今回は小学館集英社プロダクションの「名探偵コナンゼミ」を取り上げ,そのカリキュラムと料金についてみていくことにします。
通信教育の対象となるのは小学生ですが,中学生や大人でも楽しめるオリジナルアニメや推理ゲームといった意欲的なコンテンツも存在するのが特徴です。
実際に教材のレビューも行っていますので,名探偵コナンゼミの内容に興味のある方は是非お読みください!
名探偵コナンゼミとは
名探偵コナンゼミ(以下コナンゼミ)とは,小学館集英社プロダクション(ShoPro)による教育サービスです。
最近の歴史的には,元々は「どらゼミ」から始まったものが「まなびwith」に名前を変え,そして2021年春からサービスを一新し,今回の「コナンゼミ」が誕生したことになります。
ShoProが扱うキャラクターにはドラえもんや名探偵コナンの他,ポケットモンスターやハットリくんといった有名どころが揃っており,企業理念である「エデュテインメントを通じて,人生をより前向きに,より豊かに」を実現しようというわけです。
英語だとEdutainmentと綴り,Education+Entertainmentからなる造語になりますが,ここでは,「広い意味でのまなび(この対象には友情や正義も含まれる)を良質な娯楽の力を借りて行うこと」だと理解しておくのが良いでしょう。
なお,キャラクターを使った勉強には学習意欲や理解度を高める効果があり,私も小学時代は以下のようなドラえもんの教材や歴史漫画などで学んだものです↓
兄弟で教え合った思い出がありますが,不思議と手が伸びやすく,結構な数を親にせがんでは買ってもらっていたのですが,特に苦手分野があるときや,小難しい参考書を読む気になれないときの取っ掛かりにエデュテインメントが適しているように感じます。
勉強が苦手な子というのはそもそも教材を開くことすらしないわけですが,その背景には,頑張って参考書を開いてみたものの,載っているのは見た目に難しそうな内容ばかりで諦めてしまうというのが原因としてあるのでしょう。
読んでも内容を理解できないとなれば,その子はたちまち自信を失ってしまうわけで,最悪の場合,不登校や進学を諦めることにも繋がりかねません。
そうならないためにも,毎日とりあえず開いては触れてみようと思う教材が必要とされるのは当然のことだと思います。
さて,コナンゼミは「通信教育」と「ナゾトキ」という2つのサービスからなり,詳細は後述しているのでここでは簡単に説明するにとどめましょう。
まずは,通信教育の方ですが,小学1年生から6年生までの学年ごとに全6コースです。
毎月届くワークブックには国語,算数,思考の達人ツール,複合教科問題が収録されており,その時その時の成長に適した教材を使いながら,段階的に必要な能力や資質を身に付けていけるようなカリキュラムが組まれています。
これは,前身となる「まなびwith」の教材をみても明らかです。
コナンゼミでもう1つ興味深いのは,小学1年生の段階から英語に触れられるところでしょう。
小学2年生までは歌と物語を中心とした「Great Fun Book」というテキストで学び,小3以上は「スゴロクENGLISH」というブラウザゲームを使って英語の4技能を学年に関係なく伸ばしていけるところが特徴です。
どちらも楽しさを感じられる学びになるので,勉強させられている感じはしません。
なお,通信教育では添削テストが年に2回ほど行われますが,このとき自分の答案を写真で撮ってデータで提出するところがユニークです。
コメントもサイト上から確認します。
続いて2つ目のナゾトキですが,小学生以上であれば大人でも楽しめるブラウザゲームとなっていて,アニメと謎解きゲームの両方からなるオリジナルコンテンツです。
難易度別に4つに分かれており,小学1~2年生向けのベーシック,小学3~6年生向けのアドバンスに加え,中学生以上を対象としたエキスパートとストーリーマスターがあります。
アニメは週に2回配信されるのですが,テレビだとCMを挟んで前半と後半となるところを,数日間挟んで更新されるイメージを持っておくとわかりやすいでしょう。
週に1話が完結となりますが,実際は数分ごとに問題が5つ出題されるので,ゆっくりとアニメを楽しむようなものではありませんが,アニメがないとやはり物足りないのが不思議なところです。
なお,問題に正解するとポイントが手に入り,それを使ってガチャを回したりキャラクターなどと交換できるあたりに現代的な娯楽要素を強く感じます。
以下でこれら2つについて説明を追加しましょう!
