3の方も,まずはここから始めてください)。
なお,2と3に関しては,前者が2022年12月,後者が同年の10月にリリース予定となっています。
続いて4と5ですが,こちらは1と同様,全学年で共通の講座となっており,学年を問わずいつ開始しても構いません。
ただし,内容としてはやや昔のものになってしまうため,どちらか1つに限定するのであれば1の講座の方がおすすめです。
6に関しては,慶應大学を志望する受験生に特化した内容となっています。
最後の7ですが,総合型選抜の試験において,事前に小論文を作成する際の方法について学ぶものです。
事前調査の方法や論文の読み込みなど,こちらも用途は明確になっており,神﨑史彦先生が担当します。
先生は1の担当でもあります。
また,4~6を担当するのは小柴大輔先生です。
早稲田の第一文学部出身で,小論文に限って言えば,ロースクール受験のための予備校である「辰巳法律研究所」において,一般教養小論文を指導した経験を持ちます。
各講師の詳しい経歴につきましては,スタディサプリの講師紹介!気になる先生を見つけようをお読みください。
それでは次章から,各講座の内容について詳しくみていくことにしましょう!
ベーシックレベル小論文
ベーシックレベル小論文では,小論文の基本,考え方,答案で自分をアピールするための方法について学ぶことができます。
テーマも幅広いため,受講後は視野が広がって多くの考え方ができるようになっているはずです。
なお,予習は不要となっており,全20講義は6~8個のまとまりごとに大きく3つに分けることができます。
第1講~第8講
第1講~第8講では小論文の基本的な作法(読む・考える・書く)について学んでいきます。
設問を読むところから始まり,段落構成であったり,はたまた原稿用紙の使い方までを扱う,本講座の中でも特に重要となる講義です。
まずは「レクチャー」と呼ばれるチャプターでポイントを押さえましょう↓
最後に上のようなまとめがあるので,ぼんやりして聞き逃す心配もありません。
続いて問題を解きますが,ヒントについてまとめた動画があるので,難しいと感じる際は解きながら利用することもできます。
この後は答案例の紹介や自己評価表を用いた解説があり,最後に発展学習として推薦図書の提示もありました。
ベーシックレベル小論文で出会った問題を1つのきっかけとして,自分の考え方の幅を広げていきましょう!
第9講~第14講
第9講~第14講においては,小論文で用いる思考スキルを網羅します。
試験本番までほとんど時間がないような方は,ここは飛ばして,第15講以降で必要と思われる問題形式の対処法について学ぶようにしてください。
話を戻すと,ここでは演繹・帰納・反論・弁証法など,内容をより充実させては説得力を高めていく手法について学ぶことになり,これは例えば英作文を書いたり,口述試験において話したりする際にも十分役立つ内容です↓
なお,講義自体の構成はこれまでと違いはなく,10分弱から成る各チャプターをこれまでと同じ流れで学んでいくことになります。
第15講~第20講
ベーシックレベル小論文の第15講~第20講では,出題形式に合わせた解き方を学びましょう。
要約問題・読解問題・論述問題なのか,そしてテーマ型か課題文型かもしくはデータ型であるかによって,これといった特定の解き方が存在するわけです↓
共通テストにおいても考えさせられる問題が多くなっているので,ここで学ぶことになる目の付け所はしっかり覚えておきましょう。
高1・高2・高3小論文入門
続いてみていくのは「高1・高2・高3小論文入門」です。
講義数は全部で3つで,すべてが1時間程度で視聴できる内容なので,変な話,わずか3時間あれば学び終えることができます(さらに言うと,1.5倍速で観るようにすれば2時間で終えることも可能です)。
入門という位置付けなので,小論文の基礎的な内容を扱うのはもちろん,学ぶ楽しさを伝えてくれる授業内容であることは,第1講で扱うテーマからも伝わってくるのではないでしょうか。
気になるテーマは「ドラえもん」です。
本講座の受け方ですが,いきなり問題を解き始めるようなことにはなりません。
以下は授業の最初で扱うテキストの一部になりますが,小論文を書くにあたって必須とも言える心得が載っていて,早速役立つ内容であることがわかるかと思います↓
この他,「小論文がある大学・採点項目・要約答案の作成ガイド・解き方の手順」などについても言及されているため,導入部分としては,まさにこの上ない仕上がりです(これらの一部は後で紹介する「小論文」の講座にも出てきます)。
テキストでは,授業で扱った内容をより詳しくまとめたものや発展的な内容(例えば「そして」の代わりに使える表現一覧)が掲載されていますが,その量に圧倒されず,書かれた内容がスムーズに頭に入ってくるのは,あらかじめ動画を観ていたおかげでしょう。
ちなみに,第1講の課題の条件は以下のようになっており,全部で800字以内で具体的に論じます↓
- ドラえもんにどんな道具を出して欲しいか,名前も付けること
