今回は,スタディサプリの高3英語講座から「読解編」の講座を取り上げ,どのようなカリキュラムが組まれているのか,実際のテキストや画面を見ながらレビューしていきたいと思います。
簡単に言えば,単文から始めて,少しずつ長い文章へとステップアップしていくという流れなのですが,講座のレベルごとにその過程が多少異なっているといった感じです。
本記事を通して,読解編の授業内容であったり予復習の仕方,さらには実際の使い勝手についてしっかり理解しておきましょう。
大学入試の英語長文というのは配点が大きいだけに,是が非にでも得点源にしたいものですが,まずはこの読解編から始めることで,スタサプ内に別に用意されている長文演習編の講座にもすんなり入っていけるはずです。
スタディサプリ高3英語の読解編について
高3英語読解編の内容に入っていく前に,まずは担当の肘井学(ひじいがく)先生について知っておきましょう。
彼はこれまでに複数の予備校での勤務経験がありますが,同じくスタサプで英語を担当する関正生先生と同じ予備校にいた時期もありました(人気を競う職場にもかかわらず仲が悪くならなかったのは,かなりレアなケースでしょう)。
授業アンケートでは毎回満足度が高く,特に早慶上智や旧帝大の指導に定評があったということですが,彼自身,慶應大の卒業生です。
詳しくはスタサプの講師紹介記事もみてください。
スタディサプリにおいては高1・高2英語のほとんどと高3の読解に関わる講座を担当しています。
さて,今回紹介する読解編ですが,レベル別に「スタンダード・ハイ・トップ」の3つに分かれ,扱う内容自体は同じものの,解説の仕方や問題の難易度がそれぞれで異なっているのが特徴です。
例えば,目標大学のレベル別にみると以下のようになります↓
読解編のレベルと目標大学
スタンダード:日東駒専や地方国公立大
ハイ:MARCHや地方国公立大~旧帝大
トップ:早慶上智や旧帝大
ただし,できれば早慶に受かりたいと思っている生徒で,英語の偏差値が50くらいしかない人が背伸びしてトップレベルを受講するのは間違いです。
あくまで,直近の模試の偏差値でC~D判定が出ているくらいの大学を目安に選択するようにしてください。
もし仮に早慶志望なのにスタンダードで始めた人がいても,次の模試で偏差値が上がったのを確認してから,ハイレベルやトップレベルに移っていけばよいわけです。
本講座ではあらゆる大学の英文読解に通じる知識や技術が身に付くので,焦らずにステップアップしていきましょう(なんなら全部観てもいいですし)。
英語の実力がしっかり身に付いた受験生であれば,どの大学を受けようと合格点が取れるものです。
さて,この高3英語読解編の大まかな学習内容は,以下の3つとなっています↓
- 構文を把握するための講義
- 論理展開について学ぶ講義
- 背景知識を知るための講義
これらの内容を,全部で24回の講義を通して学んでいくことになりますが,簡単なレベルになるほど1の構文把握に割く講義数が多くなるというわけです。
例えばスタンダードレベルだと半分の12講義が構文把握に費やされますが,トップでは7講義しかありません。
逆に,3の背景知識についての解説はスタンダードで6講義にとどまるも,トップレベルでは11講義と逆転現象が起こります。
もちろんこの中で基礎となるのは1の内容ですが,難しい大学になってくるほど,その他の内容が合否を分けることになるでしょう。
次章では,上の3つの具体的な内容についてみていくことにします。
読解編で学ぶ3つの内容
上の目次は,読解編のテキストから,内容の違いをよく表している部分を適当に抜き出してきたものです。
なお,「構文把握編」と「論理展開編」さらには「背景知識編」の3つを先に挙げましたが,スタンダードレベルでは最初の構文把握編は「単文編」と表記されています。
構文把握(単文)
どのレベルの講義を受けるにしても最初に行うのは,単文を用いて構造分析し,読解に必要な文法ルールを学ぶことです。
あまり知られていませんが,英語の文法には「純粋な英文法」の他,「読解の際に必要な文法」の2種類があります。
後者の例としては,「前置詞の付いた名詞は主語にならない」や「無生物主語は副詞的に訳す」といったルールが該当しますが,これら文法事項は純粋な英文法で習う内容がベースにはなってはいるものの,英文読解で目にする頻度の方がより多くなるわけです。
他にも,分詞構文は特に英文読解の方でよく目にする文法事項ですし,難しい英文にはだいたい倒置や省略が用いられていることが多いでしょう。
いずれにせよ,こういった読解用の文法を単文で学んでおくことで,本番の長文で同じ構造を持つ一文(つまり単文)が出てきたときに,「あ,同じ形をしている!」と対処できることになります。
文構造を正確に把握しながら読むことを「精読」と呼びますが,長文を読めるようになりたい受験生がまず最初に目指すべきは,全ての文章を正しく精読できるようになることだということが,構文把握編を通してよくわかるでしょう。
論理展開