通信教育のカリキュラムについて
コナンゼミの提供元が考える「幼稚園から小学校までの9年間で学ぶべき目標」については,「まなびwith」の時代にすでに明確になっています↓
小学館の考える目標(学年別)
年少:身近な題材を通して親子でまなびを行う
年中:成功体験を基本に学習習慣を確立し観察力や集中力も高める
年長:よみかきそろばんの基本と小学校入学の準備を行う
小1:幼稚園で学んだ内容に肉付けして小学校レベルに引き上げる
小2:積極的に学ぶ姿勢を身に付ける
小3:興味や関心をかき立てながら学力の基礎を固める
小4:苦手分野を払拭するとともに得意な分野を作って伸ばす
小5:柔軟な発想力と考える力を養成する
小6:自立型学習の完成と小学6年間のまとめを行う
コナンゼミの通信教育においても,このような目標の下でカリキュラムが組まれることになるのですが,具体的に見てみましょう!
以下は小3コースのものになりますが,月ごとにやるべき内容は明確に決められていて,国語は文字,文法,読解,作文の4つをまんべんなく扱い,算数は計算と図形問題,さらには理社の知識まで登場する複合教科問題などが確認できると思います↓
学校の内容と時期が多少ずれることもありますが,小学生の教育において,学校と足並みを揃えて勉強するのはむしろ不自然で,各自の興味に応じて楽しく自由に学んでいくのが王道です。
「思考の達人ツール」については聞きなれない名前だと思いますが,考えを整理したり分析する際などに役立つワザ的なもので,お馴染みのベン図を筆頭に以下の10種類を使いこなす技能を,小学1年生の段階から身に付けていくことができます↓
各ツールを状況に応じて使い分けられるようになれば,アイディアも浮かびやすくなるでしょう。
例えば「ステップチャート」はプログラミングを始めPDCAなどの際に応用できますし,「イメージマップ」に関しては「マインドマップ」にも通じる重要なものです↓
なお,先述した添削付きのテストは8月と3月に行われ,以下のような違いがあります↓
- 8月:総合的な思考力を試すための「小学館思考力テスト」を実施。思考の達人ツールと複合教科問題からの出題。
- 3月:「学年末実力診断テスト」と呼ばれ,1年間で学習した全ての内容が出題範囲となる。自分の弱点について知り,復習に生かすことが目的。
通信教育の教材内容について
ここではコナンゼミの通信教育の教材から,小6コース(4・5月号)のワークブックを用いて,その内容についてレビューしていきたいと思います。
国語
画像の右にあるのは文法問題です。
ここでは「敬語」がテーマになっていますね。
全部で4つの作り方があるようですが,特に不規則に活用する内容に関しては,入社試験でも問われるほどの内容です。
小学生のうちにしっかり身に付けておかないと,そのツケが後になって回ってきてしまうかもしれません。
また左側に示したのは読解問題で,ここではキング牧師の伝記が出てきています。
"I have a dream."の話については,中学3年生の英語の教科書でも読むことになる内容なので,こちらも後で役立つときがあるでしょう。
コナンゼミの特徴として,読むことになる文章が多いということが1つ挙げられ,この小6コースで扱う作品の数は一般の教科書の5倍以上です。
読むだけでなく,書く練習ももちろんあります。
最近ではスマホの台頭によりますます苦手な大人が増えている漢字の類義語を区別して書いたり,指定された表現を使って作文を書くことで,書く技術以外にことわざの知識も増やせる一挙両得な問題も見受けられました↓
算数
続いて算数ですが,こちらは円の面積の求め方がテーマです。
小学校ではピザの写真を使って授業をするのが定番なのですが,まさに思考力を問うにはピッタリな範囲となります。
コナンゼミの場合は,性格についてある程度知っているキャラクターたちが出てきてくれますから,彼らと一緒に悩みながら授業に参加している気分になれるのが良いですね↓
上の例では元太くんと歩美ちゃんが予想をしていますが,原作通りで考えれば,きっと元太くんは間違っているのでしょう(笑)
とはいえ,こういった出題例は大学入試の共通テストでもみられるものですので,早い段階から慣れておくことに越したことはありません。