- その道具でどのように自分の問題解決を行うか
- またその際にどのような問題点や限界があるか
なんとなく書いてもできそうな内容だと侮ってはいけません。
講義では,小柴先生が小論文の構成やアイディアの出し方を詳しく解説してくれますので,それらの手順をしっかりと踏まえて取り組むことで,別次元の答案が書けることを実感できるかと思います。
ちなみに,上の問題の解答例は全部で5パターンほど用意されていたので,それらをすべて読み込むことで,自分のアイディアの引き出しを増やすことに繋がるはずです↓
第2講では4つ,第3講では8つもの解答例が確認できました。
特に小論文の勉強を始めたばかりの方であれば,「小論文って,こうやって自分をアピールできるものなんだ!」と目から鱗が落ちると思います。
なお,テキストのページ数としては全部で59ページあり,3つの講義しかない割に多めという印象です。
高1・高2・高3小論文
総合型選抜であろうと一般選抜であろうと,小論文が課される大学を受ける全受験生に勧められるのがスタディサプリの「小論文」です。
共通テストで求められる資質・能力も身に付けられると謳われているあたり,学習指導要領の内容も踏まえていることが伝わってきます。
特に,論理力によるコミュニケーション能力を高めるのに一役買うでしょう。
全部で10講義あるということで,視聴時間に換算すれば10時間程度です(ただし復習は除く)。
また,本講座のテキストは特に充実していて,上記画像にも示しましたが,テキストをダウンロードする際,参考文献や統計資料も併せてダウンロードができます。
それぞれのページ数としては参考文献が47ページ,統計資料が28ページ,そしてメイン講義で扱うテキストは全216ページとなっていて,入門編以上に充実していることは明らかです。
以下でこれらについてもう少し詳しくみてみましょう!
参考文献
参考文献は,小論文を書く際に参考になるであろう200冊以上の資料について,ジャンル別に簡単な紹介文と共にまとめたものです。
PDFで見るとこのような感じで,多くの書籍が紹介されていました↓
扱っているジャンルは,「国際関係論・スポーツ科学・栄養学・教育学・心理学・経済学」などと多岐にわたり,自分の興味の赴くままに読み進めてみたり,はたまた馴染みのない世界を広げるために用いることも可能です。
中には,親世代の名著なども含まれていて参考になります。
こうした名著(またはその中で述べられる内容)は,小論文の採点官も往々にして読んでいるものです。
統計資料集
次に統計資料集ですが,小論文において上手に使うことができれば,一気に説得力を高められるデータがまとめられていました↓
2022年の今になって見てみるとやや古いと思われるデータも見受けられます(例えばOECDは2021年6月時点で38ヶ国ですし,平均寿命も2017年には男81歳・女87歳のように過去最高を更新しました)。
が,大まかな数値が頭に入っているのといないのでも大きく差が開いてしまいますし,必要に応じて調べればすぐに最新の知識が得られることからも,細かい数値ではなく,あくまで変化や流れを押さえるために用いるのが良いでしょう。
「こういうデータもあるのか」というきっかけにもなります。
統計資料の内容的には膨大で,上のような資料が全部で183個ほど掲載されている他,研修医の給料やゆとり教育,個人情報保護法などの法令集からノーベル平和賞の受賞者や団体についてまで,興味を持った資料が多かったです。
講義内容
講義では,先の小論文入門で扱った内容をもう一度,そしてより深く語ることから始まります。
大切な箇所は重複するため,試験本番まであまり時間がない受験生はこちらの講座から開始するのもありです。
学習スケジュールとしては,入門よりも実践的な内容で,
- 志望理由
- 研究計画
- 課題文要約
- 図表分析
- 問題点の指摘と解決策の提示
- 意見論述
といった練習を,全10回の講義で行っていくことになります。
小論文の講座をどこかの塾で実際に受けようと思っている方であっても,まずはスタディサプリの動画で学び,基礎的な部分を理解してから,いよいよ個別指導で添削を受けるなどとすれば無駄が生じません。
特に小論文は,人の手(添削)が入るため授業料が割高になってしまうのが普通です。
小論文の世界では当たり前とされる知識を解説されるだけで終わってしまうようでは,折角の対人授業の機会を生かせていないように感じます。
といったわけで,1ヶ月くらいかけて,スタディサプリの小論文講座で前提となる知識を詰め込んでおくようにしましょう。
慶應義塾大学小論文対策講座
慶應大学の文学部・法学部・経済学部・SFCなどを受ける予定がある方におすすめなのが,スタディサプリの志望校対策講座の中にある「慶應義塾大学小論文対策講座」です。
この講座では上記4つの各学部につき2講義が用意され,出題傾向について解説してくれます。
基本的な流れですが,実際に出題された過去問を材料に,文章の読み方や要約,意見の発想方法を学んでいきましょう!