精読ができるようになったら次に目指したいのは,文章の論理展開に注意しながら読めるようになることです。
ちなみに,論理展開を示す語句のことを「ディスコースマーカー」などと呼びますが,「原因→結果」であったり「抽象→具体」といった英文同士の関係性に注目していくことで,より深いレベルでの英文理解が可能となります。
この読み方ができるようになると,長文全体を通して何が言いたかったのかを理解できるようになるのはもちろん,文章を速く読むことにもつながってくる上,意味のわからない単語や文の内容を推測しながら読めるようになるなど,さらに上のレベルの読解力を手に入れられるでしょう。
MARCH以上の難関大に合格できる生徒というのは,ここまでの英文読解レベルには達しています。
難しい大学の入試で,文章全体を通して何を言いたいかを答えさせる「要約問題」が大きな配点を占めているのもそういう理由からです。
ただ1つ注意点があるとすれば,この論理展開を意識した読解技術は,そもそも単文を正確に読める精読スキルが身に付いていなければ習得できないということでしょう。
先に,焦らず一歩ずつステップアップしていくことの重要性について述べましたが,1つの講座内においてもその方針は重要になってくるわけです。
背景知識
読解編の最後には「背景知識編」が控えていますが,ここまで講義を受けることで,英文内容によって長文問題の出来が左右されてしまうリスクが減ります。
一般的に,文系の生徒は理系内容の文章に苦手意識があることが多く,文系学部を受験しても確かに1つはその専門分野からの出題になるのですが,もう1つの英文は馴染みのないジャンルから出題されることが普通です。
さすがに法学部の入試に物理の内容は出題されませんが,医学的な倫理問題(安楽死,脳死)が出てもおかしくありません。
そのため,予め色々なジャンルに精通しておくことで,テーマが違うことによる苦手意識がなくなり,より論理展開の先読みもしやすくなって,読むスピードも上がっていくことになります。
専門的な単語に強くなるのも有利な点です。
国語の古文を得意にするために「源氏物語をあらかじめ漫画で読んでおく」というテクニックがありますが,これも似た効果を狙ってのものでしょう。
以上が,読解編の主な学習の流れとなります。
読解編の学び方
それではスタサプリ高3英語<読解編>の,実際の学び方についてまとめていきましょう!
具体的には,予習して講義を受け,最後に復習するという流れになりますが,講座のレベルごとにやり方が違ったりはしません。
ここではハイレベル講座を例に解説していきますが,スタンダードやトップレベルの方も参考になる内容です。
予習する
肘井先生の英文読解の授業ですが,まずは30~60分かけて予習をします。
意味のまとまりごとにスラッシュを入れながら,文構造に注意して意味を理解していきましょう。
わからない単語を辞書で調べるまでは必須ですが,その場合も複数の意味に目を通し,内容的に一番ふさわしいものを選ぶようにしてください。
意味を講師に言われてから気づくのではなく,実際に自分の頭で考えるからこそ実力が付くのです。
余裕があれば,以下の6つも明らかにしてから受講しましょう↓
- 前置詞の作る意味のかたまり
- 接続詞がつなぐもの
- 代名詞や指示語の内容
- 関係詞節の範囲
- 不定詞の用法
- 分詞の名詞修飾
これらはスラッシュリーディングを行う上で意識すべきものですが,等位接続詞(and, but, or, so)を見た際は文と文をつなぐのか,それとも動詞と動詞なのかまで考えるようにし,後者の場合はどの動詞をつなぐかまで明らかにしましょう。
代名詞や指示語は具体的な単語を言える状態にしてください(theyをよく「彼ら」と訳しますが,実は「それら」の意味だったりすることも多いので注意が必要です)。
とにかく,講義中に何を講師に尋ねられても,自分の理解した内容を答えられる状態にして授業に臨むのが英文読解の講義の受け方だと思っていてください(スタサプに限らず,学校や塾の授業でも同じです)。
オンライン教育ではこういったところで手を抜きがちになるものなので,気を引き締めて予習に臨みましょう。
講義を受ける
今でも学校によっては,先生が訳を言っては生徒がただそれを書き写して「はい,終わり」的な授業が行われているようですが,それよりも「どうしてこのような文構造であると解釈できるのか」を明確にすることが重要です。
その点,スタディサプリでは解答に全訳が記載されているため,講義中に訳を書き写すような時間の無駄はありません。
逆に板書は直接テキストに書き込めるようになっていて,手を動かすことで記憶にも残りやすくなります。
それに何より眠たくなくなるので,これは学校の授業を受けるときにも参考にしてください。
なお,板書のことを考えて,肘井先生は書き終わった後に場所を移動してくれたりしますが,時間内に書ききれないときは動画を一時停止すればOKです。
ところで,人間の集中力というのは1時間や2時間も続くようなものではありません。