さらには,論理的思考を鍛えたり図形に対する感覚を楽しく養える挑戦問題もありました↓
こういった推理問題を気に入るようであれば,後述する「ナゾトキ」のサービスも検討してみてください。
学校の成績とは関係なく,好きな子はとことんはまるのが謎解き問題であり,私の塾に来ている生徒の例で言うと,スポーツやお笑いが好きな生徒にクイズ好きは多いです。
複合教科
上は左が複合教科問題の例で,ここでは国語(読解),算数(表),社会(国土)の3つの教科内容が入っている問題となり,右は比較する用途に使えるベン図を扱い,「視点を見つける」というポイントについて説明しています。
学校ではグループワークやアクティブラーニングをするので,上でみるような調べ学習の発表であったり,アイディア整理をしなければならない状況に遭遇することもあるでしょう。
英語
先述しましたが,小3以上の英語学習では「スゴロクENGLISH」というゲームブラウザを利用することになります↓
こちらに名探偵コナンは登場しないことに注意する必要はありますが,教材自体は「リタラシーメソッド」で有名なアレン先生が開発したもので,意味のある文脈の中でことばを育てることを基本方針に,英語の読み書き能力(リタラシー)を伸ばすことができるはずです。
小学校の英語は多聴が大切なので,RPG形式のスゴロクゲームに夢中になって遊んでくれれば大成功でしょう。
実際の通信教育には,上で紹介した以外の学習コンテンツもあります。
詳しい内容や使い方については以下の記事でご確認ください↓
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名探偵コナンゼミの通信教育の使い方!幅広い能力が伸ばせる
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ナゾトキについて
ここでは,名探偵コナンゼミのナゾトキの体験版を遊んでみましょう!
週に2回ほど毛利探偵事務所のところにナゾ(アニメ)が届くのですが,そこでの出来に応じてポイントが獲得できます。
謎解きを楽しむことが第一ですが,ゲーム内の通貨であるポイントにこだわることも大切で,ヒントを利用したり間違えてしまうことで得られるポイントが減ってしまうというルールです。
難易度に応じて以下の4つのコースがありますが,難しい方が減点基準がシビアになります↓
なお,最初2つのコースは通信教育のやる気を促すようなコメントも入っているので,小学生向けのコースと連動して使うのがおすすめです。
勉強のご褒美的に使うと良いでしょう。
小学生向けコースの出題に関してですが,読解に関する言葉遊びの問題から直感に訴えるような問題の他,論理的な思考を養う問題や数字に強くなるような問題もありました↓
逆に大人向けのコースはヒントを見ないで解くには難しく,登場人物の名前に精通していないと解けそうにない問題もありました。
小学生であれば,難問を解く際に親の助けが必要になるものも出てくるでしょう。
そんなときは,是非コミュニケーションの一環として役立てみてください。
ストーリーはパソコンの大画面で観ても画質は気にならず,やや不自然に感じた出題のタイミングも,実際に本サービスが始まってやってみると気になりませんでした。
獲得したポイントを使ってカードやキャラクターと交換でき,これも1つの楽しみになります↓
より詳しい内容については実際のレビュー記事をご確認ください↓
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コナンゼミのナゾトキの楽しみ方!小学生が喜ぶ仕掛けが満載
今回は名探偵コナンゼミから「ナゾトキ」について取り上げます。 私もやってみましたが,すぐにたくさんの謎が用意されていることに驚くでしょうし,小学生が通信教育を頑張ったご褒美にも十分なりうる内容でした。 クイズの中には大人 ...
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コナンゼミの利用料金について
最後にコナンゼミの料金について確認しておきましょう!