例えば法学部の場合,文学部や経済学部と異なり,要約と意見論述が同一の問題内で行われるという特徴があることがわかります↓
ただし,これらの問題を解く際の基礎となるのは,1つ前の「小論文」の講義で学んだことです。
そのため,上記学部を受験する方であっても,まずはそちらを受講して基本的な解き方について学んでからこちらの講座を視聴するようにしてください。
実際の問題についてですが,1講義についてテキストは15ページ前後で,解答例は複数個が載っているため,1つの問題から多くを学べる仕様となっています↓
解答例は何度も読み込んで,使える技やネタをどんどん吸収していきましょう!
本講義を受講したら,後は自分が受けるところの過去問で実際に書く練習を行い,然るべき人に添削してもらってください。
慶應のような大学であっても,結局は解いた問題の数が多い生徒が勝ちます(国語が得意だとさらに有利です)。
総合型選抜対策講座<事前課題型小論文編>
総合型選抜講座についてはすでに以下の記事で述べましたが,その中の1つに「事前課題型小論文編」というものがありました↓
試験会場での限られた時間内に書き上げる必要がない小論文やレポートの作成方法を学ぶための講座ですが,第1講では資料の文章を用いた要約問題を,第2講では読解問題を,そして第3講では論述問題を扱うのが特徴で,最後の第4講では一般的な基礎知識をまとめています↓
講義で扱うポイントは明確で,授業はメモを取りながら受けるようにしましょう。
なお,第4講のテキストの中にはルーブリックという評価指標が収録されていて,自分が書いた解答が内容や表記・表現の面で,どのように評価されるのかが簡単に理解できます↓
そのため,自分の答案をさらに良くしようとした場合に,自分の課題に気が付きやすいのが事前課題型小論文編の魅力だと言えるでしょう。
テキストには,添削してもらった人のコメントを書き込むためのスペースも用意されていました。
まとめ
以上,スタディサプリに用意されている各種小論文講座についてのレビューでした。
今回の内容をまとめると,講座には「ベーシックレベル小論文・ハイ&スタンダード小論文・トップレベル小論文・高1~高3小論文入門・高1~高3小論文・慶應義塾大学対策講座・事前課題型小論文」の7種類があり,どの大学にも通じる基礎を学べる講座から,慶應義塾大学の志願者や推薦型選抜に特化した対策まで行うことができます。
視聴するのにかかる時間としては,大体が10時間程度となっていて,テキスト内容も充実していました。
スタディサプリの小論文講座は高校1年生の段階から視聴可能で,早期に受講しておくことで純粋な国語力や論理力の強化に加え,実際の受験での選択肢の幅を広げることもでき,その恩恵は十分に受けられます。
今後急速に進む入試改革により,1つの明確な答えが用意されていない問題について考えて意見する機会が増えてくることが予想されますが,実はそうした問題を多く扱っているのが小論文です。
小柴先生が講義で口を酸っぱくして言うように,小論文で培ったスキルというのは,論文を読んでまとめたり,自分の意見を発表する大学でのゼミや卒論,さらには就職活動や社会に出てからも役立ちます。
もちろん一般選抜においても,これからますます多くの大学が記述力をみる問題を出してくることでしょう。
そのときの準備段階に使えると考えれば,月額2178円で受講できるスタディサプリは,高い授業料が必要な,各種予備校の小論文講座(添削付き)を取る前に大いに検討すべきものです。
もちろん講師との相性や使い勝手もあるでしょうから,以下の記事内容も参考に,無料体験から始めてみてください↓
最後までお読みいただいた方,ありがとうございました。