長くやっているとパフォーマンスが落ちるので小休憩を挟みたいものですが,スタディサプリの講義動画はそもそも20分~30分の長さにあえて短く区切られています(チャプターと言います)。
それゆえ,チャプター間で休憩するようにして,動画を視聴しているときは集中を切らないようにしましょう。
余談ですが,スタサプではオンライン教育ならではの強みを生かし,受講者の離脱タイミングまでをもデータとして分析して反映しています。
例えば,学習者の離脱率が上がっていた部分(例えば無駄に長い板書シーン)については編集でカットしたり,復習問題で間違いが多かった問題に向けて解説動画を撮り直したりと,講義動画自体も改善されてきました。
復習する
復習のやり方については,テキスト内や肘井先生の講義中にも説明がありますが,大まかに以下の3つが課されることになります↓
- 構造分析に再挑戦する
- 単語を暗記する
- 音読する
まずは本文と全訳を照らし合わせながら,正しく文構造が把握できていることを確認しましょう。
講義を受けた後ですから,テキストには正しくスラッシュが入っていますし,単語の意味も書き込んであるのでやりやすいです。
精読することで,細かい部分に誤解があったところまで正しく読めるようになります(予習の段階で,完璧にどこも理解できていることは通常考えられません)。
次に単語の暗記ですが,解答ページの最後には「重要語彙リスト」というものが用意されているので,それを使うようにしてください↓
縦に揃って書かれているので,片側を隠しながら覚えやすい仕様ですが,具体的な復習方法についても肘井先生は語っていて,
- 英語→日本語の順に3回書く
- 同じものを今度は10回暗唱する
という順で行います。
「numerous,数の多い」といった具合に「英語+日本語のセット」の形で3回書き写し,次にこれを読み上げるわけですが,書く際はなるべく目をつむるようにして書く方が覚えられるでしょう。
塾で生徒を教えていると,「出会った単語は全部その場で覚えてしまおう」という強い意志を持って授業に臨んでいる受験生の方が結果的にうまくいっているように感じます。
そして最後に音読を行いますが,予習や講義を受けて沢山の書き込みがしてあるテキストは使いません。
それ用に,音読用の白文が用意されています↓
具体的な音読法は,
- まず1文を声に出して読む
- 次に構文に沿って訳してみる
- 2文目以降も同じように行う
- 全部終えたら,右上の数字を塗る
といった流れです。
1つの文章につき10回はできるようになっています。
音読には,単語を生きた状態で学べたり,構文を把握する力を高める効果がありますが,「同時通訳の神様」と呼ばれた故國弘正雄先生を始め,数々の英語の達人と呼べる先人たちが音読の効果を実証してきています。
ひたすら地道に努力を積み重ねた人にのみ,合格の扉が開かれる。
この思想がスタディサプリの大前提にある点に気づいたとき,私は自分の生徒にも本サービスを薦めるようになりました。
復習テストを使う
最後にダメ押しで「復習テスト」を解いてから,次の講義へと進むようにしてください。
最初に並ぶ単語問題は,先ほどの重要語彙リストからの出題になっており,その後,授業で扱った要点を確認する問題が続きます。
満点を取れるようになるまでは先に進めない仕様になっているので,満点を取れなかったら戻って5回くらい音読するくらいのペナルティを自ら課すなどして臨みましょう!
独りで学ぶオンライン教育だからこそ,理解度の確認が大切になってくるわけですが,これだけ明確に復習のための準備が用意されているのがスタディサプリです。
まとめ
以上,スタディサプリから肘井学先生の教える「高3英語<読解編>」について,学習の流れと学び方をレビューしてきましたがいかがだったでしょうか。
実際に授業を受けていただくと確信が強まるのですが,スタディサプリの英語科の理念は,華やかな宣伝文句からは想像できないほど,地道で王道を行く学習スタイルを貫いていることがわかります。
英文読解では,
- 構造分析による精読
- 文章の論理展開を追う
- 背景知識を増やす
といった3つの段階で学ぶことが大切ですが,本講座では,着実にステップアップできるよう,予習から復習に至るまで様々な工夫が施されていました。
その裏には,離脱率をもとにしたわかりやすい編集はもちろん,講師である肘井先生の見識の広さもあるわけですが,何より受講者側が実際に英語が読めるようになっていく自分に気がついたときの喜びがやる気アップに繋がります。
実際の入試では,これまでに読んだことがある文章は出題されません。
ですが,同じ構造を持つ文章や,同じ背景知識を扱った英文にあたる可能性はあるわけです。
スタディサプリの読解編を1つやり終えたら,模試や過去問でその効果をさっそく実感してみてくださいね。
もちろんこの次に長文演習編へと進み,より得点力を高めていきましょう!
これから新しく始められる方は,スタディサプリのキャンペーンコードを利用した申し込みがお得です。
最後までお読みいただきありがとうございました。