まず入会金はかかりません。
支払いが月額払いなところもわかりやすくて良いですね。
ちなみに決済方法はクレジットカード決済のみとなります。
通信教育の利用料金は以下の通りです↓
月額 | 年度内一括払い | |
小1 | 2650円 | 2429円×利用月数 |
小2 | 2760円 | 2530円×利用月数 |
小3 | 3310円 | 3034円×利用月数 |
小4 | 3970円 | 3639円×利用月数 |
小5 | 4520円 | 4143円×利用月数 |
小6 | 4850円 | 4445円×利用月数 |
年度内一括払いの料金についてですが,例えば小1コースを10月から利用する場合で説明すると,年度末となる3月まで残り6ヶ月分の教材が届くので,2429円×6ヶ月=14574円が利用料金となります。
一括払いにすると,小1コースは1ヶ月あたり221円お得に利用できるので,上の例の場合,全部で1326円お得になる計算です。
なお,学年が上がるにつれて料金が上がっていくのは,ほとんどの通信教育でみられます。
教材の性質上,すぐに成果が出るようなものではないので,年度内一括払いも十分考えられる選択です。
もちろん,年度の途中から入会する場合,支払い総額は減りますが,バックナンバーを利用することもできます。
一方,もう1つのサービスであるナゾトキの方は月額499円で単独利用が可能です。
こちらも一括払いすることで多少安く利用でき,額としては457円×利用月数となります。
サービス登場時よりも利用料金が安くなっている他,難易度によっても料金は変化しませんし,あとで課金されるような要素もありません。
通信教育とセットで申し込む場合の料金についてもまとめておきましょう(単純に足し合わせたもので,さらに割引はありません)↓
月額 | 年度内一括払い | |
小1 | 3149円 | 2886円×利用月数 |
小2 | 3259円 | 2987円×利用月数 |
小3 | 3809円 | 3491円×利用月数 |
小4 | 4469円 | 4096円×利用月数 |
小5 | 5019円 | 4600円×利用月数 |
小6 | 5349円 | 4902円×利用月数 |
なお,キャンペーンコードについては特に一部メディアに配布されるようなことはありません。
何かある場合は,キャンペーン含めて,以下の公式サイトに表示があるものを利用できます↓
なお,退会についてですが,通信教育の方はやや注意が必要で,毎月5日の23時までに退会の手続きをすることで,翌月以降の利用が停止可能です。
つまるところ,当月6日以降の退会手続きは翌月5日の退会扱いとなるので,例えば10月6日に退会手続きをすると,11月号からサービスが停止するという仕組みとなっています(ナゾトキに関しては月末の23時までに申請すれば問題なく翌月から退会できます)。
まとめ
以上,コナンゼミのカリキュラムと教材のレビュー,さらには利用料金についてまとめてきましたがいかがだったでしょうか。
エデュテインメントの力は偉大です。
通信教育ではカリキュラムや教材内容はもちろんちゃんとしていましたが,キャラクターが語り掛けてくることでさらに取り組みやすくなっていたように思います。
問題に普通は「Aくん」や「Bさん」と書いてあるところを,「コナンくんは~,阿笠博士は~」などとするだけで,ずっと親近感がわいてくるものです。
一方のナゾトキも,問題がわかると楽しいですし,観終わるとコナンの知的な格好良さに惹かれている自分がいました。
コナンが最初に放送になったのは1996年ですが,私の友人の家では毎週月曜に家族そろってコナンを観るのが決まりとなっていました。
私が塾講師として初年度に受け持った小学生は漢字が大の苦手だったのですが,簡単なドリルであっても集中できないようでした。
そこでどうしたものかと悩んだ末,コナンの単行本の中から難しい漢字を使ったコマをコピーして切り取っては,4コマ漫画を一緒に作りながら勉強したものです↓
その時のノートは今でも大切に取ってあります。
幅広い層に愛されるコナンですから,これからも多くの小学生のまなびの助けとなるでしょう。
最近だと,将棋の世界において,香川愛生女流棋士が精力的に活動されているのが印象的です。
子どもがみんな彼女のような育ち方をしてくれれば親は嬉しいでしょう。
いずれにせよ,気になった方は,まずは1ヶ月やってみてください↓
最後までお読みいただきありがとうございました。